日本畜産学会報
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65 巻, 1 号
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  • 佐野 宏明, 高谷 弘樹, 長谷 美尚子, 寺島 福秋
    1994 年 65 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    採食量および採食に伴う血漿インスリン反応に対する寒冷暴露およびグルコース注入の影響を検討するために,めん羊3頭を常温(20°C)および寒冷環境(0°C)に18日間暴露した.めん羊にはアルファルファヘイキューブを1日1回240分間給与した.グルコース溶液(1.2M)は給餌の60分前から採食開始120分後まで0(生理食塩水のみ),2.5および5.0mg•kg BW-1•min-1の注入速度で静脈内に連続注入した.採食量は寒冷暴露およびグルコース注入によって影響されなかった.血漿インスリン濃度はいずれの環境においてもグルコース注入開始後に増加した.採食を開始すると常温時には血漿インスリン濃度はさらに増加したが,寒冷暴露時にはわずかに増加した.血漿インスリン•エリアはグルコース注入速度が高いほど,および採食時に大きく(P<0.05),常温時よりも寒冷暴露時に小さかった(P<0.001).以上の結果より,アルファルファヘイキューブを給与しためん羊において採食に伴う血漿インスリン反応はグルコース注入によって増幅され,この反応は寒冷暴露時に抑制されること,採食量はグルコース注入によって変化しないことが示唆された.
  • 上野 啓介, 小出 和之, 石橋 晃
    1994 年 65 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    動物のアミノ酸要求量は,飼料中の蛋白質水準の増加に伴って増加する.しかし,それは飼料中の蛋白質水準が増加するからではなく,それを構成する各アミノ酸が原因していると考え,アルギニンを例にとって,個々のアミノ酸のアルギニン要求量に及ばす影響を調べた.試験1では,アルギニンの要求量を増加させる個々のアミノ酸の影響を調べるために,アルギユンが1.0%と実際の要求量より若干少ない基礎飼料に,0.6%のグリシン,ヒスチジン,イソロイシン,ロイシン,フェニールアラニン,トリプトファンまたはバリンを添加した飼料およびその混合物を添加した飼料,0.4%のリジン,スレオニンまたはメチオニンを添加した飼料,およびその混合物を添加した飼料を8日齢のブロイラー雛各区4羽に10日間自由摂取させた.10日目に増体量と飼料摂取量を測定した.その結果,メチオニン,トリプトファン,リジンおよびその混合物を添加した飼料で増体量に負の影響がみられた.試験2ではリジン過剰による増体量の減少はアルギニン欠乏によることを調べるため,アルギニンが1.0または1.4%でリジン1.14%の基礎飼料にリジンを0,0.4,0.8%添加してブロイラーの生産能に及ぼす影響を試験1と同様の方法で調べた.両アルギニン区とも,飼料中のサジン含量の増加に伴って増体量,飼料効率は悪化した.アルギニン高区では低区に比べてその悪化の程度は少なかった.飼料中のリジン含量の増加に伴って血漿中のリジン濃度は増加したが,逆にアルギニン濃度は減少した.また,アルギニン高区では血漿中のリジン濃度が減少した.飼料中の蛋白質水準が上がると,アルギニンの要求量が増加するのは,リジンが直接の原因の一つになっていることが示唆された.
  • 松井 寛二, 黒川 勇三, 大久保 忠旦
    1994 年 65 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    5頭の放牧ホルスタイン育成牛のうち,1頭の腹帯背部に計測装置を装着して他の4頭の牛と一緒に放牧草地に昼夜放牧し,心拍数,顎運動回数および顎運動休止回数を放牧13日間にわたり連続記録した.放牧開始時の草高は31cm,11日目には14.5cmであり,13日目に退牧させた.食草時間は放牧1日目から6日目まで増加し,その後9,10日目に約20%減少し,11日目には再び元の水準まで増加した.9,10日目にはその他の1頭の牛が発情を示し,試験牛がその牛をしばしば追い回しており,食草時間の減少はこのためと思われた.反芻時間は放牧前半は漸増し,後半はほとんど変化しなかった.R:G比は0.63から0.83まで増加する傾向がみられた.一日総心拍数(DHB)は2日目(141,000拍)から5日目(143,000拍)まで漸増し,その後は退牧まで減少した.12日目では120,000拍であった.食草時の心拍数は反芻時に比べて1分間あたり約10~15拍高い値を示した.また食草および反芻時の心拍数はDHBの変化傾向と同様に放牧5日目まで増加し,その後は退牧まで減少した.食草時の顎運動回数の最頻値は2日目から4日目まで増加し,その後は増加がみられず,84回~86回/分の顎運動が多くみられた.これらの結果から反芻時間,食草時間,食草時の顎運動回数,DHB,食草および反芻時の各心拍数などは放牧の経過にともなう可食草量の減少と草生状態の変化の密接に関連して特異な変化を示すことが分った.
  • 阿久澤 良造, 八木 信行, 木村 雅資, 沖谷 明紘
    1994 年 65 巻 1 号 p. 22-32
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Lactacoccus lactisの抽出液から,ゲル濾過,イオン交換クロマトを繰り返すことによってポリアクリルアミドゲルで単一なバンドを示すプロテイナーゼを精製した.本酵素は分子量が140,000で2つの同種サブユニットで構成されていると推定された.作用至適pHは6.0~6.5,至適温度は30~35°Cであった.またpH6.0~7.0および0~40°Cで安定であった.DFPおよびPMSFによって阻害されることからセリンプロテイナーゼと推定された.本酵素のカゼインに対する分解活性はKmが0.044%,Vmaxが1.16μg tyrosine eq./min/mg,樹生化エネルギーが26,300cal/molであった.本酵素はαs1-およびβ-カゼインを同程度に分解することから,細胞壁結合型セリンプロテイナーゼとは異なることが示唆された.
  • 野村 義宏, 高橋 幸資, 白井 邦郎
    1994 年 65 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタ真皮不溶性コラーゲンから単離したプロテオヂルマタン硫酸(PDS)およびその構成成外によるコラーゲンフィブリル形成に及ぼす影響について検討を行なった.PDSは,その添加量によりコラーゲンフィブリル形成を促進または遅延した.その構成成分であるコアタンパク質(CP)を添加した場合,フィブリル形成速度に影響を与えなかった.デルマタン硫酸(DS)鎖は添加量に関係なくフィブリル形成を促進した.コラーゲンのフィブリル形成におけるDSの影響は,主に電気的なものでありDSの分子量の違いにより影響を受けないものであった.再構成したコラーゲンフィブリルは,PDS存在下で添加量に関係なく熱変性温度を低下し,吸熱ピークもブロードになる.その構成成分のうち,DS存在下で熱変性温度が低下した.以上のことから,PDSのフィブリル形成促進機能および熱変性温度の低下機能は,DSに依存しているが,PDS中のCPはDSの機能を調節するものと考えられる.
  • 針谷 敏夫, 北林 伸英, 吉川 勝利, 山本 眞則
    1994 年 65 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 上家 哲, 甫立 孝一, 小澤 明仁, 布施 洋
    1994 年 65 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 木村 誠, 荒木 誠一, 鈴木 護, 藤本 昌俊
    1994 年 65 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 人工消化試験法による検討
    畠中 貴弘, 細井 栄嗣, 松井 徹, 矢野 秀雄
    1994 年 65 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牧草の熱変性が反芻動物における銅および亜鉛の利用性に及ぼす影響を調べるたあに,めん羊第一胃内液を用いた人工ルーメン法(培養時間0,8および48時間)により,異なる温度でサイレージ調製をした牧草中のミネラルの溶出率を検討した.20,40,60,80°Cの4水準の温度で,3日,12日,36日間サイレージ調製を行ない供試試料とした.中性デタージェント不溶性窒素の量は,サイレージの調製温度が高いほど高くなる傾向を示した.また飼料熱変性の指標とされている酸性デタージェント不溶性窒素は80°C区の貯蔵期間12日以降,特に36日において著しく高い値を示した.培養前(0時間培養)の試料の乾物消失率は80°C区において調製日数の増加に伴い低下した.培養前の試料の銅と亜鉛の溶出率はすべての温度区において調製日数の増加に伴い低下した.また銅と亜鉛の溶出率は調製温度が高いにまど低くなり,この傾向は銅において顕著であった.またin vitro消化試験による乾物消失率は80°C区のサイレージ調製36日目で低い値を示し,このサイレージ調製により飼料の強い熱変性が生じたことが示唆された.80°C区36日調製試料では,銅溶出率は他の温度区と比較して培養により低下する傾向が認められた.これは,熱変性により銅の不溶化が進んだことが原因である可能性がある.亜鉛の溶出率は処理温度の違いによる大きな影響は認められず,熱処理は亜鉛と比較して銅の可溶性により強く作用することが示唆された.
  • 礒部 禎夫, 柴田 章夫, 小牧 弘, 鎌田 章
    1994 年 65 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    生後21日齢で離乳したLWD交配種の同腹子豚14頭を試験区および対照区の2群に分け,対照区には抗生物質無添加の飼料を給与し,試験区にはそれらの飼料にフマール酸を3%添加した飼料を給与した.給与開始後5週から7週まで,週毎に,両区同数の子豚を屠殺し,消化管内容物のpH,VFA,大腸菌数および嫌気性フマール酸利用菌数を測定した.試験区子豚の消化管内容物のpHは,対照区に比べて,十二指腸,空腸,回腸および結腸において低かったが有意な差ではなかった.DHL平板培地に現れる大腸菌のコロニー数は試験区が対照区に比べて有意(回腸および結腸部位においてp<0.01,盲腸においてp<0.05)に少なかった.Veillonella培地に現れる嫌気性フマール酸利用菌はグラム陰性の小球菌と大型双球菌であり,前者はVeillonella species,後者はMegasphaera sppと判断された.両菌種の菌濃度は,結腸部位のVeillonella sppを除いて,回腸,盲腸および結腸のいずれにおいても試験区が対照区に比べて高かった.しかし有意差は回腸部位のMegasphaera sppのみに有意(p<0.01)に認められた.Megasphaera sppは,いずれの部位においてもVeillonella sppに比べて10-2程度低いレベルの菌数であった.回腸,盲腸および結腸内容物のVFAのモル比は,プロピオン酸が大きな比率を占め,これらの部位に高濃度で存在するVeillonella sppの機能を反映しているとみられた.また,盲腸および結腸部位ではイソ酪酸およびイソ吉草酸の比率が比較的多く,回腸内とは異なる発酵をもつことが示唆された.以上の結果からフマール酸を離乳子豚へ投与することにより,消化管内容物のpHには大きな影響を与えなかったが,腸内菌叢の様相から回腸,盲腸および結腸での大腸菌の濃度を有意に低下させ,嫌気性フマール酸利用菌群の菌濃度を高める傾向を示唆した.
  • 大谷 新太郎
    1994 年 65 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    無作為に抽出した48戸の酪農家を対象に,搾乳衛生に関するアンケート調査と各戸の10ヵ月間(1988月5月から1989年2月まで)の乳汁中体細胞数との関係を統計学的に検討し,乳汁中体細胞数に及ぼす酪農家側の意識要因を調べた.乳汁中体細胞数が20万/ml未満の酪農家は,牛舎を清潔に保ち搾乳機器を適正に保守管理している上に,乳房の細菌汚染防止策を講じていることがわかった.乳汁中体細胞数が20万/ml以上で,30万/ml未満の酪農家は,乳房炎予防に対する認識の不十分なことが分った.乳汁中体細胞数が30万/ml以上の酪農家は,乳頭の観察が不十分で,搾乳機器の管理にも配慮が欠けている上に,乳房の細菌汚染防止に積極的な配慮がみられなかった.さらに,乳汁の異常に注意を払っていないことも分った.
  • 及川 卓郎, 佐藤 勝紀, 河本 泰生, 溝口 豊, 中原 仁, 平本 圭二
    1994 年 65 巻 1 号 p. 75-77
    発行日: 1994/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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