透析期間が5年以上の125人の血液透析患者の頚椎のX線像について検討した.頚椎病変の要因を,多変量解析により,統計学的に分析し,頚椎病変の病態について考察を行った.
頚椎の椎間狭小化および破壊性脊椎関節症(DSA)は年齢との有意な相関を認め、高齢者に多かったが,透析期間とは有意な相関を認めなかった。
加齢に伴い狭小化した椎間板では,多くの場合,椎体終板の亀裂,変性に伴って生じるcartilagenous node,線維組織の増生を認める.この退行変性がDSA発症の引き金になるものと考えられた.
前方隅角侵食像の発症率は,透析期間と有意な正の相関をを認めたが,年齢とは有意な相関を認めなかった.前方隅角侵食像の拡大は,椎間の不安定性と関連があるものと考えられた.
高度の二次性副甲状腺機能亢進症が主な病因となり発症するDSAも存在すると考えられ,その場合,急速に進行する可能性がある.
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