妊娠豚延べ273頭を用い,半減期が著しく長いProstalandin F
2α誘導体,フェンプロスタレン(FP)の分娩誘起効果を臨床•内分泌学的に検討した.FPの投与時期は,妊娠111,112,113,114日(最終交配日を0日)の4区,また投与量は0.25,0.5,1.Omgおよび対照(生理食塩液)の4水準とし,頸部に皮下注射した.処置から分娩開始までの時間は,対照区と比較して,0.25mg投与区では有意差が見られなかったが,0.5および1.Omg投与区では有意(p<0.01)に短かった.また,0.5mgおよび1.0mgを妊娠111~113日に投与した試験区では,いずれも処置後24時間前後,114日に投与した試験区では処置後12時間前後に分娩が誘起される傾向が認められた.なお,分娩誘起時の産子数,死産子数,子豚の生時および離乳時体重,さらに離乳後における母豚の発情回帰については対照区との間に有意差は認められなかった.FPの血中移行は,その代謝産物(RS-63377)を指標にしてみると比較的速やかで,代謝産物の血中濃度は1時間で増加し始め,2~4時間前後に最高値を示して減少するが,投与後24時間以降も比較的高濃度を維持していた.また,FP投与後血中プロジェスラロン濃度は速やかに低下し,その後分娩が開始されることを認めた.以上のように,FPO.5~1.Omg投与は妊娠111~114日の豚について顕著な分娩誘起作用を発揮することが示された.
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