日本畜産学会報
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66 巻, 8 号
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  • Peregrino DURAN, 原田 宏, 佐藤 和浩, 福原 利一
    1995 年 66 巻 8 号 p. 673-683
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,豚の枝肉形質の超音波推定値の精度を確かめ,これら枝肉形質推定値あるいは体測定値といくつかの体構成成分との関係について調べ,さらに重回帰分析によって,枝肉形質推定と体測定値から枝肉構成成分の予測の可能性について検討した.超音波推定値と枝肉実測値との間の差の平均は,A-FTおよびA-MLTAで0.01mmおよび0.29cm2であり,相関係数は0.88および0.90であった.超音波測定による枝肉形質推定の標準誤差はそれぞれA-FTおよびA-MLTAで1.50mmおよび1.35cm2であった.枝肉構成成分,とくにLEANPERおよびLFはほとんどの体測定値と有意な相関係数を示した.LEANPERはBL, HG, CC, WH, CD, HWおよびHHと有意な相関係数を示し,さらにCCとの相関係数は他の体測定値に比較して高い値が認められた.肩,背および腰の脂肪厚は,HGと正の,WHおよびHHと負の有意な相関係数が認められた.また,HGはほとんどの枝肉構成成分と有意な相関係数が認められた.いっぽう,LEANPERは多くの超音波推定値と負の有意な相関係数を示し,さらにA-FTおよびC-FTとの間には若干高い値が認められた.肩,背および腰の脂肪厚はA-FT, C-FT,C-MLTAおよびD-TTと正の有意な相関が認められた.また,A-FT, C-FTおよびC-MLTAは,ほとんどの枝肉構成成分と有意な相関係数を示した.A-FTは枝肉形質の超音波推定値とLEANPERを含む枝肉実測値との相関において比較的高い値を示したことから,重要であることがみいだされた.枝肉形質の超音波推定値および体測定値を用いることによる枝肉構成成分の推定は,脂肪厚およびLEANPERについては独立変数に取り込んだA-FTが比較的高い標準偏回帰係数を示した.枝肉構成成分推定の寄与率はCL, SF, MLTAおよびHWTについては24.5%~36.1%と低い値であったが,LEANPERおよびBFはそれぞれ45.1%および42.0%であり,さらにBFおよびMLTAはそれぞれ73.5%および85.3%と高い値が認められた.
  • 矢野 幸男, 前田 恒昭, 平田 孝
    1995 年 66 巻 8 号 p. 684-692
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    非破壊的な食肉の鮮度測定法を開発する上で必要な鮮度判定指標を探すために,食肉貯蔵中の臭い成分の変化を調べた.牛肉,豚肉,鶏肉を含気包装および真空包装し,5°Cに貯蔵して経時的に細菌数の測定と臭い成分の分析を行なった.臭い成分は試料にヘリウムガスを通気して,そのヘッドスペース成分をTenax GCカラムに捕集し,ガス濃縮機による濃縮後,ガスクロマトグラフィーと質量分析機によって分離と同定を行なった.いずれの試験区においても貯蔵期間中に検出されるヘッドスペース成分の数は増加し,新鮮時には検出されなかった成分が現れた.試験開始時点において,牛肉ではペンタン,ジメチルスルファイド,アセトン,ヘキサナール,1-ペンタノール,アセトイン,豚肉ではペンタン,アセトン,3-メチル-2-ブタノン,2-ヘキサノール,1-ブタノール,アセトイン,1-ヘキサノール,ノナナールが検出されたが,鶏肉では,アセトンのみが検出された.初期腐敗段階においては,酢酸エチル,エタノール,3-メチルブタナール,イソアミルアルコール,酢酸が新たに現れた.これらの成分のうち,酢酸エチルがすべての試験区において検出され,また,量的にも最も多く,食肉の腐敗の進行に従って増加した.初期腐敗段階における弱い果実臭の発生は酢酸エチルの検出と一致した.食肉の非破壊的鮮度判定のために酢酸エチルは有効な化学指標になりうると考えられた.
  • 中山 收, 小野寺 光子, 中林 見, 中村 耕二郎, 山本 智子, 荒井 勝己, 吉川 昭雄, 小杉山 基昭
    1995 年 66 巻 8 号 p. 693-697
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日本短角種のκ-カゼイン遺伝子型と泌乳性との関係を調べるため,その部位を含む領域をPCR (Polymerase Chain Reaction)で増幅し制限酵素で切断後,電気泳動することによって,遺伝子型を同定した.DNAは日本短角種の全血から調製し,その250ngをテンプレートとした.PCRは1ユニットのTth DNAポリメラーゼを用い,93°C1分,55°C1分,72°C1分の反応を35回繰り返した.センスプライマーは第4エキソンの先頭部分の24mer(5'-CGCTGTGAGAAAGATGAAAGATTC-3')を用い,アンチセンスプライマーは第4イントロン内の26mer(5'-AGATTCAAGGAGTATACCAA-TTGTTG-3')を用いた.PCRによって得られた780bpのDNAフラグメントをHind III, Pst Iの2種類の制限酸素で切断した後,アガロースゲル電気泳動で得た泳動図から遺伝子型を判定した.その結果,遺伝子型分布はAA型15頭(47%),AB型15頭(47%),BB型2頭(6%)となった.泌乳性の分析は子牛の生時から60日齢までの一日増体量を従属変数とし,例数が少ないBB型を除いた30頭の母牛において最小自乗分散分析を行なった.その結果AA型とAB型との間で泌乳性に差は認められなかった.
  • 北 伸祐, 薬師寺 智之, 原田 宏
    1995 年 66 巻 8 号 p. 698-704
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    登録検査を受検した黒毛和種雌牛300頭の枝肉形質の分娩前および分娩前後の変化量に及ぼす要因効果について検討を行なつた.分娩前(登録検査時)および分娩終了約1ヵ月後に超音波診断装置を用いて枝肉形質の推定値を求めた,得られた推定値とその変化量に対し種雄牛および地域を母数効果として,HARVEY3)の最小自乗分散分析を行なった結果,地域の影響が大きいことが示唆された.分娩前の皮下および筋間の脂肪厚によって2つの牛群に区分した枝肉形質推定値間の相関係数は各々の区において,体重および栄養度と各枝肉形質推定値との間においてすべて正の値であった.特に,栄養度はすべての皮下および筋間脂肪厚との間に有意性(P<0.05,P<0.01)が認められ,栄養度の高い牛は脂肪が厚いことが認められた.また,SFT-TV(第8~10胸椎部の正中線上における脂肪厚)と他の皮下あるいは筋間脂肪厚との間に高い有意性(P<0.01)が認められ,この部位を触診することで脂肪の蓄積状態がある程度把握できるものと推察された.分娩前の皮下および筋間の推定値とその変化量間に有意(P<0.01)な相関が認められ,分娩後蓄積脂肪が減少する傾向が認められた.分娩前の栄養度と枝肉形質推定値の変化量との間には,牛群による違いが窺われ,分娩前の栄養状態によって分娩後の蓄積脂肪の変化に差が生じることが示唆された.
  • 岩崎 泰造, 小島 敏之, 銭谷 由美江, 戸津川 清
    1995 年 66 巻 8 号 p. 705-712
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚胚を凍結保存するための緩速冷却過程の種々の段階として,植氷温度(-7°C),冷却の終了温度(-30°C)および液体窒素温度(-196°C)からそれぞれ37°Cの微温水に浸漬することによって融解したときの胚の生存性を比較することによって,緩速冷却過程のどの段階で豚胚が傷害を被るかを調べた.1.8Mエチレングリコールと0.1Mトレハロースを10%卵黄を含むDulbecco's PhosphateBuffered Saline (PBS)に溶解した液を凍結媒液とした.発情開始後6日目に採取した拡張胚盤胞期胚および脱出胚盤胞期胚を25°Cで凍結媒液に2段階で平衡後,ストローに吸引し-7°Cに保持したプログラムフリーザーのアルコール槽中に浸漬した.次いで,同温度で10分間の保持中に植氷を行ない,その後毎分0.4°Cの速度で-30°Cまで冷却を続け,-30°Cから液体窒素中に浸漬した.-7°Cで保持後融解した区を-7°C区,-30°Cから融解した区を-30°C区,および液体窒素に浸漬後融解した区を-196°C区とした.いずれの場合も融解後に凍結保護剤を2段階で除去したのち核染色法により生細胞数を測定した.その結果,拡張胚盤胞期胚では,対照区,-7°C区,-30°C区および-196°C区の順にそれぞれ,127.53±61.45,96.33±27.91,135.78±63.23,および92.06±24.54であり,各区間に有意な差は認められなかった.また,脱出胚盤胞期胚では,対照区を除く-7°C区,-30°C区および-196°C区でそれぞれ,301.00±227.45,232.57±152.98,および244.79±112.69となり各区間に有意差は認められなかった.しかし,低温感作を開始するまでの豚胚の培養時間が15時間未満の胚について見たとき,拡張胚盤胞期胚では凍結融解処理をしていない対照区(163.75±63.84)と-7°C(104.75±36.94)および-196°C(104.20±15.61)両区との間に有意な差(P<0.05)が認められた.これらの成績から,豚胚は-7°Cでの10分の保持時間中にすでに,凍結融解全過程で被る傷害の大部分を被っていることが示唆された.
  • 新村 末雄, 高橋 英太
    1995 年 66 巻 8 号 p. 713-719
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    培養マウス胚盤胞の収縮運動をタイムラプスビデオを用いて観察した.ハッチング前の期間において,83.3%(25/30)の胚盤胞が収縮を行なったが,ハッチング中およびハッチング後10時間までの期間では,すべての胚盤胞が収縮を行なった.これら3期間において,弱度(20%未満の体積の減少)および強度(20%以上の体積の減少)の収縮の平均回数および1時間当たりの平均収縮回数は,いずれもハッチング中の期間で有意に多かった.また,ハッチングを完了した胚とハッチングを完了しなかった胚において,胚盤胞形成後32時間までの弱度の収縮回数に差はみられなかったが,強度の収縮回数はハッチングを完了した胚で有意に少なかった.以上の結果から,胚盤胞の収縮運動,特に,弱度の収縮はハッチングに役割を果たしているが,強度の収縮はハッチングとは関係なく,ハッチングを完了できないような胚で多発するものであることが考えられた.
  • 大石 章夫, 坂部 みどり, 渡部 一憲, 漆畑 益巳, 幾田 一哉, 杉本 馨, 原田 宏
    1995 年 66 巻 8 号 p. 720-724
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    二軸エクストルーダー処理により,脱脂大豆(DSM)の抗原性を約250分の1に低減した2軸エクストルーダー処理脱脂大豆(TSE-DSM)の栄養価について,ブタおよびメンヨウで評価を行なった.メンヨウにおいてTSE-DSMとDSMでは栄養価に差がみられなかったが,ブタではTSE-DSMの可溶無窒素物,粗繊維およびエネルギーの消化率が有意(p<0.05)に優れ,栄養価は乾物中でDCP=47.7%,TDN=86.7%およびDE=4.28 Mcal/kgとDSMの値(DCP=47.3%,TDN=78.2%,DE=3.90 Mcal/kg)を上回った.特にTDNとDEにおいては,両者の間に有意差(p<0.05)がみられた.Aspergillus niger由来のセルラーゼ処理により,TSE-DSMはDSMと比較して約1.5倍のグルコースが生成されたことから,二軸エクストルーダー処理により大豆の粗繊維がセルラーゼ等の分解酵素に作用されやすい構造へと変化している可能性が示唆された.この変化が,ブタのような単胃動物における粗繊維消化率の上昇に働き,結果としてエネルギー価の向上にも寄与していると推定された.
  • 河野 省一, 古市 幸生, 卯川 裕一, 梶間 丈晴, 梅川 逸人, 高橋 孝雄
    1995 年 66 巻 8 号 p. 725-731
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    フェザーミールはタン白質含量が高いが,不溶性ケラチンが主成分であるため,その消化性は低く,メチオニン,ヒスチジン等の必須アミノ酸も少ない.このフェザーミールの有効な利用を図るために,エクストルーダー処理にともなう嗜好性,栄養価および臭味物質の変化について検討した.その結果,ラットのフェザーミールの嗜好性が増し,タン白質効率(PER),生物価(BV)の向上が認められた.いっぽう,フェザーミール単体の栄養価では,PERがカゼインに比べて著しく劣っていた.エクストルーダー処理をしたフェザーミールを9.5%添加し,タン白質源としてエクストルーダー処理した丸大豆を用い,コーンスターチと大豆油で,タン白質20%,脂肪10%の濃度に調整した試験飼料では,市販配合飼料に比べ,ラットの体重増加は低かった.しかしながら,この試験飼料にビタミンおよびミネラルを添加した試験区では,ラットの成長が市販配合飼料で成育した成長に近づいた.臭味物質として,フェザーミールからアセトアルデヒド,アセトン,2-メチルプロパナール,メチルエチルケトン,3-メチルブタナール,ペンタナール,ヘキサナールが同定された.
  • 趙 景陽, 下條 雅敬, 増田 泰久, 五斗 一郎
    1995 年 66 巻 8 号 p. 732-738
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃フィステル装着トカラヤギに飼料(アルファルファヘイキューブと濃厚飼料の8:2混合)を1日1回50g/kgW0.75給与し,飼料の消化管通過速度と消化率,第一胃液性状,および粗飼料(アルファルファの乾草とヘイキューブ)の乾物と粗蛋白質の第一胃内分解(in situ法)に及ぼすサリノマイシン(SLと略)添加給与(濃度30ppm)の影響を追究した.SL添加給与により,飼料の消化管通過速度は低下し下部消化管で著しく低下した.繊維物質の消化率は有意に増加した.第一胃液のpH,総VFAとアンモニアの濃度は有意な変動を示さず,酢酸とプロピオン酸のモル比率は若干増加した.プロトゾア数は減少し,バクテリア数は増加した.粗飼料の乾物と粗蛋白質の第一胃内分解率は低下した.以上の結果,ヤギに対するSLの添加給与により,飼料の消化管通過速度は低下し繊維物質の消化は向上するとともに,プロトゾア数が減少し粗飼料蛋白質の第一胃内分解は抑制された.
  • 佐藤 正寛, 小畑 太郎
    1995 年 66 巻 8 号 p. 739-742
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 久米 新一
    1995 年 66 巻 8 号 p. 743-752
    発行日: 1995/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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