【目的】セメント人工股関節(THA)のカップ設置位置をCrowe分類1の症例において検討した.【対象】2015年1月から2017年12月までにprimary THAを施行した223例のうちCrowe分類が1の症例で対側股関節が正常であった82例を対象とした.【方法】Crowe分類1を2つに分けて0%から25%をCrowe 0,25%から50%をCrowe 1と定義した.術前の両股臥位正面X線像でSharp角およびその患健差を計測し寛骨臼上外縁への骨移植施行の有無との関連を調査した.術後1週の両股臥位正面X線像においてカップの設置高位と内方化の程度を計測した.【結果】骨移植の有無はCrowe分類0,1の差でなくSharp角の差で表された.カットオフ値は44.9°であった.Crowe 0においてカップの設置位置は平均6.8mm高位で平均6.2mm内方化であった.Crowe 1のカップ設置高位はCrowe 0より3.6mm有意に高位であった.【結論】健側より7mm高位で6mm内方化が当院でのセメントカップとしての原臼位の基準と考えられた.
保存的治療を行った硬膜外膿瘍を伴う化膿性椎間関節炎の3例を報告する.症例1:68歳男性,腰痛と発熱で発症し,MRIから化膿性椎間関節炎(L2/3右)と診断し,膿瘍穿刺培養よりB群溶連菌陽性であり,2週間の抗菌薬点滴でCRP陰性化した.症例2:20歳女性,腰痛,両大腿しびれと微熱で発症し,MRIで化膿性椎間関節炎(Th10/11右)と診断し,膿瘍穿刺培養より黄色ブドウ球菌陽性で,1週間の抗菌薬点滴でCRPは陰性化した.症例3:67歳男性,腰痛と発熱で発症し,抗菌薬先行投与後にMRIで化膿性椎間関節炎(L3/4右)と診断した.膿瘍穿刺培養は陰性であったが,3週間の抗菌薬点滴でCRP陰性化した.【考察】全例血液培養陰性であったが,抗菌薬先行投与のない2例では膿瘍穿刺培養で起因菌を同定し,適した抗菌薬治療が可能であった.腰痛に発熱を伴う疾患の鑑別の1つに本疾患を念頭に置き,可能な限り抗菌薬投与前の膿瘍穿刺で起因菌を同定し治療にあたることが重要である.
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