日本畜産学会報
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67 巻, 7 号
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  • 加藤 和雄, Dennis ENGLER
    1996 年 67 巻 7 号 p. 603-611
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第二世代の成長ホルモン放出刺激ペプチド(GHRP-1:Ala-His-DβNalAla-Trp-DPhe-Lys-NH2)のヒツジ下垂体前葉細胞からのGH放出および細胞内カルシウム濃度([Ca2+]iに及ぼす影響とソマトスタチン(SRIF:100nM),デキサメサゾン(DEX:100nM)およびオレイン酸(OA:100μM)の抑制効果を検討した.GHRP-1は,濃度依存性(P<0.05)にGH放出を増加し,10μMで最大反応を示した.10uMのGHRP-1刺激に対するGH放出反応は,SRIF, DEXあるいはOAの同時添加により,無添加時の,それぞれ46±5, 59±7および65±8%(m±S. E.)まで有意に抑制された.無刺激時の[Ca2+]iは,16±5nMであり,GHRP-1刺激により濃度依存性(P<00.01)の濃度上昇が認められた.最大反応は10μM GHRP-1刺激時に認められ,この反応はL-型のカルシウムチャネル遮断薬であるニフェディピン(1μM)の投与や培地中Caの除去操作で有意に抑制された.GHRP-1刺激GH放出を抑制したSRIF, DEXおよびOAは,いずれも[Ca2+]iの増加を有意に(P<0.05)抑制した.以上の結果から,1) GHRP-1刺激によるGH放出増加は,おそらくL-型カルシウム•チャネルを介したCa2+の流入を起こし[Ca2+]iを増加させる結果であること,2) SRIF, DEXおよびOAによるGHRP-1刺激GH放出の抑制効果は,一部分[Ca2+]i増加抑制を介すること,などが示唆された.
  • 増田 哲也, 高下 俊弘, 鈴木 和人, 山川 朋彦, 森地 敏樹
    1996 年 67 巻 7 号 p. 612-620
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1ppmのクリスタルバイオレットを含む培地(CVT寒天)上で白色のコロニーを形成するlactococciを,市販のチーズ用混合スターターから分離した.これらの菌株(CVT菌株)は通常の培養条件では双球菌ないし短連鎖で生育するが,30mMクエン酸を添加かた液体培地(1%トリプシン,0.5%酵毋エキス,1%グルコース,pH 7.0)で培養すると極めて長い連鎖を呈するとともに凝集塊を形成して沈降する特異な生育挙動を示した.また大多数のCVT菌株は,発酵性糖類の存在下でクエン酸を分解して多量のアセトンを生成した.CVT菌株の中には,かなり強いトリプシン様の活性を有するものが認められた.このように1ppm粗クリスタルバイオレットに抵抗性を有し,クエン酸存在下で上述の特異な生育挙動を示すlactococciは,市販のチーズ用混合スター夕ーに,ごく少量ではあるが,かなり普遍的に存在することが確認された.本菌株はLactococcus lacticに属する.比較のために供試した既存のlactococci (Lactococcus lactis subsp. lactis 7菌株,L. lactis subsp. diacetylactis 6菌株,L. lactis subsp. cremoris 13菌株)はいずれもCVT寒天上でコロニーを形成せず,上述のようなクエン酸添加時の特異な生育挙動も認められなかった.CVT寒天による分離菌の分類学的性質は,分離源によって多少相違し,少なくとも性質を異にする2種のタイプが存在した.その一方はL. lactis subsp. cremorisに属するもので,他方はクエン酸分解性を有しL. lactis subsp. diacetylactisに属すると考えられるが,L.lactis subsp. cremorisのいくつかの性質を併せ持っていた.菌体脂肪酸組成の分析はCVT菌株についての上記の分類学的考察を支持した.
  • 川井 泰, 齋藤 忠夫, 今野 卓也, 伊藤 敞敏
    1996 年 67 巻 7 号 p. 621-629
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    L. acidophilusグループ乳酸菌により生産されるD-およびL-乳酸をHPLCを用いて定性•定量し,その存在割合を求めた.供試乳酸菌をMRS培地で生育させた場合,D-乳酸%は,A1サブグループ(L.acidophilus)で最も低く(平均41.9%),B2サブグループ(L. Johnsonii)で最も高い値(平均61.4%)を示し,平均では50%を超える菌株が多く認められた.この結果から,同グループ乳酸菌のA1サブグループは,乳酸組成から分類可能であることが示唆された.さらに,ヒト腸管より高頻度に検出されるL. gasseri(B1サブグループ)では,培地中の糖含量を増加させると,全乳酸量およびD-乳酸%の増加が認められた.また,A3サブグループ(L. amylovorus JCM 1126T)を除く5菌種のタイプストレインは,脱脂乳中で培養すると,MRS培地に比較してD-乳酸%の減少が認められた.脱脂乳より再びMRS培地で生育させて乳酸組成変化を調べたところ,MRS培地中での初期値を再度示したことより,L. acidophilusグループ乳酸菌の示す乳酸含量および組成には,菌株特異性に加えて培地条件が極めて大きく影響しており,発酵(培養)条件を改良することにより,乳製品中のD-乳酸含量を減少させるなどの制御の可能性が示唆された.
  • Mitsuto MATSUMOTO, Miharu YONAI
    1996 年 67 巻 7 号 p. 630-632
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Three multiparous beef cows with twin fetuses and 3 cows with a single fetus were monitored for changes in plasma allantoin concentration from 8 and 24 weeks before parturition, respectively, until 14 weeks after parturition. The cows were given a diet which satisfied the nutrient requirements for maintenance. Nutrients required for pregnancy and lactation were added during the last 8 weeks of gestation and after parturition. The plasma allantoin concentrations in cows having a single fetus began to increase from 16 weeks before parturition despite the constant feed intake until 8 weeks before parturition. Although feed intake post-partum was 20 to 75% higher than in the prepartum period, plasma allantoin was lower in the post-partum period than in the prepartum period. The number of fetuses did not affect plasma allantoin concentrations. These results show that the plasma allantoin level is affected by not only rumen microbial protein production but also by the physiological conditions of the host animals.
  • Shigeki ABE, Yasuo SHIOYA
    1996 年 67 巻 7 号 p. 633-638
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉処理場で採取したウシ卵巣を生理食塩水中で保存し,その保存温度および時間が,保存卵巣由来の卵胞卵子を用いて体外受精した場合の体外受精後の卵割率および胚盤胞への発生率に及ぼす影響について調べた.採取した卵巣は20°(20°区)および38•(38°区)の生理食塩水中に入れ,これらの温度で輸送•保存した.卵巣の採取開始から終了までには2から3時間を要したが,採取終了時を0時間とし,2,4および8時間後に卵胞卵子を採取した.緊密に卵丘細胞が付着した卵胞卵子のみを選抜し,20-22時間の成熟培養の後,ヘパリン処理した精子を媒精した.卵割検査は媒精72時間後に行い,2-16細胞に卵割した初期胚は以後3-7日間発生培養し,この期間での胚盤胞への発生率を調べた.成熟培養20-22時間後の第2成熟分裂中期の卵子の割合は,20°C区の2-8時間保存では62.8%-64.2%で,38°区の2および4時間保存では67.4%および60.7%と保存時間による差は認められなかったが,38°区の8時間保存では33.3%と有意(P<0.01)に低率であった.胚盤胞への発生率は,20°区の2,4および8時間保存ではそれぞれ13.9%,13.8%および16.6%であり,また,38°区の2および4時間保存では17.5%および15.7%であり保存時間による差は認められなかったが,38°区の8時間保存では,1.5%と著しく低率であった(P<0.01).以上のことから,ウシ卵巣の生理食塩水中での短期保存は,20°では8時間,38°では4時間まで可能であることが明らかとなった.
  • 松本 光人, 佐藤 博, 花坂 昭吾, 渡辺 彰, 甫立 孝一
    1996 年 67 巻 7 号 p. 639-646
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    給餌条件が異なる5回の試験を行い,ウシの血漿アラントイン濃度の変化に及ぼす給餌回数,絶食,飼料の給与水準,無核酸飼料あるいは無タンパク質飼料の給与,飼料へのN源の添加の影響を検討した.その結果,1日8回給餌では大きな変化を示さなかったが,1回給餌の場合には給餌前に高く,給餌後低下する日内変動を示した.また,1週間の絶食により維持給与量時の50%程度まで低下し(およそ1mg⁄100ml),再給餌後は採食量の変化に対応して変動した.無核酸飼料給与時にも採食量の変化に対応して変動した.低CP飼料(4.4%)への尿素の添加はアラントイン濃度を高めたが,魚粉の添加では尿素添加時に比較して有意(P<0.05)に低下した.給与飼料のCP濃度が十分な場合には,尿素あるいは大豆粕のいずれをN源として添加しても,N源の違いよるアラントイン濃度の差は認められなかった.これらの変化は給餌前の血漿サンプルにおいて大きい傾向が示された.以上より,給餌条件が血漿アラントイン濃度に影響することが示された.
  • 青木 真理, 鈴木 修, 安藤 貞
    1996 年 67 巻 7 号 p. 647-650
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Milk composition of beef cows with their suckling calves was examined using the average of milk before and after suckling sampled by hand milking within 26 weeks after calving. The concentration of milk fat and total solids before suckling were lower than those after suckling. The concentration of milk protein, lactose and solids-not-fat before suckling were almost equal to them after suckling. The daily milk yield changed following weeks after calving, but the milk composition did not change.
  • 原田 宏
    1996 年 67 巻 7 号 p. 651-666
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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