本試験は,子豚の群編成後の闘争が末梢血のコルチゾール濃度,白血球数,単球および好中球の貪食能に及ぼす影響を明らかにする目的で実施した.LW×D種去勢雄子豚,12頭(4頭/腹×3腹)を用い,生後45±0日齢に,同腹豚4頭(移動豚)を,別の同腹豚4頭(先住豚)を飼育している豚房に移動し,8日間同居させた.残りの同腹豚4頭は,移動せずに対照豚とした.編成直後から6時間,先住豚は移動豚に対して,顔,耳,頸および肩を噛むあるいは前肢で頸や肩に乗るなど激しく攻撃したが,移動豚の先住豚はこ対する反撃はほとんど認められなかった.その後,子豚間の闘争は試験終了時まで全くみられなかった.試験期間中,対照豚では血漿コルチゾール濃度,白血球数および単球と好中球の酵母貪食能には変化はみられなかった.いっぽう,先住豚と移動豚では,以下の成績が得られた.1) 編成後1時間における血漿コルチゾール濃度は,編成前1時間(編成前)および対照豚に比較して有意に高かったが,編成後24時間には編成前の値まで低下した.2) 試験期間中,好中球数には変化はみられなかったが,編成後1および8日における単球数および単球と好中球の酵母貪食能は,編成前および対照豚に比較して有意に低かった.3) 試験期間中,血漿コルチゾール濃度,白血球数および単球と好中球の酵母貪食能には,先住豚と移動豚との間には有意差は認められなかった.これらの成績から,群編成後の闘争はブタにとってストレッサーであり,子豚は編成後少なくとも8日間は単球数は減少し,単球および好中球の貪食能は抑制されていることが明らかになった.
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