日本畜産学会報
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82 巻, 4 号
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一般論文(原著)
  • 織部 治夫, 上田 博美, 川嶋 賢二, 鎌田 望, 井上 貢, 石井 貴茂, 浅田 尚登, 原田 英雄, 久末 修司, 秋山 清, 久保田 ...
    2011 年 82 巻 4 号 p. 371-381
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2012/05/25
    ジャーナル フリー
    飼料中の粗タンパク質(CP)および第一胃非分解性タンパク質(CPu)含量が60頭のホルスタイン種育成雌牛の発育および窒素出納に及ぼす影響について検討した.試験期間を90日齢から体重350kgまでとし,増体日量(DG)を1.0kgに設定して低CP (LP)区と高CP (HP)区を設けた.体重200kgまでは乾物中のCP (CPu)含量をLP区13.9%(4.8%),HP区は16.1%(6.5%)とし,体重200kg以降はLP区11.7%(3.7%),HP区14.0%(4.8%)とした.体重350kgに達した日齢は両区間に差はなく,発育および体尺値の増加日量にも差は認められなかった.両区の窒素蓄積量に差はなかったが,HP区で尿中窒素排泄量が増加した.尿中排泄アラントイン量から推定した微生物態タンパク質合成量は体重200kg時でHP区が高く(P < 0.05),代謝タンパク質供給量もHP区で高まった(P < 0.01).以上より,TDN含量が70%前後の飼料給与によるDG 1.0kgレベルの高増体を示す育成雌牛には,LP区のCPおよびCPu含量以上のタンパク質増給は発育および窒素蓄積量には影響せず,増給したCPuはほとんど尿中に排泄されて有効に利用されないことが示唆された.
  • 神谷 充, 服部 育男, 鈴木 知之, 境垣内 岳雄, 寺内 方克, 樽本 祐助, 佐藤 健次, 神谷 裕子, 林 義朗
    2011 年 82 巻 4 号 p. 383-390
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2012/05/25
    ジャーナル フリー
    飼料用サトウキビサイレージ(キビS)の給与が育成牛の飼料摂取量と増体に及ぼす影響を検討するため,黒毛和種去勢牛14頭(5ヵ月齢)の育成期に飼養試験を5ヵ月間実施した.濃厚飼料を制限給餌し(加齢に伴い2.1%から1.5%に減量),粗飼料については,0%区(5頭)に輸入エンバク乾草,50%区(5頭)に輸入エンバク乾草とキビS(原物比1 : 1(乾物比約4 : 1)),100%区(4頭)にキビSを不断給餌した.平均日増体量(kg/日)はキビS給与割合の増加に伴って低下傾向を示した(linear, P < 0.10).粗飼料摂取量(体重%)は50%区が高値を示し,100%区が最も低値であった(linear, P < 0.01 ; quadratic, P < 0.05)が,ADF摂取量(体重%)は0%区,50%区および100%区でそれぞれ0.47, 0.53および0.50と影響はなかった.以上の結果から,キビSは飼料中繊維含量などを考慮することで,黒毛和種去勢牛の育成期において利用できると考えられた.
  • 押部 明徳, 磯島 昭代, 河本 英憲, 澁谷 美紀, 福重 直輝, 出口 新
    2011 年 82 巻 4 号 p. 391-395
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2012/05/25
    ジャーナル フリー
    家畜を用いた動物介在イベントが,参加者に生理的影響を及ぼすか否かを明らかにするために,ヒツジを用いた動物介在イベントを開催し,父母と子で構成される家族単位で参加した36家族,123人のイベント参加前後の唾液アミラーゼ活性を測定した.その結果,参加者全体のイベント参加後の唾液アミラーゼ活性を参加前のそれと比較した場合,有意な差は認められなかった.しかし,基本属性と動物飼育の経験に基づいてグループ分けすると,男子ではイベント参加後に唾液アミラーゼ活性の減少が認められ,また,動物を飼っている女性においても減少が認められた.一方,現在は動物を飼っていないが過去に飼った経験のある母ではイベント参加後に唾液アミラーゼ活性の増加が認められた.これらの結果から家畜を用いた動物介在イベントが参加者に及ぼす生理的影響には性差および年齢差が存在し,さらに動物飼育に関わる経験による影響を受けることが示唆された.
  • 小山 太, 松原 英隆, 今村 弥生, 尾上 武, 近藤 隆一郎
    2011 年 82 巻 4 号 p. 397-404
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2012/05/25
    ジャーナル フリー
    畜産経営のうち最も悪臭の苦情件数が多い養豚業の臭気発生状況を明らかにするために豚糞尿堆肥化施設における堆肥原料が含有する臭気物質を調査した.豚糞尿混合物からはトリメチルアミン,硫黄化合物,低級脂肪酸,フェノール類,インドール類が検出された.これを返送堆肥と混合することで各物質の濃度は大幅に減少した.通気式発酵槽に15日間充填し,発酵槽上部の臭気物質濃度を測定した結果,堆肥化開始時にはアンモニア,トリメチルアミン,メチルメルカプタン,硫化メチル,二硫化メチルが高かったが,堆肥化の進行とともに減少し,15日後にはほぼ検出されなくなった.以上のことから,養豚堆肥化施設では豚舎から搬出した糞尿に返送堆肥を加えて速やかに堆肥化することで施設内から発生する臭気を防止できる.
  • 田中 康男, 山下 恭広, 荻野 暁史
    2011 年 82 巻 4 号 p. 405-411
    発行日: 2011/11/25
    公開日: 2012/05/25
    ジャーナル フリー
    酪農雑排水を,パーライト粒を微生物坦体に用いて処理する検討を行った.装置は容積128Lの円筒形で,パーライトを30L投入し,曝気強度1~9m3/m3・時で連続曝気した.原水は,パーラー排水と,牛舎由来糞尿混合スラリーを脱水機で固液分離した液分との混合液を用いた.曝気後に目開き1mmのネットを通して液面レベルから液を引抜き沈殿槽に流入させ,沈殿槽流出水を処理水とした.運転は温度制御せずに約300日間行った.原水の生物化学的酸素要求量(BOD)は2231 ± 1278mg/L(平均 ± 標準偏差)であった.水温5~30℃で処理水BODを120mg/L以下に保つには,BOD容積負荷を0.5kg/m3・日以下にすることが必要と推定された.原水全窒素濃度は135 ± 40mg/Lで,除去率は平均69%であった.搾乳機器洗浄用の薬剤が処理に与える影響を検討した.その結果,メーカー推奨濃度で洗浄に使用した各種薬剤は,使用後に殺菌剤は25倍以上,酸リンス剤は5倍以上,アルカリ性洗剤は25倍以上に排水で希釈されれば浄化能に影響しないことが示唆された.
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