イタリア産乾塩生ハムであるクラテッロの品質特性を調べ,パルマハムならびにイベリアハムと比較した.クラテッロの生菌数は,2.0×10
4~2.5×10
6で,その主たるものは乳酸菌であった.大腸菌,黄色ブドウ球菌等の病原菌は検出されなかった.クラテッロの脂肪酸は,パルマハムのものとほぼ同じ組成を示したが,イベリアハムのものとは若干異なっていた.クラテッロのオレイン酸の割合は,イベリアハムのものより8.2%少なく,ステアリン酸やリノール酸の割合は,それぞれ4.4%と5.4%多かった.クラテッロに顕著に検出された有機酸は,乳酸とグルコン酸であった.クラテッロの遊離アミノ酸含量は,パルマハムやイベリアハムよりも多く,100g当たり約4.7gであった.とくに,Glu, Lys, Leu, Ala, Aspの含量が多かった.またペプチド含量も,他のハムに比べて高い値を示した.この中のペプチドを解析した結果,トロポニンTの分解物であるペプチド断片が検出された.クラテッロ,パルマハムならびにイベリアハムを官能評価した結果,クラテッロが他に比べて有意にまろやかであると評価された.
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