日本畜産学会報
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88 巻, 1 号
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一般論文(原著)
  • 青木 康浩, 大下 友子, 青木 真理
    2017 年 88 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル フリー

    乾乳牛用発酵TMR(Total Mixed Ration,混合飼料)の飼料成分,発酵品質,好気的安定性および嗜好性について同ロットの材料で調製したフレッシュTMRを対照として調べた.トウモロコシサイレージ,牧草サイレージおよび乾草(乾物比計93%)と配合飼料(7%)を含むTMR(乾物中可消化養分総量63%,粗蛋白質12%)を細断型ロールベーラで発酵TMRとして調製した.4ヵ月貯蔵後における発酵TMRの乾物率は対照より高かった(P=0.01)がその差は約1ポイントで,他の成分に差はなかった.pH,乳酸,エタノールに差はなく,酢酸,プロピオン酸,揮発性塩基態窒素は対照より多いがV-スコアは92と良好であった.発酵TMRの好気的変敗は対照に比べ著しく抑えられ,対照と同時に給与した際の採食量は61:39の比率で多かった.以上のように,粗飼料が多く濃厚飼料の少ない乾乳牛用TMRの発酵調製によって,搾乳牛用発酵TMRにおける既知の特徴と同様に,好気的安定性や嗜好性が向上することが示された.

  • 塩田 幸弘, 八代田 真人, 河村 あゆみ, 田中 正之
    2017 年 88 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル フリー

    日本の動物園でキリンなどに一般的に給餌されている4樹種(ニセアカシア,シラカシ,トウネズミモチ,ヤマモモ)を対象に,1)葉重量と枝切断面直径の関係から樹葉給餌量推定法の確立を行い,2)樹葉の栄養含量とその季節変化を評価し,飼料としての有効性を明らかにすることを目的とした.回帰分析の結果,枝切断面直径(X)から葉重量(Y)を推定することが可能であることが示された(全樹種を合わせた回帰式:Y=0.819X2.028,R2=0.784,P<0.001).樹葉の栄養含量については樹種ごとに異なる季節変化が認められ,葉の更新・加齢だけでなく,冬季および越冬後の環境変化の影響が示唆された.結合性タンパク質(BP)は,すべての樹種で極めて高い値となり(23.5-79.8%CP),採食量や消化率の低下に注意が必要であることが示唆された.

  • 梅田 剛利, 太田 剛, 浅岡 壮平, 森 康浩, 嶋谷 頼毅, 手島 信貴, 宮川 創, 馬場 武志
    2017 年 88 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル フリー

    ブナシメジ廃菌床(以下,廃菌床)が泌乳牛用発酵混合飼料(発酵TMR)の原料として利用可能であるかを検討するため,ホルスタイン種泌乳牛4頭に廃菌床を乾物あたり8%含む発酵TMR(廃菌床区)あるいは含まない発酵TMR(対照区)を給与した1期14日間の試験を行い,2期目には処理を反転した.発酵TMRは発酵品質を調査し,TMRの粗濃比,水分含量,有機物含量,粗タンパク質含量およびNDFom含量は両区でそろえた.廃菌床を添加した発酵TMRの発酵品質は良好であり,廃菌床区の乳成分は乳タンパク質率が対照区と比べて低かった(P<0.01)ものの,乳タンパク質生産量は有意差が認められず,乳脂肪率と乳糖率は対照区と比べて有意差が認められなかった.廃菌床区の乾物摂取量および乳量は対照区と比べて有意差が認められなかった.これらのことから,ブナシメジ廃菌床は発酵TMRの原料としての利用可能性が示された.

  • 多田 慎吾, 青木 康浩, 大下 友子
    2017 年 88 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル フリー

    北海道内で生産した51点のイアコーンサイレージ(ECS)について,飼料成分組成および可消化養分総量(TDN)含量を測定し,ニューラルネットワークモデル(NNM)によるTDN含量推定の妥当性を検証した.TDN含量は全糞採取法で査定し,平均値79.5%で72.2~88.9%の範囲にあった.酸性デタージェントリグニン(ADL)含量とデンプン含量を説明変数,TDN含量を目的変数とした重回帰分析とNNMによる非線形回帰分析を実施した.TDN含量の実測値と重回帰モデルによる推定値との間の決定係数は0.09と低かった.一方,NNMによる推定値と実測値との間の決定係数は0.58であった.以上の結果から,ECSのTDN含量とADLおよびデンプン含量との関係は非線形であること,NNMを用いることで重回帰モデルより的確にTDN含量を推定できることが示唆された.

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