変形性膝関節症 (膝OA) には内反変形が多く, 代償的に距骨下関節は外反することが知られている. 内反型膝OAに対する人工膝関節全置換術 (TKA) 後の距骨下関節の動きや足底圧分布の変化は明らかでなく, 後療法を進める上でも知見が求められる. 内反型膝OAに対するTKA後の距骨下関節を含む下肢アライメントの変化と, 足底圧分布を調査し検討した.
TKAを片側のみに施行した40例を対象とし, 術前後に静的足底圧を計測し, 下肢のX線検査と各種計測を行った. 足底を9領域に分け, 各平均足底圧値を算出し, その分布様式を検討した. 術前の大腿脛骨角が188°未満のM群と, 以上のS群に分け評価した.
足底圧分布は術前, 両群とも足底外側に負荷が偏っていた. 術後のM群は後足部と前足部内側に偏りが変化したが, S群は変化しなかった. X線学的に術後のM群は踵骨が内反方向に, 前足部は回内方向に動いたが, S群は変化しなかった.
膝関節部の内反変形が著しい症例では, TKA後に距骨下関節のアライメントが正常化せず, 後療法に工夫が必要といえる. TKAの術前後には距骨下関節のアライメントの評価が重要である.
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