日本畜産学会報
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65 巻, 5 号
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  • 口田 圭吾, 山岸 敏宏, 武田 尚人, 八巻 邦次
    1994 年 65 巻 5 号 p. 401-406
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛憩種去勢牛に対する後ろおよび上方向からの画像が,ビデオカメラにより撮影され,コンピュータのメモリ一に取り入れられた.C言語によるプログラムにより生体の輪郭線が抽出された.上および後方向からの牛生体画像の輪郭線の座標データは,2次回帰分析により処理された.本研究では,そこで得られた2次の項の回帰係数をそれぞれ上方向放物指数,後方向放物指数と定義した.同様に,画像上の体幅と体長および体幅と体高の比をそれぞれ上方向広がり指数後方向広がり指数と定義した.12形質の体測定,13形質の枝肉測定および超音波による皮下脂肪厚測定が,40頭の黒毛和種間接検定材料牛についてなされた.体測定形質および画像解析により算出した放物指数ならびに広がり指数が,重回帰による枝肉形質推定の中で用いられた.画像解析形質を取り入れることでR2値が大きく改善された形質は,牛脂肪交雑基準および牛肉色基準であった.上および後方向放物指数は牛脂肪交雑基準に対して正の方向に影響していた.同様に,上方向放物指数,上方向広がり指数および後方向放物指数は,牛肉色基準に対して有意に影響しており,それらの偏回帰係数は負であった.また,肉の光沢およびキメに関しては若干の推定精度の改善が認あられた.
  • 宮城 智子, 金市 浩二, 福村 正之, 苅田 修一, 粟冠 和郎, 嶋田 協, 大宮 邦雄
    1994 年 65 巻 5 号 p. 407-415
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Ruminococcus albus F-40株から2種類のセルラーゼ遺伝子が大腸菌の系を用いてクローニングされているが,主要なセルラーゼの遺伝子がまだクローニングされていない.そこで,本研究では,R.albusと同じグラム陽性菌であるBaciltus subtilisをホストとし,これにベクターを導入するためにエレクトロポレーションの最適条件を設定した.まず,菌を経時的に採取し,細胞密度が一定になるように緩衝液に懸濁した後に,エレクトロポレーションを行ない形質転換効率および生存率を調べた,この結果,対数後期から定常期にかけて使用した時に高い形質転換効率を得た.次に物理的集件の検討を行なうため,パルス幅と電場強度をそれぞれ変えて形質転換効率を調べたところ,パルス幅を300~500μsec,電場強度を8-12kV/cmに設定した時に高い効率が得られた.プラスミドDNAの濃度と形質転換体数および形質転換効率との関係について調べた結果,形質転換体数はDNA濃度が0.06μg/μlまでは比例的に増加したが,以後漸増するにとどまった.したがって形質転換効率はDNA濃度が0.06μg/μl以上で漸減した.得られた形質転換体より抽出したプラスミドを制限酵素で処理した後,電気泳動で確認したところ,挿入したプラスミドと全く同一であった.既に単離されているR.albus F-40株のセルラーゼ遺伝子(egI)のを組み込んだベクターを用いて,この条件下でエレクトロポレーションを行なった.効率よく,安定な形質転換体が得られ,ウェスタンブロッティングによりegI遺伝子も発現していることが確認できた.また,大腸菌に対しB.subtilisではEgIの分解がみられなかったことから,B.subtilisの系を用いR.albus cellulase遺伝子をクローニングすることが有効であることが判明した.
  • 東 泰好, 河合 文雄, 金森 正雄, 眞鍋 昇, 宮本 元
    1994 年 65 巻 5 号 p. 416-422
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    生体総織のエネルギ-代謝状態に関する情報を破壊的かつ経時的に得ることが可能な31P核磁気共鳴法(NMP法)により,生理学的•生化学的特性を異にする2種類のヤギ骨格筋(棘上筋および大腿筋膜張筋)の屠殺後の高エネルギーリン酸化合物の消長を経時的に調べた.また,ウサギ,ブタなどの限られた動物の一部の骨格筋に存在することが報告されているglycerophosphorylcholine (GPC)がヤギの筋肉で見出せるかどうかを検討した.雌性ザーネン種成ヤギ(6頭)をペントバルビタール麻酔下に放血屠殺し,直ちに筋肉を採取した.筋肉を整形後,直径10mmのNMR試料管に挿入し,屠殺後1,2,3,4,5,6,正2および24時間の各時点で31P NMR測定を行ない,クレアチンリン酸,ATPの経時減少および細胞内pHの変化を調べた.測定はすべて25±1°Cで行なった.併せて,両筋の組織化学的特性の差異を明らかにするため,凍結横断切片を作成し,免疫および酵素組織化学的方法により筋線維型組成を明らかにした.主にI型筋線維(slow-twitch)から構成される棘上筋とII型筋線維(fast-twitch)優勢の大腿筋膜張筋では,屠殺後の高エネルギーリン酸化合物の経時減少に顕著な差が認められた.すなわち,棘上筋では大腿筋膜張筋と比べてクレアチンリン酸およびATPの減少•消失が早かった.限られた家畜のI型筋線維主体の筋で存在が報告されているGPCがヤギ棘上筋にも存在することが31P NMR測定により明らかとなった.大腿筋張筋ではこの物質は認められなかった.細胞内PHの低下パターンにも2種類の筋肉間で差が認められた.すなわち,屠殺直後と屠殺24時間後の時点では両者間に差がないものの,棘上筋の細胞内pH低下が早く,屠殺後2~6時間の各時点で細胞内pHに有意な差が認あられた.
  • 大谷 元, 二上 美和子
    1994 年 65 巻 5 号 p. 423-431
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    チオグリコール酸誘導マウス腹腔マクロファージによるラテックスビーズの取込みと亜硝酸塩の生成 に及ぼす牛乳蛋白質の影響をサルモネラ菌由来のリポ多糖(LPS)存在下,および非存在下で調べた. αs1-カゼイン,κ-カゼイン,IgGおよびラクトフェリンはLPS存在下および非存在下ともに用量依存的 にラテックスビーズの取込みを抑制し,β-カゼインとα-ラクトアルブミンは促進した.また,β-ラクトグロヅリンと血清アルブミンはラテックスビーズの取込みに対して統計的に有意な影響を示さなかった.一方,亜硝酸塩の生成においてもαs1-カゼイン,κ-カゼイン,IgGおよびラクトフェリンは抑制的に,β-カゼインとα-ラクトァルブミンは促進的に作用することが示された.しかし,それら各牛乳蛋白質を添加して48時間培養したマクロファージの生細胞数と牛乳蛋白質を添加しないで培養したマクロファージの生細胞数の間に統計的有意差は見られないことから,それら各牛乳蛋白質はマクロファージに対して個々の細胞レベルでの活性化に作用していることが示唆された.
  • 高田 良三, 森 淳, 梶 雄次, 斎藤 守
    1994 年 65 巻 5 号 p. 432-436
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 玉城 政信, 白石 恭二, 早澤 宏紀, 石田 修三, 相井 孝允
    1994 年 65 巻 5 号 p. 437-442
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 中井 裕, 中谷 正義, 安藤 太助, 稲元 民夫, 扇元 敬司
    1994 年 65 巻 5 号 p. 443-446
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 林 智人, 天野 卓
    1994 年 65 巻 5 号 p. 447-453
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ヤギの主要組織適合性遺伝子複合体(MHC) class II領域の構造とβ鎖遺伝子構成を把握するため,ウシclass II遺伝子のDRB, DQBおよびDIB遺伝子座を特異的に認識するR2-TM, B1-TMおよびI1-TMをプローブとしたRFLP解析を行なった.用いた3種のプローブ間では,同一サザンブロット上クロスハイブリダイゼーションは検出されず,各プローブがそれぞれ独立した遺伝子領域を認
    識していることが判明した.また各プローブは,R2-TM/Taq Iで4.4-,3.3-および2.7-kbの3種,B1-TM/Pvu IIで4.8-および2.1-kbの2種,I1-TM/Taq Iで10.2-, 9.7-および7.6-kbの3種のフラグメントを検出した.これらのフラグメントは,いずれの組合せにおいても共優性であり,それぞれ同一遺伝子座に属する対立遺伝子を認識していることが示された.親子関係にある21頭を用い,3種の遺伝子座間の連鎖関係を調査したところ,DRBとDQB遺伝子座間においては完全な連鎖関係が認められた.また完全連鎖関係にあるDRB/DQBの2遺伝子座とDIB遺伝子座の間では組換えが起きており,その頻度は0.143であった.DRB/DQB遺伝子座間における4.4/4.8, 3.3/2.1および2.7/4.8の3種の対立遺伝子の組合せは,連鎖不平衡状態にあることが観察され,両親からハプロタイプとして遺伝していることが明らかになった.これらのことから,本ヤギ集団におけるclass II領域の構造は,DRBとDQB遺伝子座を含むグループと,DIB遺伝子座を含むグループの2つより構成され,染色体上少なくとも14.3cMの大きさを有していることが推察された.さらに,その2つのグループに挟まれた領域に高頻度で組換えの起るホットスポットの存在が示唆された.
  • 後藤 貴文, 岩元 久雄, 尾野 喜孝, 西村 正太郎, 松尾 健治, 高原 斉, 中西 良孝, 梅津 頼三郎
    1994 年 65 巻 5 号 p. 454-463
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の去勢雄牛を用いて,胸最長筋の第6胸椎(LTI面),第11胸椎(LTII面)および第5腰椎(LTIII面)位の背側,中心,腹側,内側および外側部における筋線維型構成について,脂肪交雑度の高かったA群(Beef Marbling Standard No. 5以上)と低かったB群(Beef Marbling Stand- and N.4以下)間で比較検討した.筋線維は,酵素組織化学的に,βR型筋線維(slow-twitch oxida-tive fibers),αR型筋線維(fast-twitch oxidative fibers)およびαW型筋線維(fast-twitch glycolytic fibers)に区別された.両群の胸最長筋において,筋線維型構成は,LTI面でLTIIおよびLTIII面よりもβR型筋線維が多く,αW型筋線維が少なかった.これに対しαR型筋線維の構成割合はLTI, LTII, LTIII面において変化を示さなかった.一方,LTIIとLTIII面間には筋線維型の構成割合の変化は見られなかった.A群のLTI面では背側部でβR型筋線維の構成割合が最も高く,腹側部で最も低く,それに対しαW型筋線維の構成割合は背側部で他の4部位よりも有意に低かった.LTIとLTIII面間において,B群はA群よりもαR型筋線維の構成割合が有意に高かった.筋線維の直径はLTI面のαR筋線維とαW型筋線維がB群でA群よりも有意に大きかった.
  • 関根 純二郎, 出口 慶人, 大浦 良三
    1994 年 65 巻 5 号 p. 464-469
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    二十世紀梨ジュース粕を添加して調製した稲わらサイレージの栄養価を羊を用いて評価し,農産廃棄物の飼料化の可能性について検討した.梨ジュース粕を稲わらに混合し,水分含量50%(PS-50)および70%(PS-70)のサイレージを調製した.これらのサイレージの栄養価および嗜好性について,イタリアンライグラス乾草(IRH)および稲わら(RS)と比較検討した.PS-50は,エネルギー価値においてはIRHのそれとほぼ同等であったが,窒素供給源としてはかなり低い値であった.PS-70は,ほぼRSの栄養価に等しく,IRHよりかなり低い栄養価であった.採食および反芻行動の観察結果からみるとサイレージの嗜好性は,IRHあるいはRSとほぼ同様であった.したがって,梨ジュース粕を稲わらに混合して,水分含量60%程度のサイレージに調製すれば,飼料源として利用可能であるが,窒素供給源とはなりえないこと,および水分含量80%に調製すると有効ではないものと結論した.
  • 三河 勝彦
    1994 年 65 巻 5 号 p. 470-478
    発行日: 1994/05/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    個乳を用いて小規模にチーズを生産する場合.乳質の変動がチーズの品質に与える影響を調べるため,同一乳の脂肪率,タンパク質(カゼインミセル)量を調節し,あるいは原料個乳に低温菌プロテアーゼを添加して,それぞれチーズを試作し,風味,熟成率,カゼインの分解を測定した.チーズは全体的にご熟成3週間でかなり良好なフレーバーを示し,6週間では,官能的に市販ゴーダチーズに近いと判定されたが,熟成率は特に大きな値を示さなかった.各処理チーズを対照と比較した場合,脂肪含量を増加させた原料から製造したチーズも,タンパク質含量を増加させた原料からのチーズも,風味や熟成率に自立った差は認められず,むしろ繰り返し実験間の差が大きかった.しかしカゼインミセル添加原料乳からのチーズにおいては,官能的に対照の方が優れていた.少量の低温菌プロテアーゼを添加したチーズでは,対照との間に大きな差は認められなかった.
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