緑茶飲料残渣を有効に利用するため,小規模発酵試験法を用い,緑茶飲料残渣とトウモロコシとのサイレージを混合調製し,その発酵品質を検討した.緑茶飲料残渣のみのサイレージ調製では,材料に可溶性炭水化物含量が少なく,サイレージ発酵に関与する乳酸菌は検出されず,好気性細菌,糸状菌および酵母は高い菌数レベルで存在していたため,良質なサイレージの発酵はしなかった.しかし,トウモロコシではグルコース,フルクトース,シュークロースなど可溶性炭水化物含量は高く,
Lactobacillus plantarumやWeissella confusa など付着乳酸菌も多かったため,高品質サイレージが調製された.また,トウモロコシと緑茶飲料残渣を混合調製したサイレージでは発酵初期に乳酸菌数が顕著に高まり,好気性細菌と糸状菌の菌数が急減し,良質なサイレージの発酵パターンを示した.これら混合サイレージでは乳酸含量が高く,pH値とアンモニア態窒素含量が低い高品質サイレージが調製され,長期貯蔵でも安定した品質が保持された.また,混合サイレージでは粗タンパク質,カテキン類,カロチンおよびビタミンEなどが多く含まれた.以上の結果,緑茶飲料残渣はトウモロコシとの混合調製により,発酵品質が良好で長期貯蔵も可能なサイレージが調製される.
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