精製栄養素の胃内給与法を用いて,第一胃内注入揮発性脂肪酸(VFA)組成と週齢の違いが,早期離乳子牛のエネルギーと窒素利用に及ぼす影響を検討した.ホルスタイン種雄子牛6頭を用い,3頭には酢酸,プロピオン酸,酪酸のモル比を48:42:10とするVFA混合液を,残りの3頭には同76:14:10とするVFA混合液を,主要ミネラルおよび緩衝液とともに第一胃内へ注入した.第四胃内へはカゼイン,微量ミネラル,ビタミンを注入し,離乳(5から7週齢)後はこれらの注入精製栄養素のみで飼育した.総エネルギーおよび窒素注入量は,それぞれ570kJ/kgBW
0.75および1.0g/kg BW
0.75とした.6から14週齢の間,2週間毎に血液成分,発熱生量,窒素出納を測定した.血漿中グルコース濃度とβ-ヒドロキシ酪酸濃度にはVFA組成の影響が認められた.熱発生量にはVFA組成の影響は認められなかったが,週齢の進行にともない減少する傾向がみられた.窒素蓄積量は,プロピオン酸割合の低いVFA液を注入した場合に,10から12週齢にかけて低い傾向にあった.以上の結果より,幼齢子牛では,反芻家畜において通常の飼育下でみられるVFA組成の範囲内であっても,プロピオン酸割合が低い場合には,離乳後一時的に窒素蓄積量が低下することが示唆された.
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