黒毛和種雌牛集団における体測定値および繁殖形質の遺伝的趨勢を多形質REML法のアニマルモデルを使って育種価を予測することによって検討した.分析材料は1991年および1992年に基本登録および本原登録された黒毛和種雌牛14,881頭の体高,胸囲,胸深,尻長,かん幅,体重の登録時測定値および初産月齢,分娩間隔(初産と2産間),初産と2産の平均妊娠期間の記録である.1975年から1989年に生まれた雌牛(材料牛の母牛)の体高,胸囲,胸深,尻長,体重の予測育種価は,回帰分析の結果それぞれ生年次が進むにつれてわずかながら大きくなる傾向が認められたが,かん幅の予測育種価は生年次により変動しなかった.1975年から1987年に生まれた種雄牛(材料牛の父牛)のいずれの体測定値の予測育種価にもわずかながら変動が認められた.1975年から1989年に生まれた雌牛の分娩間隔の予測育種価には,生年次に伴う変動が認められなかったが,雌牛の初産月齢,分娩間隔の予測育種価は,生年次が進むにつれてわずかながら有意に大きくなる傾向が認められた.以上の結果,枝肉の質の改良に重点をおいた黒毛和種における改良戦略は,登録雌牛の体サイズや繁殖性にとくに悪い影響を及ぼすことはないようであった.
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