コロナ禍に陥る前から,クルーズ市場は急速に発展していた。特にアジアクルーズ市場の拡大に伴い,日本への寄港クルーズ船が急増していた。しかし,寄港が九州・沖縄地域に偏っており,九州地域の一部の港が受け入れの限界に達し,寄港を断るケースが増加している。そのため,九州地域に近接する他の地域の港に寄港する傾向がみられている。本研究では,これからクルーズ船の寄港が増加すると考えられる西日本地域のうち広島県内の2つの埠頭を調査地とし,クルーズ観光者の寄港地に対する満足度と寄港地における消費行動の差異を明らかにした。2016年10月から2017年7月までの期間内に広島港の宇品埠頭と五日市埠頭に寄港した複数の外国人クルーズ観光者を対象に8回のアンケート調査を実施した。分析結果より,クルーズ観光者の特徴,寄港場所,クルーズクラスの違いが寄港地に対する満足度と消費金額に影響を与えていることが明らかになった。さらに,外国船社が運航するクルーズ船の寄港を受け入れている両埠頭の受入設備,地理的位置,二次交通の利便性を比較した結果,これらの要因がクルーズ観光者の寄港地に対する満足度や寄港地での消費行動の差異に深く影響していることもわかった。