日本畜産学会報
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71 巻, 10 号
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  • 富樫 研治
    2000 年 71 巻 10 号 p. 447-458
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The identification of candidate genes or genetic markers by DNA-based technology offers a great potential to speed up the genetic improvement of animal productivity. The use of DNA information is expected to accelerate genetic progress through 1) increasing the accuracy of selection, 2) reducing the generation interval, 3) increasing selection differentials, and 4) efficient transfer of favorable genes from a donor to a recipient population. When desirable QTLs (Quantitative Trait Loci) are identified, direct genotypic selection on QTL is possible and effective. Even if QTL information is not available, genetic markers linked to the QTL can be utilized for marker-assisted selection (MAS). Linkage disequilibrium between marker and QTL alleles within families is required for MAS in animal population, particularly in dairy cattle. Genetic markers can be used for within-family selection such as top down and bottom up programs in dairy cattle, which enables the pre-selection of young bulls for progeny testing. The use of advanced reproductive technologies is a prerequisite to realize the potential genetic gain. Direct selection on QTL or marker-assisted selection offers the greatest advantage when the heritability of the trait is low. The importance of genetic markers decreases when phenotypic records or estimated breeding values are available. However, genetic markers or candidate genes have potential applications for improving sex-limited traits or traits not directly measurable such as carcass traits. Marker-assisted introgression using backcrossing is an alternative approach to incorporate the desired alleles. The efficiency of the introgression depends on the genetic value of the final product of the crossbred compared to the recipient population under continued selection. In this respect, some revised steps to increase production level in crossbreds are reviewed. Both position and effect of QTL have to be measured with prediction error variance so that its influence on selection response can be clearly determined. Thus, breeding system incorporating DNA information can be realized with prediction error variances even if QTL are not identified. DNA information would provide many clues not only to productivity but reproduction or disease resistance. DNA information would be a vital clue to improvement for lifetime/overall productivity influenced by productivity, reproduction and disease resistance.
  • 日本畜産学会第97回大会シンポジウムについて
    萬田 富治, 溝川 義治, 加舎 幸七郎, 北川 政幸, 鈴木 惇, 矢野 秀雄, 眞鍋 昇, 松井 徹, 今井 裕, 山田 宜永, 佐々木 ...
    2000 年 71 巻 10 号 p. 459-469
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 万年 英之, 川崎 純一, 石田 孝史, 向井 文雄, 辻 荘一
    2000 年 71 巻 10 号 p. 470-474
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    これまでの研究で黒毛和種集団のmtDNAタイプは大きく,ヨーロッパ品種に極めて高頻度で分布するタイプ(ヨーロッパタイプ)と黒毛和種にのみ観察されるタイプが存在することが明らかになっている.本研究では黒毛和種生産の主要3地域における繁殖集団のmtDNA D-loop領域について多型解析を行い,mtDNAタイプの遺伝子頻度を調査した.また,分析にはPCR-SSCP法を適用し,その有用性についても検討した.3生産地域の繁殖集団の分析からヨーロッパタイプのmtDNAを持つ個体の頻度が地域間で大きく異なっていることが示された.この理由として,繁殖集団の成立過程や創始者効果,瓶首効果,明治時代以降に実施された外来種との交配などが影響している可能性が示唆された.また,mtDNA D-loop領域に対するPCR-SSCP法の適用は,多くのハプロタイプを簡便に識別することが可能であり,有用な方法であることが示された.
  • 堀口 健一, 高橋 敏能
    2000 年 71 巻 10 号 p. 475-482
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃刺激用具(RF)の投与が反芻時間や第一胃内発酵性状に及ぼす影響について検討するため,ホルスタイン種去勢牛16頭を用い,繊維性成分が調製された濃厚飼料(細胞壁構成成分含量:乾物中27.5%)多給下において,試験1(8頭)では群飼下で反芻行動を,試験2(8頭)では単飼下で反芻行動と第一胃内発酵性状を調査した.両試験において,1頭当たり3個のRFを第一胃内に投与する処理区(投与区,4頭)および無投与区(対照区,4頭)をそれぞれ設けた.RFの投与は,試験1では12ヵ月齢時に,試験2では8ヵ月齢時にそれぞれ実施した.給与飼料として,試験1は両処理区とも細切乾草0.2kg/頭/日を19ヵ月齢時まで給与した後無給与とし,濃厚飼料を不断給与した.試験2は両処理区とも濃厚飼料のみを給与し,可消化養分総量で日増体量1.0kgを満たす量とした.試験1での行動観察は14ヵ月齢(平均体重513kg),17ヵ月齢(616kg)および20ヵ月齢(696kg)時にそれぞれ実施した.試験2での行動観察と第一胃内発酵性状の調査は18ヵ月齢(平均体重658kg)時に実施した.試験1において,飼料摂取量は処理区間に有意差がなかった.反芻時間/日は各調査時とも投与区が対照区を上回った(P<0.05).試験2において,飼料摂取量は投与区が多く(P<0.05),反芻時間/日は投与区が長かった(P<0.05).摂取乾物1kg当たりの反芻時間は投与区が長かった(P<0.05).総揮発性脂肪酸濃度は午前の飼料給与後6~12時間の調査時において投与区が高く推移する傾向であった.それに伴い第一胃内pHは投与区が対照区より低い値で推移する傾向であったが,午前の飼料給与前の値には処理区間の差がみられなかった.酢酸/プロピオン酸比は投与区が低く推移した.以上の結果から,本試験に用いた濃厚飼料を多給した飼養条件下において,RFは第一胃粘膜に対して物理的刺激物として作用していることが推察され,反芻時での食塊の吐き戻しを誘発し,1日当たりの反芻時の咀嚼時間を長くする可能性のあることが示唆された.
  • 平尾 温司, 杉田 昭栄, 菅原 邦生
    2000 年 71 巻 10 号 p. 483-490
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鳥類の嗅覚機構を解明するため,ニワトリ嗅球の遠心路および求心路をバイオサイチン法およびホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)法をそれぞれ単独に用いて明らかにした.バイオサイチン法の結果より,ニワトリ嗅球の遠心路は線維群の通過部位から経路1~3に分類することができた.経路1は同側の副高線条体(HA)および海馬(Hp)への投射を有していた.経路2は同側の最上介在高線条体,腹側高線条体(HV),新線条体(N)および基底核(Bas)への投射を有していた.経路3は両側の嗅旁葉,嗅結節,前頭原線条体路,填古線条体,前原線条体,梨状皮質,側頭頭頂後頭野,紐核,対側のHA, Hp, HV, NおよびBasへ投射していた.HRP法の結果より,ニワトリ嗅球の求心路は両側の外側中隔核,内側中隔核およびHpから投射を受けていた.また,ニワトリ嗅球はHpと相互結合を有していた.
  • 増田 哲也, 山崎 均レヒナルド, 鈴木 和威, 森地 敏樹
    2000 年 71 巻 10 号 p. 491-497
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    カッテージチーズなどの製造において,添加したスターター乳酸菌が凝集し支障を来すことが経験的に知られている.この乳酸菌の凝集に乳中の免疫グロブリンが関与することはこれまでに報告されているが,その機構についてはまだ十分に解明されていない.われわれは,チーズのスターターとして汎用されているLactococcus lactis subsp. cremorisに属する菌株を対象に実験を行い,凝集に強く関与する免疫グロブリンがIgMであることを再確認した.さらに,このIgMによる凝集性の高い菌株の菌体にはIgMが結合する特定の5つのポリペプチド(M. W.;22~52kDa)が共通して存在し,一方,凝集性の低い菌株にはこれらポリペプチドが金く存在しないか,あるいはIgMとの結合性が微弱であることを見出し,IgMによるL. cremoris菌体の凝集性は,上記ポリペプチドとIgMとの結合性に依存することを示した.
  • 泉本 勝利, 土井 瑞芳
    2000 年 71 巻 10 号 p. 498-504
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉の軟らかさを測定するためにWarner-Bratzlerせん断力値(SFV)測定機が多用されている.この測定機では最大せん断力値(SFVmax),しか測定できない.そこで,食肉•食肉製品の全せん断過程におけるSFVプロフィールを比較した.これらのSFVプロフィールの相違はプロフイールを規格化することで特徴を明瞭にすることができた.SFVmaxは生肉ではせん断終点,ソーセージではせん断中期に認められた.生肉,ソーセージおよびハムの筋線維を主とする強度の最大値,(MFTmax),はせん断中期のSFVに対応することが示唆された.SFVmaxはソーセージでは試料直径と,生肉とハムでは試料直径の1.5乗との間に直線関係(P<0.01)が認められ,理論的推測と一致した.SFVmax/MFTmaxの値と偏差は生肉,ハム,ソーセージの願に大きく,このことは試料中の結合組織の脆弱化に依存するものと考えられた.
  • 顔 培實, 山本 禎紀
    2000 年 71 巻 10 号 p. 505-509
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    温熱環境管理に必要となる体温調節性生理反応と顕熱および潜熱放散との関係を,体重25~35kgの雌子豚4頭を用いて検討した.実験では,環境温度(Te)10~35°Cの下で,熱産生量(HP),潜熱放散量(eHL),直腸温(Tr),平均皮膚温(mTs)および呼吸数(RR)を測定した.mTsはTeの上昇に伴い一定の割合で上昇し,その変化率は0.47(°C/°C)であった,Teに対するTr, RRおよびeHLの上昇は,Te 27°Cから始まり,Te 31°Cで有意な上昇が認められた.Tr O.1°C上昇に対するRRの増加率は,13(回/分°C),mTs 1°Cの上昇に伴う顕熱放散量の減少率は,1.2(kJ/kg0.75h°C),RRの増加に対するeHLの増加率は,0.04(kJ/kg0.75h回)であった.このようにTr, mTsおよびRRの変化は,温熱環境の変化に伴う子豚からの顕熱と潜熱による放散の変動を知る手がかりとなり,温熱環境管理に役立つものと思われた.
  • 顔 培實
    2000 年 71 巻 10 号 p. 510-515
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    子豚の体温調節性生理反応の日内変化と飼料摂取量の影響を調べ,ブタの体温の日リズムと体温調節の特徴について検討した.雌子豚4頭を用い,環境温度を25°C一定とし,絶食,維持量の2倍(2M)および3.2Mの給餌水準で,朝夕の摂食量を同一にして調べた.飼料摂取量の増加により,熱産生量,直腸温,末端部体表温,平均体表温および呼吸数のレベルは,いずれも増加ないし上昇した.これらの体温調節性生理反応は日リズムを示し,直腸温と呼吸数は,1:00-5:00で低く,13:00-17:00で高かった.末端部体表温と平均体表温は,逆に1:00-5:00で高く,13:00-17:00で低かった.このような呼吸数と平均体表温の日内変化は,体温の日リズムに応じ,熱収支が維持され,ブタの体温調節の特徴として注目された.
  • 山本 朱美, 古川 智子, 高橋 栄二, 岡田 光弘, 古谷 修
    2000 年 71 巻 10 号 p. 516-519
    発行日: 2000/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏糞焼却灰のリン源としての飼料価値について,化学分析とヒナの発育試験によって評価した.ブロイラーおよび産卵鶏の各2農場から入手した鶏糞焼却灰のカルシウム濃度は,それぞれ,平均7.70および12.26%,リン濃度は,それぞれ,平均3.55および5.47%であった.また,カルシウムとリンの比率はいずれも約2:1であり,これは,ブタおよびブロイラーが要求する比率にほぼ等しい.リン源として第二リン酸カルシウムを1.13%あるいは産卵鶏の焼却灰を3.50%配合した飼料をヒナに1週間給与したが,飼料摂取量,増体量および飼料要求率に有意な差は認められなかった.これらの結果から,鶏糞焼却灰は家畜飼料のリン源として十分に利用できることが示唆された.
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