生産感度解析を用い,養豚農家の繁殖成績の重要な指標である年間種付け雌豚当り離乳子豚数(PWSY)に影響を与える要因について,農家ごとに要因の優先順位付けを行った.それらの要因は,一腹当りの総産子数(TB),死産子豚数(SB),ミイラ子豚数(MB),哺乳子豚死亡率(DR),種付け雌豚非生産日数(NPSD),妊娠日数(GL)と授乳日数(LL)である.79農家のフィールドデータを用い,農家別に各要因の実績値を求めた.年間種付け雌豚当り離乳子豚数の予測モデル式は,PWSY=(TB-SB-MB)×(1-DR/100)×{(365-NPSD)÷(GL+LL)}と定義した.TB, SB, MB, DR, NPSD, GLとLLの目標値は,それぞれ12.5頭/腹,0.8頭/腹,0.0頭/腹,6.8%,34.1日/(種付け雌豚・年),115日/腹,19.7日/腹を使用した.生産感度解析の結果,優先順位第1位となった農家戸数はTBがもっとも多く29戸,次いでDRの23戸,NPSDの19戸,そしてSBの8戸の順であった.生産感度解析は,農家の実現値を得ることができれば解析可能であり,実用的な優先順位付けの手法である.
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