日本畜産学会報
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69 巻, 11 号
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  • 花田 博文
    1998 年 69 巻 11 号 p. 977-987
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 岡本 光司, 阿久沢 正夫, 出口 栄三郎
    1998 年 69 巻 11 号 p. 988-993
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本実験は,下痢子牛における血清ハプトグロビン(HP)およびα1-酸性糖タンパク質(α1-AGP)濃度と下痢子牛の血清添加によるリンパ球幼若化能への影響を検討するために実施した.黒毛和種の健康な子牛8頭とロタウイルス感染症を原因とし下痢発現から12-24時間経過した黒毛和種子牛24頭を用いた.正常子牛では,HPは血清中に検出されなかったが,下痢子牛では血清中にHPが認められた(599±414μg/ml).一方,血清α1-AGP濃度には,正常子牛(398±100μg/ml)と下痢子牛(441±104μg/ml)の間には有意差は認められなかった.臨床的に健康な13ヵ月齢の黒毛和種去勢雄牛の末梢血から分離した単核細胞に,56°C30分間,熱非働化した子体血清を添加し,コンカナバリンAにより誘導されるリンパ球幼若化能を測定した.その結果,正常子牛血清はリンパ球幼若化能を抑制しなかった.しかし,下痢子牛血清はリンパ球幼若化能を有意に抑制し,血清HP濃度とリンパ球幼若化能との間には有意な負の相関が認められた(R2=0.696,P<0.01).一方,血清α1-AGP濃度とリンパ球幼若化能の間には有意な相関は認められなかった(R2=0.001).これらの結果から,ロタウイルス感染症子牛では,下痢発症後12-24時間に血清中にHPが出現し,その血清は血清HP濃度依存性にリンパ球幼若化能を抑制することが明らかにされた.
  • 加藤 和雄, 石渡 広子
    1998 年 69 巻 11 号 p. 994-1003
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    3日間培養したヤギ下垂体前葉細胞の細胞内カルシウム•イオン濃度([Ca2+]i)に及ぼすグルコース,非必須アミノ酸混合液(NEAA)およびオレイン酸の影響を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察し,GH放出との関連性を検討した.培養液中のグルコース濃度を5.5から11.0mmol/lに増大すると,わずかな[Ca2+]iとGH放出の増加が認められたが,有意な変化ではなかった.NEAR (L-Asp, Gly, L-Ala,L-Ser, L-Pro, L-AsnおよびL-Gluの混合液,それぞれの濃度は200μmol/l)の投与は,観察した細胞のうち86.7%の細胞の[Ca2+]iを有意に(P<0.05)増大させるとともに,GH放出の有意な増加(P<0.05)を引き起こした.一方,オレイン酸(10μmol/l)は,観察した細胞のうち83.3%の細胞の[Ca2+]iを有意に(P<0.05)低下させるとともに,GH放出も有意(P<0.05)に低下させた.以上の結果から,NEAAやオレイン酸はヤギ下垂体前葉細胞の[Ca2+]iを変化させることによりホルモンの放出を修飾する作用を示すと考えられる.
  • 金 昌〓, 菅原 邦生, 田中 秀幸
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1004-1011
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究はゼインへのリジンの添加がラット体内でのリジン,トレオニン,ロイシンの炭素骨格の代謝に及ぼす影響を明らかにするために,成長試験と標識化合物の追跡実験を実施した.ゼインにアルギニン,ヒスチジン,メチオユン,トレオニン,バリン,トリプトファンを補足した飼料にリジンを添加し,飼料中リジン含量が0.2,0.4,0.6,0.8,1.0,12%の実験飼料を調製した.体重90から100gのウイスター雄ラットにこの飼料を与え,増体量,血漿遊離アミノ酸濃度および腹腔投与した14C-リジン,トレオニン,ロイシンの呼気,屠体,排泄物中への14Cの移行率を調査した.増体量と飼料効率は飼料中リジン含量が0.6%に達するまで上昇し,それ以上では一定であった.一方,血漿弓ジン濃度と14C-リジンからの呼気14CO2への排出は飼料中リジン含量が0.6%までは低く,それ以上では直線的に増大した.標識トレオニンとロイシンからの呼気14CO2への排出はリジン含量が0.6または0.4%に増加するに連れて減少し,それ以上では一定であった.また,体タンパク質への14C-リジンの移行は飼料中リジン含量が0,6%以上で徐々に減少した.飼料中リジン含量の変化に対応して,標識アミノ酸の体タンパク質への移行は呼気14CO2への排出とは逆の相関を示した.これらの結果から,制限アミノ酸がその要求量を超えて添加されると,アミノ酸の炭素骨格の酸化は対応するアミノ酸では増大するが,他の必須アミノ酸では変化しないこと,ゼインを主なタンパク源とする飼料を給与されたラットのリジン要求量は飼料中の含量で表すと0.6%であることが明らかとなった.
  • ナセル モハメドイマドA, 小野寺 良次, ハジスル フセイン ユスフ
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1012-1019
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,ルーメンプロトゾアEntodinium caudatumの無細胞抽出液から,硫安分画の後,ヒドロキシアパルトタイト,DEAD-セルロースおよびセファデックスG-150などのカラムクロマトグラフィーによって,2,6-ジアミノピメリン酸脱炭酸酵素(EC4.1.1.20)を精製した.この酵素の分子量はSDS-PAGEにより54,000と推定された.精製されたこの酵素の最適pHは6.3でpH 5.0~6.8の範囲で高い触媒作用が見られた.また,この酵素は60°C以下では安定で,最適温度は50°Cであったが,70°Cでは活性が完全に消失した.一方,2,6-ジァミノピメリン酸に対する基質親和性の尺度を示すミカエリス定数(Km)は0.8mMであった.本酵素の安定化のたあには,ピリドキサルリン酸(PLP)のほか2-メルカプトエタノールやジチオトレイトールなどのチオール基が必要であった.ビリドキシン誘導体の中では,PLPのみが安定化に有効であった.
  • ナジムディン モハマド, 小野寺 良次, カーン ロキブル イスラム
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1020-1028
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,トリプトファン(Trp)ならびにその関連化合物としてインドール乳酸(ILA),トリプトフォール(TPP),トリプタミン(TPM),インドール-3-アセトアルデヒド(ICA),インドール酢酸(IAA),インドール-3-アルデヒド(ILD),スカトール(SKT)およびインドール(IND)のほかこれら化合物のピーク出現時間の範囲内に入るp-ヒドロキシフェニル酢酸(HPA)およびtrans-ケイ皮酸(CNM)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による新迅速定量法を確立した.カラムとしてはLiChrospher 100 RP-18 (250×4mm I.D.)を使用した.また,イソクラティック溶離液の移動相としては,メタノール:50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.2)(30:70,v/v)を使用し,ピークはUV検出器(280nm)によりモニターした.分析に先立ち,標準溶液または試料溶液に等量のスルフォサリチル酸(SSA)(4%,w/v)を加えて除タンパク処理を行った後,除タンパク液5μlをHPLCに注入した.最終ピークのSKTは60分頃に出現し,60分以内に上記11種類の化合物の分析が終了した.化合物の回収率は,95%以上であり,また,これらの化合物の検出限界は次のとおり(pmol/5μl): Trp, ILA, IAA,ILDおよびTPP, 19; ICA, HPA, INDおよびCNM, 39; SKT, 156; TPM, 625.次に本法をヤギのルーメン液の分析に応用した結果,HPA, ICA, Trp, ILA, IAA, ILDおよびTPPが検出された.中でも,ICA, HPAおよびIAAは比較的多かった.これらの化合物の濃度は,給餌後の時間により変化した.
  • 大谷 元, 水本 学
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1029-1039
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    リポポリサッカライド,ポークウィードマイトージェン,フィトヘマグルチニンおよびコンカナバリンAにより誘導されるマウス脾臓リンパ球の増殖にこ及ぼすウズラとニワトリリゾチーム,ならびにウシとヒトα-ラクトアルブミンの影響を比較検討した.両リゾチームおよび両α-ラクトアルブミンは,それら4種のマイトージェンで誘導されるリンパ球の増殖を全て抑制した.しかし,抑制の程度は,用いたタンパク質の種類やマイトージェンの種類により異なった.また,リゾチームには細胞障害性は見られなかったが,ウシおよびヒトα-ラクトアルブミンはマウス脾臓リンパ球に対して細胞障害を有することが観察された.一方,ウズラとニワトリリゾチームおよびウシとヒトα-ラクトアルブミンはマイトージェンの結合能を有しておらず,かっ,予めそれらのタンパク質と反応させていおたマウス脾臓リンパ球にマイトージェンが結合できるにとが確認された.他方,ウズラリゾチームはマウス単球/マクロファージに結合するが,リンパ球には結合しないのに対して,ウシα-ラクトアルブミンは,単球/マクロファージ, CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球に結合することが示された.以上の結果より,リゾチームとα-ラクトアルブミンは共に,T-,B-リンパ球の増殖を抑制し,それらの抑制作用はリゾチ-ムやα-ラクトアルブミンとマクロファージやリンパ球の相互作用により生じていることが示唆された.
  • 土肥 宏志, 小倉 振一郎, 小迫 孝実, 林 義朗, 山田 明央
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1040-1043
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 八郎, 寺田 文典, 西田 武弘, 吉田 博美, 甫立 京子, 柴田 正貴
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1044-1049
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    現在の日本飼養標準ではセレンの要求量は濃度表示のため乳牛のセレン摂取量は飼料摂取量に依存している.しかし本来生理状態に応じた必要量を給与すべきであり,それには絶対量での要求量表示が有用であることから,その基礎資料を得る目的で妊娠末期と泌乳期にセレン出納試験を行った.また受精卵移植技術の向上に伴い可能となった多胎妊娠時の胎児数のセレン要求量への影響も同時に検討した.実験Iとして,黒毛和種牛受精卵を移植したホルスタイン種の単胎牛5頭および双胎牛4頭を用い,妊娠190日から分娩まで飼養試験を行った.妊娠210日および266日時の出納試験(妊娠末期)の結果,0.106ppmセレンを含む飼料を与えた場合,セレンの平均摂取量および蓄積量はそれぞれ973.3μg/日および136.9μg/日であった.また胎児2頭分増給区で1頭分増給区より蓄積が多かった.双胎妊娠と単胎妊娠との間にはセレンの蓄積量には有意な差はなかったが,産子の血中セレン濃度は双子において有意に低かった.また飼料の増給,単子,双子に関わらず産子の血中セレン濃度は適正水準より低く,セレン不足がうかがわれた.母牛の全血中セレン濃度についても適正水準を下回っていた.実験IIとして泌乳牛4頭を用いて分娩後平均67日時に出納試験を行った.飼料摂取量の増加および飼料の平均セレン含量の増加(0.226ppm)により,セレンの摂取量は妊娠末期の4.7倍(4,611μg/日)に達し,蓄積量も300μg/日と妊娠末期の2.2倍となった.また血中セレン濃度は適正水準の範囲にあった.これらの結果から妊娠末期におけるセレン供給不足が示唆された.
  • 細野 明義, 田淵 三保子, 伊藤 仁一
    1998 年 69 巻 11 号 p. 1050-1054
    発行日: 1998/11/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Ten weeks old wister strain pregnant rats were fed ad libitum CE-2 rat chow (Clea Japan) and water. On the 15th days of pregnancy, 4 groups of 5 rats were each orally administered, 2ml (i) water (control), (ii) Trp-P1 solution (25mg/kg in 5ml distilled water), (iii) lyophilised Leuconostoc paramesenteroides R62 cells (350mg/kg) suspended in 5ml Trp-P-1 solution or (iv) lyophilised R62 cells (350mg/kg) suspended in 5ml distilled water. The same administration was continued for three consecutive days. The brain weight of the fetus was significantly decreased by the administration of Trp-P1 (P<0.05). The administration of Trp-P1 along with R62 cells also showed decrease in brain weight of the fetus, but the decrease was comparatively less than that of the Trp-P1 group (P<0.05). The ratio between brain weight and body weight was higher in lactic acid bacteria with Trp-P1 group than the Trp-P1 group (P<0.05).
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