ケモインフォマティクス討論会予稿集
第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
選択された号の論文の49件中1~49を表示しています
プログラム
特別講演
キーノートレクチャー
口頭発表
  • 藤波 美起登, 清野 淳司, 中井 浩巳
    p. O1-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    これまで、コンピュータを用いて反応物から得られる生成物を予測するシステムが多数開発されてきた。しかし、化学反応の複雑さをコンピュータが表現することは難しく、未だ実験化学者に広く利用されるシステムの開発には至っていない。近年、分子のトポロジカルな情報を中心的な記述子として、機械学習を有機化学反応の予測に応用したシステムが優れた予測能を示した。しかしこの手法は、金属種を含む反応など、分子の立体的構造や電子状態が生成物を左右する反応の予測が困難であると考えられる。そこで本研究では、あらゆる化学種に対する反応予測を目指して、量子化学計算により得られる情報を記述子として機械学習を用いるシステムを開発した。本手法は基本的な有機化学の極性反応およびラジカル反応に対して既存手法と同程度の予測精度を示した。本発表では、本手法の詳細および予測精度の量子化学計算条件に対する依存性について検証した結果を報告する。
  • 堀 憲次
    p. O2-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    我々は、PostgreSQLを用いた化学反応に関するデータベース(遷移状態データベース、TSDB)の構築と、Webブラウザを介して検索するシステムの開発を行っている。このDBは、先行して構築したQMRDBのデータを利用している。TSDBの結果を利用して反応解析を効率的に行うために、目的反応の遷移状態を類似反応のデータを用いて探索する方法、「置換基法」の開発も行った。この方法を適用するためには、目的化合物を合成する反応とTSDBに登録されている類似反応との間で、置換基の違いを特定することが必須となる。しかしながら、化学反応を専門としない化学者がこの違いを見出すことは、困難である場合が多い。本研究では、両者の違いを明示するプログラムを、Chemistry Development Kit (CDK)を用いて開発したので、その詳細と利用法、さらには現在開発中の理論計算のみを用いた合成経路設計システムについて述べる。
  • 寺前 裕之, 林 浩輔, 高山 淳, 坂本 武士
    p. O3-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    近年、生物活性を有する2-アザスピロ環化合物が報告されているが、効率的な合成法は少ない。我々は、先行実験により化合物の超原子価ヨウ素試薬による環化反応をおこなうことで2―アザスピロ環化合物が得られることを見出した。しかし、この反応ではアミド窒素上の置換基効果が顕著に見られることから、高次元アルゴリズムによる安定構造計算からその反応機構を検討した。
  • 赤瀬 大, 相田 美砂子
    p. O4-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    多面体水クラスターは水素結合の向きが異なっていてもよく似た骨格構造をもつ.いくつかの多面体水クラスターの水素結合ネットワークが数え上げられているが,4本の水素結合をもつ水分子を含む多面体水クラスターの水素結合ネットワークについてはほとんど研究されていない.本研究では,立方体が2つ接合したダイキューブについて,有向グラフを用いて水クラスターに対応する水素結合ネットワークをすべて網羅し,水素結合のタイプで分類した.また,網羅した水素結合ネットワークから水クラスターの構造を生成し,非経験的分子軌道で構造最適化して水素結合ネットワークの安定性を検証した.構造最適化の結果,ほとんどの構造はダイキューブ型の水素結合ネットワークを保持したが,いくつかの構造で1本の水素結合が切れた.水素結合が切れた構造には共通の水素結合ネットワークがあることを見出した.
  • 田中 雅人, 有賀 大輔, 柏原 輝彦, 高橋 嘉夫
    p. O5-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    6族元素であるクロム(Cr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)は酸化還元状態に敏感であり、多くの安定同位体を持つことから古環境を知る上で重要な微量元素である。特にMoは鉱物や酸化還元状態によって様々な同位体分別を示し、過去の大気や海洋の環境を知るための指標として注目されている。また、モリブデン酸の同位体分別は、X線吸収端微細構造(XAFS)法を用いた解析から吸着時の対称性の変化(4面体構造から8面体構造への変化)により生じると報告されている。このように吸着構造と同位体分別は密接に関係しているが、十分に理解されてはいない。そこで、本研究では、密度汎関数法(DFT)による量子化学計算とXAFS法で得られた吸着構造を組み合わせて、6族元素の鉱物への吸着に伴う同位体分別に関する詳細な理解を試みた。
  • 吉川 太基, 赤瀬 大, 相田 美砂子
    p. O6-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    トレハロース(C12H22O11)は2つのα-グルコースの1位同士でグリコシド結合した非還元性の二糖類である。トレハロースには様々なコンフォマーが存在しており、OH基の二面角だけでなく、グリコシド結合の二面角やCH2OHの二面角によってもコンフォマー区別することができる。気相中の二糖類の配座の安定性には分子内水素結合ネットワークが大きく影響してことがわかっている。本研究ではトレハロースの様々なコンフォマーの安定構造と相対エネルギーをMP2による計算を用いて明らかにした。その結果、相対エネルギーはグリコシド結合の角度と関係があることを見出した。また得られたトレハロースの最安定のコンフォマーは、2つのα-グルコースの最安定のコンフォマーがグリコシド結合した構造である
  • 宮尾 知幸, 金子 弘昌, 船津 公人
    p. O7-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    ビルディングブロックを組み合わせることで仮想的な化学構造を生成する試みは、コンピュータプログラムを利用することで頻繁に行われている。このような単純な試みであっても、組み合わせにより生成された構造群には重複構造が含まれることが多く、構造生成の非効率化につながる。仮に重複構造の発生を抑制した場合であっても、組み合わせ論的爆発に陥ることもあり、その際には、多様な構造を生成する等の生成構造数を削減する方策が必要となる。本研究では、リングと原子のフラグメントを木構造として組み上げた際に、重複構造が発生せず効率的に組み上げるアルゴリズムを提案する。また、構造を多様に生成するために、原子のフラグメントに基づくフレームワークに対して一つの構造を生成するアルゴリズムも提案する。簡単な構造生成のケーススタディを通して、提案した二種類のアルゴリズムを評価した。
  • 早水 紀久子, 矢部 篤子, 朝倉 克夫, 栗本 智充
    p. O8-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    2003 年ごろからデータベース構築とデータ収録を開始した有機天然化合物を 対象とした 13Cと 1H-NMR のデータベースは、収録件数が約 30,000 件となった。 2015年以降JEOL-Resonanceのホームページから無料一般公開をおこなっている。 検索項目は分子式、名前、化学シフト値などとともに化学構造式による検索も 可能である。
  • 上岡 千紋, 由井 芹菜, 山本 栞, 山崎 広之, 西端 芳彦
    p. O9-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    化学構造データベースは、化学に関する研究情報の蓄積・公開には必須のシステムであるが、商用システムは導入・運用コストが高く、大学などの研究機関にはあまり普及していなかった。非営利研究機関向けライセンスやオープンソースソフトウェアの登場により、大学などでの利用も可能にはなったが、実用に供するシステムを開発するには大きな労力が必要である。一方、システム開発の効率化のためにアジャイル開発が注目を集めている。我々は、アジャイル開発と親和性の高いWebフレームワークであるDjangoに注目し、DjangoとRDKit database cartridgeの組み合わせによる化合物データベースシステムの開発を試みた。我々の研究は、コンピュータプログラミングについての知識のない薬学部の学部学生が、短期間で実用的な化学構造検索システムを開発可能であることを示し、DjangoとRDKit database cartridgeの組み合わせによる化学構造データベースシステム開発の有用性を明らかにした。
  • 山﨑 広之, 西端 芳彦, 山乙 教之, 広野 修一
    p. O10-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    fragment-based drug designでは、従来実験手法により活性フラグメントを同定し、それらのフラグメントを組み合わせて化合物設計を行う。近年、活性フラグメントの同定や化合物設計に用いる実験手法の代替案として計算機手法を用いることが期待されている。計算機的手法でフラグメントを同定する場合、数多くの候補フラグメントの数が同定され、その組み合わせは爆発的な数となる可能性がある。この全ての組み合わせに対して計算機手法による化合物設計を行うことは、計算コストが非常に高く、組み合わせを絞り込むための計算コストの低い手法が必要である。そこでフラグメント組み合わせの選択条件を検討するために、我々はフラグメントライブラリから取り出した全ての3個の組み合わせが既知化合物および物理化学特性を特定した化合物中に存在するかどうかを解析した。
  • 山口 滋, 袖岡 幹子
    p. O11-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    反応における重要な分子サイズ・形状に関する情 報を回帰分析により抽出する手法について発表する。具体的には、バラバラにした分子構造(0,1のベクトルに変換した3次元 分子構造)を記述子に、反応速度や立体選択性を目的変数として正則化回帰を用いて回帰式を作成した。作成した回帰式の係数 をもとに、反応における重要部分構造が可視化できる。可視化した重要部分構造をもとに分子デザインを試みた。発表では、解 析の詳細について報告する。
  • 中本 雅俊, 有田 正規, 太田 大策, 金谷 重彦
    p. O12-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    ミドリムシ(Euglena gracilis) におけるワックスエステル(WS)の蓄積を最適化するための実験手法を検討した。E. gracilis を嫌気的条件下に置くことにより,一時的に細胞内 ATP レベルが減少した。WE 生合成反応の進行に伴い,細胞内 ATP レベルが好気的条件下と同程度まで回復することが報告されている.故に,WE 生合成は,嫌気的条件下におけるエネルギー獲得の手段であると考えられている。
  • 江口 遼平, 金谷 重彦, 森田 晶
    p. O13-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    二次代謝物に見られる多様な環構造は、代謝パスウエイの推定ならびに創出される生物活性情報と関連があることが示唆されている。そこで本研究では、KNApSAcK DBに含まれている約5万種の二次代謝物を用いて、二次代謝物中に存在する環構造に焦点をあて、二次代謝物の生物活性と生物活性情報の関連について検討する。KNApSAcK DBに含まれる48,681の二次代謝物より抽出した環構造の総数は5,905,755種の環構造である。この多様性をもとに代謝経路と環構造の関連性を検討した。
  • 金谷 重彦, 森田 晶, 大橋 美名子, 小野 直亮, 黄 銘
    p. O14-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    料理の健康への寄与を体系的に理解することを目的とした料理レシピ・データベースを設計し開発した。現在までに1,539種の薬膳を格納した。これらの薬膳において、468種の食材、221種の効能情報が含まれている。本発表では、料理とヒトの健康への寄与の関係を集めたデータをもとに体系的に整理する。
  • 佐藤 哲大, 平井(森田) 晶, 大橋 美名子, 小野 直亮, 黄 銘, 金谷 重彦
    p. O15-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    日本の三大疾患(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)予防に焦点を当て、薬膳料理を中心に天然食材と健康の関係の体系化を目指した新規データベースについて紹介する。さらに、本データベースを解析することにより薬膳料理と三疾患の予防の関係を検討した。
  • 西岡 孝明, 金谷 重彦
    p. O16-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    マススペクトルのデータベースMassBankに収集されている有機化合物のESI-MS/MS高分解能質量分析データから、イオン化によって生成した偶数電子を有するフラグメントイオンの化学組成式、開裂した化学結合、開裂経路を推定したライブラリーを構築した。このライブラリーの応用例について紹介する。また、マススペクトルのデータベースがいくつか構築されているが、互いにレコード形式が異なるためにデータベース間で串刺し検索することはとても面倒である。そこでマススペクトル(ピークのm/zと強度)をハッシングして1行で表現するアルゴリズムSPLASHを国際共同開発して各レコードに埋め込むことにした。SPLASHは主要ピークのm/zと強度の類似性を表現してハッシュしたブロックと全てのピークをハッシュしたブロックの2つで構成されている。最初のブロックはフィルタリングに利用している。現在、50万件以上のマススペクトルデータがSPLASHを挿入している。
  • Matt Escobar, 金子 弘昌, 船津 公人
    p. O17-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    データ可視化プロセスにおいては、高次元空間内に分布しているデータを低次元へ写像することにより、データの特徴を把握する。本研究では、Generative Topographic Mapping (GTM) を利用した最適なマップ構築をするために、GTMにおけるハイパーパラメータを最適化する新規指標を検討した。GTMとは、確率分布を利用した非線形次元削減手法である。GTMに用いられるハイパーパラメタ最適化のために、誤差の二乗平均平方根(RMSE)を利用することが多いが、今回、写像の滑らかさを評価するため中点RMSEと最近傍探索の組み合わせを利用した指標を提案した。提案した指標の有効性を検討するため、ケーススタディとしてシミュレーションデータを用いた解析、仮想プラント(Tennessee Eastman Process)シュミレータにより作成したデータを用いた解析を行った。結果、提案指標により構築したマップが、最も信頼性が高いデータ可視化となることを確認した。
  • 小林 正人, 岩佐 豪, 高 敏, 高木 牧人, 前田 理, 武次 徹也
    p. O18-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
  • 髙村 彩里, 渡邊 賢, 池谷 博, 阿久津 智子
    p. O19-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    警察による犯罪捜査においては、現場に遺留された生体由来資料を採取し、その科学分析によって被疑者の特定が図られる。中でも血液を始めとする体液は頻繁に遺留される資料であり、体液種の識別は捜査上不可欠なものである。現行の生化学的検査法に対し、近年では非破壊かつ簡便という利点を持った分光分析による体液種識別法への注目が高まっている。しかし、生体試料のスペクトルは複雑かつ類似部分も多いため、十分な識別精度を得られる解析法の開発が求められている。本研究では、赤外スペクトルとPartial Least Squares-Discriminant Analysis(PLS-DA)の利用により、生体血と死体血の識別に取り組んだ。さらに、これまで困難とされていた斑痕状態の血液試料の識別を目指し、多変量スペクトル分解法による担体由来シグナルの除去を試みた。結果、血痕スペクトルからの血液由来シグナルの適切な取り出しと、PLS-DAモデルでの成分数の選択により、良い識別精度が得られることを示した。
  • 金子 弘昌, 船津 公人
    p. O20-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    産業プラントの安全かつ安定的な運転のためにはプラントの運転状態を監視しなければならない。プラントにおける異常の検出には主に主成分分析が用いられてきたが、プロセス変数間の関係が非線形の場合およびデータ分布が複数である場合には対応できなかった。さらに、異常を検出できたとしてもその状態を推定することは困難であった。そこで本研究ではアンサンブル学習を活用することでプラントにおける異常を検出し、さらにその状態を推定する手法を開発した。時間をずらした複数のデータセットをして、それぞれ主成分分析により異常検出モデルを構築する。新しいデータがどのモデルで異常検出されたかの情報に基づいて状態推定を行う。提案手法の有効性を確認するため、化学プラントを模倣した数値シミュレーションデータを用いて、異常の検出能力およびプロセス状態の推定性能を検討する。
若手セッション
  • 岩田 浩明, 奥野 恭史
    p. Y1-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    化合物の生物活性のプロセスとして、化合物が標的タンパク質に結合し、活性化されたタンパク質が細胞にシグナルを伝える。そのシグナルが引き金となって様々なタンパク質が相互作用し、細胞死や細胞増殖、分化などの細胞の表現型への変化を生じさせる。合理的な薬物設計のためには、どのタンパク質が表現型に影響を与えるかを理解する必要がある。そこで本研究では、化合物から細胞の表現型への分子メカニズムを理解するために、化合物-タンパク質-フェノタイプの多階層モデルを構築した。化合物、タンパク質、表現型に関するデータから化合物と表現型の未知の関係を予測し、表現型の変化に関与しているタンパク質を推定する機械学習の手法を提案する。
  • 上原 彰太, 田中 成典
    p. Y2-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    タンパク質とリガンドの結合において水分子が重要な役割を果たすことはよく知られているが,これらの水分子の効果をドッキング計算に取り入れるのは容易ではない.水和したタンパク質の活性部位に存在する水分子の自由エネルギーは様々だが,通常そのプロファイルはバルクの水分子とは大きく異なる.リガンドはタンパク質に結合するとき,元々タンパク質の活性部位を満たしてたいた水分子をバルクへと放出する.従って排除される水分子の自由エネルギー変化はタンパク質ーリガンド結合における結合自由エネルギーに大きく寄与する.例えば,タンパク質の疎水性部位に存在する水分子は水素結合を適切に形成できないためバルクの水分子と比較して不安定である.つまり,リガンドがこのような水分子をバルクへと放出することはリガンドの結合自由エネルギーにおける大きな利得となる.本研究では,分子動力学法を用いて得た水分子の自由エネルギーを取り入れることによってドッキング計算の精度向上を試みた.
  • 半田 耕一, 広野 修一
    p. Y3-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    医薬品開発に際して日米欧から様々なガイダンスが発行されている。2012年に発行された薬物間相互作用(DDI)に関するFDAドラフトガイダンスには,CYP阻害,誘導に関する詳細な検討方法及び評価方法が記載されており,注目を集めている。この時,製薬企業にはガイダンスを遵守した申請資料を作成するだけでなく,事前にDDIを回避した薬剤の創出が望まれる。そこで,本発表では,ガイダンスに基づいた課題の設定を行い,分子力学手法を基にしたCYP阻害,誘導の計算化学手法を紹介する。CYP誘導については,多くの薬剤の代謝に関与するCYP3A4の誘導に注目して,その原因酵素であるpregnane X receptorを用い,MDシミュレーション,MM-GB/SA及びCoMFAによる定量的構造活性相関モデルに関する最新の研究成果を報告する。
  • 森脇 寛智, 川下 理日人, 田 雨時, 高木 達也
    p. Y4-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    定量的構造-活性相関では、化合物の構造からその特徴を表す記述子を算出し、重回帰分析などにより予測モデルを構築する事が広く行われている。そのため、記述子を計算するソフトウェアは商用、非商用を問わず多く開発されている。PaDEL-descriptorは300回以上引用されている著名なソフトウェアで、多くの記述子を算出できる。そのため、我々も使用してきたが、これには多くの不具合が存在する事を見出した。また、最近では、特にニューラルネットワークにおいてPythonを使用して機械学習を行なう事が多くなってきている。これらより、我々は記述子計算ソフトウェアであるMordredを開発した。これはPython2/3両対応のモジュール、Command line Interface、ウェブアプリケーションから使用可能で、約2,000の記述子を算出できる。MordredはBSD3ライセンスで配布している。
  • 早川 大地, 山乙 教之, 中込 泉, 小澤 新一郎, 吉田 智喜, 広野 修一
    p. Y5-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    フェニルケトン尿症(PKU)は、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の変異による酵素活性の低下によって生じる、先天的なフェニルアラニン代謝異常である。近年、変異型PAHの酵素活性を回復させる低分子化合物(ファーマコロジカルシャペロン; PhC)が複数提案されており、PKU治療のための新規治療薬としての可能性を有している。より有効なPhC薬の分子設計のために、変異によるPAHの活性低下機構およびPhCの作用原理の理解が重要である。本研究では、分子動力学法によりこれらのメカニズムを解析した。この結果、PAH活性部位の熱運動が変異によって増大することが示された。この結果は変異による活性部位の熱運動の増大によって酵素活性が低下することを示唆する。加えて、PhCの結合による変異型PAH活性部位の熱運動の安定化によって、酵素機能が回復されることが示された。
  • 内田 太郎, 大澤 雅俊
    p. Y6-
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/22
    会議録・要旨集 フリー
    中性およびアルカリ性電解液中で Ag電極に4,4’-ビピリジン(BiPy)を吸着させると、BiPyがない場合に比べて30倍ほど水素発生反応(HER)が促進されることを見いだした。本研究ではそこで本研究ではBiPyによるHER促進機構を表面増強赤外分光、電気化学測定、DFT計算を組み合わせることで明らかにした。SEIRASと電気化学の同時測定から、HERの開始電位はAg電極に吸着したBiPyの1e- + 1H+ 還元と一致し、水素発生電位では安定して電極上にmonohydro BiPy(BiPy-H*)が観測された。さらに詳細な電気化学測定から、水素発生中ではBiPy-H* がさらに1e- + 1H+ 還元されることが明らかとなった。DFT計算から、その2段目の還元種は N,N-dihydro BiPy (BiPy-H2) であり、この分子種は不安定なためにBiPyとH2にすぐに分解するが、またBiPy-H*に還元されることから反応が触媒的に進むことが明らかとなった。
ポスター発表
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