今回我々は鍼治療後に神経刺激症状をきたした1例を経験したので報告する.
症例は65歳の女性. 右大腿内側部の痛みを主訴に来院した. 2年前より腰痛, 右殿部痛に対し, 鍼灸院にて鍼治療を受けていたが, 2003年12月初旬に, 鍼治療を受けた後, 約3週間後に突然右大腿内側部に電撃痛が出現し, 軽快しないため, 近医受診し, 精査の結果, 右大殿筋筋層内に伏針の存在を指摘された. X線, CT検査にて右殿部筋層内に伏針の存在が疑われ, 診察所見にて, 腰椎由来の神経学的所見に乏しいことから, 痛みの原因が異物による神経刺激症状であると考え, 異物除去術を施行した. 摘出した異物は鍼灸針と思われ, また術後右大腿内側部の疼痛は速やかに消失し, 再発は認めなかった.
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