日本畜産学会報

黒毛和種における脂肪細胞の分化制御因子PPARγ2の変異について

相川勝弘, 中西直人, 村元隆行, 佐藤幸信, 萬田富治

1999 年 70 巻 7 号 p. 1-5
発行日: 1999/02/25
公開日: 2008/03/10

DOIhttps://doi.org/10.2508/chikusan.70.7_1

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脂肪細胞分化のマスターレギュレーターの一つと考えられているPPARγ2の黒毛和種における変異を,RT-PCR産物のダイレクトシークエンスにより検出した.変異は18番目のアミノ酸の2番目のコドン内に存在し,これによって変異体ではアラニン(GCT)からバリン(GTT)へのアミノ酸の置換が起こっていることが明らかとなった.変異部位近傍には制限酵素サイトが存在しなかったため,変異体のみHinc II切断が起こるようなプライマーを設計し,ミスマッチプライマーを用いるPCR-RFLP法によって,40頭の黒毛和種について変異体の存在を調査した.その結果,母子2頭のヘテロ変異体の存在が明らかとなった.

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アメロゲニン遺伝子の多型性を指標としたウマの体細胞および生殖細胞の性別判定法

福島康敏, 向山明孝, 佐藤文夫, 長谷川晃久, 石田信繁, 村松晉

1999 年 70 巻 7 号 p. 6-10
発行日: 1999/02/25
公開日: 2008/03/10

DOIhttps://doi.org/10.2508/chikusan.70.7_6

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ウマ胎児(雌)の歯根部組織を材料としてcDNAライブラリーを調製し,ウマのアメロゲニン遺伝子の塩基配列とアミノ酸配列の構造解析を行ったところ,ウマのX染色体上のアメロゲニン遺伝子cDNAの第1から第6エクソンまでのアミノ酸残基および非翻訳領域を含む696bpを解読し,Y染色体では第5エクソン領域内の24bpが欠損していることを見い出した.そこで,このY染色体の欠損部位を含む第5エクソン領域内の部分配列を増幅するためのプライマーを合成し,PCR増幅した産物をアガロースゲル電気泳動により分離したところ,雌雄間で分子サイズによる差異が認められた.この塩基配列差異による多型性を指標として,ウマの14品種個体,性染色体異常馬および培養細胞について性別判定法を行ったところ,いずれも正確な性別を判定することができた.さらに,本法によってウマの各精子についてのXまたはY精子確認を行うことができた.

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妊娠初期の乳牛における卵胞の発育動態の解析

木之下明弘, 前田真理, 上村俊一, 中西喜彦

1999 年 70 巻 7 号 p. 11-17
発行日: 1999/02/25
公開日: 2008/03/10

DOIhttps://doi.org/10.2508/chikusan.70.7_11

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妊娠初期牛における有効な経膣採卵技術の基礎的研究として,妊娠初期の卵胞の発育動態を調べた.ホルスタイン種経産牛3頭を用いて,人工授精後45日間にわたり,超音波診断装置により,卵巣の卵胞発育動態を毎日観察した.観察期間中,すべての個体で卵胞波が5回みられ,各波でおおむね1個の主席卵胞(DF)が出現した.各波のDFは途中ですべて閉鎖•退行したが,中型卵胞群(直径5mm以上10mm未満)は妊娠25日頃までは発情周期中と同様な卵胞波を示し,それ以降は卵胞数の変動の少ない波となった.各個体のDFは,4/15波(27%)が妊娠黄体側卵巣に,11/15波(73%)が反黄体側卵巣に出現した.

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トカラヤギにおける乳房の形態と副乳頭の発達

林田まき, 西村正太郎, 岡野香, 岩元久雄

1999 年 70 巻 7 号 p. 18-23
発行日: 1999/02/25
公開日: 2008/03/10

DOIhttps://doi.org/10.2508/chikusan.70.7_18

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トカラヤギの乳房を形態学的に観察した.トカラヤギでは正規乳頭の前外側に副乳頭(過剰乳頭)が出現し,全ての雌(100%)とほとんどの雄(83.3%)で確認された.雌において,副乳頭が正規乳頭から独立した小さな乳腺組織を持っているものがあり,40%で泌乳を確認した.しかし,副乳頭の大きさと泌乳能力とは必ずしも関係なく,大きな副乳頭でも泌乳しないものもあった.外部形態から,乳房は正規乳頭から離れた位置に副乳頭を持つI型(Independent type),両者が癒着しているC型(Coalesced type)ならびに副乳頭を持たないN型(Non-accessory teat type)に分類された.泌乳能力を持った副乳頭は全てI型あるいはC型乳房のものであり,大きいLおよび中間のMサイズのもので認められた.小さいSサイズの副乳頭では泌乳を認めなかった.左右の乳房ともI型乳房でLサイズおよびMサイズの副乳頭の個体が雌で37%認められた.以上の結果より,トカラヤギはほとんどの個体で副乳頭が認められ,その泌乳機能を有する雌がいることが明らかになった.

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