反芻胃にカニューレを装着した3頭の雑種去勢羊(サッフォーク×コリデール:開始時体重平均43kg)を供試し,オーツ(OA),チモシー(TI)およびアルファルファ(AL)乾草の乾物(DM),窒素(N),細胞内容物(CC),中性デタージェント繊維(NDF)ならびにプリン(P)の反芻胃内分解様相をナイロンバッグ法により比較検討した.それぞれの乾草給与量は,体重の2.5%量とした.乾草のP含量は,OA, TI, ALでそれぞれ1.3,1.6,4.6mg/g DMであった.NおよびNDFの反芻胃分解率は,ALでOA, TIよりも高いものであったが,CCのそれは乾草による違いが認められなかった.DMの反芻胃分解率は,CCよりNおよびNDFの分解率によって影響されていた.Pの分解様相は乾草により異なっていたが,反芻胃内分解率はOA, TI, ALでそれぞれ,97.7,88.0,96.0%であった,反芻胃内のPの消失様相とCCのそれとの間には,有意な正の相関関係が認められた(P<0.05).飼料中のPの反芻胃以降への流出量は,OA, TI, ALでそれぞれ82.8,163.6,170.3mg/dayと算定された.これらの量は,OA, TI, ALで,小腸内の微生物由来のPのそれぞれ1.8,2.1,1.4%に相当するものであった.
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