放牧を利用した黒毛和種とホルスタイン種の交雑種(以下F
1)雌牛の一産取り肥育を確立するため,段階屠畜を行って産肉性を調査し,適切な肥育期間を検討した.F
1雌牛12頭を10ヵ月齢から6ヵ月間放牧した.12ヵ月齢で人工授精し22ヵ月齢で分娩を行い,分娩後母子を直ちに分離し濃厚飼料とトウモロコシサイレージの自由摂取により肥育した.肥育後6,9,12,15ヵ月目に各3頭屠畜した.枝肉格付けには,肥育期間による影響は認められなかった.肥育期間を通じて,枝肉中の筋肉と骨重量は有意に増加したが,脂肪重量は9ヵ月まで増加しその後は有意な増加を示さなかった.消化管,肝臓重量は肥育中に変化を示さなかった.大網膜脂肪および腸間膜脂肪重量は,肥育が進行しても有意な変化を示さなかった.肥育の進行にともない胸最長筋の総色素含量および粗脂肪含量は有意に増加したが,剪断力価や肉表面色は有意な変化を示さなかった.以上の結果から放牧を利用したF
1雌牛の一産取り肥育において,肥育期間中の肉量および牛肉の理化学的性状の変化は小さく,肥育期間は9ヵ月までが望ましいと考えられた.
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