中部森林研究
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70 巻
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  • 袴田 哲司, 野末 尚希
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 1-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    花粉症対策と下刈り省力化の観点から,雄性不稔スギ挿し木コンテナ苗の標準規格と若齢期の成長の関係を調 査した。林地植栽から 2 成長期後に,6 号苗の平均樹高は 150 cm 未満,1~5 号苗の各規格では 150 cm を越えていたが個体数で 30%程度は 150 cm 未満であった。3 成長期後の平均樹高は全規格で 170 cm を越え,個体数の93%が 170 cm 以上,97%が 150 cm 以上であった。下刈り要否の判断基準を樹高 150 cm または 170 cm とした場合,2成長期後では下刈り不要とはならないが,3 成長期後では不要としても問題が少ないと考えられた。
  • 澤田 晴雄, 佐藤 貴紀, 岸本 光樹
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 3-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    東京大学生態水文学研究所長期生態系プロット(モニ1000 愛知赤津サイト)内では,口径0.5 ㎡のリター・シードトラップを25 基設置して2005 年7 月から毎月末を基本に落下内容物を回収している。今回はヒノキの豊凶の実態解明と,種子落下数と球果落下数の関係を明らかにする目的で,2021 年6 月末までの16 年間の内容物からヒノキの種子と球果を仕分けして解析した。種子の落下は開花年の12 月にピークが1 度に対し,球果の落下は開花年の12 月か1 月と,3,4,5月の何れか2 度のピークが見られ,落下の季節性が異なっていた。種子には豊凶が見られ,ある開花年の7 月末回収分から翌年6 月末回収分までを区切りとした年度別種子落下数が1,500 個/㎡/yr. 以上であったのは2005,2009,2013,2014,2017,2018,2019 の各年度で,2013 年以降その頻度が高くなっていた。各年度の種子落下数と球果落下数には高い相関関係が見られた。16 年間の年度別平均では球果1 つ当り37±8 個の種子が落下していた。豊凶と気象要因などとの関連解析が今後の課題として上げられた。
  • 江口 則和, 岩下 幸平, 安達 貴広
    原稿種別: 報文
    2022 年70 巻 p. 7-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    ドローンによる空中写真を用いた立木調査が各地で進められている。この調査方法では,胸高直径(以下, DBH)を直接測定することができないという問題がある。解像能の高い航空機レーザー調査では,DBH の推定 に樹冠量を利用する場合が多いが,ドローンによる空中写真では樹冠量の計測は困難である。そこで本研究で は,樹冠量を用いずに精度高くDBH を推定できるモデル開発を目的とした。その結果,DBH の推定に,樹高 データだけでなく,樹齢,立木密度を含めることで精度が高まることが示された。航空機レーザーを用いた樹冠 量利用モデルの精度にも近づいたことから,本成果はドローンによる立木調査の推進に貢献できる可能性が考え られた。
  • 向野 峻平, 笹木 哲也, 大本 健太郎, 内藤 善太, 富沢 裕子, 矢田 豊
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 13-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,サンショウに近い香気成分を有すると考えられる,カラスザンショウの利用可能性について調査・検討した。精油等を抽出するための適切な部位や時期を調査するために,時期を変えて,果実,当年枝,葉を採取し,精油等を抽出した。また,ガスクロマトグラフィーで精油等の成分分析を行った。当年枝と果実からは精油が抽出されたが,時期によっては精油成分がほとんど検出されなかった。成分はサンショウと共通するものもあったが,他にも有用とされる成分が認められ,サンショウの代替として,または,新たな和精油としての利用可能性があると考えられた。
  • 久田 善純, 國枝 裕介, 古川 邦明
    原稿種別: 報文
    2022 年70 巻 p. 17-18
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    岐阜県内の一部地域を対象に,Planet 社の高時間分解能衛星画像から正規化植生指数を求め,任意の二時期の比較により定期的に伐採箇所および森林被害箇所の抽出を行った。抽出結果を該当地域の市町村と県地方機関に情報提供し,森林管理業務を支援する資料としての有効性について意見照会を行った。結果,伐採届の実行箇所調査時の補助資料や土砂崩壊等の森林被害箇所を把握する資料として使用できるとの回答を得た。また,抽出形状の精度改善を要する等,今後の課題点となる様々な提言を得ることができた。
  • 張 立天, 田中 隆文
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 19-22
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    木曽三川は近世・近代を通じて舟運や水運が活発であり,河川工事も盛んに行われた。近代の河川保全の取り組みの背景の理解の一助とするため,筆者らは河川の流線に沿った解析に着手した。街路を通り抜ける移動体が経験する視野の連続変化を移動ルートの勾配・方向・移動速度の変化とともに記録し解析する手法であるシークエンス景観解析の手法を河川に応用した。本報告では,近代の河川保全の取り組みの背景の理解にむけて,長良川の中流部を対象にシークエンス景観解析に倣った河川の特徴把握を試行した結果,有用である期待を得た。
  • 堀田 裕貴, 田中 隆文, 小谷 亜由美, 金森 道人, 津田 その子, 中沖 元哉, 上杉 光平
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 23-28
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    従来の森林水文学の研究では,長大な森林斜面における流出特性の研究は未着手であったといえよう。そこで著者らは長良川支流亀尾島川の源流域において長大な森林斜面を有する中部電力社有林「内ヶ谷山林」(岐阜県郡上市)で観測を開始した。本報告では,「内ヶ谷山林」を含む28.2 km2 の流域において岐阜県河川課によって取得された2013〜2016 年の実測流出量を用い,その流出特性を東京大学白坂流域,森林総合研究所竜ノ口山流域の流出特性と比較した結果を報告する。
  • 陳 怡然, 田中 隆文, 小谷 亜由美, 田中 延亮
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 29-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    SWAT モデルは,大規模で複雑な流域の水文学的プロセスをシミュレートする物理的メカニズムを持ち,水の動き,土砂輸送,作物の成長や栄養物質の循環などの物理的なプロセスを,物理方程式を用いて計算することで,流量や他の観測データが欠測している流域にも適用することができ,水資源,土砂生産,水汚染などの流域プロセスに対する気候,管理方法,土地利用などの影響を予測する分布型水文学モデルである。しかし,このモデル は山地小流域(10 km2 未満)での研究例が少ない。本研究では,長期流出特性の解明を目的として,東京大学生態水文学研究所白坂流域の流出にこのモデル(SWAT)を適用した。校正期間は2011-2012 年,検証期間は2013年とした。校正期間ではNSE が0.716 と 0.704,R2 が0.733 と0.727;検証期間では NSE が 0.802,R2 が0.809 という結果が得られた。
  • 野末 尚希
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 33-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    急傾斜地など作業道の開設が困難な現場において木材生産を行うにあたっては,架線系作業システムの実施を検討する必要がある。架線集材における新たな高性能林業機械として,欧州製自走式搬器ウッドライナーが国内でも導入されているが,生産性などの報告事例は少ない。今回,間伐および皆伐の各1 か所の現場においてウッドライナーを使用した集材作業の功程調査を行った。労働生産性は,間伐の調査地で3.37 ㎥/人・時,皆伐の調査地で3.36 ㎥/人・時だった。また,1 サイクルの集材において,材を適宜2 本まとめて集材することにより,1本ごとに集材する場合に比べて作業効率が向上する結果となった。
  • 伊藤 亜美, 池田 敏, 豊嶋 大倫, 藤波 嘉夫, 松田 修, 石川 知明
    原稿種別: 報文
    2022 年70 巻 p. 37-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    森林作業道上の運搬距離を短縮するため,車両系と架線系とを組み合わせたハイブリッド木材搬出作業システムを提案し,木材搬出の生産性を調査した。従来の車両系木材搬出作業システムと比較して,ハイブリッド木材搬出作業システムでは,生産性は高くなる一方,労働生産性は低くなった。
  • 小山 泰弘, 市原 満
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 41-42
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    造林作業の効率化とコスト低減の一環としてコンテナ苗専用の自動植穴堀機が各地で開発されている。今回,市販されている一機種を調査し,植栽作業時の作業功程をVTR で撮影し,時間解析結果から生産性を検討した。その結果,自動植穴掘機による植栽功程は,1 本あたり42 秒で,穴堀りは9 秒を要した。すなわち植穴掘りは,移動時間を含めた植栽功程全体の22%だった。この結果,自動穴掘機による生産性は85.7 本/時と,スペードやディブルなどのコンテナ苗用の専用器具による生産性と同程度で,自動穴掘機を導入することによるコンテナ苗木の植栽に伴う生産性向上は期待できないと考えられた。
  • 江端 一徳, 三輪 徹, 渡利 高大, 松本 嘉孝
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 43-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    森林河川水中のフミン物質は,陸から海へ鉄イオンを運ぶキャリアーとして物質輸送に重要な役割を担っている。これまで,フミン物質の流出負荷量の定量評価を行った研究例は少なく,その流出特性についても未解明のままとなっている。本研究では,愛知県豊田市御内町を流れる森林河川を対象に,フミン物質の流出動態の把握とL-Q 法を用いた年間流出負荷量の算出を行った。その結果,2019 年と2020 年における年間フミン物質流出負荷量の平均値は,3.38kg/ha/yr となった。また,どちらの年においても最大流量を記録した7 月は,フミン物質流出負荷量が最大となり,年間フミン物質流出負荷量のおよそ1/4 を占めていることが明らかとなった。
  • 岩永 青史
    原稿種別: 論文
    2022 年70 巻 p. 47-50
    発行日: 2022年
    公開日: 2025/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    2002 年以降の国産材自給率上昇の要素を把握するため,輸入丸太,自県産材,他県産材の別で分析した。その結果,国産材自給率の上昇に大きく貢献していたのは,輸入丸太の減少および国産材の増加の両方において東北地方であった。国産材を自県産材と他県産材に分けて分析すると,全国的には自県産材の需要量を他県産材が上回っており,群馬県,長野県,静岡県,和歌山県のみで自県産材自給量の増加によって自県産材率が高まっていた。この4 県では,県産材利用を推進する取り組みやブランド材を中心としたマーケティング戦略が見られた。一方で,全国的には,性能品質証明を制度化している県において自県産材率が増加している傾向にあった。
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