日本畜産学会報
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66 巻, 12 号
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  • Arthur Bob KARNUAH, 守屋 和幸, 佐々木 義之, 三津本 充, 三橋 忠由, 小澤 忍
    1995 年 66 巻 12 号 p. 987-993
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    枝肉横断面から抽出した画像解析情報を用いて枝肉構成推定式の設定を行なった.材料として黒毛和種去勢肥育牛25頭の枝肉を用いた.これらの屠殺前体重は567~701kgであり,ほぼ枝肉市場に出荷される肥育牛の体重に匹敵するものであった.赤肉,脂肪および骨重量ならびにそれらの割合は枝肉左半丸の解体により測定し,画像解析情報は第6-7肋骨間で切断した枝肉横断面の写真から抽出した.抽出した画像解析情報は総筋肉面積,総脂肪面積,総骨面積,個々の筋肉の面積,周囲長,長径,短径,離心率および主軸方向,ならびに異なる筋肉の重心間の距離である.総赤肉重量,総脂肪重量,総骨重量とそれらの割合に関する枝肉構成推定式の設定のために変数増減型の重回帰分析を行なった.枝肉横断面から抽出した画像解析情報とこれらの枝肉構成との間には低めから中程度の相関係数が推定された.画像解析情報を用いて得られた枝肉構成推定式の自由度調整済み寄与率は総赤肉重量,総脂肪重量および総骨重量についてそれぞれ,0.847,0.863および0.529であったのに対して,赤肉割合,脂肪割合および骨割合についてはそれぞれ0.813,0.865および0.597であった.
  • 加藤 ゆうこ, 佐藤 静治, 崔 暁, 板垣 佳明, 須藤 鎮世
    1995 年 66 巻 12 号 p. 994-1001
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    哺乳類における性決定因子とは精巣決定因子(ヒトではTDF,動物ではTdy)であり,その本体はSRY/Sry遺伝子と考えられている.PCRで増幅したヒトSRY遺伝子の一部をプローブとしてウシのゲノムライブラリーをスクリーニングすることによりウシのSry遺伝子を含むクローンを得た.HincIIおよびBamHI部位に挟まれた2.8kbのDNA断片を検索し,進化的に保存されているHMG (High mobility group)ボックスを含めウシSry遺伝子の5'上流および3'下流の塩基配列を決定した.HMGボックスならびにその5'側上流および3'側下流領域のプライマーDNAを合成し,ホルスタイン,F1牛(ホルスタイン雌,和牛雄),ヒツジ,ヤギ,およびマウスの雌雄DNAを鋳型としてPCRを行なったところ,HMGボックス領域のプライマーのみが,ホルスタイン雄,F1雄,ヒッジ雌雄,およびヤギ雄DNAから所定の長さの断片が増幅された.ヒツジ雌DNAからの増幅にはSOX遺伝子群が関与している可能性がある.このように,HMGボックス領域には種特異性はみられないが,その5'側上流および3'側下流領域は種特異的であると言える.5'上流およびHMGボックスを含む領域のプライマーを合成し,体外受精•体外培養由来のウシ桑実胚を用いたRT-PCRを行なったところ,所定の長さのDNA断片が増幅されたので,ウシのSry遺伝子は体外発育由来桑実胚期で発現していることが示された.
  • 押部 明徳, Jim M GOODEN, Peter C WYNN
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1002-1006
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    泌乳ヒツジの外腸骨動脈周囲にTransit-time超音波血流量計を装着し,5分間隔で168時間(試験第1日の午前6時から第8日の午前6時)の乳腺血流量を測定した.右側頚静脈カテーテルから生理食塩水を11.3ml/hの速度で26時間(第1日の午前8時から第2日の午前10時)注入し,その後recombinantウシソマトトロピン(rbST)を20nmol/hの速度で104時間(第2日午前10時から第6日午後6時)注入した.血漿成長ホルモン(GH)濃度は,rbST投与開始直後から上昇したが,第2日における,血漿インスリン様成長因子I(IGF-I)濃度の有意な上昇は観察されなかった.血漿IGF-I濃度は,第3日からrbST注入開始前に比べて有意に上昇し,注入終了後まで高い濃度が維持された.第3日から第6日までの夜間(午後5時から翌日午前6時までの13時間)乳生産量はrbST注入開始前に比べて有意に高かった.第4日の夜間から第7日までの昼間(午前6時から午後5時までの11時間)乳腺血流量は,rbST注入開始前に比べて有意に高かった.これらの結果は,乳腺血流量の増加はrbST投与によって上昇したIGF-Iによる乳腺の活性化の原因ではなく,結果である可能性を示唆している.
  • 上田 博史, 福見 良平, 熊井 清雄
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1007-1013
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    コール酸ナトリウムとコレスチラミンを順次添加し,ニワトリヒナの血清および肝臓脂質濃度に及ぼす影響を調べた,試験1ではカゼイン飼料(粗タンパク質含量20%)を,試験2では大豆タンパク質飼料(粗タンパク質含量10%および20%)を給与し,7日齢も単冠白色レグホーン雄ヒナを用いて10日間の飼育試験を行なった.1%コレステロールをカゼイン飼料に添加すると,血清および肝臓コレステロール濃度は上昇し,コール酸ナトリウムの同時添加でさらに増加した.大豆タンパク質給与での同じ結果が得られたが,低タンパク質飼料給与時に特に増加が著しかった.また,カゼイン飼料給与区と大豆タンパク質飼料(10%タンパク質)給与区ではわずかであるがコレステロールとコール酸ナトリウムの同時添加で発育阻害がみられた,コレステロール単独あるいはコール酸ナトリウムとの同時添加で増加した血清と肝臓コレステロール濃度は,タンパク質源あるいはタンパク質含量にかかわらず,2%から4%のコレスチラミン添加でコレステロール無添加時の濃度まで低下したが,コレスチラミンの添加量による影響はみられなかった.コレステロールとコール酸ナトリウムの添加で,カゼイン飼料給与区では血清トリグリセリドが,大豆タンパク質給与区では血清と肝臓のトリグリセリドがいずれの増加したが,これらの増加のコレスチゴミンの添加で正常に復した.いっぽう,コレスチラミンをコレステロール無添加のカゼイン飼料に添加しても影響はなかった.
  • Chester D SOLIS, 川本 芳, 田中 和明, Joseph S MASANGKAY, 前多 敬一郎, 並河 鷹夫
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1014-1018
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Hemoglobins (Hb) from seven captive tamaraws were examined and compared to that of water buffaloes (Bubalus bubalis): five river type and eleven swamp type; and two species of anoas: two lowland anoas (Bubalus (Anoa) depressicornis H. Smith, 1827) and eight mountain anoas (B. (A.) quarlesi Ouwens, 1910) using ultrathin polyacrylamide gel isoelectric focusing (PAGIF). The Hb phenotype of the tamaraws displayed a monomorphic single band, compared to two bands (major and minor bands) in water buffaloes and one to three allelic bands found in polymorphic anoa individuals. We designate this band HbTamaraw, having the highest isoelectric point (pI) focused at the same level as the minor band. Dissociation of globin chains by urea-PAGIF showed that HbTamaraw consists of a single type of α and β globins, whose α focused at the same pI level as the α minor band of water buffalo, as it is also true between the single α band of the anoa and theα major band of water buffalo focused at a lower pI. The β band of the tamaraw shared the same pI level to the β hands of both the water buffaloes and lowland anoas. The HbTamaraw differs by having a single α component from that of the water buffaloes, and an a band with a higher pI level from that of the anoas.
  • 長嶺 慶隆, 樋口 幹人, 粟田 崇, 三田村 強
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1019-1022
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    8頭の黒毛和種種雄牛をホルスタイン種雌牛に交配して生産した交雑種の肥育牛341頭のデータを用い,3つの主要な形質について遺伝的パラメターおよび種雄牛の育種価を推定した.これらの肥育牛は岩手県内の一ヵ所の肥育場において1990年から1994年に出荷された.分析した形質は,導入から出荷までの一日平均増体量(DG)および脂肪交雑を評価するBMSナンバー(BMS),枝肉1kgの単価(CPR)である.遺伝的パラメター推定は,多形質の種雄牛モデルを用い制限最尤推定法により行なった.DGおよびBMS,CPRの遺伝率は,各々0.810および0.111,0.532であった.遺伝相関はDGとBMS間では-0.794,DGとCPR間では-0.353と負の値であり,BMSとCPR間では0.849と大きな正の値が得られた.種雄牛の育種価推定値の幅はDGについては,-174.7~152.8g,BMSについては-0.272~0.146,CPRについては-403.3~292.7円/kgであった.
  • 藤谷 泰裕, 西村 和彦, 笠井 浩司, 三溝 成樹, 藤田 耕, 内海 恭三
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1023-1030
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    超音波ガイドによる卵母細胞の経膣採取を個体ごとに反復して行ない,反復処置による採取成績と供試雌牛への影響を調べた.さらに,採取された卵母細胞の形態的特徴と体外受精後の発生能についても検討した.延べ7頭の牛に対して2~9回経膣採取した結果,反復期間中,各個体ごとに平均9.6~14.3個の卵胞が観察され,平均採取卵母細胞数は3.0~7.5個であった.供試雌牛の産歴が多いほど採取卵母細胞数が多い傾向がみられた.反復採取後,4頭に発情の回帰を認め,人工授精を行なった結果,受胎したことから,経膣採取操作の反復は受胎性に悪影響を及ぼさないものと思われた.経膣採取した卵母細胞を体外受精させ,その後の発生能を調べた結果,6頭中4頭で胚盤胞が得られた.以上のことから,超音波ガイドによる卵母細胞の経膣採取法は,短期間に特定の個体から多数の胚を反復して作出できる有効な方法であると思われる.
  • 元吉 治雄, 石原 矩武, 白井 邦郎
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1031-1036
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウェットホワイトシェービング屑(WWS)をゼラチン(GE)原料として利用するため,酸浸漬条件が脱アルミニウム効果に及ぼす影響を検討した.また,酸浸漬条件および脱アルミニウム処理WWS(DAS)のpHがGE抽出に及ぼす影響も調べた.酸浸漬の要因として,pH(2,3,4),酸の種類(硫酸,ギ酸),塩添加量(NaCl:0%,8%)を取り上げた.GE抽出は60,75および90°Cの熱水で分別的に行なった.塩を添加しpH2に保った液に浸漬することによりWWS中のアルミニウムの99%,pH3では95%以上が除去できた.しかし,塩無添加では除去率がかなり低下した.酸の種類の影響は明確でなかった.pH4近傍では除去率が約40%にまで低下した.各条件でのDAS回収率はいずれも90%以上であった.酸浸漬条件がGEの収率と分子量分布に及ぼす影響は小さかった.脱アルミニウム処理後pH3に調整したDASは,60°Cと75°Cの熱水によりすべてがGE化した.pH5~9のDASからのGE収率は60前後,pH11では約80%であった.アルカリ側ではpHによるGEの分子量分布の差異は小さいが,酸性側ではpHが低くなると低分子量成分が増加し組成が不均一となった.
  • 内藤 順平, 白石 典久, 大森 保成, 蛭薙 観順, 鬼頭 純三
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1037-1038
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鳥類は三次元空間に生活の場を求めて進化した一つの綱であり,哺乳類とは異なる特殊な構造と機能を獲得してきた2).特に,視蓋による視覚系,大脳基底核,前庭神経核,小脳虫部による運動系,さらに哺乳類には見られない新しい線条体領域が大きく発達しているなど哺乳類とは異なる点が多い1).また,生産家畜として長い種の歴史をへているため種が固定されており,かつ飼育が容易である事は実験動物として重要な点である.これからニワトリの中枢神経系を研究してみようとする人のためにその基本的な技術,留意点について哺乳類での経験も参考にして述べてみたい.
  • 鳥居 伸一郎, 松本 和典, 松井 徹, 矢野 秀雄
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1039-1042
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Numerous studies have revealed that adipocyte differentiation can be modulated by certain vitamins in established cell lines of mice. The aim of this study is to investigate whether such actions of nutrients could be demonstrated in primary culture of preadipocytes from sheep. Abdominal fat was surgically taken from adult sheep. Stromal-vascular cells were obtained by collagenase digestion, and these cells were grown in culture dishes. The cells were treated by insulin and transferin to induce differentiation after confluence, and then maintained in serum-free media with or without physiological concentration of either vitamin A (retinol), C (ascorbic acid phosphate) or D (1α, 25-dihydroxycholecarciferol). Adipose conversion was biochemically measured 2 weeks later as the induction of glycerol-3-phosphate dehydrogenase activity. Vitamin C facilitated adipocyte differentiation. Vitamin A and D were antiadipogenic. These results showed that adipose precursor cells, obtained from sheep, were sensitive to such vitamins during adipose conversion.
  • 小沢 忍, 田淵 完, 篠田 稔彦, 宗綱 良治, 細井 栄嗣, 野田 みずほ
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1043-1046
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In order to evaluate the nutritive value of Japanese lawn grass (Zoysia japonica Steud.), its chemical composition, fractions by enzymatic analysis, acid detergent fiber (ADF) and lignin content were analyzed. The digestibility of each item was also determined from digestion trials repeated 3 times for each of 2 Japanese-type bucks. The chemical composition of Japanese lawngrass shown as a percentage on a dry-matter basis was as follows: crude protein(CP):9.1, ether extract (EE):2.2, crude fiber (CF):24.9, nitrogen-free extract (NFE):59.0, crude ash:4.8%, respectively. Fractions by enzymatic analysis and ADF were as follows, organic cellular content (OCC):17.4, organic cell wall (OCW):77.8, soluble fraction of cell wall by cellulase, i. e. organic "a" fraction (Oa):2.8, residue fraction of cell wall by cellulase, i. e. organic "b" fraction (Ob):75.0, ADF; 32.0, lignin:5.7%, respectively. The digesibility of chemical components, fractions by enzym treatments, ADF and lignin of Japanese lawngrass were as follows, CP:20.2, EE:32.1, CF:52.5, NFE:49.5, OCC:74.1, OCW:45.2, Oa:84.9, Ob:43.7, ADF:43.7, lignin:9.45%, respectively. The digestible crude protein (DCP), total digestible nutrients (TDN) and metabolizable energy (ME) of Japanese lawn grass were 5.0, 48.9% and 1.74Mcal/kg on a dry-matter basis, respectively. Although Japanese lawngrass had less highly digestible fractions of carbohydrate and also had lower digestibility of the fractions than those of mature Italian ryegrass hay, it was inferred that its nutritive value from the point of view of TDN and DCP was not inferior to mature Italian ryegrass hay.
  • 辻 荘一
    1995 年 66 巻 12 号 p. 1047-1057
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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