関節超音波検査も用いて診断した関節リウマチ(RA)患者の著明な疼痛を伴う頚椎滑膜病変を,インフリキシマブ(IFX)にて制圧しえたので報告する.症例は35歳女性.著明な頚部痛を主訴に2013年8月に当院紹介受診となった.血液検査はrheumatoid factor 47.5U/ml,Anti-cyclic citrullinated peptide antibody 13.5mg/dlと陽性だが,matrix metalloproteinase 3やC-reactive proteinは正常であった.関節超音波検査で両手関節にPower Doppler陽性を認め,magnetic resonance imaging(MRI)にて歯突起周囲に滑膜病変を示唆する所見を認めた.RAによる頚部痛と診断し,メトトレキサート8mg/週とサラゾスルファピリジン1000mg/日で治療を開始し,頚部以外の関節症状は消失したが頚部痛は改善しなかった.同年11月よりIFX 3mg/日の投与を開始し,2014年5月までに頚部痛は消失し,2014年10月撮影のMRIにて歯突起周囲の滑膜病変は縮小を認めた.本症例はIFXがRA患者の頚椎滑膜病変に著効した症例であり,原因不明の頚部痛に対してMRIで所見があればRAの鑑別診断も実施すべきである.
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