地理科学
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77 巻, 4 号
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短報
  • 森川 洋
    原稿種別: 短報
    2022 年 77 巻 4 号 p. 191-205
    発行日: 2022/11/28
    公開日: 2022/12/07
    ジャーナル フリー

    本稿は日本の都市の機能について検討した後に都市分類を試み,各タイプの都市の特徴について考察したものである。産業別就業者からみた日本の都市の機能には,安定した基本的機能のほかに機能的役割が都市規模によって異なる高次都市機能がある。高次都市機能就業者率は大都市ほど高いが,大都市圏内では衛星都市でも高くなる。農業・漁業は都市機能ではないが,その就業者率は人口5万人未満の零細都市では高い比率となる。そのほかに,東京圏を除く国土の中央部で高くなる製造業就業者率がある。製造業は都市の基本的機能とはいえないが,今日の日本の都市ではその比率は本来の都市機能に比べても高い方である。人口規模や都市機能に人口移動圏の調査を加えて都市分類を試みると,6階層が得られる。さらに,中小都市や零細都市を大都市や中核都市との距離(30 km)によって分類すると,人口増減率や財政力指数には上位都市との距離が強く働き,人口規模とともに立地場所の差異が都市の性格に影響する。大都市圏内の衛星都市は大都市と類似した特徴をもつのに対して,遠隔地方都市は農村部と同様に衰退方向にある。

  • 栗林 梓
    原稿種別: 短報
    2022 年 77 巻 4 号 p. 206-224
    発行日: 2022/11/28
    公開日: 2022/12/07
    ジャーナル フリー

    近年,進学機会の地域間格差を是正する動きの中で高等学校卒業者の大学・短期大学への進学移動に注目が集まっている。本稿では長野県の4つの通学区を事例に,1990年以降,高等学校卒業者の大学・短期大学への進学移動がどのように変化したのかを検討した。分析の結果,相対的に大学・短大教育の供給の少ない通学区では,県内進学率が低下したり,低水準で推移したりしていることが明らかとなった。また,新幹線が整備され,県外への交通アクセスが向上した通学区では,県外地方圏への進学率が相対的に大きく上昇した。特に,群馬県,新潟県,石川県,富山県といった長野県の近隣県への進学率の上昇がみられた。これらの通学区の高校生が進学先の検討をする際に重要視する,将来の職業,学力,資格,費用,といった事項を考慮できる進学先として,近隣県の位置づけが高まった可能性がある。

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