分娩後の配合飼料給与水準が,黒毛和種の乳量と乳成分および血液性状に及ぼす影響を検討した.黒毛和種成雌牛18頭を供試し,給与水準を維持(L区),維持+乳量7kgレベル(M区),維持+乳量14kgレベル(H区)の3処理設定した.維持レベルに相当する量として,乾草を現物で7.5kg/日の一定給与とし,体重差および処理区ごとの乳量レベルに相当する増給分を配合飼料の給与量で調節した.給与飼料中の粗飼料割合はL, M, H区でそれぞれ,87.6,64.1,47.5%であった.分娩後1~4週目まで週1回,乳量と乳成分および血液成分を測定した.乳量はL, M, H区でそれぞれ5.1,5.4,6.7kg/日,乳タンパク質率は3.55,3.75,3.84%であり,給与水準の増加にともない有意に増加した(
P<0.01).乳脂肪率はそれぞれ5.57,6.03,5.10%とM区で有意に高かった(
P<0.05).乳糖および無脂固形分率は処理間に差はなかった.血中尿素態窒素濃度は給与水準の増加にともなって有意に増加し(
P<0.01),グルコース濃度は有意に低下した(
P<0.05).血中遊離脂肪酸濃度とコレステロール濃度は処理間で変動が異なった.以上の結果から,黒毛和種において分娩後の給与水準を高めると乳量が増加し,乳成分は粗飼料割合に影響されることが示された.
抄録全体を表示