日本畜産学会報
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68 巻, 3 号
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  • 橋爪 力, 佐々木 浩一, 酒井 幹子, 田内 静花, 桝田 博司
    1997 年 68 巻 3 号 p. 247-256
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第二世代目の新しい成長ホルモン放出ペプチド,KP102(D-Ala-D-βNal-Ala-Trp-D-Phe-Lys-NH2,別名GHRP-2)のGH放出効果を成熟雌シバヤギを用いて検討した.KP102の5μgおよび10μg/kg BWの静脈内投与では末梢血中GH濃度は有意に増加しなかったが,20μg/kg BWの投与ではGH濃度は有意に増加した(P<0.05).2時間間隔で5回,KP102(20μg/kg BW)あるいはGRF(0.5μg/kg BW)をそれぞれ静脈内44反復投与すると,GHの放出反応は両ペプチドとも投与回数が増えるとともにご減少した.反復投与時のKP102のGH放出反応はGRFと幾分異なり,KP102では投与期間中にGRF投与時には見られない不規則なGHの小さなピークが出現した.20μg/kg BWのKP102と0.25μg/kg BWあるいは0.5μg/kg BWのGRFを同時投与しても,この濃度の組み合わせにおいてはGH放出に対する有意な相乗効果は認められなかった.本研究の結果は,KP102はGRFに比べその作用は弱いがヤギにおいてもGHを放出させることを示している.
  • トハルマット トト, 久米 新一
    1997 年 68 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    秋季から冬季に分娩したホルスタイン種経産牛8頭を,分娩予定日の12週間前からTDNの維持要求量給与区と維持+妊娠末期2ヵ月間の要求量給与区に割り当て,乳牛のミネラル栄養に及ぼす分娩前の制限給与の影響を調べた.維持要求量給与区の体重は維持+妊娠要求量給与区より少なかった.維持+妊娠要求量給与区の分娩1週間前の飼料摂取量は設定量より4%減少したが,維持要求量給与区では残飼は認められなかった.制限給与は乳牛の分娩前後における直腸温,血中ヘマトクリット値およびヘモグロビン濃度を低下させた.分娩10日前から4日前の直腸温は,維持要求量給与区が維持+妊娠要求量給与区より低かった.制限給与は乳牛の血漿中Fe, Zn濃度および血清中アルカリフォスファターゼ活性を低下させたが,分娩直後における初乳中Ca, P, Mg, FeおよびZn含量には制限給与による影響は認められなかった.
  • 入来 常徳, 山崎 馨, 舟場 正幸, 阿部 又信
    1997 年 68 巻 3 号 p. 263-272
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食道溝反射を維持させたホルスタイン種雄子牛を用い,体重(BW)kg当たり0.288g/dのL-グルタミン(Gln)の第四胃内投与が窒素(N)出納,および血漿遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響について検討した.実験1では9週齢から子牛10頭を供試し,1区5頭,2週間を1期とする反転法により等N量のクエン酸二アンモニウム(DAC)を投与した場合と比較した.実験2では14週齢から子牛9頭を供試し,1区2頭,2週間を1期とする3×3ラテン方格法により等N量のDACまたはDL-メチオニン(Met)0.111g/kg BW/dとL-リジン塩酸塩(LysHCl)0.333g/kg BW/dの混合物を投与した場合との3処理間で比較した.トウモロコシ•大豆粕•稲ワラを基本とする基礎飼料を実験1では1日に27g/kg BWの割合で給与したが,実験2では20g/kg BWに制限して与えた.その結果,両実験ともL-Glnの投与は吸収期にのみ血漿Gln濃度を増加させたが,N出納には補足N源の影響が認められなかった.L-GlnとDACの間ではロイシン(Leu)を除いて血漿側鎖アミノ酸(BCAA)濃度に差がなく,血漿Leu濃度に及ぼす影響も実験1と2とでは異なった,実験2において,血漿BCAA濃度はDL-MetとL-LysHClの同時投与により減少した.L-Glnの第四胃内投与がN出納および血漿BCAA濃度に及ぼす影響は決して大きくないことが示唆されたことに加えて,後者の減少は主としてDL-Metの投与に起因するとの仮説が本研究においても支持された.
  • プラダン ラジブ, 飛岡 久弥, 田先 威和夫
    1997 年 68 巻 3 号 p. 273-284
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    実験1では水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カルシウム(Ca(OH)2),2種のセルロース分解酵素,尿素あるいはアンモニアおよび前4者と尿素を組み合わせて稲ワラの処理を行った.乾物(DM)含量を65%と80%に調整し,添加物の添加割合を変えて発酵品質,化学組成およびin vitro乾物消化率(IVDMD)の測定を行った.pHはNaOH, Ca(OH)2と尿素処理により増加した(P<0.05).尿素の単独処理あるいはDM 80%のCa(OH)2以外の添加剤と尿素との組み合わせの場合,カビの発生が抑制された.尿素あるいはアンモニア処理によりワラの粗タンパク質含量が高くなった(P<0.05). NaOH,Ca(OH)2の添加により尿素からのアンモニアの生成が抑制された.粗灰分含量はNaoH, Ca(OH)2処理により高くなった(P<0.05).各種の処理によって中性デタージェント繊維(NDF)含量は減少し(P<0.05),全体としてDM 65%の場合のNDF含量がDM 80%の場合よりも低かった(P<0.05).酸性デタージェント繊維(ADF)はNaOH, Ca(OH)2および尿素処理の場合,DM 65%の場合よりDM 80%の方が低かった(P<0.05).しかし,酵素処理の場合は,これと逆の結果が得られた.DM 65%の場合のNaOHとCa(OH)2処理では,その添加割合に応じてIVDMDがかなり改善された.尿素とアンモニア処理でもIVDMDが改善された(P<0.05)が,その程度はNaOHとCa(OH)2に比べて低かった.NaOHとCa(OH)2処理に尿素を付加してもIVDMDの改善効果は認められなかった.一般的に,IVDMDはDM 80%に比べてDM 65%の方が高かった.
    実験2では稲ワラの乾物100kg当たり6kgの尿素あるいは3kgのアンモニアで処理して,DM含量を65%,72.5%と80%に調整した.pHはアンモニア処理よりも尿素処理の方が低い傾向を示した.アンモニア処理によりNDFとヘミセルロース含量は低くなる傾向を示した.尿素処理およびアンモニア処理によってそれぞれ添加窒素の69-88%と70-79%が保持された.IVDMDは調整したDM含量の影響を受けず,尿素処理では無処理に比べて14-19% (P<0.05),アンモニア処理では36-38%高くなった(P<0.05).実験1と2でのアンモニア処理の効果の違いは,処理方法が異なったためと考えられた.以上の結果から,稲ワラのIVDMDはDM 80%の場合よりも65%の方が高く,添加剤としてはNaOHとCa(OH)2処理が最も効果的であると判断された.尿素処理とアンモニア処理でも効果が得られたが,酵素処理では期待されたような効果はみられなかった.
  • 吉村 圭司, 長南 康正, 白井 邦郎
    1997 年 68 巻 3 号 p. 285-292
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サメ皮コラーゲン線維の性質について,既に産業的に重要な原料として使用されているウシやブタの皮コラーゲンと比較して特徴を検討している.本報告では,この3種のコラーゲンにつき(それぞれ,SC, PC, BCと略す),代表的なタンパク質架橋試薬であるホルムアルデヒド及び塩基性硫酸クロムに対する反応性を結合性と鞣し効果(熱的性質)の面から検討した,ホルムアルデヒド処理においては,3種のコラーゲンとも最終pHが高くなるほど熱変性温度(Td)は高くなったが,SCはPCやBCと比較して,Tdは低いが未処理からのTdの上昇(Δ To)は大きかった.また,ホルムァルデヒド結合量はSCが最も高いことが認められた.SCはホルムアルデヒドにより特異的に耐熱性が高まるが,初期段階の膨潤度も重要な因子となることが明らかとなった.塩基性硫酸クロム処理において,SC及びPCともクロム吸着速度は,塩化ナトリウムの添加によって抑制された.塩化ナトリウムの有無がTdへ与える影響を見ると,反応初期にはその影響が見られるが,全体としてはTdに顕著な影響を示さなかった.特にSCとPCの間では,Tdの上昇経過に顕著な違いは見られなかった.しかし,SCのΔToは製革工程のクロム鞣し段階では小さいが,中和,乾燥と工程が進むにつれて増大し,最終的にはPCまたBCのTd値と差が小さくなった.SCはタイプの異なる2種類の鞣剤に対する反応性についてもPCやBCと異なる性質を持っていることが示唆された.
  • 池田 和博, 堤 賢一, 木村 茂, 江尻 慎一郎, 高橋 寿太郎, 安田 泰久
    1997 年 68 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    We have isolated a genomic DNA clone containing a bovine homologue of mouse minisatellite. Southern blot analysis and sequencing revealed that a 6.5Kb BamHI fragment within the clone contained repetitive DNA consisting of tandem repeats with a core sequence GGCTGTGTGT. The cloned bovine minisatellite DNA detected high restriction fragment length polymorphism (RFLP) among individuals when used as a probe, indicating that the probe could be a useful for DNA fingerprinting.
  • 室谷 進, 寺田 文典, 塩谷 繁
    1997 年 68 巻 3 号 p. 297-300
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    A preliminary experiment to establish a method for maintaining the protein content of milk high in summer was carried out by examining the influence of heat stress on the nitrogen content in true protein, casein, whey proteins, and urea in cow's milk. Four dairy cows were kept in a temperature controlled room (18°C and then 28°C) and were fed on a corn-based concentrate supplemented with soybean meal or soybean meal and fish meal as protein sources. Heat (28°C), compared to thermoneutral condition (18°C), decreased the content of casein-N as well as true protein-N but had no effect on whey-N and significantly (P<0.05) increased the urea-N content in milk. At 28°C, high humidity (80%RH) reduced the contents of true protein-N and casein-N compared to 40% RH. Results of this experiment suggest that heat stress and high humidity conditions have negative effect on the production of milk true proteins and increases urea-N content in milk.
  • 山本 朱美, 門脇 基二, 石橋 晃
    1997 年 68 巻 3 号 p. 301-304
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In order to determine plasma amino acid concentration (PAAC), corpuscle fraction (Ht) and plasma protein fraction (PPF) are removed before determination of PAAC. If both fractions fluctuate widely, the PAAC may be affected by them. Thus, the factors expected to affect PAAC, 1) a diurnal rhythm, 2) times after oviposition, 3) ambient temperature and 4) dietary sodium chloride were studied. Fifteen-month-old Single Comb White Leghorn hens were housed in individual wire cages and given free access to the basal diet and water. In Experiment I and 2, blood samples were taken from the wing vein by veinpuncture five times at two h interval from 9:00 to 17:00, and four times at 0, 5, 10 and 21h after oviposition. In Experiment 3, the ambient temperature was elevated from 16.0, 25.0 to 32.0°C or the dietary sodium chloride from 0.38 to 1.28% at every two days interval successively and blood samples were taken before changing temperature and dietary sodium chloride levels. At all blood sampling times, Ht and PPF remained constant. Water intake and feed intake were affected by ambient temperature and dietary sodium chloride levels, but Ht and plasma water content were not affected by them. These results indicated that it would be possible to use the PAAC as a parameter for determination of amino acid requirements without counting the fluctuation of Ht, PPF and plasma water content caused by diurnal rhythm, time after oviposition, ambient temperature and dietary sodium chloride.
  • 横田 浩臣, 大島 光昭
    1997 年 68 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The quality of napier grass (Pennisetum purpureum Schum.) silage ensiled with 15% untreated (URB) or defatted rice bran (DRB) and with 4% molasses in fresh matter basis in 900ml bottle silos was studied. Two experiments were done with different harvests season of the grass. The silos were kept for 6 months at room temperature and opened at time intervals. Silages of the 1st experiment (dry matter content was 19.7%) ensiled with URB showed higher pH values and ammonia content, and lower lactic acid content. Silages ensiled with DRB, however, contained enough amount of lactic acid to lower pH value. The quality of silages of the 2nd experiment (dry matter content was 13.4%) with URB or DRB was good, although ammonia content of URB supplemented silage slightly increased with time. So, to increase the dry matter with higher quality of napier grass silage, DRB was a better additive than URB.
  • 鈴木 啓一, 阿部 博行, 小川 ゆう子, 石田 光晴, 清水 隆弘, 鈴木 惇
    1997 年 68 巻 3 号 p. 310-317
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    3元交雑豚の枝肉脂肪蓄積と肉質に対する止め雄品種(デュロック種:D,バークシャー種:B,梅山豚:M)の影響をみるため,ランドレース種と大ヨークシャー種のF1(LW)雌豚にD,BおよびM種の3品種の雄を交配してできた3元交雑豚(LWD, LWBおよびLWM)について枝肉の脂肪蓄積量,ロース肉の物理的特性と化学組成および筋肉線維特性,筋肉と皮下脂肪の脂肪酸組成を比較検討した.試験豚は3元交雑種のおのおのについて去勢雄豚と雌豚をそれぞれ6頭ずつ合計36頭供試した.単飼,不断給餌条件下で,体重が30kgから105kgまで飼育した.と殺した豚の枝肉左半丸の第5~6,8~9,11~12,13~14胸椎間,第16胸椎~第1腰椎および最後腰椎~第1仙椎間の横断面脂肪面積割合はいずれの部位でもLWMがLWD, LWBより統計的に有意に多かった.ロース肉の物理的特性値であるTendernessはLWM(61.31kgw/cm2)がLWD(84.13kgw/cm2)とLWB(87.22kgw/cm2)より有意に柔らかく,Pliabilityは逆にLWMがLWD,LWBより有意に低かった.また,ロース肉の筋肉内脂肪含量はLWM(3.23%)がLWD(2.32%)とLWB(2.35%)より有意に多く,加熱損失率はLWMがLWB,LWDより有意に高かった.筋線維の径はLWDがLWBおよびLWMより太い傾向が認められ,筋束の横断面積はLWMがLWD,LWBより有意に細かった.LWMは筋肉内脂肪酸のオレイン酸がLWD,LWBよりかなり高く,不飽和脂肪酸割合が高かった.以上の結果から3元交雑豚の止め雄が肉質に影響を及ぼすことが明らかとなった.
  • 家入 誠二, 野村 哲郎
    1997 年 68 巻 3 号 p. 318-324
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚の閉鎖集団に対する育種計画を策定するために,血縁個体の記録を用いた選抜下における近交度の上昇率(ΔF)および累積選抜反応(R)に関する予測モデルを構築し,異なる規模を有するいくつかの集団についてΔFおよびRを比較した.得られた結果の概要は次の通りである.1) 血縁個体の記録を用いた選抜下のΔFは,常に無選抜下におけるそれよりも大きく予測された.また,その値は選抜強度と血縁個体の記録の情報量の増加とともに上昇した.2) 綱体自身と全•半きょうだいの記録を用いた選抜下においては,雄頭数を一定にした条件下では雌頭数の増加がΔFの増加を招く場合があった.3) 選抜強度が一定の条件下では,Rは血縁個体の情報量の増加とともに大きくなったが,ΔFを一定にして比較したところ,血縁個体の情報量の増加がRの増加につながらない場合があった.以上の結果から,集団の規模に対して留意することなく,選抜の正確度を上昇させることは,選抜に伴う遺伝分散の減少を通じて期待通りの改良効果が得られない場面があることが示唆された.
  • 石井 智美, 菊地 政則, 高尾 彰一
    1997 年 68 巻 3 号 p. 325-329
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The bacterial flora was investigated in a traditionally fermented mare's milk in Inner Mongolia, China. The initial bacteria count in the collected samples was 1.5-1.7×107/ml for lactic acid bacteria and 3.9-8.0×106/ml for yeasts, and the lactic acid and alcohol concentrations were 1.06-1.28% and 0.5-2.17%, respectively. The bacteria involved in fermentation were found to be lactic acid bacteria and yeasts. A total of 43 isolated strains of lactic acid bacteria were identified which included Lactobacillus rhamnosus (10%), L. paracasei subsp. paracasei (81%), L. paracasei subsp. tolerans (2%) and L. curvatus (7%). Twenty isolated strains of yeasts were lactose-fermenting yeasts, and Kluyveromyces marxianus var. lactis (95%) and Candida kefyr (5%) were isolated.
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