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袴田 哲司
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
1-2
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
ヒノキ実生コンテナ苗の短期間育苗のため,育苗する系統,施肥条件,コンテナヘ移植する際の稚苗のサイズを検討した。出荷規格ヘの適合または不適合に施肥条件は影響しなかったが,系統と稚苗サイズは影響した。稚苗高が大きい苗を移植すると,コンテナ苗の出荷規格に到達できる苗の割合が高まった。
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玉木 一郎, 金山 陽佑, 田中 一徳, 茂木 靖和
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
3-6
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
ヤシ殻ピートに代わるコンテナ苗の基本用土を検討するために,岐阜県産針葉樹バーク堆肥を用いてヒノキ実生コンテナ苗を作成した。バーク堆肥を基本用土に用いると,培地の沈下が成長に負の影響を及ぼすことが知られている。そこで,1)バーク堆肥を標準位置まで圧縮充填した処理区,2)バーク堆肥80%と赤玉土20%を標準位置まで圧縮充填した処理区,3)バーク堆肥を容器の上端まで圧縮充填した処理区の3処理区間で培地残量と成長特性を比較した。苗高と地際直径,根の張り具合は,処理区3で最大値を示し,培地残量と有意な正の関係を示した。よって,最初に充填する培地の量を多くすることで良好な成長が得られると考えられる。
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二本松 裕太
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
7-8
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
現在生産されているカラマツのコンテナ苗は裸苗より形状比が高く,植栽後の伸長成長が鈍い可能性があり,苗木生
産技術の改善が課題である。本研究では,形状比を抑えつつ苗高25cm 以上を確保するコンテナ苗の生産方法を探るた
め,育苗時の施肥量と育苗密度を変えて試験を実施した。その結果,多肥料,高密度は形状比を大きくする傾向があ
り,平均形状比が80 を下回ったのは,密度を1コンテナあたり24 本に抑え,施肥量を最少にした処理区のみであっ
た。施肥量の調整だけで形状比を抑えることは難しく,育苗密度を下げることが形状比の抑制に有効と考えられた。
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山中 豪
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
9-14
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
発芽器を用いて発芽時期を早めることで,1 成長期後のヒノキコンテナ苗の樹体サイズをより大きくできるか
検証した。育苗容器はFlexiFrame77 とJiffy-7c を用い,それぞれで,育苗容器へ直接播種する屋外直播区,用土
で満たした発芽器で発芽させ,育苗容器へ移植する移植区,移植区の用土をプラグトレーに置き換えたプラグ移
植区を設けた。移植から1ヶ月後の生存率は,屋外直播区97〜100%,移植区73%,セル移植区81〜82%だった。
1 成長期後の苗高と根元径は,屋外直播区と比較して移植区やプラグ移植区で小さい傾向があり,発芽時期を早
めることのみによって樹体サイズを大きくすることは難しいと考えられた。
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渡邉 仁志, 茂木 靖和
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
15-18
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
ヒノキ実生コンテナ苗の中期的な成長特性を把握するため,岐阜県郡上市における11年間の調査データから,従来の方法で育成したコンテナ苗の活着率や成長量を裸苗と比較した。苗木品質のばらつきが大きく,活着率はコンテナ苗の方が低かった。植栽時の樹高はコンテナ苗の方が大きかった。コンテナ苗の11年生時の樹高,胸高直径は裸苗よりやや大きかったが,樹高成長は同等程度であった。植栽直後の比較苗高はコンテナ苗の方が高かったが,6年生時の比較苗高や11年生時の形状比は,裸苗より低い値に落ち着いた。両林分とも9年生時には林冠が閉鎖し成林した。本調査により,コンテナ苗林分が従来の裸苗と同様に成林することは確認できたものの,現状の性能は裸苗と同等程度であって,下刈り期間の短縮には寄与しなかった。
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鷲山 立宗, 袴田 哲司
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
19-22
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
再造林コスト削減に貢献できると期待されているコンテナ苗の植栽が進められている一方,ノウサギの食害が低コスト化を阻む要因となっている。食害されにくい苗木の養成や大苗の植栽などによる林業的防除を検討するため,スギコンテナ苗を用いて,苗木サイズや増殖方法の違いがノウサギによる主軸切断被害に与える影響を調査した。苗木サイズについては,地上高69cmの主軸径が9.2mm以上に成長すれば,主軸切断被害を回避できると推察された。苗の増殖方法の違いは主軸切断被害の有無に影響しており,挿し木苗は有意に被害を受ける割合が低かった。植栽時の根元径が3.2mmから10.0mmの挿し木苗では,根元径が大きいほど被害を受ける確率が下がる傾向があった。
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クロマツ植栽時の植え穴サイズの違いが地上部の成長および根系伸長に与える影響
野末 尚希, 福田 拓実
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
23-26
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
植生基盤盛土の造成を伴う海岸林の再整備において,盛土を耕起してからクロマツを植栽する場合の植え穴サ
イズの違いが,地上部の成長および根系伸長にどのような影響を与えるか検証した。3 種類の植え穴サイズを設
定して比較したところ,地上部の成長は,植え穴サイズごとで有意差は見られなかった。水平方向の根系伸長は,
植え穴サイズの違いによる影響が見られなかった。地下方向の根系伸長は,深さ10 cm の植え穴サイズの場合に
根系が伸長していない一方で,深さ30 cm および60 cm の植え穴サイズの場合には根系伸長が確認された。この
ことから,植え穴サイズの違いは,地下方向への根系伸長に影響している可能性が示唆された。
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辻 和明, 渡邉 良広, 木村 恒太, 江口 由典, 井上 広喜, 鴨田 重裕, 村瀬 一隆
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
27-28
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
樹芸研究所はNEDO 事業に協力し千葉県北にてユーカリのエネルギーの森作りに取り組んでいる。国内で未活
用状態が続く早生樹ユーカリの活用促進は樹芸研究所の重要なテーマの一つであり,1980 年代に実施した適応試
験で良好な成長を示したユーカリ10 種ほどの生産性を確認する目的で再造林試験を進めている。本報告では
Eucalyptus smithii,E. elata,E. piperita,E. microcorys に山口県で成林実績のあるE. saligna を加えた5 種の造林試
験について,現在までの成長経過をまとめて報告する。植栽後3 年までに平均樹高が10m を超える樹種もある等
の旺盛な成長を見せた一方,E. saligna 以外の種の生存率が低かった。生存率向上は今後克服すべき課題である。
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福田 拓実
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
29-30
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
静岡県西部の遠州灘沿岸では山土盛土の植栽基盤に大規模な植栽が行われている。これらの植栽地では雑草木
の繁茂が著しい箇所があり,こうした雑草木は植栽木であるクロマツを被圧している可能性がある。そこで,雑
草木の繁茂の程度や植物種の調査をしたところ,著しい繁茂は確認されたがその多くは草本であった。その後,
草本類が繁茂している場所で下刈りの有無によるクロマツの成長量を調査したところ,成長量の違いは確認され
なかった。しかし,今回確認された唯一の木本種であるモリシマアカシアが繁茂している場所ではクロマツの成
長が抑制されていた。
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澤田 晴雄
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
31-34
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
東京大学生態水文学研究所にあるモニ 1000 愛知赤津サイト内では口径 0.5 ㎡ のリター・シードトラップを 25 基設置して毎月末に落下内容物を回収して仕分けている。今回はコナラ堅果の落下特性を明らかにする目的で2006 年から2021年まで 16 年間の落下堅果を解析した。総堅果のうち 16 年平均で 84%の堅果が発育不全のまま落下していた。発育堅果は早い年で7 月から落下を始め,虫害,健全,獣害の順で落下していた。発育堅果の落下数は年による差が大きく豊凶が認められ,本サイトでは16 年で豊作が7 回・2.3 年間隔,並作が5 回・3.2 年間隔,凶作が4 回・4 年間隔であった。なお豊作の周期性は見られなかった。本サイトでは発育堅果落下数,健全堅果落下数,発育堅果率,健全堅果率がナラ枯れの前よりも後に有意に小さくなっており,ナラ枯れがコナラの堅果落下数や豊凶に与える影響が大きかったと考えられた。
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島田 博匡
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
35-38
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
渓流内の倒流木を除去した三重県内の渓流区間56 カ所において,除去から1,212~2,333 日後にみられた倒流木
(長さ1m 以上かつ直径10cm 以上)の直径,長さ,腐朽度,根株の有無などの特徴を調査した。流木の腐朽度
は倒木よりも高かった。平均直径は倒木と流木でほとんど差異がみられなかったが,平均長さ,最大長さは倒木
よりも流木で短くなった。大半の流木の長さは流路幅よりも短く,流木の発生・移動を流路幅が規定しており,
倒木は長期間かけて腐朽作用により小片化して流木化するものが多いと考えられた。
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池田 敬, 日下部 智一
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
39-42
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
伊吹山山頂部は,国の天然記念物に指定されている。しかし,高山植物や森林構造へのニホンジカ(以下,シカ)による採食圧の影響が懸念され,生息数を把握する必要がある。本研究は,シカの生息密度と標高別の生息地利用を把握することを目的とし,2021 年11 月と2022 年6 月と9 月にスポットライトカウント調査を実施した。その結果,生息密度は 11 月が 9.16 頭/km2 であった一方で,6 月が 61.12 頭/km2,9 月が 30.51 頭/km2 であった。また,11 月における観察標高は,有意に低いことが明らかになった。以上の結果,シカは,夏季に高標高域に集中するため,晩秋から冬に山麓部で個体数管理を実施することで,高標高域におけるシカの食害を緩和できる可能性がある。
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日下部 智一, 池田 敬, 東出 大志, 鈴木 嵩彬, 七條 知哉, 古澤 健太郎
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
43-45
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
ライチョウの生息地である乗鞍岳高山帯へのシカの侵入状況を把握することを目的とし,乗鞍岳山麓において,2020年11月にスポットライトカウント調査,2021年8月23日~11月18日にカメラトラップ調査を実施した。その結果,スポットライトカウント調査ではシカは観察されなかったが,カメラトラップ調査において,延べ33頭が撮影され,標高1300m付近での生息が確認された。また,成獣メスも1200m 付近で撮影されており,繁殖の可能性も考えられた。
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釜田 淳志, 狩場 晴也
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
47-52
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
全国的に増加している皆伐・再造林地における効率的・効果的なニホンジカ被害対策実施のための知見を得ることを目的として,ヒノキ人工林内の皆伐・再造林地周辺2地域に調査地(各約500ha)を設置し,周年のカメラトラップ調査から撮影頻度の時空間的変化を明らかにし,REM法による生息密度推定を行った。撮影頻度について両調査地とも5~10月に広葉樹林・針広混交林において撮影頻度が高かった。また7月と10月に明確なピークが確認され,これらはメスジカの出産仔育てによる流入および交尾期によるオスジカの流入によるものと考えられた。メスの生息密度は各調査地で1.9~19.5頭/km2,0.9~14.7頭/km2であり,月別変化が大きいことが明らかになった。
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大橋 正孝, 遠藤 好和
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
53-54
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
冬期越冬地でニホンジカを集中的に捕獲して個体数を削減する技術について検討するため,南アルプスの麓,井川地域で,林道沿いに給餌場を設けてシカを餌付け,給餌場周辺で凍結条件下でも使用可能な2種類のくくりわなと銃を組み合わせた捕獲を行い,効果を検証した。1月から3月に延べ36日間捕獲を行った結果,30頭が捕獲され,このうちメスの割合は57%で,従来行われてきた巻き狩りの7%と比べて大きく,メスの捕獲にも適していることが示唆された。また,少人数で実施が可能で同じ場所で繰り返し捕獲ができる点でも優れていた。
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水井 陽介
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
55-56
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
電気柵の電圧を維持するためには雑草が電線に接触しないように草刈で管理することが一般的であるが,生産
者には負担が大きい。本試験では,草刈より負担の少ない薬剤散布のみで電気柵下の雑草管理を行い,電線に接
触する雑草が電圧に与える影響について調査した。調査の結果,電線に雑草が接触した状態で薬剤散布のみで電
気柵下の雑草管理を行った場合,草刈に比べて電圧が高まるまでに時間がかかる,降雨等の影響で電圧が低下す
ることが分かった。一方で,草刈にかける労力や時間が確保出来ない場合には薬剤散布を実施する価値があると
推察された。
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瀬川 あすか, 北上 雄大, 松田 陽介
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
57-58
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
Cenococcum geophilum は子嚢菌門に属する外生菌根菌で,クロマツ海岸林で優占的に漆黒の菌根を形成する。本研究では,クロマツ海岸林におけるC. geophilum 菌糸の水平分布を明らかにするため,土壌中の菌糸長とその形態を調べた。三重県津市の海岸林の土壌に含まれる糸状菌の菌糸を抽出し,光学顕微鏡下で観察及び,菌糸長を測定した。その結果,各プロットにおいて黒系菌糸が優占し,その菌糸長は5.8–18.8 cm であった。黒系菌糸は形態的特徴からC. geophilum と推定された。以上から,本種はクロマツ海岸林において広範に優占して分布していると考えられた。
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内山 義政, 野末 尚希, 袴田 哲司
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
59-62
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
東日本地域で開発されたマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種は特性評価の知見が不足しているため,西
南日本地域の品種とともに実生家系苗の抵抗性を検証した。静岡県の採種園に導入された東日本抵抗性8 品種,
西南日本抵抗性7 品種,対照1 系統のクロマツ2,3 年生実生苗へ線虫アイソレイトKa-4 を接種して実生抵抗性
を評価した。その結果,一部の東日本品種は,西南日本で最も高い実生抵抗性を持つ品種と同等以上の生存率を
示しており,それらの導入で採種園の改良が図られることが期待された。一方で,対照系統よりも低い実生抵抗
性を示した品種も存在しており,それらの品種は相対的に低い実生抵抗性ランクに位置付けられると推察された。
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柳澤 賢一
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
63-64
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
マツ材線虫病の標高別被害リスクを評価するため,塩尻市で2012年から2019年に発生したアカマツ枯死木1,020本について枯死原因を調査し,マツ材線虫病の被害指数を算出した。その結果,標高と被害指数の間に極めて強い負の相関が認められた。このことから,マツ材線虫病の被害リスクは標高が高くなるほど低下し,標高700m以上で顕著に小さくなると考えられた。また,標高別に防除効果を検証したところ,地域内の被害木の全木伐倒処理を毎年行うことで,被害木の最高標高と標高900m以上の被害木本数を抑えられたと考えられた。
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清野 達之, 井波 明宏
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
65-68
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
We analyzed the growth of Picea maximowiczii planted in Itabashi of Minamimaki, Nagano Prefecture of Japan. Some individuals were cut down in 2019 for some reason. Samples for stem analysis were collected from the harvested individuals,and growth analysis was conducted. The results showed that the tree grew rapidly up to a trunk diameter of 30 cm, at which size it grew to a height of 10 m quickly until it was nearly 20 years old. The results suggest that under growing conditions such as plantation without suppression, the growth characteristics of this species are similar to that of fast-growing species compared to the size that reaches the canopy.
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海野 紗千子, 玉木 一郎, 安藤 正規, 津田 格
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
69-72
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
近年全国的に分布域を拡大しつつあるニホンヤマビル(以下,ヤマビル)について,岐阜県における分布域や
その生息環境を明らかにするために,アンケートによる分布調査と分布モデリングを行った。アンケート調査は
森林組合や県農林事務所などを対象に実施し,ヤマビルに遭遇した場所の情報を収集した。得られた分布情報と
環境要因(気候や地形,地質,ニホンジカの生息密度推定値データ)を用いて,分布予測モデルを構築した。そ
の結果,ヤマビルの分布は,年平均気温,年最深積雪,ヤマビル活動期の降水量の3つの環境要因の影響を強く
受けている可能性が示唆された。
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田畑 望実, 梶村 恒
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
73-76
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
キツツキ類が採餌や営巣を行う際に,どのような枯死木を利用しているのかを解明する目的で,愛知県北東部の冷温帯針広混交林において毎木調査を行った。2020~2022年に,立ち枯れ木414本の樹種,樹高,DBH,腐朽段階,採餌痕と巣穴の数と形状(キツツキ種を推定)等を記録し,多変量解析等を試みた。採餌痕と巣穴は経時的に観察し,採餌痕は過去の累積(2020年)と新規(2021・2022年)に分けて解析した。その結果,採餌木,営巣木ともに大径木が有意に選好されること,キツツキ類は様々な広葉樹・針葉樹を利用しながらも,サクラ属やヒノキなどを好む傾向にあること,等が示唆された。巣穴の作成される樹高データも含めて,立ち枯れ木の保残方法を提言した。
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井上 伸
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
77-80
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
ササクレヒトヨタケ菌床栽培方法の確立を目的とし,培地基材の種類ならびに培地基材と栄養材の配合割合が,子実体発生量や発生本数等に与える影響について調査した。培地基材の検討では,木質系堆肥を主に用いた菌床と,バーク堆肥のみを用いた菌床を作製し,また,基材と栄養材の配合割合の検討では,基材と栄養材を容積比5:1と4:1の割合で配合した菌床を作製し,栽培試験に供した。結果,培地基材にバーク堆肥を使用することで木質系堆肥を用いた場合より,子実体の生重量や一次発生時の個重が有意に増加した。配合割合5:1と4:1の子実体発生量が同等であったため,生産コストの面から5:1が適当であると考えられた。
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中田 理恵
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
81-85
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
シイタケ菌床栽培における使用済み菌床の廃棄経費やおが粉購入費の節減をはかるため,野外に放置されたシイタケ廃菌床を培地基材として用いた場合のシイタケ子実体発生量と作業時の菌床硬度を調査した。培地基材の広葉樹おが粉を,3ヶ月野外に放置し3~6ヶ月間冷蔵保存したシイタケ廃菌床で25,50,75,100%に代替したシイタケ菌床は,廃菌床を含まない菌床と同程度の子実体発生量があり,上記廃菌床は培地基材として使用できる可能性が示唆された。処理期間が長い廃菌床代替率100%の菌床では,菌床の硬度が低下し,培養基の支持体としての役割を担えなくなる場合があった。
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小山 泰弘, 池上 路浩, 市原 満, 三澤 美菜, 二本松 裕太, 太田 明
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
87-90
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
フリー
ナラ薪の需要が拡大する中,小径個体が多い高齢のコナラ林も薪材であれば一定の収益が確保されるまでになったが,用材生産を志向すると生産性が悪かった。そこで,薪材に特化した皆伐施業を試みて,直材部分を選別せずにチルト機能のあるプロセッサで,幹だけでなく枝先の6cm程度の小径材まで,機械的に造材して70%の利用率が確保できた。またチルト機能を有するプロセッサによる造材は,曲がり材を掴み直して鋸断できることや,太枝を掴んで枝払いができることから,作業の大半が機械で実施でき,造材の生産性が45.6m3/人日となった。
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加藤 亜里紗, 吉井 達樹, 松村 直人
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
91-94
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
森林に対するニーズが多様化してきており,森林情報データベースの整備が必要である。三重県では森林GISのPasCALが整備されているが,単木抽出の技術に課題がある。本研究では局所最大値フィルタ法を使用し,樹冠高の中央値とフィルタ探索範囲には相関があることと,林分毎に最適なフィルタ探索範囲を与えれば90%ほどの正確度で立木位置の取得が可能であることが判明した。また抽出精度の評価指標であるrecallがprecisionよりも低い傾向にあり,フィルタ探索範囲が大きいとrecallは大きく低下した。局所最大値フィルタ法においてrecallを低下させないフィルタ探索範囲の設定が必要である。また,UAVを用いることで最適なフィルタ探索範囲の探索を補助するデータを提供することが可能であった。
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横山 航大, 吉井 達樹, 沼本 晋也, 松村 直人
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
95-98
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
森林内で精密な測位データを得るためには、GNSS(Global Navigation Satellite System)測位はコストが低く、実用的である。しかし、GNSS測量は森林内で行うと上空を遮る樹冠、樹幹等により反射・回折した品質の悪い信号(マルチパス)の影響で高精度な測位が困難であることが多いことも知られている。本研究では三重大学附属平倉演習林の様々な林内環境でGNSS測量における静的干渉測位を行い、同じ地点の全天球画像を取得し、開空率を求めることで、マルチパスの原因となる樹冠、樹幹等による精度の影響を検証した。
その結果、森林内だけでなく、林道沿いも開空率が低くなり、高精度な測位が難しいことがわかった。
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木下 涼日, 加藤 亜里紗, 渡辺 和誓, 松村 直人
原稿種別: 報文
2023 年71 巻 p.
99-100
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
現在適切な管理が行われていない人工林が増加しており、このような森林の管理を集約化し、市町村が仲介役
となり管理委託する制度として森林経営管理法が、またこれらの森林管理の財源確保として森林環境譲与税が措
置され、今後森林環境譲与税の運用にあたって市町村が森林管理を引き受ける場合が増加すると考えられる。
多くの自治体が森林整備に使用すると見込まれるが、基盤となる森林資源情報の整備が進んでおらず、今後森
林情報高度利活用技術開発事業でシステムの仕様やデータ形式の標準化と導入が進められた森林クラウドシステ
ムの利用が期待さ れる。
本研究では、三重県で導入が進んでいる森林クラウドシステムについての情報を整理すると共に、システム
に整備されている航空レーザ測量から取得された森林資源解析結果と地上調査結果の比較を行い、データの特徴
について考察し、市町村の森林環境譲与税運用への応用を検討する。
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松本 清貴, 岩永 青史
原稿種別: 論文
2023 年71 巻 p.
101-104
発行日: 2023年
公開日: 2025/12/14
ジャーナル
オープンアクセス
森林環境譲与税の配分額が全国で2番目に多い静岡県浜松市を事例に,森林整備の状況と森林整備に充てられた森林環境譲与税の活用実態を把握し,今後の展望を検討した。浜松市および市内の森林組合における聞き取り調査から,森林整備においては,利用間伐をし,林業を営む森林として管理していく方針であることが明らかになった。森林整備に関わる森林所有者への意向調査では,水窪町・龍山の両森林組合で,保育間伐を希望する割合が高くなった。その背景には,木材運搬に不利な地理的条件がコストを高くしていること,および架線集材技術の継承がされていないことによって保育間伐を選択せざるを得ないという理由があることが明らかになった。
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