日本畜産学会報
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67 巻, 9 号
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  • 及川 卓郎, 佐藤 勝紀
    1996 年 67 巻 9 号 p. 755-763
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    シミュレーションを行った集団の特徴は,群の大きさが小さいことおよび集団内の個体に対して有利(または不利)に作用する環境効果が存在することである.アニマルモデルを使った予測法の頑健性について群の効果を母数効果および変量効果としてモデル内に含めた場合について比較を行った.加えて,群効果の局所的な一様分布,種雄牛の非ランダム交配および種雄牛の表型選抜の効果も検討した.群の大きさの平均が小さい時,群の効果を変量効果として含むモデルが常に母数効果として含むモデルよりも高い正確度を示した.個体に有利に作用する環境効果は,結果に影響を与えなかった.群の大きさの平均が大きい時には,群の効果を母数効果として含むモデルの正確度は,変量効果として含むモデルの近くまで回復した.この結果は,分布が長方形分布に近い時に顕著であった.非ランダム交配と表型選抜の効果は,群の効果を変量効果として含むモデルの優位性に影響を与えず,むしろその差異を拡大する効果があった.この結果において,経験的平均平方誤差の結果も正確度と大差がないことから,偏りの影響は少ないと考えられる.したがって,群の効果を変量効果として含むモデルは,小さな群を含むデータの分析に対して有利であると考えられた.
  • 村元 隆行, 藤村 忍, 門脇 基二, 石橋 晃
    1996 年 67 巻 9 号 p. 764-771
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    7から21日齢(第1期),42から56日齢(第2期)および77から91日齢(第3期)の3期間における雌雄の比内地鶏の総含硫アミノ酸(TSAA)要求量を調べた.TSAA水準が不足から過剰にわたる5段階の飼料に比内地鶏の雌雄各4羽を割り当て,単飼し,各試験飼料および水を14日間自由摂取させた.各期の試験終了時に,増体量および飼料効率を,第2および第3期の終了時には,その他に腹腔内脂肪含量および血漿中遊離アミノ酸濃度を測定した.雌雄の比内地鶏のTSAA要求量には各期において4つの指標による差がなかった.比内地鶏のTSAA要求量には性差がなく,第1から第2期にかけて0.70%から0.45%に,第2から第3期にかけて0.45%から0.41%と減少した.これらの値と対応する時期のNRCの産卵鶏雛およびブロイラーの要求量との間には差がみられた.これらのことから,比内地鶏の飼料は雌雄同じでよいが,産卵鶏雛あるいはブロイラーとは異なる飼料で成長段階に応じた少なくとも飼料中TSAA水準が2段階の飼料が必要であると考察された.
  • 上田 博史, 角藤 義宜, 大島 光昭
    1996 年 67 巻 9 号 p. 772-779
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    単冠白色レグホン雄ヒナを用い,アルファルファサポニン給与による発育阻害の原因について調べた.試験1では,カゼインをタンパク質源とする半精製飼料(CP20%)を用いて12日間の飼育試験を行った.1%のサポニン添加は飼料摂取量を減少し発育も阻害した.しかし,1%コレステロールをサポニンと同時に添加すると,飼料摂取量の減少も成長阻害もみられなかった.血清中のコレステロールとトリグリセリド濃度はコレステロール添加で上昇し,サポニンの添加で減少した.試験2では,味覚の影響を避けるために,サポニン0.5gをカプセルに入れて線胃に直接投与し,24時間の飼料摂取量を記録した.飼料摂取量はサポニン投与で低下したが,等量のコレステロールをカプセルに入れてサポニンと同時に投与するか,あるいはサポニン投与後,1%コレステロール添加飼料を与えると飼料摂取量は低下しなかった.試験3では,酸化クロムを添加した飼料を強制給餌し,酸化クロム排泄量を24時間測定した.サポニン添加飼料の給与で,酸化クロム排泄量は対照区の約50%に減少した.また,強制給餌終了後,12時間絶食したにもかかわらず,サポニン添加区では飼料が〓嚢に停滞し,これらのヒナにサポニン無添加飼料を自由摂取させても,飼料摂取量は増加しなかった.しかし,コレステロールをサポニンと同時に給与すると酸化クロム排泄量も対照区と同じ程度に増加し,自由摂取下でのサポニン無添加飼料の摂取量も対照区と差がなかった.以上の結果から,サポニン給与による発育阻害とコレステロール添加による緩和効果は飼料摂取量に依存するが,飼料摂取量の変動は味覚の影響を受けず,飼料の消化管内通過速度と関連していることが示唆された.
  • 市川 意子, 市川 忠雄, 溝本 朋子
    1996 年 67 巻 9 号 p. 780-786
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    限局した一地方で得られたウシ乳房炎から分離した黄色ブドウ球菌の毒素産生性パターンと,同じ地域の病院患者から得られた黄色ブドウ球菌が同じパターンをもっているかどうかを検討し,地域的に同じパターンの黄色ブドウ球菌がウシとヒトとの感染症に分布している可能性をみた.用いた黄色ブドウ球菌は,1990年10月から1993年9月までの間に千葉県館山市付近における132の酪農家のウシ乳房炎乳から分離した290株と,1992年11月から1993年3月の間に,病院患者から分離した131株である.その結果,1) ウシ乳房炎乳からの分離株では,コアグラーゼVI型が最も多く,毒素は57.9が産生していてエンテロトキシン(SEA~D)が51.7%,毒素性ショック症候群毒素-1(TSST-1)が31.7%を占めていた.エンテロトキシン産生株中でSECが47.3%と最も多かった.2) ヒト臨床分離株では,コアグラーゼはII型が最も多く,ウシ株に多かったVI型はなかった.毒素は73.3%が産生していてエンテロトキシンが68.7%,TSST-1が45.0%を占めていた.エンテロトキシン産生株中でSECが54.4%と最も多かった.3) コアグラーゼ型と毒素産生の組合せで最も多かった菌株は,ウシではVI型,SEC,TSST-1の組合せで全体の19.3%,ヒトではII型,SEC,TSST-1の組合せが全体の36.6%であった.4) 卵黄反応は,ウシ株およびヒト株でそれぞれ68.5%および96.2%の陽性割合であった.前者ではVI型,SEC,TSST-1株の97.8%が陰性であったのに対して,後者ではII型,SEC,TSST-1株の95.8%が陽性であった.5) 同じ地域におけるヒト臨床分離株とウシ乳房炎からの分離株との間に,毒素産生プロフィールの共通性は認められなかった.
  • 西口 靖彦, 須藤 まどか, 西田 武弘, 佐藤 博, 宮本 進
    1996 年 67 巻 9 号 p. 787-793
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    消化管通過速度測定の指標物質として用いられる希土類元素(La,Sm,Yb)を放射化分析法により測定し,標準物質による検量線作成におよぼす糞マトリクスの影響を調査した.また子牛にYb標識飼料を給与し,経時的に採取した糞中濃度を測定し,通過速度を算出するとともに,原子吸光法での値と比較した.中性子照射後30時間以内に希土類元素を測定した場合,糞マトリクスの影響が強く現れたが,それ以降の測定では影響は小さく,これは糞マトリクスに存在する短半減期元素(24Na)によるものと推察された.糞中Yb濃度からtwo-compartment modelにより通過速度を算出するとき,糞マトリクスの影響を考慮した検量線を用いた場合のk1,k2,TT値は考慮しないものに比べ小さい値となり,逆にTMRTは有意(p<0.05)に大きい値となった,またYb濃度を原子吸光法で算出した場合,k1,k2値は放射化分析法での値より小さく(それぞれp<0.001,p<0.10),TMRTは大きい値となった(P<0.01).これはYbを原子吸光法で測定すると,放射化分析法よりやや低い値となることによるものと思われた.
  • 太田 実, 打和 秀世, 村上 梅司
    1996 年 67 巻 9 号 p. 794-800
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛に対する,毛髪ケラチン抗原とオイルアジュバントによる免疫の安全性を確認するため,免疫後の乳牛の体温と注射局所の状態,および免疫牛が出産した子牛の生時体重,疾病発生率,および発育成績を非免疫牛を対照に調査した.また,免疫牛の食肉の安全性について,胸垂皮下投与の有効性を調べた.12頭のホルスタイン雌牛を尻部筋肉注射区と胸垂皮下注射区の2区にランダムに配置し,4週間隔で3回毛髪ケラチン50mg/2.5mlとオイルアジュバントの等量(2.5ml)混和乳化液を投与した.初回免疫後1週間は毎日体温を測定し,その後6週間まで毎週1度注射局所の状態を観察した.初回免疫から10週間後に各区2頭をと殺し,枝肉の瑕疵の有無を調べた.免疫牛の産子への影響を調べるため,免疫牛および非免疫牛の産子各々18頭および20頭について,生時体重,疾病発生率,および発育成績を3年間にわたり比較した.両区とも初回免疫後の体温については免疫の影響は見られなかった.初回免疫1週間後には注射局所に腫脹が認められ,少なくとも6週後まで存続した.これらの腫脹をと畜検査で調べたところ,尻部筋肉注射区は注射局所の腫脹硬結が尻部の筋肉組織に存在し,瑕疵となっていた.一方,胸垂皮下注射区は注射局所に腫脹硬結が見られたが,それらは胸垂の脂肪組織に留まり,瑕疵はなかった.免疫子牛と非免疫子牛の平均生時体重,疾病発生率,発育成績には有意の差は認められなかった.
  • 川瀬 学, 細野 明義
    1996 年 67 巻 9 号 p. 801-804
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The objective of this study was to evaluate the contribution of lactic acid bacteria on the urinary and the fecal Trp-P1 (3-amino-1, 4-dimethyl-5H-pyrido [4, 3-b] indole) excretion. Eight weeks old Wister strain male rats were housed in individual cages, in an air-conditioned room where the temperature was maintained at 22°C and Humidity at 50±5% were maintained. The rats were divided into two groups of four each. They were fed ad libitum powdered Oriental rat chow supplemented with 1% w/w or 9% w/w lyophilized Lactobacillus casei subsp. casei R-52 cells (4.1×109 cfu/g)and water. After 4 days of preliminary feeding, 1.0ml of Trp-Pl solution (2.0mg/ml) was infused into the stomach. After 24 hours of Trp-P1 infusion, samples of feces and urine were collected separately for 2 days at 24 hours intervals. Trp-P1 concentration in all the samples were analyzed using HPLC. Administration of the chow supplemented with lyophilized Lactobacillus casei subsp. casei R-52 cells showed no effect on fecal Trp-P1 excretion was observed. However, the concentration of Trp-P1 in the urine was significantly increased by the administration of the chow supplemented with 9% w/w cells (p<0.05), but not with 1% w/w.
  • 大石 孝雄
    1996 年 67 巻 9 号 p. 805-816
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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