日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
69 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • Sudirman BACO, 原田 宏, 福原 利一
    1998 年 69 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種雌牛の種牛能力の育種価評価ならびに合理的な体測定に関する基礎的知見を得ることを目的として,平成3,4年度に宮崎県で登録検査を受けた14,881頭の黒毛和種雌牛の基本•本原登録時体測定値と繁殖性の遺伝率と遺伝相関を多形質REML法によって推定した.推定対象形質としては,体測定値として体高,胸囲,胸深,尻長,かん幅および体重の6形質,繁殖性として初産月齢,初産と2産の間の分娩間隔および初産と2産の平均妊娠期間の3形質とした.体測定の遺伝率は体高0.45,胸囲0.33,胸深0.35,尻長0.39,かん幅0.34および体重0.39と中位の推定値が得られたが,体高が最も高い値を示した.また,体高は他の体測定部位との間に0.50から0.87の高い正の遺伝相関を示した.これらの結果は,現行の黒毛和種雌牛の体型審査においては,体高が発育の指標として広く使われているにとの妥当性を支持するものであること,牛体の発育に関しては,体高を測定することによって,他の部位の測定を一部省略できる可能性のあることを示唆するものであると思われた.繁殖形質の遺伝率は,初期月齢0.04,分娩間隔0.05および妊娠期間0.17とそれぞれ低い値であった.体測定値はこれらの繁殖形質と負の遺伝相関を示すものが多かった.とくに後躯のかん幅が初産月齢と-0.38と,尻長が分娩間隔と-0,34とそれぞれ最も密接な遺伝相関を示したことは,体高が妊娠期間と高い負の遺伝相関(-0.48)を示したこととともに注目された.以上の結果,黒毛和種雌牛の登録時に行われている体測定は,必ずしもそのすべてが当該雌牛の発育性や繁殖性などに関わる評価に適した指標とはいえず,今後雌牛の初産月齢や公娩間隔などの繁殖形質にかかわる育種価を予測するためには,より合理的かつ効率的な体測定法を発展させる必要があると思われた.
  • 取出 恭彦, シリノンコート S, 大西 幾正
    1998 年 69 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ペプチドグリカンを含む免疫賦活剤としてBrevibacterium lactofermentumより酵素処理菌体末(DBCP)を調製した.実験1では,DBCPを離乳後子豚に経口投与した.DBCPを飼料中0.01%および0.03%添加した飼料を投与したグループは非投与群に比べ有意に低い下痢発生率を示した(P<0.05).実験2では,DBCPを母豚および哺乳期子豚に投与した.DBCP投与群の哺乳子豚は非投与群に比べ有意に低い下痢発生率(P<0.05)および高い生存率(P<0.01)を示した.
  • 上田 博史, 重水 元
    1998 年 69 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    茶サポニン,コレステロールおよびオイルの給与が単冠白色レグホン雄ヒナの発育と飼料の消化管通過速度に及ぼす影響を調べた.試験1および2では7日齢のヒナを用いて10日間の飼育試験を行った.試験3および4には3週齢のヒナを供試した.試験1では0.25から1.0%のサポニンを基礎飼料に添加した.飼料摂取量と発育はサポニン添加量に比例して減少したが,1.0%コレステロールの同時添加でサポニンの害作用は緩和された.コレステロール添加による血清および肝臓コレステロール濃度の増加をサポニンは抑制しなかった.試験2では,オイル添加がサポニンの害作用に及ぼす影響を調べた.10%のコーンオイルあるいはココナッツオイルの添加は,0.5%サポニン添加飼料給与でみられた発育阻害を一部軽減した.コーンオイルの緩和効果はココナッツオイル添加より優ったが,1.0%コレステロール添加より劣った.試験3では,味覚の影響を避けるために,サポニンあるいはコレステロールをカプセルに入れて腺胃に直接投与し,その後,市販飼料を24時間自由摂取させた.この場合でも,50mgあるいは100mgのサボニン投与で飼料摂取量は低下し,等量のコレステロールの同時投与で緩和された.試験4では,酸化クロムを用いて飼料の消化管通過速度を測定した.1.0%サポニン添加飼料の強制給餌は〓嚢から腸管下部への飼料の移行を阻害した.しかし,1.0%コレステロールの同時添加で移行速度は正常に戻った.2mlのコーンオイルを1.0%サポニン添加飼料と同時に給与しても,わずかではあるが,〓嚢からの飼料の移行を促進した.以上の結果は,茶サポニンの害作用とコレステロールあるいはオイルの緩和効果には飼料の消化管通加速度が関与していることを示唆した.
  • 堀口 恵子, 清水 恵太, 戸塚 耕二, 山本 朱美, 伊藤 達朗, 藤村 忍, 石橋 晃
    1998 年 69 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effects of excess dietary choline, rapeseed meal and fish meal on the fishy tainted eggs of White Leghorn hens were studied. Single Comb White Leghorn hens at 96 weeks of age with high egg production rate were divided into four dietary groups of 10 hens each, and consumed a control diet for 10 days. After then, the control diet was successively switched to 0.46, 0.68 and 0.90% choline diets in the second group, to 5.0, 10.0 and 15.0% rapeseed meal diets in the third groups, and to 4.0, 80 and 12.0% fish meal diets in the fourth group at 10 days internals. The first group was fed the control diet throughout the experimental period. The eggs laid on the odd days were used for determination of trimethylamine (TMA), and those laid on the odd days on the experimental diets were used for sensory test. Body weight, feed intake and egg production rate tended to decrease with increasing dietary choline, rapeseed meal and fish meal levels. TMA in egg albumen was less than 5% of total TMA in egg. TMA in egg yolk ranged from 0.46 to 1.01μg/g yolk in all experimental diets and period, which were less than the threshold value, 1.05μg/g. No fishy tainted eggs in all dietary groups were detected by the sensory test.
  • 佐藤 正寛, 古川 力
    1998 年 69 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    連鎖解析のための標準家系の交配方法がマーカー間の距離の推定および連鎖検定の効率に及ぼす影響をコンビュータシミュレーションによって調べた.標準家系は二重相互交配によって作成するものとし,そのF1は雄3頭雌6頭の交配から各腹雄2頭雌4頭を得るものとした.次にF1世代の交配により,各腹8頭,計192頭のF2を得るものとした.このF1世代は,(1) 全,半きょうだいを回避する交配,(2) 無作為交配,(3) 全きょうだい交配の3通りを想定した.染色体の長さは1.2M(モルガン),マーカーの平均間隔は0.05,0.10,0.15または0.20Mとし,各マーカーには2つの多型を想定した.マーカーは染色体上に等間隔に配置した場合と無作為間隔に配置した場合の2通り,多型の頻度はすべての座位で0.5に固定した場合と各集団ごとの各座位でランダムな場合の2通りを想定した.得られた産子のマーカーの多型を調べることによって,染色体の長さおよびマーカー間の距離(組換率)を推定するとともに,ロッドスコア(Z値)を算出した.その結果,(1) 推定連鎖距離の平均二乗誤差は(1)が最も小さく,次いで(2),(3)の順であった.(2) 全マーカー間のうち連鎖の検定結果に有意な差(3<Z)が認められる割合は(1)>(2)>(3)の順であり,マーカーの平均組換率が大きいほど(1)と(3)の差は大きくなった.したがって,標準家系のF1世代においては,全,半きょうだいを回避する交配が最も望ましいと結論づけた.
  • 野村 哲郎, 岩崎 倫久, 光木 尚大, 島田 和宏
    1998 年 69 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Triboliumを用いた2世代にわたる選抜実験により,選抜計画における近交度の抑制方法を比較検討した.比較した選抜•交配計画は次の4つである.I) 表現型選抜+ランダム交配,C) 最適な家系選抜指数による選抜+ランダム交配,CM) 最適な家系選抜指数による選抜+compensatorymating, CE) やや高めに設定した遺伝率を用いた家系選抜指数による選抜+ランダム交配.選抜の対象とした形質は21日齢のサナギ体重である.毎世代,雌雄各10個体を用いたペア交配を行い,各ペアから雌雄各4個体を測定した.それぞれの選抜•交配計画について,4回の反復実験を行った.得られたデータは,REML法によって分析し,遺伝率と各世代の遺伝的改良量を推定した.近交係数は,系図をもとにして計算した.得られた結果の概要は以下のとおりである.a) 実験の規模が小さかったために,遺伝率の推定値は0.00から0.88の間にばらついた.b) 最大の遺伝的改良量は計画Cで得られ,計画Iにおける遺伝的改良量は最小であった.計画Cと比較すると,計画CMおよびCEの遺伝的改良量は減少したが,その減少量は重大なものではないと考えられた.c) 2世代目の近交係数は,計画Cで最も高く(14.9%),計画Iで最も低かった(7.9%).計画CMおよびCEの2世代目の近交係数は,それぞれ10.6%および9.1%であった.集団の有効な大きさの2世代にわたる調和平均は,I, C, CMおよびCEでそれぞれ12.4,6.5,9.3および12.1であった.これらの結果から,短期間の選抜計画における近交度の抑制方法として,やや高あに設定した遺伝率を利用して選抜基準を設定することは簡便でしかも有効な方法であると考えられた.
  • 鈴木 啓一, 渡部 正樹, 大友 良彦, 佐藤 裕一
    1998 年 69 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚枝肉の格付け規格が枝肉の脂肪蓄積とどの程度関連しているかを明らかにするため,枝肉格付け規格成績,格付け背脂肪厚,枝肉横切断面の全面積に対する皮下脂肪,筋間脂肪および全脂肪面積割合との遺伝相関(rG)と表型相関(rP)について分析を行った.材料は宮城県米山町農協管内のミヤギノポーク(LWD)生産農家18戸から出荷された326頭の肥育豚である.屠殺翌日の格付け終了後に第4,5胸椎間で枝肉半丸を横切断し,切断面を写真撮影した.画像解析装置を使い写真の切断面面積,皮下脂肪と筋肉間脂肪面積を測定した.さらに,筋肉間脂肪スコア(Seam fat score: 1~5)により筋肉間の脂肪蓄積状況を評点した.出荷時期(I: 8~11月,II; 12~1月,III: 2~3月)の効果は日齢,皮下脂肪面積割合で有意であり,II期の出荷日齢が早く(181.7日),III期が遅かった(213日).また,III期の皮下脂肪面積(26.2%)がI(28.0%),II期(27.8%)より少なかった.性の効果は枝肉重量を除く全ての形質で有意であり,去勢は雌より出荷日齢が早く,上物率も高く,脂肪の蓄積が多い.格付け等級別にこれらの形質を比較すると,格付け「上」の出荷日齢が最も早く,格付け脂肪厚,皮下脂肪面積,全面脂肪面積およびSeam fat scoreも「上」,「中」ほど「並」より脂肪蓄積が多かった.しかし,筋肉間脂肪面積は等級間で差が認められなかった.格付け背脂肪厚は皮下脂肪面積割合(rG: 0.69, rp:0.61),全脂肪面積割合(rG: 0.94, rP: 0.55),Seam fat score (rG: 0.80, rP: 0.38)とそれぞれ比較的高い遺伝相関と表型相関を示し,枝肉の脂肪蓄積状態を反映しているが,筋肉間脂肪面積割合との相関は低く(rG: 0.37, rP: 0.17),筋肉間脂肪の評価には枝肉切断面の情報を直接取り込むことが必要と思われた.
  • 松永 昌訓, 津山 友美, 入来 常徳, 舟場 正幸, 鍵山 謙介, 和田 恭則, 本庄 利男, 阿部 又信
    1998 年 69 巻 1 号 p. 46-52
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1週齢ホルスタイン種雄子牛20頭ずつを用い,試験1では哺乳期間中の代用乳給与日量(500vs.200g)と1週目からの固形飼料(チモシー乾草と市販スターター)の不断給与または無給与が2週目の水分出納に及ぼす影響,試験2では2週目における糸球体濾過量(GFR)と尿細管からの水の再吸収率(RAOW)に及ぼす影響を調べた.試験1では代用乳懸濁用温水,摂取固形飼料•代用乳中水分の合計量と,尿および糞中水分の合計量との差を見かけの水分保持量(AWR)とした.1週目からの固形飼料の給与は代用乳量に関係なく2週間以内に尿量を減少させる一方,糞中水分排泄量を増加させ,糞水分含量も固形飼料無給与区の68-69%から76-77%に上昇した.しかしAWRは固形飼料の給与のみならず代用乳の増量によっても増加した.試験2の結果,固形飼料の給与による尿量の減少は,GFRの増加にもかかわらず尿細管からの水の再吸収率が増加したためであることが示唆された.
  • 三上 正幸, 川島 寿子, 関川 三男
    1998 年 69 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    使用した細菌は,Pediococcus acidilactici P 120, Sthaphylococcus carnosus M 72, S. xylosus2M86, Lactobacillus sake L110, P. pentosaceus P 132の5種類で,これらを組合せた3種類のミックススターターカルチャー(P2M120, PLM230, S51)を用いて非加熱発酵ソーセージを製造し,細菌数,pHおよびペプチド•遊離アミノ酸量などについて検討した.非加熱発酵ソーセージの製造に当たっては,温度(20→13.5°C)と湿度(90→70%RH)を制御して35日目のものを最終製品とした.一般生菌数は,対照区の0日目において1.1×105/gであったが,スターターカルチャー添加区では5.6×106~1.1×107/gの範囲にあった.熟成3日目には,対照区およびスターターカルチャー添加区の一般生菌数はおおよそ108~109/gとなり,35日目までこの値を持続した.大腸菌群は,スターターカルチャー添加区では3日目あるいは7日目に消失したが,対照区では14日目に消失した.pHは,スターターカルチャーを添加したPLM 230区とS 51区で急激に低下し,3日目で4.8となった.一方,対照区でも7日目にpH 4.8となり,それ以降いずれの試験区においてもpH 4.6~4.8の間を推移した.一般成分値は,対照区とスターターカルチャー添加区との間でほとんど差は見られなかった.水分は0日目から35日目にかけて,60%から25%程度まで減少し,タンパク質,脂肪および灰分は,0日目のものに比べて35日目には約2倍に増加した.ペプチド量はS 51区が,総遊離アミノ酸量はPLM 230区が他のものより高い値であった.官能検査の結果から,PLM 230区が高い評価を得,次いでS 51区であり,対照区は最も低い評価であった.これらのことから,スターターカルチャーを添加しない時でも非加熱発酵ソーセージは製造できたが,添加することにより,pHの低下による大腸菌群の抑制,風味や発色などが向上して,より良い製品が出来ることが確認された.
  • 神 勝紀, 桜井 健一, 平子 慶之, 唐澤 豊
    1998 年 69 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Digestibilities and nitrogen retention of non-gelatinized and gelatinized limed splits, and effects of the limed splits on digestibilities of nutrients were studied in colostomized chickens. Egg albumen (control diet), a 1:1 (on the basis of crude protein) mixture of egg albumen and non -gelatinized limed split (AS diet) and that of egg albumen and gelatinized limed split (AGS diet) were used as the dietary protein source. All diets contained 14% crude protein. Decreased feed consumption was observed in AS diet and AGS diet groups. There was no difference in digestibilities of nutrients among 3 groups, but nitrogen retention in AS and AGS diet groups was lower than in control group. Results obtained here indicate that more than 90% of limed split is digested by chickens irrespective of gelatinization and that the palatability of limed split should be improved for practical use.
  • 曹 兵海, 唐澤 豊, 神 勝紀
    1998 年 69 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    This study was conducted to examine effects of dietary cellulose levels on growth and nitrogen utilization in young chicks fed equal amounts of nutrients of a 15% protein diet. Body weight gain significantly increased with an increase in dietary cellulose level until 3.5%, then decreased linearly up to an inclusion of 20% of cellulose in the diet (3.5 vs. 0, 10 or 20%, P<0.05). Feed efficiency was not influenced by dietary cellulose levels from 0 to 5%, but decreased by 10% and more dietary cellulose levels(10 vs. 1.5, 3.5 or 5%, P<0.05; 20 vs. 0, 1.5, 3.5 or 5%, P<0.05). Nitrogen(N) retention, N retention rate and retention rate of absorbed N were significantly increased by 1.5% cellulose level (P<0.05), then significantly decreased by 3.5% and more dietary cellulose levels (P<0.05). Apparent digestibility of dietary protein was not influenced by changes in dietary cellulose level. It is concluded that the highest rates of growth and N retention and retention rate are obtained by 1.5% dietary cellulose, and lowered by 3.5% and more dietary cellulose levels when protein intake is restricted to 15% crude protein in chicks.
feedback
Top