中国語学
Online ISSN : 1884-1287
Print ISSN : 0578-0969
2012 巻, 259 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:コーパス言語学と中国語研究
研究論文
  • 上田 裕
    2012 年 2012 巻 259 号 p. 69-86
    発行日: 2012/10/27
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    人がある事物を発見した際には、さまざまなタイプの表現形式が使われる。本稿では文末助詞“了”を用いた表現形式と“有”を述語動詞とする存在文を中心に、その成立条件について語用論的な観点から考察をおこなう。先行研究では、話し手が変化の前段階を把握できれば、文末助詞“了”を用いるタイプの表現形式を使えると指摘されている。本稿では、発見の状況において前段階を把握できる具体的な基準について検討し、変化を直接知覚していること、前段階を直接知覚していること、出来事を構築できることが文末助詞“了”の成立条件となることを示す。一方、“有”を述語動詞とする存在文は、対象の存在について、話し手の主観的な解釈を加えず、客観的に叙述しようとする際に成立することを示す。

  • 徐 雨棻
    2012 年 2012 巻 259 号 p. 87-105
    発行日: 2012/10/27
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本文通过实际语料分析,对“契合态”评注性副词中的“刚好”和“恰好”的来源以及句法特点进行了考察,并且,基于首字语素分析法探讨了这两个近义词的用法差别。二词原本都是由“副词‘刚/恰’+形容词‘好’”所虚化来的,“刚好”以前没有形容词的用法;“恰好”有。在句法上,它们都只能单独作状语;都具有前置性特点;都可单说。二词在语义平面上的差异如下:“刚好”侧重于陈述客观事实上的巧合;“恰好”侧重于陈述说话人褒义的感情色彩。与“刚好”相比,“恰好”多与意外性色彩浓厚的语境作搭配。

  • 趙 葵欣
    2012 年 2012 巻 259 号 p. 106-123
    発行日: 2012/10/27
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    汉语方言中处置式和被动式共用同一标记的现象比较多,武汉方言(西南官话)的“把”也是如此。它既可表处置,又可表使役和被动,且还存在持拿义和给予义的动词用法。本文从武汉方言“把”的共时分布入手指出其成为处置和被动标记实际上经历了两条不同的语法化路径。一是“把”由持拿义动词经由连动句重新分析而成为处置标记;一是“把”转为“给予”义,并经由使役化进而成为被动标记。这两条语法化路径成为施受事同标现象产生的原因,武汉方言“把”的研究个案为汉语方言中此类现象的来源提供了一种解释。施受事同标现象虽然不具语言类型普遍性,但两条语法化路径还是具有一定的语言类型普遍性的。

  • ―“让”を中心に―
    今村 圭
    2012 年 2012 巻 259 号 p. 124-141
    発行日: 2012/10/27
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    現代漢語における使役動詞“让”が明代から清代にかけて用法を拡大したことはすでに指摘されているが、その拡大の過程について詳細に調査した研究は見られない。本稿では、木村 2000 の指示使役文・放任使役文・誘発使役文という使役文の 3 分類に基づき、“让”が原義を残した動詞から放任使役文を構成する使役マーカーとして用いられるようになり、その後指示使役文や誘発使役文にも使われるようになったことを明らかにした。また、使役動詞“教”から“叫”への交代に伴い、放任使役文の主要マーカーとして用いられるようになったことが、“让”の用法拡大の原因であることを示した。

  • ―発話状況と共有認識との関連―
    黃 琬婷
    2012 年 2012 巻 259 号 p. 142-160
    発行日: 2012/10/27
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    従来“吧”と「だろう」の認識確認機能についての研究では、共有認識という概念について議論はされてきたが、両者の相違の発生原因は未解明のままである。本稿では認知言語学の前景と背景の概念を取り入れ、“吧”と「だろう」には確認作業の背景となる発話状況から、焦点として確認の前景となる共有認識を導き出す認知プロセスの存在を明確にした。また、共有認識をその性質毎に現場体験に関わるものと潜在的知識に関わるものと二分類し、どちらにおいても認知プロセスが存在することを確認した。さらに、“吧”と「だろう」の相違の発生原因について、「だろう」が共有認識のみから発話状況を参照するのは容易であるため、その使用が発話状況の言語化の有無に影響されないのに対し、“吧”は機能の認定が所与の発話状況に依存するため、共有認識のみでは発話状況を参照するのは困難である。それゆえ発話状況を明確に言語化する必要があるという結論を出した。

feedback
Top