【目的】三角線維軟骨複合体の尺骨小窩断裂に対し種々の修復法が報告されている.今回,自験例の治療成績について報告する.
【対象】27例,男性15例,女性12例,右14手,左13手,年齢14~72歳,平均30歳であった.6例は橈骨遠位端骨折を含む新鮮骨折に伴う断裂でうち3例は骨折治癒後に尺骨頭の不安定性が判明した.受傷から手術までの期間は新鮮骨折3例を除くと1~20ヵ月,平均8ヵ月であった.縫合法は直視下法9例,鏡視下法18例でいずれも尺骨遠位端から尺骨小窩へ2ヵ所の骨孔を作成し縫合した.経過観察期間は8~28ヵ月,平均15ヵ月でMayo modified wrist scoreによる評価を行った.
【結果】尺骨小窩断裂単独は16例で,11例で他の損傷を合併していた.最終成績は直視下法excellent 8例,good 1例,鏡視下法はそれぞれ15例,3例であった.
【まとめ】直視下,鏡視下いずれの縫合法も良好な成績が得られた.手技に習熟すれば鏡視下縫合の方が低侵襲かつ短時間で縫合可能であった.
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