日本畜産学会報
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72 巻, 9 号
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  • 福井 えみ子, 小金澤 正昭, 吉澤 緑, 村松 晉
    2001 年 72 巻 9 号 p. 295-302
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    日光国立公園に棲息するニホンジカの血清タンパク質および赤血球酵素6つの表現型を検出し,各対立遺伝子の出現頻度を求め,その集団における多型の有無を調査すること,さらに推定された対立遺伝子の頻度を用いて3つの越冬集団(表日光,奥日光,足尾)間における類縁関係の程度を明かにした.1996年から1999年までの各年の1月から3月に,日光国立公園で捕殺されたシカ個体より採取された血液試料を用いた.酸性フォスファターゼ(Acid phosphatase: ACP)および6-フォスホグルコネートデハイドロゲナーゼ(6-Phosphogluconate dehydrogenase: PGD)はデンプンゲル電気泳動法,グループスペシフィックコンポーネント(Group specific component: GC)およびヘモグロビン(Hemoglobin: HB)は等電点電気泳動法,ポストトランスフェリン(Post-transferrin: PTF)およびトランスフェリン(Transferrin: TF)は水平式ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によりそれぞれ分析した.その結果,GC, HBおよびPTFにおいて多型が観察され,それぞれ3,2,3の対立遺伝子が検出された.さらに対立遺伝子頻度を求めたところ,これらの各対立遺伝子頻度の出現率において,3つの集団間に差異が認められた.また,平均ヘテロ接合度は,奥日光,表日光,足尾の順に高く,標準遺伝距離は,足尾~表日光で低く,奥日光~足尾間で高い結果となった.
  • 河原 孝吉, 鈴木 三義, 渥美 正, 萩谷 功一, 後藤 裕作
    2001 年 72 巻 9 号 p. 303-312
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本分析では,牛群,審査年月日,産次および審査委員サブクラス内の表型標準偏差の推定値によって体型記録を補正し,それら体型形質の育種価に対するヘテロ化表型分散の影響を調査した.分析には,1973年から1996年の間に生まれた雌牛において,1984年4月から1998年3月までに日本ホルスタイン登録協会で審査を実施した23の体型形質,584,377記録を使用した.サブクラス内の表型標準偏差の推定値は,WeigelとGianola22)の簡略化ベイズ法(Simple Bayesian method)を使用して推定した.各体型形質の育種価を推定するための混合モデルには,母数効果として,牛群•審査年月日•産次,審査月齢および泌乳ステージ,さらに産次と泌乳ステージおよび泌乳ステージと審査委員の各交互作用,変量効果として個体の相加的遺伝効果(育種価),恒久的環境効果および残差を含み,これを複数記録アニマルモデル(RM)とした.RMから推定した育種価は,初産次の審査記録のみを使用した場合の単一記録アニマルモデル(SM)から推定された育種価と比較した.遺伝評価は,実測記録と補正記録を用いて行った.分散分析の結果,体型形質の中には,補正することによって,審査委員と産次の影響が減少する傾向が認められるものもあった.RMを使用し実測と補正記録から推定された育種価間の相関は,すべての個体を対象にした場合,種雄牛および雌牛ともに0.98から0.99の範囲を示したが,上位牛に制限すると種雄牛において0.76から0.97の範囲,雌牛では0.51から0.85の範囲で低下する傾向が認められた.RMとSMにおける育種価間の相関係数は,種雄牛の場合,補正によって,高さ,尻の角度および蹄の角度以外の形質において,上昇する傾向が認められた.雌牛の育種価間の相関係数は,補正によって,高さと乳頭の長さ以外の形質で上昇する傾向が認められた.それゆえ,本分析では,審査委員,審査年次および産次において,ヘテロ化牛群分散が存在する可能性を示唆する結果が得られた.
  • 撫 年浩, カヌーア アーサーボブ, 増田 恭久, 平原 さつき, 藤田 和久
    2001 年 72 巻 9 号 p. 313-320
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    24頭の黒毛和種去勢肥育牛を用い,枝肉第6~7肋骨間のリブロース部の画像情報と枝肉重量から枝肉構成が推定できるかどうかを検討した.画像情報として枝肉左半丸の第6~7肋骨間切開面のうち胸椎棘突起と胸椎端部で垂直に交わる直線で囲まれた部分および胸椎棘突起と,胸椎端部と腸肋筋端部を結ぶ直線で囲まれた部分,ならびに胸最長筋および僧帽筋の形状(面積,長径,短径,周囲長)を画像解析法により測定した.また,枝肉を筋肉分離し,筋肉重量,脂肪重量,筋肉重量割合,脂肪重量割合を測定した.画像情報と筋肉•脂肪重量および筋肉•脂肪重量割合の関係を重回帰分析により調査した.筋肉重量は画像解析法により得られたロース芯面積,筋肉面積割合および枝肉重量から得られた回帰式により寄与率94.8%で推定された.また,ロース芯面積,脂肪面積割合および枝肉重量から得られた回帰式においても寄与率94.7%で予測された,筋肉重量割合,脂肪重量,脂肪重量割合についてはロース芯面積,脂肪面積割合および枝肉重量から得られた回帰式によりそれぞれ寄与率93.9%,98.2%,93.1%で推定された、黒毛和種去勢肥育牛の枝肉構成を推定するには胸椎棘突起と胸椎端部で垂直に交わる直線で囲まれた部分の画像情報のほうが胸椎端部と腸肋筋端部を結ぶ直線で囲まれた部分の画像情報よりも有効であり,ロース芯面積,脂肪面積割合および枝肉重量が非常に重要であることがわかった.
  • 口田 圭吾, 長谷川 未央, 鈴木 三義, 三好 俊三
    2001 年 72 巻 9 号 p. 321-328
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    デジタルカメラと照明装置とを一体化した枝肉横断面撮影装置(以下,撮影装置)を,より多くの枝肉に適用可能とするよう改良し,得られた画像を利用して,牛肉色基準(BCS)ナンバーを推定することを目的とした.撮影装置は,リング照明方式を採用し,装置の高さを従来型より12cm低い33cmとした.内部には,1,002個の白色発光ダイオードが配置され,均一で安定した光を枝肉横断面に照射可能である.BCS標準模型について撮影装置からの画像より得られた赤(R),緑(G),青(B)各階調値および輝度とBCSナンバーとの相関係数は,それぞれ-0.98,-0.91,-0.82および-0.99であり,BCSナンバーと輝度との関係がもっとも直線的であった.北海道内の食肉処理場において,第6~7肋骨横断面の画像を採取し(n=1,208),変数逐次増減法による重回帰分析を行い,BCSナンバーを画像解析形質から推定した.推定されたBCSナンバーと格付員によるそれとが一致した割合は76.8%,それが±1以内であった割合は,100.0%となった.
  • 郡司 さとみ, 浜野 晴三
    2001 年 72 巻 9 号 p. 329-336
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    3頭の種雄牛の凍結融解精子を用い,受精能獲得誘起に及ぼすβ-メルカプトエタノール(β-ME)の効果および受精後の胚盤胞への胚発生に及ぼす影響を検討した.黒毛和種種雄牛A, BおよびCの洗浄精子を,ヘパリン(10μg/ml)およびウシ血清アルブミン(3mg/ml)を含むβ-ME無添加あるいは添加BO培地に懸濁して媒精を行った.その結果,媒精後8時間におけるβ-ME無添加区の精子侵入率は,それぞれ66,30および28%であったのに対して,10μM添加区では種雄牛Aで92%,25μM添加区では種雄牛BおよびCでそれぞれ53および63%と無添加区に比べて有意に高い侵入率であった(P<0.05).精子侵入時期の観察では,種雄牛AおよびBの場合,媒精後2時間の無添加区でそれぞれ6.7および5.1%の侵入率が認められたのに対し,添加区ではそれぞれ26.7および18.5%と有意に高い割合となった(P<0.05).一方,種雄牛Cでは,媒精後2時間で両区間に有意差は認められなかったものの,6時間では無添加区の28.6%に対し,添加区では49.1%と有意に高い割合となり(P<0.05),種雄牛によって侵入時期が異なることが明らかにされた.媒精後の卵子を卵丘細胞単層と共培養して胚盤胞への発生を観察した結果,種雄牛Aでは無添加区の26.0%に対して,β-ME 10μM添加区では58.6%と有意に高い値を示した(P<0.05).また,種雄牛Bでは無添加区の8.3%に対して,25μM添加区の値は21.4%と有意に高かった(P<0.05)が,種雄牛Cではそれぞれ10.0および重11.8%で両区間に有意差は認められなかった.
  • 笹木 教隆, 河合 隆一郎, 前田 淳一
    2001 年 72 巻 9 号 p. 337-342
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    供胚牛への飼料給与を調節し胚回収成績が向上するか検討するため,胚回収成績と血中アンモニア濃度の関係について調査した.その結果,血中アンモニア濃度が31~40μg/dlの群で胚回収成績がもっとも良好であった.この結果を基に,供胚牛へ分解性摂取タンパク(DIP)含量,非繊維性炭水化物(NFC)含量の異なる飼料を給与し胚回収成績を調査した.供胚牛を給与飼料別に,分解性摂取タンパク(DIP),非繊維性炭水化物(NFC)含量によりA群[高DIP,低NFC],B群[低DIP,低NFC],C群[低DIP,高NFC]の3群に分け胚回収成績を調査したところ,C群はA群に比べ移植可能胚数が多く(P<0.05),移植可能胚回収率(移植可能胚回収頭数/胚回収頭数)もC群はA群に比べ高かった(P<0.05).以上の結果をもとにC群と同様な飼料を供胚牛に給与したところ,移植可能胚数が12.4±8.3個,移植可能胚回収率が96.0%(24/25)と向上した.このことから,供胚牛へ低DIP含量,高NFC含量の飼料を給与することにより,供胚牛の血中アンモニア濃度が31~40μg/dlとなり,胚回収成績が向上することが明らかとなった.
  • 鈴木 知之, 潘 軍, 上田 宏一郎, 田中 桂一, 大久保 正彦
    2001 年 72 巻 9 号 p. 343-350
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻時の飼料片微細化に影響する要因を検討するために,オーチャードグラス乾草(OG)あるいはアルファルファ乾草(ALF)を1日1回定量給与した食道フィステル形成去勢牛2頭から,反芻時における吐き戻し食塊('Up'食塊),吐き戻し直後に反芻胃へ送り返される食塊('Tail'食塊)および咀嚼を受けて嚥下される食塊('Down'食塊)を食道フィステルより飼料給与後各時間帯(前期,6~12;中期,12~18;後期18~24時間)に採取した.各食塊の重量および飼料片粒度分布(LP;>5600,MP;5600~1180,SP;1180~300,およびFP;300~47μm)を測定した.両革種とも'Up'食塊中の大飼料片(LP+MP)割合は前期よりも後期で低くなった.これにともない,'Tail'食塊口腔に残され実際に咀嚼を受ける食塊('Retained'食塊),および'DOWn'食塊中の大飼料片割合も前期よりも後期で低くなった.大飼料片微細化効率(微細化した大飼料片乾物重量/'Retained'食塊中の大飼料片乾物重量×100),および大飼料片の脆弱性の指標となるSpecific fragility(微細化した大飼料片乾物重量/咀嚼回数/'Retained'食塊中の大飼料片乾物重量)は,両草種ともに前期よりも後期で高くなった.大飼料片微細化効率は中期および後期でOGの方がALFよりも高くなったが,大飼料片微細化量はすべての採取期を通して草種間差は見られなかった.両草種とも咀嚼によるSP画分の増加率は前期に比べ後期で低く,FP画分では逆に前期よりも後期で高くなる傾向にあり,OGよりもALFの方がSP画分の増加率が高い傾向にあった.以上から,反芻サイクルにおける大飼料片微細化効率および微細化のパターンには大飼料片の脆弱化が影響していることが示唆された.
  • 古賀 照章, 斉藤 友喜, 吉田 宮雄, 石崎 重信, 室井 章一, 関 誠, 清水 景子, 加藤 泰之, 内田 哲二, 砂長 伸司, 木村 ...
    2001 年 72 巻 9 号 p. 351-358
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    2産以上のホルスタイン種泌乳牛68頭を用いて,食品製造副産物の給与が乳生産および生理諸元に及ぼす影響について検討した.対照区として食品製造副産物(豆腐粕•ビール粕•生米糠)を含まない区(LB区),試験区としてこれらの食品製造副産物を多給(乾物として25.6%)した区(HB区)とその中間(乾物として12.8%)である区(MB区)を設け,分娩後15週間の飼養試験を8都県の試験場で行った.その結果は試験場をブロックとする乱塊法で解析した.供試牛の体重と乾物摂取量は試験区間に差はなかった.食品製造副産物の給与割合が増加するほど飼料中の総エネルギー含量は多くなったが,エネルギー消化率は低くなり,可消化エネルギー摂取量では試験区間に差はなかった.乳量はHB区がLB区に比べ少なく(P<0.05),乳脂率はHB区,MB区がLB区に比べ高かった(P<0.05).4%乳脂補正乳量ではHB区がLB区に比べ少ない傾向が見られた(P<0.10).特にHB区の乳生産が劣った原因として,飼料中の非繊維性炭水化物(NFC)が少なく,粗脂肪が多かったため,ルーメンにおける微生物の活動が低下した可能性が推察された.以上のことから,豆腐粕•ビール粕•生米糠を泌乳前期の高泌乳牛に与える場合,1割程度の配合割合が望ましいと考えられ,さらに配合割合を増す場合は,NFCや粗脂肪含量に配慮すべきことが示された.
  • 西藤 克己, 野村 眞美
    2001 年 72 巻 9 号 p. 359-370
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    α-リノレン酸(C18:3ω3)を豊富に含むエゴマ種子の飼料配合率が卵黄内脂肪酸含量に及ぼす影響を調査した.31週齢産卵鶏を用い,エゴマ種子配合飼料を6週間給与した.卵黄内C18:3ω3含量は,エゴマ種子0,2.5,5,7.5および10%配合区で,それぞれ0.18,0.66,1.30,1.71および2.10mg/卵黄100mgであった.エゴマ種子配合率と卵黄内C18:3ω3含量との間に有意な2次回帰式が得られた.卵黄内のC18:2ω6およびC20:5ω3含量もまたエゴマ種子給与によって増加した.しかし,C14:0, C16:0, C16:1, C18:1, C18:3ω6およびC20:4ω6含量は減少した.飼料摂取量,産卵率および卵重は区間に有意差がなかった.4週間の貯卵によって,卵黄内の脂肪酸総量,飽和脂肪酸,ω6系列脂肪酸含量が減少した.しかし,ω3系列脂肪酸含量には有意な減少がなかった.本研究の結果から,α-リノレン酸含量が高い卵を生産するためには,エゴマ種子の飼料配合率は2.5%から5%までの範囲が適切であると示された.
  • 土井 瑞芳, 泉本 勝利
    2001 年 72 巻 9 号 p. 371-377
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    開発したコンピュータ制御によるSFV (shear force value,せん断力)測定装置によって,食肉のSFVプロフィール特性を解析した.加熱によって筋線維の硬化と同時に結合組織の脆弱化による軟化の逆の現象が進行している.SFVプロフィールは生肉では単純な放物線状の増加を示し,最大値がストローク終点に現われた.SFV最大値は加熱によりストローク中点の方向にシフトした.加熱によるストローク中点のSFV50の増加は筋線維の硬化に対応し,逆にストローク終点のSFV100の減少は結合組織の脆弱化に対応した.これら硬軟逆方向の現象は温度-時間-SFVの規則性に認められ,SFV50およびSFV100は歯ごたえおよび歯切れの食感の指標となった.良好なテクスチャーはパステリゼーション加熱条件に合致した.SFV50と加熱損失や明度との間に正の相関があった.SFVプロフィールは感性のテクスチャーをリアルタイムに解析するために有用であった.
  • 平山 琢二, 安里 直和, 加藤 和雄, 太田 實
    2001 年 72 巻 9 号 p. 378-382
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    雑種雄ヤギ3頭を用いて,適温区(温度20°C,相対湿度80%),暑熱区(温度33°C,相対湿度80%)および暑熱送風区(温度33°C,相対湿度80%および風速50m/min)の3区において,摂取粗飼料量を同一にした場合における,直腸温度,第一胃内温度,消化率,第一胃内VFA濃度,摂取飼料の体内滞留時間および第一胃収縮の振幅•頻度を測定した.直腸温度は,暑熱区が適温区および暑熱送風区に比べ有意に高くなった(P<0.05),消化率は,暑熱区および暑熱送風区で高い傾向にあり,粗タンパク質消化率で有意差が認められた(P<0.05).第一胃内VFA濃度は,暑熱区および暑熱送風区で高い傾向を示し,総VFA濃度で有意差が認められた(P<0.05).摂取飼料の体内滞留時間は,暑熱区および暑熱送風区で延長される傾向にあった.第一胃収縮の振幅および頻度は,暑熱区および暑熱送風区で低い傾向にあり,採食,反芻および休息時の振幅で有意差が認められた(P<0.05).これらの結果から,暑熱時の送風は,暑熱時の体温上昇の抑制に対して効果が高いが,暑熱が第一胃収縮運動や消化管内容物の通過速度に及ぼす影響を軽減する効果は低いものと考えられる.
  • 平山 琢二, 太田 實
    2001 年 72 巻 9 号 p. 383-386
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    動物を拘束せずに第一胃収縮運動を測定する目的で,圧力変化に対応して微弱な電波を間欠発信するラジオカプセルを開発した.さらに,第一胃にフィステルを装着したヤギを用いて,ラジオカプセルを第一胃内へ投入し,同時にフィステルに第一胃収縮測定用トランスデューサを装着して,採食,反芻および休息時における第一胃収縮の振幅および頻度について,ラジオカプセル法とフィステルートランスデューサ法について比較検討した.採食,反芻および休息時の第一胃収縮の振幅は,ラジオカプセル法およびフィステルートランスデューサ法ともに同様な結果が得られた.また,第一胃収縮の頻度についても,振幅と同様にラジオカプセル法およびフィステルートランスデューサ法の間に差は認められなかった.このことから,開発した第一胃収縮運動を測定するラジオカプセルは,動物を拘束せずに第一胃収縮運動の振幅および頻度を測定する手法として有効であると考えられる.
  • 顔 培實, 伊藤 敏男
    2001 年 72 巻 9 号 p. 387-391
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,ミニブタの「社会空間行動」や臥位姿勢による体表温と体表面積の変化の観察から,ブタにおける行動性体温調節の特徴について検討した.体重19~21kgのミニブタ雄3頭をくりかえし用い,環境温度(Te)20°から,10,20,26,32および37°へそれぞれ7時間暴露した.伏臥で体を寄せ合う「ハドリング」は,20°では47分/時間であり,10°では12分/時間と減少した.10°では起立が46分/時間と多く,この時ブタは活発に活動していた.横臥時間は,26°から増え始め,32および37°で40分/時間であった.32°では,「接触」と「分散」がともに25分/時間であったが,37°では,「接触」(9分/時間)に比べ「分散」(41分/時間)の時間が長くなった.平均体表温と最大体表温の変化率は,Te 1°の上昇につき,それぞれ0.56と0.28(°/°)であった.露出体表面積は20°以下では低いレベルに維持され,26°では増加が認められ,37°ではさらに大きくなった.このように,「ハドリング」,「接触」および「分散」などの社会空間行動の出現は,各温域において露出体表面積を調整し,これらの行動は,個体間の間隔を調整する行動性体温調節機能を有し,環境作用を反映する指標としてブタの環境管理に役立つものであると考えられた.
  • 羅 殷洙, 姜 浩, 陳 昌淑
    2001 年 72 巻 9 号 p. 392-399
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    スクリューデカンターに各種の制御機能を追加したモデルデカンターを用いて,総固形物濃度(TS)12.6%のスラリー状態の養豚排水の固液分離特性と分離性能について検討した.100m3の容量の養豚排水の貯留槽からスラリーをプレスポンプを使用して実験用スラリー供給タンクに送った.タンク下部の排出口から排出されるスラリーは,定量供給ポンプにより1kg/cm2まで加圧してモデルデカンターのフィードパイプに注入した.TS12.6%のスラリー状の養豚排水の固液分離を行う場合,スクリューデカンターの最適運転条件は,遠心動力(G)は2465G,供給量は1.6m3/時,越流速度0.1~0.3cm/時に該当するスクリューコンベヤーの差速3rpm, Poolの高さは11.5mmであった.この条件で固液分離した結果,流入水に比べてTS46.8%, CODcr40%, BOD32%, TKN62%, TP49%,スラリー体積13.8%が減少した.
  • 賀来 康一
    2001 年 72 巻 9 号 p. 400-408
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1980~1998年,国産豚枝肉の市場規模は8,262億円から5,307億円へ減少し,中央卸売り市場扱い量は全生産量の6.1~7.7%に過ぎなかった.1995~1999年,国産部分肉のセットとパーッの流通比率50:50のもと,国産豚肉に関する価格変動係数(%/年)と市場規模(億円/年)の年間平均は,上規格枝肉12.57%と1,554.21億円,部分肉セット11.81%と2,955.12億円,うで10.39%と497.63億円,かたロース9.58%と354.53億円,ロース11.12%と878.52億円,ヒレ11.99%と136.26億円,ばら6.43%と532.35億円,もも10.70%と733.17億円であった.1995~1999年,豚部分肉の市場規模(億円/年)は,国産セットとパーッ合計6,087.59億円,輸入分を合計した国内流通全体9,673.50億円であった.生鮮国産豚部分肉を現物先物市場へ上場することにより指標価格形成機能を期待でき,推定出来高の計算結果から,標準品候補として,(1) 部分肉セット,(2) 部分肉パーツ単品(ロース),(3) 部分肉パーッ(かたロース,ロース,ヒレ)の組み合わせが可能である.
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