バレイショ生澱粉(RPS)を配合した低タンパク質飼料の給与が肥育豚の窒素排泄量およびアンモニア揮散量に及ぼす影響を調査した.飼料反転法による窒素出納試験に 4頭の去勢雄(WLD, 64.0kg)を,またウインドウレス豚舎内でのアンモニア揮散量の測定試験には 8頭の去勢雄(WLD, 70.0kg)を用い,いずれの試験でも標準的肥育飼料(CP 15.7%)を給与する対照区とRPSを20%配合した低CP飼料(CP 11.6%)を給与するRPS区を設定した.RPS区では糞への窒素排泄量は対照区より多い(
P<0.01)ものの,尿への窒素排泄量と糞尿への総窒素排泄量は少なくなった(
P<0.01).糞尿混合物からの
in vitro アンモニア揮散量(
P<0.05)および豚舎内アンモニア濃度(
P<0.01)はRPS区で低くなった.一方,試験期間における肥育豚の増体量,飼料摂取量および飼料要求率には両区間の差は認められなかった.以上の結果から,RPSを配合した低タンパク質飼料の給与は肥育豚の発育に影響することなく,尿への窒素排泄量および豚舎内アンモニア濃度を大幅に低減できる可能性が示された.
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