日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
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89 巻 , 2 号
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一般論文(原著)
  • 馬場 俊見, 後藤 裕作, 山口 諭, 中川 智史, 阿部 隼人, 増田 豊, 河原 孝吉
    2018 年 89 巻 2 号 p. 163-169
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    43,053頭のSNPデータを利用し,胚死滅を起こす5つの遺伝的不良形質(HH1,HH2,HH3,HH4,HH5)および子牛致死性の牛コレステロール代謝異常症(HCD)のキャリア頻度をハプロタイプで推定した.さらに,HH1からHH5では,授精種雄牛と本牛の父牛の遺伝子型の相互作用の母数効果を含む分散分析を実施し,受胎率への影響を調査した.HH1のキャリア頻度は減少傾向にあるが,近年でも4%程度あり,HH2およびHH4より高く推移した.HH3の近年のキャリア頻度は雌牛でわずかに増加,HH5では3%から4%の水準で横ばい傾向にあった.HCDのキャリア頻度は,2012年以降減少傾向にあった.受胎率に対しキャリア同士の交配は,HH1で有意な負の効果,HH2からHH4で負の傾向が確認された.本結果は,HH1からHH5のモニタリング調査を実施し,キャリア同士の交配を避けるよう努めるべきことを示唆した.

  • 前田 友香, 西村 慶子, 寺田 文典, 櫛引 史郎
    2018 年 89 巻 2 号 p. 171-179
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    飼料の定量給与が肥育牛の飼料摂取量,発育および飼料消化性に及ぼす影響について検討した.供試牛は14ヵ月齢の黒毛和種去勢牛8頭とし,28ヵ月齢までの14ヵ月間を試験期間とした.処理区は,飼料給与量を日本飼養標準・肉用牛における日増体量0.75kgに必要な可消化養分総量要求量の110%量で定量給与する(定量)区および飽食給与する(飽食)区を設定し,各区に4頭配置した.肥育ステージの区分は,22ヵ月齢までを中期,その後28ヵ月齢までを後期とした.代謝体重当たりの飼料摂取量は,肥育中期は定量区が飽食区より有意に少なかったが,後期では逆に定量区が高まる傾向(P<0.10)を示した.定量区の飼料効率は,肥育中期(P<0.05)および後期(P<0.10)ともに飽食区を上回った.肥育後期の消化試験では,定量給与により暑熱期のCP消化率を改善し,蓄積窒素割合低下を防ぐことが明らかとなった.

  • 脇本 亘, 笠井 史子, 川嶋 賢二, 秋山 清, 永島 茂男, 野田 正人, 高橋 正樹, 蓮沼 俊哉, 上野 豊, 寺田 文典, 櫛引 ...
    2018 年 89 巻 2 号 p. 181-190
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    形状の異なる飼料用玄米の給与が,乳用育成雌牛(ホルスタイン種,6~8ヵ月齢)の日増体量(DG),消化率,および第一胃内発酵に及ぼす影響を検討した.DG0.90kgの可消化養分総量(TDN)要求量の40%を濃厚飼料とし,濃厚飼料の42%を圧ぺんトウモロコシに置き換えた対照区(10頭),未処理の玄米とした全粒区(11頭),および破砕した玄米とした破砕区(11頭)の3区を設定した.粗飼料はチモシー乾草を制限給餌した.全粒区の試験終了時体重,試験期間中のDG,および飼料効率は他の2区に比べて低くなった(P < 0.05).消化試験では,全粒区の乾物およびデンプン消化率が対照区よりも減少した(P < 0.05)が,破砕区は両者とも対照区と同等であった.以上より,乳用育成牛への飼料用玄米給与は,未処理では消化性が低いため発育が停滞するが,破砕処理により発育成績および消化性は圧ぺんトウモロコシと遜色が無かった.よって,破砕玄米は圧ぺんトウモロコシと置き換え可能な飼料素材であることが示された.

  • 井尻 大地, 宝蔵 直樹, 島元 紗希, 川口 真奈, 古川 愛理, 多田 司, 友永 省三, 中島 一喜, 大塚 彰
    2018 年 89 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    本研究では,ブロイラー初生ヒナに対する飼料給与の開始日齢が出荷時の肉質に及ぼす影響を調べた.0日齢ブロイラー(チャンキー系ROSS308オス)12羽を2区に分け,飼料給与を0日齢から開始した対照区と2日齢から開始した遅延区とした.両区ともに平均体重が2.2kgに達した時点で屠殺・解体した.平均体重が2.2kgに達した日齢は,対照区が55日であったのに対して,遅延区では60日であった.遅延区のムネ肉は,抗酸化酵素の遺伝子発現量およびα-トコフェロール含量に低下がみられ,脂質過酸化度が増加した.48時間保蔵後のドリップロスは遅延区で増加し,遅延区のムネ肉の色値は,明度が高く,赤色度が低かった.さらに,ムネ肉スープの呈味成分の分析を行った結果,遅延区のムネ肉は,対照区と比較して旨味および旨味コクが低い値を示した.以上より,飼料給与の開始日齢は,ブロイラーのムネ肉の脂質過酸化度やドリップ量,肉色,呈味成分に影響することが示唆された.

  • 勝俣 沙智, 鎌倉 美彩子, 磯島 聖良, 高橋 俊浩, 小林 郁雄, 河原 聡, 坂本 信介, 新美 光弘, 川島 知之
    2018 年 89 巻 2 号 p. 199-206
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    焼酎の蒸留副産物である生焼酎粕は揮発性のアルコールや有機酸を含むが,熱乾燥法により求めた成分値にはこれらが反映されていない.生焼酎粕を飼料原料として有効活用するため,生焼酎粕を含む飼料を肥育豚に給与し,飼養成績と肉質に及ぼす影響を調べた.LWD去勢雄8頭(体重69kg)を,4頭ずつ生焼酎粕区と乾燥焼酎粕区に割り当てた.両区ともに乾物あたり焼酎粕17%,配合飼料73%,トウモロコシ10%の割合で配合した飼料を給与し体重約115kgまで肥育した.行動解析により生焼酎粕を給与した肥育豚は活動性が低く,より多く休息していることが分かった.増体日量に差はなく,生焼酎粕供与による飼育成績は良好だった.乾燥焼酎粕区と比較し生焼酎粕区の胸最長筋のL*値が低い傾向にあった.また,胸最長筋の剪断力価は低い傾向にあり,消費者型官能評価によっても生焼酎粕給与により肥育された豚肉は柔らかいという結果となった.

  • 石塚 譲, 出雲 章久, 安松谷 恵子, 西田 眞治, 斉藤 恵子, 小森 勉, 忽那 圭子, 横山 晃一
    2018 年 89 巻 2 号 p. 207-217
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    ブロイラーの増体,免疫,肉質・肉量および腸内細菌叢に対するプロバイオティクス枯草菌BN株の効果を検討した.試験区は,枯草菌BN株のみ添加した区,抗菌性飼料添加物のみ添加した区および対照区を設定した.免疫はT細胞依存性および非依存性免疫と遅延型過敏症に対する反応を測定した.肉質は加熱損失,剪断力価,圧搾肉汁率および水分含量を測定した.腸内細菌叢はそ嚢,十二指腸,空・回腸,盲腸の4部位を調査した.その結果,枯草菌BN株区では,空・回腸の総嫌気性菌数は抗菌区や対照区と比較して増加した(P < 0.01).免疫反応,肉質・肉量は,他の区との差を認めなかった.7週齢の体重は,抗菌区よりも減少したが,対照区とは同等であった.以上より,枯草菌BN株は,ブロイラーへの増体効果は抗菌区に比べて劣るが,免疫反応,肉質・肉量は抗菌区や対照区と同等で,また,空・回腸の嫌気性菌に対しては増殖効果を持つことが示された.

  • 藤原 朋宏, 渡瀬 隆也, 松井 繁幸, 相原 和真, 佐野 文美, 市川 陽子
    2018 年 89 巻 2 号 p. 219-226
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
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    捕獲方法の異なるシカの食肉特性を比較検討することを目的に,巻き狩りとくくり罠で捕獲され,伊豆市食肉加工センター「イズシカ問屋」にて処理されたニホンジカの背最長筋を用い,水分含量,保水性,テクスチャー,肉色,遊離アミノ酸関連物質の分析をした.捕獲方法間で水分含量,保水性,遊離アミノ酸関連物質量に有意な差はみられなかった.剪断力価については,くくり罠捕獲で有意に低値を示した(P<0.05).色については,生肉のa*値がくくり罠で巻き狩りよりも有意に高値であり(P<0.05),加熱肉では差がみられなかった.本研究より,シカは捕獲方法で食肉特性が異なることが明らかとなった.

  • 鎌田 丈弘, 村元 隆行
    2018 年 89 巻 2 号 p. 227-234
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル 認証あり

    接触型電極を用いたインピーダンス測定による牛肉中脂肪酸組成の推定について検討を行った.ウシの半腱様筋,胸最長筋,および腹鋸筋からステーキを作製し,接触型電極を装着したLCRメータを用いてインピーダンスを測定した.各ステーキのインピーダンスと各脂肪酸割合との関係を単回帰分析により解析した結果,腹鋸筋のオレイン酸,飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸,および一価不飽和脂肪酸の割合とインピーダンスとの間に,それぞれ有意な相関が得られた.腹鋸筋の各脂肪酸の割合と粗脂肪含量との間に有意な相関は得られなかった.粗脂肪含量は腹鋸筋(29.7%)が半腱様筋(3.8%)および胸最長筋(12.9%)に比較して有意に高かった.本研究の結果から,脂肪含量が高い筋肉については,オレイン酸,飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸,および一価不飽和脂肪酸の割合が接触型電極を用いたインピーダンス測定により非破壊的に推定できる可能性が示された.

  • 松井 繁幸, 岩崎 邦彦
    2018 年 89 巻 2 号 p. 235-243
    発行日: 2018/05/25
    公開日: 2018/06/14
    ジャーナル 認証あり

    日本各地において食肉のブランドづくりが盛んに行われているが,産地間競争や国際競争が激化する中で強いブランドを構築する重要性は益々高まっており,その効果的な手法の確立が求められている.そこで本稿では,食肉のブランドづくりにおける示唆を得ることを目的として,銘柄食肉の管理担当者に対するアンケート調査を実施し,どのようなブランディング活動が銘柄の業績に影響を与えているのか,その関係性について重回帰分析により検証した.調査の結果,①独自コンセプトをもつこと,②消費者との交流,実食によるプロモーションをしていること,③ブランドづくりを推進する組織間で連携していること,④パッケージなどのデザインや見た目を重視していること の4つの活動が食肉銘柄の業績に対して正の影響を与えていることが明らかとなり,特に,「独自コンセプトをもつこと」の重要性が高いことが示された.

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