第二世代の成長ホルモン放出刺激ペプチド(GHRP-1:Ala-His-DβNalAla-Trp-DPhe-Lys-NH
2)のヒツジ下垂体前葉細胞からのGH放出および細胞内カルシウム濃度([Ca
2+]iに及ぼす影響とソマトスタチン(SRIF:100nM),デキサメサゾン(DEX:100nM)およびオレイン酸(OA:100μM)の抑制効果を検討した.GHRP-1は,濃度依存性(P<0.05)にGH放出を増加し,10μMで最大反応を示した.10uMのGHRP-1刺激に対するGH放出反応は,SRIF, DEXあるいはOAの同時添加により,無添加時の,それぞれ46±5, 59±7および65±8%(m±S. E.)まで有意に抑制された.無刺激時の[Ca
2+]
iは,16±5nMであり,GHRP-1刺激により濃度依存性(P<00.01)の濃度上昇が認められた.最大反応は10μM GHRP-1刺激時に認められ,この反応はL-型のカルシウムチャネル遮断薬であるニフェディピン(1μM)の投与や培地中Caの除去操作で有意に抑制された.GHRP-1刺激GH放出を抑制したSRIF, DEXおよびOAは,いずれも[Ca
2+]iの増加を有意に(P<0.05)抑制した.以上の結果から,1) GHRP-1刺激によるGH放出増加は,おそらくL-型カルシウム•チャネルを介したCa
2+の流入を起こし[Ca
2+]iを増加させる結果であること,2) SRIF, DEXおよびOAによるGHRP-1刺激GH放出の抑制効果は,一部分[Ca
2+]
i増加抑制を介すること,などが示唆された.
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