中国語学
Online ISSN : 1884-1287
Print ISSN : 0578-0969
2014 巻, 261 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:“指称”の範疇化と「存在」の問題をめぐる考察
  • 大西 克也
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 1-4
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー
  • 大西 克也
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 5-25
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    現代中国語では文法範疇として有効に機能している「定」「不定」等指示性に関する概念は、上古中国語においては特定の対応する形式を持たず、文法的には範疇化されていなかった。本稿では、不定行為者を導く諸形式の変遷の検討により、動詞「有」の表す存在の意味が、上古から中古の移行期において、指示対象の際立ちのような語用論的な側面を強調するものから、特定・不定のような指示的な側面に重点を置くものへと変化したことを明らかにする。さらに、この時期に不定指示の範疇化が生じた背景として、実空間を不定の事物が占めることを述べたてる「有」字存在文が成立し、不定の事物への眼差しが顕在化したことが密接に関わっていることを指摘する。

  • ――敦煌変文を主資料として――
    松江 崇
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 26-45
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本稿は、動詞目的語を担った不定名詞句が数量表現により有標化されるようになる過程を論じたものである。具体的には、唐五代の『降魔変文』『舜子変』『伍子胥変文』を主要資料とし、主題(topic)としての継続性を有する不定名詞目的語および空間存在文の目的語に対する悉皆調査を行い、「数詞+名詞」「数詞+量詞+名詞」「名詞+数詞+量詞」といった有標形式や数量表現を伴わない無標形式の用例数を提示した上で、これらの形式の意味機能の差異を明らかにすることを試みる。そして「個別性の際立ち」「属性記述」という二つの意味特徴の有無により、各形式が対立をなしているとの仮説を提出し、数量表現が不定性と密接な関係を持つようになる過程についても初歩的な検討を行う。

  • ――『朱子語類』の場合――
    木津 祐子
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 46-63
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    現代中国語は不定指称の標識として「数量詞」を名詞に前置する。この標識の成立過程を明らかにするため『朱子語類』を分析した結果、「数量詞+名詞」は、未だ不定指示を担っていないことが明らかとなった。それのみならず、1)名詞“人”が量詞“箇”を伴う時、数詞は“一”に限られること、2)それは、“一箇”が抽象名詞に前置する場合に類似すること、さらに、3)“一箇”が“人”以外のヒトに前置する時、その名詞の大多数は修飾語を伴い、“一箇”と修飾成分が共起しやすい関係であること等、従来知られていない事実が明らかとなった。『朱子語類』における“箇”は、“人”を数えない量詞であり、その主たる機能は、名詞がもつ属性を文脈の中で際立たせることである。これらの事実から、「数量詞」が不定指称のマーカーとなる過程に、この、文脈が求める属性と“一箇”との共起という現象が密接に関わることを指摘する。

  • ――概念、実体および有標化の観点から――
    木村 英樹
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 64-83
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本稿は、現代中国語の“指称”すなわち reference について、従来の議論の枠を越え、名詞表現に加えて、空間表現、形容詞表現、さらには動詞表現をも取り上げ、有標化の観点から意味と構造の対応関係を考察する。具体的には、従来それぞれ独立した事象として個別に扱われてきた一連の文法現象を“指称”という観点から捉え直し、それらの現象に統一的な説明を与えることにより、現代中国語においては、存在論に関わる“指称”的現象において最も基本的とも言える概念的存在への言及と実体的存在への言及という意味機能上の対立が、構造上の無標と有標の対立として具現化するという状況が、名詞表現に止まらず、複数のカテゴリーに跨って範疇横断的に成立しているという事実を明らかにする。

研究論文
  • 劉 驫
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 84-102
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本文首先指出无论是否存在明确的先行词,只要具备设定框架的前提条件,“那”就可以通过潜在框架与要素之间的关联,来实现“联想照应用法”和“约束变量照应用法”。对此,近指“这(个)+名词”需要有明确的先行词才能够使用,并不具备定指形式一般应该具有的联想照应和约束变量照应用法。再有,框架与默认要素之间的语义性对应关系的强弱,是决定是否选择“那”来修饰光杆名词的重要因素。与框架之间的语义性对应关系较弱的光杆名词,如果作为默认要素被使用,那么就需要附加增强两者对应关系的定指标记“那”,来使联想照应用法成立。另一方面,与框架之间语义性对应关系较强的光杆名词,则无需任何修饰语,便可以使联想照应用法成立。

  • 呉 蘭
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 103-121
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本稿は Bybee(1985)による形態素列の語順制約の動機づけの原則に基づいて、中国語の推量表現の使用制限を明らかにすることを目的とする。中国語の推量表現は判断の証拠があるかどうかによって、「証拠性判断」と「蓋然性判断」に分けられ、前者は証拠がある時のみに使えるが、後者はその制限がない。文中の語順は、(i)証拠があることを相手に示す間主観的な「証拠性判断」≫(ii)命題内容の確信度しか表さない主観的な「蓋然性判断」≫(iii)「述語」となる。必然性を表す推量表現の中で、“保准”“显然”“想必”は証拠性判断の形式であり、“一定”“肯定”は蓋然性判断の形式である。そして可能性を表す推量表現の中で、“或许”“也许”“大概”“恐怕”は証拠性判断を表すが、“可能”は蓋然性判断を表す。同じ範疇の表現は同時に現れることができず、必然性判断と可能性判断も共起できないという制限もある。

  • 佐々木 俊雄
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 122-142
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
    ジャーナル フリー

    本文在语义学及语用学研究成果的基础上,对“就”在句中的量级表现及其作为焦点敏感算子在范围副词用法中的焦点功能进行研究。分析“就”字的实际用例,归纳出以下结论:从语义指向的角度看,副词“就”的限定用法可以分为三种,后指、前指和双指。后指通常用于强调一种客观数量,这个数量低于发话者所预料的预期量;前指用于强调一种任选的量级低的要素,句中其对应的前项有量级高的要素存在的含义;双指则是通过强调前者来突出句意对后者主观大量的表达。另外,在范围副词用法中,把副词“就”的焦点放在小量或量级低的要素来对句子中的量进行主观评价,将在全句推导出另一主观大量、或引发语句整体含义的变化。

  • 村松 恵子
    2014 年 2014 巻 261 号 p. 143-145
    発行日: 2014/10/31
    公開日: 2025/05/21
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