日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
69 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • Sudirman BACO, 原田 宏, 福原 利一
    1998 年69 巻3 号 p. 231-238
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種雌牛集団における体測定値および繁殖形質の遺伝的趨勢を多形質REML法のアニマルモデルを使って育種価を予測することによって検討した.分析材料は1991年および1992年に基本登録および本原登録された黒毛和種雌牛14,881頭の体高,胸囲,胸深,尻長,かん幅,体重の登録時測定値および初産月齢,分娩間隔(初産と2産間),初産と2産の平均妊娠期間の記録である.1975年から1989年に生まれた雌牛(材料牛の母牛)の体高,胸囲,胸深,尻長,体重の予測育種価は,回帰分析の結果それぞれ生年次が進むにつれてわずかながら大きくなる傾向が認められたが,かん幅の予測育種価は生年次により変動しなかった.1975年から1987年に生まれた種雄牛(材料牛の父牛)のいずれの体測定値の予測育種価にもわずかながら変動が認められた.1975年から1989年に生まれた雌牛の分娩間隔の予測育種価には,生年次に伴う変動が認められなかったが,雌牛の初産月齢,分娩間隔の予測育種価は,生年次が進むにつれてわずかながら有意に大きくなる傾向が認められた.以上の結果,枝肉の質の改良に重点をおいた黒毛和種における改良戦略は,登録雌牛の体サイズや繁殖性にとくに悪い影響を及ぼすことはないようであった.
  • 中島 一喜, 中村 幸, 大塚 彰, 林 國興
    1998 年69 巻3 号 p. 239-246
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ニワトリ培養筋肉細胞の成長ならびに筋肉タンパク質分解に対するコルチコステロン(CTC)の影響を調べた.筋肉細胞は,13日齢ニワトリ胚から大腿筋を摘出し,酵素消化法で調製した.24時間予備培養後,生理的レベルのCTC(0.3μg/100ml)を添加し,6日間培養した.培地は2日毎に交換した.実験最終日に細胞を採取,培地を回収し,細胞の成長および増殖の指標としてタンパク質ならびDNA量を,筋管形成の指標としてクレアチンキナーゼ(CK)活性,ミオシンおよびアクチン量を測定した.また,筋肉タンパク質分解の指標として培地中のNτ-メチルヒスチジン量を測定した.CTC添加によりタンパク質ならびにDNA量は有意に増加し,CK活性,ミオシンならびにアクチン含量は有意に減少した.Nτ-メチルヒスチジン放出量は有意な差は見られなかった.以上の結果から,ニワトリ培養筋肉細胞に対して,生理量のCTCは増殖を促進するが,筋管形成を抑制することならびに筋肉タクパク質分解に対しては影響を及ぼさないことが示された.
  • 本薗 幸広, 波多野 和広, 菅原 徳夫, 石橋 晃
    1998 年69 巻3 号 p. 247-252
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブロイラー雛に2種類の有機クロム,ピコリン酸クロムおよび酵母クロムを給与した場合の発育および屠体成分への影響を調べた.アーバーエーカー1週齢の雌雛,各区20羽を6週齢まで群飼した.給与飼料は1週齢から3週齢までは粗タンパク質21.5%,代謝エネルギー3.10kcal/g,4週齢から6週齢までは粗タンパク質18.3%,代謝エネルギー3.20kcal/gの基礎飼料を用い,ピコリン酸クロムおよび酵母クロムをクロムとして0,200および400ppbになるように添加した.体重および飼料摂取量は毎週記録した.試験終了時に屠殺して,腹腔内脂肪と皮なしの胸肉および皮付きのもも肉の粗脂肪含量,粗タンパク質含量,水分含量を測定した.クロム添加区では飼料摂取量および増体重ともに低下する傾向がみられ,特に酵母クロムの添加区(400ppb)で増体重が有意に低下した.また,ピコリン酸クロムの添加区よりも酵母クロムの添加区の方が負の影響が大きかった.腹腔内脂肪および皮付きのもも肉と皮なしの胸肉の粗タンパク質含量および水分含量はクロム添加によって影響はうけなかった.皮付きのもも肉の粗脂肪含量はクロム添加の影響を受けなかったが,皮なしの胸肉の粗脂肪含量では飼料中のクロム含量が増加するにつれ低下した.
  • Agung PURNOMOADI, 栗原 光規, 西田 武弘, 寺田 文典, 阿部 亮
    1998 年69 巻3 号 p. 253-259
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛を用いた72組の消化試験の飼料および糞を用いて乾物消化率(DMD),有機物消化率(OMD)およびTDNの近赤外分光法による推定方法について検討した.推定式の作成は飼料と糞の2次微分スペクトルの差をもとに,1900,2200,2300,2400nmの領域から各1波長を選択することによって行った.検量線の作成には31組の試料を使用し,その適合度の検定には同一ロットの28組を,さらに異なるロットの試料による検定として13組を用いた.検量線の相関係数(標準誤差)は,DMD, OMD, TDNの順に0.95(2.9),0.92(2.9),0.95(2.8)であり,同一ロットおよび異なるロットの検定用試料に対する適合度も良好であった.以上のことから,飼料と糞のスペクトルの差を用いて飼料の消化率を推定することが可能であること,1900nm以上の領域の近赤外スペクトルの利用が有効であることが示された.
  • 田中 智夫, 村山 有美, 江口 祐輔, 吉本 正
    1998 年69 巻3 号 p. 260-266
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,ブタの視力について,ヒトにおける視力検査の基準を用いて検討した.6頭の育成豚(雌4頭,去勢2頭)を供試し,試視力用のランドルト環と,その切れ目をなくした円図形とを用い,それぞれ負および正刺激として飼料と連合学習させた.二者択一式のY字型迷路を自作し,図形の大きさまたは図形までの距離を変化させ,両図形の識別の可否から視力を判定した.左右の図形の交換は,ゲラーマン系列の乱数表に従って行った.その結果,去勢豚2頭は学習が成立せず,視力測定ができなかったが,雌豚4頭の視力値は,0.017~0.07の範囲にあった.
  • 鈴木 啓一, 徐 春城, 鹿野 裕志, 清水 俊郎, 佐藤 裕一
    1998 年69 巻3 号 p. 267-270
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The present investigation was conducted to elucidate the influence of low protein diets on water intake and urine and nitrogen excretion in growing pigs. The experiment was carried out based on a 3×3 Latin square design where three Duroc barrows weighing initially 45 kg were allocated to one of three diets protein concentrations of which were 12, 10 and 16%. Thus, there were three groups; treatment 1 (12%), treatment 2 (10%) and control (16%). Water intake was significantly reduced to 73 and 83% for treatment 1 and treatment 2, respectively, compared with that of the control group. Similarly, urine excretion was reduced to 43 and 46% of the control level. Urinary nitrogen was also significantly reduced to 46 and 41% of the control level, and total nitrogen excretion was decreased to approximately 60%. These results suggested that low protein diet reduces water intake, urine and nitrogen excretion.
  • 幸田 力, 安藤 太助, 稲元 民夫, 中村 信一, 中井 裕, 扇元 敬司
    1998 年69 巻3 号 p. 271-275
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Forty-three strains of Clostridium spp. were isolated from the rumen of Malaysian water buffalo fed on a diet containing palm kernel cake, and identified by morphological, biochemical, physiological tests and DNA-DNA hybridization method. Six species of Clostridium were identified, and the predominant strains were C. butyricum. In DNA-DNA similarity test, thirty-five of 43 strains showed more than 70% and eight strains showed less than 70% DNADNA similarity against respective reference strains.
  • 松井 寛二
    1998 年69 巻3 号 p. 276-280
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    An ambulatory data-logger system for recording the number of steps every minute taken by grazing cattle was developed, the accuracy of the transducer investigated and a method for estimating distance walked from steps suggested. The data-logger (named pedo-recorder) consisted of a digital pedometer as a transducer and a data memory unit. The transducer was attached around the metacarpus of the right foreleg. It generated two electric signals each step, therefore the values corresponded to the actual steps of the right and left forelegs. In a case, during 5-hour grazing period the mean of total steps was 13.7% higher than that by visual observations. Adjustment by correction factor for each transducer-animal combination would improve accuracy. Distance walked might be estimated by calibrating distance walked per step. A combination of the pedo-recorder and other data-logger sets could provide a useful analysis of the relationships among grass characteristics, pasture size, grazing behavior and animal production.
  • 家入 誠二, 古川 力, 広岡 博之
    1998 年69 巻3 号 p. 281-292
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    非線形の利益関数に対応する選抜指数を,ブタの系統造成を想定したコンピュータシミュレーションによって比較した.比較した選抜指数は,(1) 基礎世代の集団平均値に対応した線形選抜指数,(2) 段階的に補正した線形選抜指数,(3) 次世代の利益を最大にする線形選抜指数,(4) 多世代選抜後の利益を最大にする選抜指数,(5) 選抜期間の累積利益を最大にする選抜指数,(6) 2次の選抜指数および(7)希望改良量に基づく選抜指数である.発育速度(線形)と背脂肪の厚さ(2次)を選抜形質とする2次の総合育種価を想定し,遺伝的および経済的選抜反応を計算した.その結果,選抜指数を一定に保った線形選抜指数((1))と二次の選抜指数は((5))は,利益関数の非線形性の程度が大きい場合,利益損失が大きくなった.いっぽう,改良目標に基づく選抜指数は,背脂肪の厚さを最適値に導くことができたが,実際の利益関数や,利益関数の非線形性の程度がそれより小さい条件では,大きな利益損失を招いた.比較した選抜指数の相対的効率は,利益関数の非線形性の程度や利益の評価世代数に従属した.以上の結果は,経済的な視点からの育種計画の重要性を示唆している.
  • 金 海, 浜名 克己, 菱沼 貢, 大浦 良三, 関根 純二郎
    1998 年69 巻3 号 p. 293-298
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    蒸煮•爆砕処理した小麦わらの化学成分の変化およびそれらの反芻胃内分解様相を調べ,これをもとに処理効果の機序解明を試みた.蒸煮•爆砕処理は,4cmの長さに細切した小麦わらを10kg/cm2の圧力で10分間蒸煮し,さらに12kg/cm2まで圧力を上げて爆砕したものを処理1とし,8kg/cm2の圧力で10分間蒸煮し,さらに圧力を13kg/cm2まで上げて爆砕したものを処理2とした.無処理の小麦わらを対照区とした.これらのサンプルをナイロンパッグ法によりオーッ乾草を単独給与しためん羊の反芻胃内で培養した.蒸煮•爆砕処理により中性デタージェント繊維(NDF)およびヘミセルロース含量が減少した.乾物の易消化分画が両処理とも有意に増加し(P⟨0.05),不消化分画は両処理とも有意に減少した(P⟨0.05).処理1および処理2ともNDFならびにヘミセルロースの分解遅滞時間が有意に短縮し(P⟨0.05),培養初期の消失様相が改善された.また,処理1では,ヘミセルロースの分解速度も有意に増加した(P⟨0.05).セルロースの可消化分画は処理1で有意に増加した(P⟨0.05).酸性デタージェントリグニン(ADL)の分解遅滞時間は両処理とも有意に短縮した(P⟨0.05).また,ADLの可消化分画は,処理1で有意に増加(P⟨0.05)した.以上の結果から,この蒸煮•爆砕処理が繊維成分中のヘミセルロースおよびセルロース分画に対するリグニンの被覆あるいは化学的結合の解離を促進し,反芻胃内微生物による発酵分解を増加させたことが示唆されると結論した.
  • 林 孝, 花島 大
    1998 年69 巻3 号 p. 299-305
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛群の社会•空間分布行動を解析することを目的とし,乳牛のパドック内の位置,移動距離,個体間距離を斜め空中写真法により計測した.泌乳牛14頭をパドックに放飼し,給水塔上部より斜め下方向に見下ろし,5分間隔で3時間,5日間にわたってウシの位置を撮影した.撮影した写真上の位置を写真座標とし,これらのデータを斜め空中写真変換プログラムにより処理し,地上座標を推定した.斜め空中写真法による地上座標の推定誤差は大部分の写真で1m以内となった.各個体のパドック内の出入り口からの距離,移動距離,個体間距離を目的変数とし,試験日,撮影回次,分娩後日数を要因とする分散分析を行った.供試牛の位置について,放飼(撮影開始)直後は出入り口からもっとも遠ざかり,撮影終了前に出入り口近くに集まる傾向をみせた.試験期間における5分間の移動距離の平均と標準偏差は9.8±9.3(m)であった.個体間距離は撮影開始直後に大きく,その後ほぼ一定の水準を保ち,最後に小さくなる傾向を示した.分娩後日数が短い個体は個体間距離が大きく,分娩後日数の長い個体は個体間距離が小さい傾向を示した.
feedback
Top