日本畜産学会報
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69 巻, 9 号
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  • 眞鍋 昇
    1998 年 69 巻 9 号 p. 815-833
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 米田 一裕, 森友 靖生, 平田 四郎, 菊川 良男, 国枝 哲夫
    1998 年 69 巻 9 号 p. 834-840
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    一般に哺乳類の雌雄間では染色体の交叉価が異なるため,人工授精が普及し,父方半きょうだい家系より集団が構成されている家畜において,厳密な連鎖解析を行うには雄のみの減数分裂に基づく性特異的な連鎖地図の作成が重要である.本研究では,ヒツジのマイクロサテライトマーカー用プライマーを用いて検出されるものを含むウシ第6染色体のマイクロサテライトマーカーを用いて,雄特異的な第6染色体の連鎖地図を作成することを試みた.生産集団より得られた褐色和種の同一の種雄牛に由来する82頭の半きょうだいの血液または組織からゲノムDNAを抽出し,28のウシマイクロサテライトマーカー用プライマーと10のヒツジマイクロサテライトマーカー用プライマーを用いて,PCR法による増幅を試みた.本家系の種雄牛において,ヒツジマイクロサテライトマーカー用プライマーで検出される2マーカーを含む13マーカーが多型性を示した.これらのマーカーについて,本父方半きょうだい家系を用いて連鎖解析を行った結果,13のうち12のマーカー遺伝子座よりなる単一の連鎖地図が作成され,配置されている各遺伝子座間では,すべて有意な連鎖が認められた.連鎖地図上の各遺伝子座の配置は,OarJMP36-BM143-DIK082,TGLA37-BM4528,ILSTS097-ILSTS035-BM1236-BP7-BM9257-OarJMP12-BM2320となった.雄特異的な連鎖地図はウシ集団における特定の遺伝性疾患とともに量的形質に関する遺伝子座(QTL)のマッピングにも有用であると考えられる.
  • 相井 孝允, 玉城 政信, 島袋 宏俊, 清末 眞一, 中野 雅功, 早澤 宏紀, 清水 隆司, 石田 修三
    1998 年 69 巻 9 号 p. 841-853
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    アマニ種子を含む飼料を乳牛に給与しα-リノレン酸(C18:3n-3)含量の高い牛乳を生産するため,実験1では,4頭のホルスタイン種搾乳牛を用い,1期14日間の反転法の試験を実施した.乳牛にはC 18 :3n-3を11.3g含む対照飼料(D1)あるいは主にアマニ種子からのC18:3n-3を344.1g含む試験飼料(D2)を毎日給与した. D2によるアマニ種子給与量は約2.0kg/h/dであった.実験2では,4頭の乳牛を各2頭の2群に分け,1群にはC18:3n-3を37.3g含む対照飼料(D3),他群には734.9g含む試験飼料(D4)を毎日56日間連続して給与した.実験3では,実験2と同一の試験設計で, 1群にはCl8:3n-3を74.5g含む対照飼料(D5),他群には825.6g含む試験飼料(D6)を給与した. D4あるいはD6によるアマニ種子給与量はほぼ1頭当たり3.4-3.8kg/dであった.給与飼料中の脂肪,血清脂質および乳脂肪の脂肪酸組成は,各試料から脂質を抽出後メチルエステル化を行いガスクロマトグラフで分析した.D2給与時には, D1給与時と比べ血清脂質のC18:3n-3含量は有意に増加し,反対にリノール酸(C18=2n-6)は低下した. D4の給与により血清脂質のC18:3n-3は4.27から20.35%まで増加したが,C18:2n-6は44.74から27.99%まで低下した.D6給与牛も同様な傾向を示した.血清脂質中ではC18:3n-3は主要な脂肪酸の一つであるが,乳脂肪中のそれは,アマニ種子を含まない飼料(D1, D3およびD5)の給与時にはわずか0.4%程度にすぎなかった.D2の給与により,乳脂肪中のC18:3n-3含量はわずかであるが有意に増加した.D4あるいはD6の給与開始後1週目のC18:3n-3含量は1.0%以上に増加し,それ以降もその含量は1%以上で推移した.D1,2,3,4,5および6給与時のC18:3n-3の乳脂肪への移行率は13.2,0.7,7.4,1.7,5.1および1.0%.,牛乳中のC18:3n-3含量は104.6,173.8,123.7,521.2,170.5および396.5mg/kg,そして乳脂肪のC18:2n-6/C18:3n-3比は,それぞれ8.8,4.5,5.6,1.7,5.0および19であった。以上の結果は,アマニ種子給与によるC18:3n-3の乳脂肪への移行率は低いが,乳脂肪中のC18:3n-3を1.0%以上に増加させ,また, C18:2n-6/C18:3n-3比を1.9程度まで低下させることのできることを示していた.
  • 田中 智夫, 落合 有彦, 谷田 創, 吉本 正
    1998 年 69 巻 9 号 p. 854-860
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,子豚の乳頭探索行動において,視覚,聴覚および嗅覚のいずれが主要な役割を担っているのかについて検討した.乳付き順位が確定後,5腹から合計37頭の子豚を用いた.子豚の視覚,聴覚および嗅覚のうち,いずれか1つ,または2つ,そしてすべての感覚を遮断して,乳頭探索行動をビデオ録画し,乳頭に到達するまでに要した時間およびそのルートを記録した.その結果,視覚の遮断を加えることにより,子豚は乳頭に到達するまでにより長い時間を要するようになり,壁や母豚にぶつかる回数も有意に多くなった.それに対し,嗅覚の遮断は子豚の乳頭探索行動に大きな影響を与えず,聴覚の遮断はこれらの中間の効果を示した.以上から,子豚の乳頭探索行動においては,視覚がもっとも重要な役割を果たしていると推察された.
  • 村元 隆行, 藤村 忍, 門脇 基二, 石橋 晃
    1998 年 69 巻 9 号 p. 861-864
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In order to determine the calcium (Ca) and phosphorus (P) requirements of Hinaijidori aged 42 to 56 days and of both sexes, two experiments were conducted using three parameters, i. e., body weight gain, feed efficiency and ash content of tibia of males and females. The experimental diets contained 0.52% P and five graded levels of Ca from 0.37 to 2.48% in experiment 1, and 0.89% Ca and five graded levels of P from 0.39 to 0.89% in experiment 2. The requirements of Ca and P for the maximum performance of male and female Hinai-jidori were estimated to be less than 0.90 and 0.52%, respectively. However, the dietary P level of males for the maximum development of bone was higher than that for the maximum performance.
  • 関根 純二郎, 金 海, 大浦 良三, 菱沼 貢
    1998 年 69 巻 9 号 p. 865-869
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    To determine effect of kinds of forage on feed intake and behavior of eating and rumination of Japanese Black cows, animals were given ad libitum of 8 kinds of forage such as alfalfa as legume hay, Italian ryegrass, perennial ryegrass, timothy, oats hays as temperate grass hay, bermudagrass, sudangrass as tropical grass hay, and rice straw. Dry-matter intake based on metabolic body size (g/kg0.75) was more than 100g/kg0.75 for legume hay, some temperate grass hays (timothy and oats hays), but 70g/kg0.75 for some temperate grass hays (Italian ryegrass and perennial ryegrass hays) and rice straw. Intake for tropical grass hays ranged from 80 to 90g/kg0.75. The time spent for eating ranged from 340 to 404min/day without any significant difference among forages. On the basis of dry-matter intake, however, animals spent less time for eating legume hay, some temperate grass hays (timothy, oats) and tropical hays than some temperate grass hays (Italian ryegrass, perennial ryegrass) and rice straw. The time spent for rumination was significantly different among forages, ranging from 369min/day for legume hay to 534min/day for a temperate grass hay (perennial ryegrass). The time spent for eating and ruminating did not always reflect the difference in dry-matter intake.
  • 王 学波, 谷口 幸三
    1998 年 69 巻 9 号 p. 870-874
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Four wethers fitted with a catheter in the common bile duct and three cannulas located in the abomasum, the duodenum, and the terminal ileum were fed alfalfa hay cubes, and then infused starch (150g/d) or starch (150g/d) plus casein (50g/d) into the abomasum for 20 days under a change over design. Compared with the pre-infusion period, abomasal starch infusion decreased pancreatic α-amylase activity, but not lipase and protease activity. Compared with starch infusion, starch plus casein infusion increased the activities of pancreatic α-amylase and lipase, but did not affect the pancreatic protease activity. Compared with starch infusion, infusion of starch plus casein decreased the glucan proportion in the α-glucoside of deal digesta, and increased the dextrin proportion. These results suggest that the proportional activity of digestive enzyme secreted from the pancreas of sheep varies regardless of a proportion of the substrate in digesta.
  • 野村 哲郎, 島田 和宏
    1998 年 69 巻 9 号 p. 875-882
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肉用牛の離乳前発育形質に関する直接効果と母性効果の間には,負の遺伝相関が存在する場合が多く認められる.このような場合,直接効果に対する選抜は母性効果に対して負の相関反応をもたらすことになり,離乳前発育形質の改良効率を低下させる可能性がある.そこで,黒毛和種の180日齢体重について直接効果と母性効果の間に負の遺伝相関がある場面を想定して,母性効果の影響を受ける形質を遺伝的に改良するための選抜交配計画を,コンピュータシミュレーションによって比較した.次の5つの計画を取り上げた.RM1)直接効果の予測育種価に基づいて選抜しランダム交配を行う計画,RM2)雄では直接効果の予測育種価に基づいて,雌では母性効果の予測育種価に基づいて選抜しランダム交配を行う計画,MS1)母性効果の変化量を正に制限して直接効果の改良量を最大化するメイトセレクションによる計画,MS2)母性効果の変化量を正に制限して子どもの直接効果とその母親の母性効果の和の改良量を最大化するメイトセレクションによる計画,MS3)計画MS2と同様であるが母性効果の変化量に対して制限を設けないメイトセレクションによる計画.直接効果と母性効果の育種価はアニマルモデルによるBLUP法によって予測した.5世代間の選抜•交配を各計画について50回反復した.得られた結果の概要は以下のとおりである.(a) RM1では直接効果についてはもっとも大きな改良量が得られたが,母性効果に重大な低下が認められた.(b) メイトセレクションを用いた3つの計画(MS1,MS2,MS3)では,直接効果の改良量はRM1の30~50%に低下したが,母性効果は初期のレベルに維持することができた.RM2も同様の結果を示したが,この計画の効率は雄と雌における選抜強度のバランスに強く依存しているものと考えられた.(c) 表現型値の改良量からみると,メイトセレクションを用いた計画の優越度は大きくはなかったが,これらの計画では高い母性能力が維持されている点で優れていると考えられた.
  • 賀来 康一
    1998 年 69 巻 9 号 p. 883-890
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    米国ブロイラーの流通構造を分析し,先物市場上場による指標価格形成機能を検討した.'97年3月,米国(ワシントンD.C.,シカゴ,インデアナ州ラフィエット)で,聞き取り調査を実施し,資料を分析した.(1) ブロイラー産業は,国内消費と輸出に支えられ(P<0.01),平均年間成長率6.4%の('86-'95年),米国食肉産業で最大の成長産業である.(2) 鶏肉輸出増が,むね肉ともも肉の価格差縮小に影響を与えた(P<0.05).ロシアと香港(中国)への輸出増(P<0.05),とくに香港(中国)への輸出増の影響が大きい(P<0.05).(3) 米国で,ウシ•ブタ関連商品の先物取引は活発であった('90-'96年).(4) ブロイラー会社の寡占化が進行したが,肉牛パッカーの寡占化ほど大きくない.(5) '95年,処理場からの出荷ブロイラー製品総量の78.8%は,取引価格非公開で,卸売業者を経由せず流通し,出荷総量の21.2%に基づく指標価格の信頼性が低下した.ブロイラー製品が再上場されれば,指標価格として機能する可能性がある.
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