【目的】分子量90万と分子量600万のヒアルロン酸製剤を用いて, 無作為ランダム化対照試験を行い, 臨床効果に差があるか否かを明らかにすること.
【対象および方法】Kellgren-Lawrence分類でグレードII以上を対象とした. 評価項目はvisual analog scale, 疼痛•歩行能, 疼痛•階段昇降能のスコアとし, 注射前, 注射後4週から最終24週まで前向きに比較検討した.
【結果】両群とも24週まで有意に臨床効果の改善を維持し, 全体では両群間に有意な差は認めなかった. X線グレードIVのVASにおいて12週と24週で分子量600万のヒアルロン酸製剤が有意な改善を認めた. 一方, 悪化•脱落, 有害事象は分子量600万のヒアルロン酸製剤で多い傾向にあった.
【結論】二製剤は製法や分子量が異なっており, 注射後の反応に違いを認めた例があることから, 異なった生物学的活性を有すると考えた. したがって, 各製剤の特徴を理解して使用するとともに, 本邦での臨床経験の少ない分子量600万のヒアルロン酸製剤では, さらに長期にわたる経過観察が必要である.
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