ケモインフォマティクス討論会予稿集
第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
選択された号の論文の61件中1~50を表示しています
プログラム
招待講演
  • 旭 良司, 陣内 亮典, 三輪 和利
    p. 1T01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    実用的な材料系の設計を対象とすると、第一原理計算の活用範囲を超えた大規模な計算を 高精度かつ高効率に実行する手段が必要となる。本報告では、第一原理計算の計算データ 用いた機械学習ポテンシャルの構築と応用について紹介する。限られた数の第一原理計算 をデータベースとし、その内挿・外挿により未知の物質の物性を予測する。予測精度は学 習するデータの数に伴い系統的に高めることができる。本研究に適用した機械学習ポテン シャルの手法構築と、それを Au-Rh ナノ粒子の NO 分解触媒活性予測、および、構造相転 移を伴う固体 Li イオン伝導体 Li2B12H12の物性評価へ適用した応用例について述べる。こ れらの結果から、機械学習ポテンシャルの適用により、多様な材料系の物性予測を高効率 にかつ高精度に提供可能であることが示された。
  • 白井 泰博
    p. 2T01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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特別講演
  • 萩原 正敏
    p. 1S01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    我々はスプライシングなどの遺伝子発現過程を、蛍光・発光プローブによって生体内で可視化する独自技術を開発し、創薬スクリーニングに用いることで、RNAスプライシングを操作できる合成化合物を開発してきた。その作用機序の検討やトランスクリプトーム解析などから、スプラシング操作薬の標的となり得る遺伝性疾患の条件が判明しつつある。遺伝病データベース等をもとに標的疾患をリストアップして、独自のスプライシングアッセイと、疾患iPS細胞および疾患モデルマウスによる薬効評価を行っている。このような新しい創薬手法を駆使して、従来は治療出来なかったライソゾーム病などの遺伝病や特殊な癌などに対する治療薬候補物質を見出している。また、脳梗塞や神経変性疾患などに対する再生医療も、小分子で実現できる可能性が見出されている。ケミカルバイオロジーに立脚した新しい創薬手法とその今後の可能性について議論する。
  • 浅井 美博
    p. 1S02-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    機械学習や人工知能(AI)などの情報技術・データ科学の進展を受けて、所望の機能を実現する材料の化学組成などを予想・設計しようとする材料インフォマティクス研究が脚光を浴び、各国でのプロジェクト研究が進んでいる。特に金属・合金系の研究においてドイツでの研究が優れた進展を遂げておりストレス・ストレイン特性などの力学強度・構造材料機能に関してその材料組成などを予測するための良い回帰モデルが得られている。一方、ナノエレクトロニクス材料、機能性材料などの電子・光物性に関わる材料や触媒などの反応制御材料などの設計に関してはこれからの研究進展に託されている面が強い。これらの問題に対する計算シミュレーションとデータ科学を活用するMIへの展望に関する講演を行う。実験データに関わる困難を背景に、計算シミュレーションデータをより積極的に活用する「材料データマイニング」の実現が強く望まれており計算シミュレーションによる材料機能の直接(順方向)予測能力の向上が望まれるが、それを支える基礎理論・計算シミュレーション手法開発の現状についてナノエレクトロニクス材料での研究事例を紹介する。
口頭発表
  • 水谷 紗弥佳, Edward Pauwels, Veronique Stoven, 五斗 進, 山西 芳裕
    p. 1A01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    薬剤の投与は、期待通りの治療効果をもたらす一方、望ましくない副作用を引き起こすこともある。副作用は医薬品開発において重要な懸案であるにも関わらず、その分子学的の発生機構はほとんど未同定のままである。本研究では、薬剤—標的タンパク質の相互作用という分子レベルでの情報と、薬剤の副作用情報という表現型レベルでの情報という、異なるスケールでの情報を関連づける方法を提案する。我々は、スパース標準相関解析を適用し、薬剤—標的タンパク質相互作用データと薬剤—副作用データの間に相関セットを抽出し、それを用いて未知の副作用プロファイルを予測する手順を提案した。提案手法は、副作用の分子作用機序への議論を可能にするとともに、薬剤候補化合物に対して標的タンパク質プロファイルから潜在的な副作用を予測するのに有用であると期待される。
  • 堀 憲次
    p. 1A02-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    我々のプロジェクトでは、(1)薬物候補化合物の大規模バーチャルライブラリを作成し、(2) 予測モデルを用いたスクリーニングによる絞り込み、(3)絞り込まれた多数の化合物の合成 の可能性を遷移状態探索により検討する。我々は、短時間で多くの候補化合物の反応解析を 行う目的で遷移状態データベースを構築し、その利用方法と理論計算とを繋げる TSDB ク ラウドシステムの構築を行ってきた。このシステムは、データベース検索と理論計算を行う クラウドシステムと、Windows 上で Web ブラウザを通したクラウドシステムとの間のイン ターフェイス(cStructure)と Gaussian プログラム入力作成プログラム(iStructure)で構成 される。本研究では、システムの概要を述べるとともに、PME-1 タンパク質活性を阻害す る可能性のある複数の薬物候補化合物合成反応に対して行った解析結果について述べる。
  • 金谷 重彦, 森田 晶, 大橋 美奈子, 江口 遼平, Altaf-Ul-Amin , 黄 銘, 小野 直亮
    p. 1A03-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    KNApSAcK Family DB(http://kanaya.naist.jp/ KNApSAcK_Family/)は、天然物化合物とそれを生産する生物の情報、さらには生合成経路、活性情報など、天然物における多様な情報を集積したDBであり、現在までに、114,238種の生物種-二次代謝物の関係、二次代謝物の総数は51,086種となっている。また、白井博士(長浜バイオ大学)の開発した代謝物の三次元グラフマッチングアルゴリズム(COMPRIG)により、Twins DBにおいては天然物間の類似性を検索することが可能になった。
  • 田中 るみ子, 中山 伸一
    p. 1A04-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    特許公開公報に記載されている化学物質名は、多様であり、記載法も書き手に委ねられているため共有化を妨げている。化学物質名を自動抽出できれば、共有化に役立つ。日本語の化学物質名を抽出するために、化学物質名をタグ付けしたコーパスの作成を行い、文章から単語の切り出し、切り出した単語の連結、連結した単語群から化学物質名を取り出す方法を検討した。化学物質名と間違えやすい官能基名との選別比較も行った。
  • 高橋 崇宏, 土屋 諒介, 荒川 正幹
    p. 1A05-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    化学気相堆積法の研究開発の自動化を目指して、反応装置内部において原料ガスが気相反応や表面反応を経て薄膜になる反応機構(反応モデル)を明らかにするための実験計画を自動的に立案するシステムを開発した。立案アルゴリズムは多目的最適化手法を用いて実現した。得られたパレート解はクラスター分析によって分類され、新たな実験計画として提案された。
  • 宮尾 知幸, 船津 公人
    p. 1A06-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    三次元リガンド情報に基づきヴァーチャルスクリーニング(VS)を行う際、標的マクロ分子との結合状態におけるリガンド分子の立体配座が重要な役割を果たすと考えられる。また、類似性検索に基づくVSでは、活性化合物の類似構造のアンサンブルを検索クエリとして利用する手法が提案されている。本発表では、リガンドベースVSにおいて、活性化合物のコンフォメーションが重要なのか否かを判断するためのベンチマーク計算、並びに、三次元リガンド構造に基づくVSにおけるアンサンブル効果を検証した結果を報告する。コンフォメーションはそれほど重要ではなく、アンサンブル効果は三次元リガンド構造に基づくスクリーニングであっても有効であるとの結果となった。
  • 勝田 陽介, 井上 舞美, 嘉村 匠人, 北村 裕介, 萩原 正規, 佐藤 慎一, 井原 敏博
    p. 1A07-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    近年、試験管レベルの実験でRNA G-quadruplex(RGq)とタンパク質翻訳反応の関連性が次々と報告され、細胞内のどの遺伝子がどの位置でRGqを持っているのかを明らかにし、疾病との関連性を精査するような研究が世界各国で進められている。現時点において、細胞内RGqを探索する方法は核酸配列の熱安定性情報を考慮に入れ、「3塩基以上の連続するグアニン配列が4つ必要で、それら連続するグアニン配列間をつなぐループは7塩基以下でなければならない」というルールを適用している。しかし我々のグループではRGqに対して非常に高い選択性をもつ化合物(RGB-1)を化合物ライブラリーからスクリーニングにより見出し、このルールから外れる、今まで知られていなかった位置にRGqが存在していたことを見出した。本発表においてはこの手法を拡張し、タンパク質翻訳に関与している細胞内RGqを抗体アレイと化合物により網羅的に絞り込み、ストップアッセイによりRGqを構築している位置を見出す手法を紹介する予定である。
  • 澤田 隆介, 岩田 通夫, 梅崎 雅人, 臼井 義比古, 小林 敏一, 窪野 孝貴, 林 周作, 門脇 真, 山西 芳裕
    p. 2B01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    漢方薬(漢方方剤と呼ばれる葛根湯など)による医療は日本の独創的かつ伝統的な治療体系である。その有用性は、欧米でも注目されている。本研究では、富山大学和漢医薬学総合研究所が長年に渡り蓄積してきた莫大な漢方医薬情報を、統合的に解析するための情報技術を開発し、漢方薬の作用機序の科学的考察や、漢方薬の新規効能予測を行うアルゴリズムやデータベースを開発した。漢方薬、その構成生薬及び成分化合物と標的タンパク質の階層的関係から、漢方薬が生体に薬理学的効果を及ぼすメカニズムの考察を可能にするだけでなく、in silico結合シミュレーションや機械学習の手法を用いて、漢方関連ビッグデータを解析することにより、漢方薬の新しい適応可能疾患の予測(漢方薬リポジショニング)も可能にした。本研究で構築したデータベース「KampoDB」は、web上で公開している(http://wakanmoview.inm.u-toyama.ac.jp/kampo/)。
  • Francois Berenger, 山西 芳裕
    p. 2B2-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    Bisector treeは、任意の点の静的な空間インデックスを探索するための計算幾何学に基づくデータ構造である。提案手法では、N次元空間における高速かつ正確な最近傍探索や、空間内に存在する任意の2点間の距離の測定を可能にする。われわれは、Bisector treeのアルゴリズムを実装したオープンソースライブラリを一般に公開している(https://github.com/UnixJunkie/bisec-tree)。本アルゴリズムでは、近傍に存在するいくつかの分子が、同じバケット(分割領域)に分類される。(最大の)バケットサイズは、ユーザー定義のパラメータである。また、分類木を構築する過程で良いバンテージポイント(素性と域値の組み合わせ)を見つけるため、次のクエリを効率的かつ迅速に設定するための2つの学習法を提案している。本発表では、数百万にも及ぶ分子クエリに対する空間インデックスを探索し結果と、提案手法の応用例について報告する。
  • 森川 郁美, 荒川 正幹, 太田 広人, 杉本 学
    p. 2B03-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    生体アミン受容体は昆虫の摂食行動を制御するため、新規害虫防除剤の標的となる。本研究では、太田らが実験的に調べたカイコのドーパミン受容体に対する35個の化合物に注目し、そのアンタゴニスト活性の理解・予測のために予測モデルを作成した。我々の予測モデルでは、リガンドと受容体との電子的相互作用がリガンド-受容体複合体の形成の鍵であると考えたため、電子状態計算から得られた電子的記述子を説明変数に用いた。さらに、予測モデルを参照して、植物の二次代謝物の電子状態情報を格納したデータベース(5733個の化合物)の中から、高活性化合物を探索した。
  • 金子 晶夫, 後藤 仁志
    p. 2B04-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    深層ニューラルネット(DNNs)を用いた定量的構造活性相関(QSAR)や物性相関(QSPR)等の研究を進めるためには,多数の立体配座情報を学習データセットとして準備する必要があるが,現在,利用可能な公開分子データベースは二次元分子情報か, 三次元構造データを一つのみ提供している場合がほとんどである.そこで,当研究室では,配座探索によって得られた多数の配座異性体と,量子化学計算によって最適化された立体構造情報を収録するC3DB(Computational Chemistry Conformation DataBase)システムを開発する。C3DBシステムはWUIを提供するAPIサーバー,および分子構造情報等をXMLに変換しデータベース(DB)化する機能を提供するDBサーバーで構成される.DBサーバー内部ではCMLを独自に拡張したXMLフォーマットを利用する.またC3DBは事前に登録された計算サーバーを使用することで,配座探索や構造最適化をC3DB上から操作する機能を提供する.現在,約12,000の分子情報が格納されている。
  • 鈴村 天風, 後藤 仁志
    p. 2B05-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    粗視化モデルは計算効率を向上させ、巨大分子系に対する広範囲かつ長時間スケールの計算を可能とする。しかし、粗視化モデルによる効率性とともに、全原子モデルの詳細な情報が必要となる。我々が開発している粗視化ドッキング手法では、予測結合部位はペプチドのCα構造として出力されるため、高精度な解析を行うには全原子モデルへの変換が必須である。本研究では、結合部位の粗視化ペプチドから全原子構造を構築するCBRM(Conformation-based Reverse Mapping)法を開発する。複合体結合部位におけるペプチドの多様な立体構造に対応するため、網羅的な配座探索により完全なトリペプチド配座DBを作成し、全原子構造のテンプレートとして用いた。CBRM法は配座DBを組み合わせることで、任意の残基長の粗視化ペプチドを全原子立体構造へ変換することが可能である。また、CBRM法で予測される全原子モデルの精度を向上させるための新たな粗視化モデルの検討も行った。
  • 原田 隆平, 重田 育照
    p. 2B06-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    タンパク質は極めて複雑な構造􏰀と精緻な機能をもつ高分子化合物であり、分子認識、情報伝達、酵素反応など、生体内でおこる様々な生命現象の根幹をなす。立体構造􏰀と機能の間には大きな相関(構造􏰀-活性相関)があることが期待されていることから、これまでX線・中性子回折実験や核磁気共鳴法(NMR)などの実験的手法により、数多くのタンパク質の立体構造􏰀が明らかにされてきた。特に最近では、X線自由電子レーザーやクライオ電顕等の実験により、タンパク質1分子の動的から機能と構造􏰀変化の関わりが徐々に明らかになりつつある。そこで本研究では、実験データとの類似度を用いて我々の開発してきたカスケード型MDを実行することにより、低解像度の構造􏰀データを再現するMD構造􏰀を探索する。また、実験データとの非類似度を利用することで、構造遷移を誘導することが可能であることを示す。
  • 黄 銘, 江口 遼平, 小野 直亮, Altaf-Ul-Amin , 金谷 重彦
    p. 2B07-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    化合物の心臓毒性とは、Ikrという心筋細胞のカリウムのイオンチャネル遮断作用であり、心臓のQT延長症候群の誘因である。心臓毒性を持つ化合物の種類は多岐にわり、Ikrチャンネルの構造未知であるが、quantitative structure-activity relationship に基づいたin-silicoモデルを使った化合物の遮断作用を予測するのは可能である。本発表では、深層ニューラルネットワークを基づいて、生物実験で確認した化合物のIkrチャンネルに対するアフィニティ(IC50) と化合物の化学構造を利用したin-silicoモデルを構築し、モデルの心臓毒性の予測効果を紹介する。
  • 江口 遼平, 黄 銘, 小野 直亮, Altaf-Ul-Amin , 金谷 重彦
    p. 2B08-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    生化学的特徴を上手く表現するためにこれまでに、分子フィンガープリントのような様々な化学的記述子が考えられている。しかしながら、分子構造から生物活性を予測することは、それらの化学的記述子の選択に依存するので、依然として非常に難しい問題である。近年、与えられた訓練セットからの分子特徴抽出のためのモデルを自動的に最適化することができるグラフ畳み込みネットワーク(GCN)に基づく手法が提案されている。本研究では、植物における二次代謝産物群の一つであるアルカロイドの代謝経路を予測するために用いた。アルカロイド化合物についてGCNモデルを適用したところ、予測の平均精度が約95%という結果が得られ、非常に高い精度で予測可能であることが確認できた。この結果により、本研究で用いたGCNを用いた代謝経路予測の手法は、生物が固有に有する代謝系の進化を理解することにつながると期待される。
  • 岩田 通夫, Longhao Yuan, Qibin Zhao, 田部井 靖生, 山西 芳裕
    p. 2B09-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    ヒト由来細胞の薬物応答を遺伝子レベルで明らかにすることは、創薬において重要課題である。しかしながら、実際の薬物応答遺伝子発現データは多くの欠損値や未観測値を含んでいる。本研究では、新規のテンソル分解アルゴリズムTT-WOPT (tensor-train weighted optimization)を用いて、高階テンソル構造からなる薬物応答遺伝子発現データを解析する手法を提案した。本研究では、208薬物、978遺伝子、15細胞、3時点からなる薬物応答遺伝子発現データに適用した。実際に、提案手法は既存手法よりも、薬物応答遺伝子発現データ中の欠損値を正しく補完できた。また、遺伝子発現データから薬物の効能を予測する問題においてTT-WOPTで欠損値を補完することにより薬物の効能予測の精度が向上することを示した。提案手法は、薬物の標的分子予測や新規効能予測など様々な用途への活用が期待できる。
  • 陳 嘉修, 田中 健一, 小寺 正明, 船津 公人
    p. 2B10-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    In the chemical industry, designing novel compounds with desired characteristics is a bottleneck in the chemical manufacturing development. Quantitative structure–property relationship (QSPR) modeling with machine learning techniques can move the chemical design forward to work more efficiently. A challenge of current QSPR models is the lack of interpretability operating black-box models. Hence, interpretable machine learning methods will be essential for researchers to understand, trust, and effectively manage a QSPR model. Global interpretability and local interpretability are two typical ways to define the scope of model interpretation. Global interpretation is information on structure−property relationships for a series of compounds, helping shed some light on mechanisms of property of compounds. Local interpretability gives information about how different structural motifs of a single compound influence the property. In this presentation, we focus on the designs of interpretable frameworks for typical machine learning models. Two different approaches based on ensemble learning and deep learning to interpretable models will be presented to achieve global interpretation and local interpretation respectively which are equal to or even better than typical trustworthy models. We believe that trust in QSPR models can be enhanced by interpretable machine learning methods that conform to human knowledge and expectations.
  • 井上 貴央, 田中 健一, 小寺 正明, 船津 公人
    p. 2B11-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    近年、機能性有機分子の開発が盛んに行われている。開発の効率化のための手段として構造生成器が挙げられる。目的物性を有する構造を生成するために設計された構造生成器DAECSに対し、本研究では生成構造の多様化に取り組んだ。構造生成の起点となる構造を生成構造群から選ぶ際に、範囲の制限とクラスタリングを組み合わせることで、生成構造群の多様性の向上を目指した。提案手法を評価するため、ヒスタミンH1受容体に対するリガンド構造の生成を行い、生成構造の分布と生成構造群の任意の2構造間のTanimoto距離の平均を確認した。既往手法と比べて提案手法の方が、生成構造群の分布は散らばっており、平均Tanimoto距離が大きいため、提案手法の生成構造群の多様性が示唆された。また、提案手法の計算効率が良いことを理論的に示した。しかし、ターゲットに近い構造が生成されにくく、生成構造が初期構造に依存するという課題が見出された。
  • 重光 保博, 大賀 恭
    p. 2C01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    液相有機反応の速度定数に関して、揺らぎ律速と反応律速の中間領域においては非平衡効果(動的溶媒効果)が支配的になる。そのため、この領域の化学反応速度の解釈は、理論・実験の両面でアプローチが難しく、未解決の課題となっている。本発表では、反応座標はballistic TST, 溶媒和座標はSmoluchowski型FPEで記述した二次元モデルを用いて、溶質-溶媒和カップリング指標を算出する。調和ポテンシャルに基づく定性的な数値と、溶媒和自由エネルギー計算から直接算出した数値との比較・考察を行う。
  • 蔵本 裕哉, 赤瀬 大, 相田 美砂子
    p. 2C02-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は代表的な浸透圧調節物質として広く知られているが、未だ浸透圧調節のメカニズムの解明には至っていない。TMAOの浸透圧調節機構においては、TMAOがその周囲の水分子に与える影響が重要な役割を果たしている。本研究では、TMAO分子をQMとして扱うQM/MM-MDシミュレーションを行った。その結果、TMAOの酸素原子周りの水の密度は、バルクの水の密度の20倍近くであることが見出された。これは、TMAOのO原子に特異的に水分子が配位していることを示している。また、TMAO分子から半径6Åの球の中に含まれる水の密度を計算したところ、0.99 g/cm3であった。すなわち、TMAO分子の排除体積があるにもかかわらず、バルクの水とほぼ同じ密度を示す。また、6Å以上離れた部分の水は、バルクの水とほぼ変わらない。以上のことからTMAOによって排除された水分子は系全体に分布するのではなく、TMAOに近いところに、水分子が非常に密に存在していることが明らかとなった。
  • 諏訪 志典, 川嶋 裕介, 川下 理日人, 藤居 由基, 田 雨時, 藤岡 弘道, 有澤 光弘, 高木 達也
    p. 2C03-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    可視光領域付近での吸光を示す分子では電子励起を引き起こしていることから、その電子状態についての解析が新規誘導体の開発へと繋がると考えられる。今回対象とした化合物は青や近赤外領域の多様な吸収波長を持つ含窒素多環芳香族化合物であり、この化合物の構造と吸収波長の関係について量子化学計算を用いた調査を行った。結果としてすべての構造において同様の電子励起することが確認された。さらに実験値と計算値を比較したところ励起エネルギーを過大評価する分子群と実測値と近い評価を示す分子群に分かれた。しかし、その中ではほぼ全ての置換基の違いを良好に反映した予測結果が得られた。立体構造の差が小さい構造間では量子化学計算による新規構造の探索を行うには十分と考えられ、今後さらなる構造の発見が期待できる。
  • 仲澤 英祐, 増岡 大起, 鈴木 健太, 高橋 崇宏
    p. 2C04-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    我々は化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)によって作成した成膜実験データを解析することで、CVD装置内における装置内部における原料ガスの反応速度と経路を示した反応モデルを自動的に提案する反応機構自動解析システムを開発している。従来は、この提案された反応モデルの評価を行うために大域的最適化アルゴリズムによるシミュレーターによって反応モデルから膜厚分布を計算していた。しかし、局所解に陥る危険性や計算コストの面などから課題を抱えていた。本研究では、CVD装置内部の反応拡散方程式を定式化することで、成膜速度分布厳密解の導出に成功した。この厳密解を使用することで、従来のアルゴリズムと比較して数10~数1000倍高速に膜厚分布を求めることが可能となった。また、この厳密解を反応機構自動解析システムに実装し、従来の方法と比較検証を行った結果、解析結果の信頼性の向上と大幅な高速化が確認できた。
  • 田中 大佑生, 杉本 学
    p. 2C05-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    近年,低コストの太陽電池を実現する観点から,ペロブスカイト太陽電池の開発に大きな注目が集まっている。低コスト化の実現には様々な工夫が必要であるが,現在のところ最も改善が必要と考えられているのは,有機系のホール輸送材料(HTM)の性能である。本研究では,電子状態計算によって算出された電子的因子と、実験的に報告されているHTMのホール移動度の相関を、重回帰分析によって調べた。その結果、新たなHTMの探索に有用な予測式とホール移動度を支配する電子的因子を見つけ出したので報告する。
  • 井上 貴文, 杉本 学
    p. 2C06-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    分子軌道の三次元形状は分子の反応性を理解する上で重要である。本研究では、分子軌道の形状類似性を数値的に評価する手法を開発した。応用として、分子軌道相関図を自動的に描画するプログラムを作成した。各軌道間の相関の有無は、算出した類似度に基づいて判別した。結果として、本手法は視覚的に類似した軌道の識別が可能であり、分子軌道の類似度に基づいて判別した軌道の相関関係は、分子軌道論的に概ね適切であることが確認された。
  • 林 亮子
    p. 2C07-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
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    本発表では,データ科学と計算科学の協働による分子設計の基盤技術となる自動処理について、これまでの実装内容を紹介する。Perl言語を用いたプログラムにより、Gaussian09の構造最適化結果データからZマトリックスを抽出し、さらにひな形入力データと結果データを置き換えてGaussian09を実行できたため、その実装における技術的な内容を述べる。
  • 菅原 悠樹, 小寺 正明, 田中 健一, 中野 博史, 浮田 昌一, 白沢 楽, 冨谷 茂隆, 船津 公人
    p. 2C08-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    蛍光物質は液晶ディスプレイや照明、創薬の動物実験などの広い用途で用いられており、重要性が高まってきている。蛍光を示す化合物のなかでもBODIPYと呼ばれる二置換ホウ素原子とジピロメテンの複合体を分子骨格に有する化合物は、シャープなスペクトルを持ち、溶媒環境による波長変化の影響が小さく、量子収率が安定して高いので実用性が期待される。本研究では望ましい物理的性質を持つ新しい候補BODIPY化合物を迅速かつ正確に予測するモデルを提案する。提案モデル(MAE = 17.34、R2 = 0.90)は、量子計算モデル(MAE = 24.71、R2 = 0.84)と比較して、非常に正確な性能を示した。提案モデルが、吸収波長の予測に重要と判断した記述子には化学の知見と一致するものもあり、提案モデルの信頼性を示している。しかし提案されたモデルは溶媒情報を適切に活用できておらず、今後のさらなる改良が期待される。
  • 吉村 誠慶, 荻原 陽平, 坂井 教郎, 畑中 美穂
    p. 2C09-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    パラジウム(0) 触媒を用いたアルキン酸の分子内環化反応が荻原らによって報告された。この反応の生成物は多くの天然由来化合物にみられる骨格を有するため、この反応自体も有用である。本研究では反応経路自動探索法の一つである人工力誘起反応 (AFIR) 法を用いて網羅的な反応経路の探索を行った。また、グラフ理論のアルゴリズムの一つであるPrim のアルゴリズムを使って、尤もらしい反応経路を決定した。このAFIR 法とPrim のアルゴリズムを組み合わせて使うことによって、反応物から生成物に至るまでの経路を、遷移状態構造などの前知識を使わずに見つけることが出来た。様々な可能性を検討した結果、反応は基質のプロパルギル位のC-H 結合の開裂から始まることが分かった。
  • 宮﨑 文, 畑中 美穂
    p. 2C10-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    不斉 N ,N’ - ジオキシド誘導体を配位子に持つ希土類錯体を触媒とする不斉マイケル付加反応は、希土類をスカンジウムからイットリウムに変えるだけで、生成物の立体選択性が逆転するという特徴を有する。本研究では、反応経路自動探索法の一つである人工力誘起反応法を用い、様々な立体異性体に至る反応経路を網羅的に探索することで、立体選択性発現機構を明らかにすることを目的とする。反応機構の解析から、まず一つ目の反応物であるピラゾロンが希土類に配位した中間体構造が得られることが分かった。この配位構造においてピラゾロン周りに大きな空間があり、二つ目の反応物である α , β - 不飽和カルボニル化合物の接近方向が制限されていないことから、生成物の立体選択性は、炭素―炭素結合形成段階、又は、プロトン移動段階の遷移状態の安定性によって決まることが分かった。発表では、遷移状態の構造について報告し、立体選択性発現が発現する理由について議論する。
  • 影山 椋, 清野 淳司, 藤波 美起登, 五十幡 康弘, 中井 浩巳
    p. 2C11-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    Orbital-free密度汎関数理論(OF-DFT)では、原子・分子のエネルギーを軌道を用いず電子密度の汎関数で表す。我々は運動エネルギー(KE)項について、Kohn-Sham DFT(KS-DFT)計算で得た電子密度とKE密度の関係を機械学習で結び付けKE密度汎関数(KEDF)を構築する手法を開発した。機械学習により構築されたKEDF(ML-KEDF)は従来のあらゆるKEDFより小さい誤差でKS-DFTのKEを再現した。一方、ML-KEDFを用いてOF-DFT計算を行うには初期電子密度から基底状態の電子密度を決定する最適化計算が必要となる。本研究はこの計算を実装した。またこの計算で用いる、ML-KEDFの電子密度に関する微分で表される運動ポテンシャル(KP)を機械学習により構築する手法を開発した。幾つかの原子・分子に対し最適化された電子密度と全エネルギーの計算精度について検証を行った。
  • 福島 真太朗, 本山 裕一, 吉見 一慶
    p. 2C12-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    近年,機械学習や深層学習を用いた逆合成の経路探索が活発になっている.本研究では比較的簡便なColey et al.の方法に着目する.この方法は目標とする生成物と反応データベースのマッチングを行い,生成物と反応物の類似度をそれぞれ計算し,その類似度に基づき一段階前の反応候補を出力する.Coley et al.の方法は既存の方法に比べて比較的高精度である一方で,探索空間は過去に生じた反応に限定される.本発表では以上の問題点に着目し,探索空間を広げるために敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network,GAN)を用いた手法を提案する.この手法は,探索空間を広げるためにGANに基づく反応物の生成モデルを学習し反応物を生成した後に,順方向の反応予測により反応式を生成する.その結果,既存の反応データベースには存在しない反応物が生成された.また,列挙した反応経路の中に正解が含まれるサンプルの割合は既存手法よりも高くなった.現在,探索空間が拡大されたことの検証も進めており,当日は詳細について発表する.    
若手連携セッション
  • 大平 詩野, 津村 享佑, 中林 淳
    p. 2Y01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    創薬研究において、シード及びリード化合物を取得しても、物性や毒性面でドロップアウトすることが多い。研究の加速・継続のためには、骨格の異なる複数の活性化合物を取得することが必須である。化合物の活性は、標的タンパク質との相互作用で決定される。我々はこの相互作用を、アミノ酸と化合物の相互作用で描写可能と考え、この相互作用情報を用いて化合物探索を行うための技術構築を行った。その結果、活性が同等な別骨格を複数取得することが可能になった。
  • 芹沢 貴之
    p. 2Y02-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    創薬研究へのAIの活用事例としては、活性物性予測、構造生成、逆合成など様々なものがあるが今回特に逆合成提案システムの構築に関して報告する。公開されているUS Patentデータセットを利用し、反応予測モデルを構築した。またこのモデルとMCTSを組み合わせ、他段階逆合成経路提案システムを構築した。同時にウェブアプリケーションも開発したので合わせて報告する。
  • 竹下 潤一, 橘内 陽子, 佐々木 崇光, 吉成 浩一
    p. 2Y03-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    化学物質の毒性評価は、ラット等の実験動物を用いた毒性試験を利用して評価するのが通常である。しかし、動物実験にかかる期間・費用の問題に加え、動物愛護の観点からも多くの動物実験を実施することは困難な状況になりつつある。このような背景から、計算科学的な手法を用いたインシリコ毒性予測手法が注目されている。そして、遺伝毒性など毒性があり/なしの2値である毒性については、QSARの枠組みによる予測手法が整備されつつある。しかし、化学物質の一般毒性を評価する反復投与毒性(28日間以上連続投与する毒性試験)については、観察項目や毒性機序の多様さから、現時点では予測手法の開発は全く進んでいない。そこで、本研究ではリードアクロスの枠組みによる反復投与毒性の予測手法を、計算科学的な方法論で確立することを目指し、基礎検討を行った。
  • J.B. Brown
    p. 2Y04-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    医薬品開発費用を抑える方法として、活性データをモデリングして薬理作用を示すと推定される新規化合物(virtual screening)が期待されている。深層学習を用いてモデルを算出する方法が主流となっている。一方に、同じ学習可能なデータから、少量なデータをシンプルなモデル法で同様な予測能力が得られる能動的学習(CGAL)の有用性が発表されている。情報がスパースでもCGALで有用なモデルが得られ、学習データに含まれていない受容体に対しても活性を正しく予測できる報告もある。これらの結果から、計算創薬において機会学習はどのように思えば良いでしょうか。この講演ではCGALを紹介し機会学習の実態を議論する。
  • 小寺 正明
    p. 2Y05-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    代謝産物とその代謝経路に関する我々の知識は、天然物のほんの一部に過ぎない。既知酵素のリストであるIUBMB Enzyme List は参照経路に基づく代謝経路再構築の基礎である。ところがこのストラテジーは生物種固有の天然物生合成経路や、環境汚染物質の生分解経路には本質的に向いていない。近年私は代謝経路のde novo再構築として、新規化合物を生成するアプローチとは別に、機械学習を用いて既知化合物間を酵素反応でつなぐアプローチを開発した。また、その反応を触媒する酵素の予測として、化学構造からのECサブサブクラス予測手法と、化学構造からの酵素タンパク質予測手法を開発した。これらの研究は有機合成戦略の問題と類似した問題であり共通部分も多いが、利用可能な情報や、取ることができる戦略などの違いがあるのでそれを理解することが大変重要である。
  • 次代を担う若人へのメッセージ
    三戸 邦郎
    p. 2Y06-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    近年のIT革新が社会生活における時間、空間に大きな変化をもたらしている。既に第一線から遠のいた演者が化学企業で計算化学に携わっていた四半世紀以上も前とは比較にならないほど、計算化学の現在の技術レベルや利用環境は大きく進歩している。化学分野の研究・開発や技術開発において、実験化学者に計算化学がこれまで以上に活用されて然るべきであろう。本講演では、計算化学の黎明期にあった当時に、技術の立上げ、普及に演者らがどのように取り組んできたかを振り返り、現在この分野に精力的に取り組んでいる方、次代を担う方々に対して、今後の更なる発展に向けた何らかのヒントを伝えられれば嬉しい。化学企業への計算化学の初期導入の切っ掛けや、新技術開発に向けた産官学の連携、企業内での取り組みなどに言及する。
  • J.B. Brown
    p. 2Y07-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
ポスター発表
  • 薛 晶勳, 田中 健一, 澤津橋 徹哉, 梶 伸之介, 船津 公人
    p. 1P01-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    火力発電プラントの系統水は,水質を適切に維持する必要がある.系統水に溶け込んでいる不純物は,多様なプラント障害の原因として挙げられる.しかし,不純物濃度の測定は手分析に頼っている場合が多いため,プラント障害への対応が遅れる恐れがある.このため,不純物濃度のオンライン予測が求められている.本研究では,系統水中の主な不純物である鉄酸化物の濃度予測を対象とし,ソフトセンサーを用いたオンライン予測モデルを構築した.ソフトセンサー構築時に利用する変数は変数選択手法GAVDSを用いて決定し,不純物濃度予測に重要な因子の同定を行った.提案手法を三つのケーススタディについて適用した結果を報告する.
  • 加藤 涼太, 田中 健一, 小寺 正明, 船津 公人
    p. 1P02-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    化合物の物性を予測する手法の一種に、定量的構造物性相関(QSPR)がある。QSPRでは、物性既知の化合物を用いて化合物の構造と物性値の間の関係を統計的手法でモデル化する。QSPRの入力として化学構造から計算した記述子を用いる場合、その中に予測に必要な情報が含まれない可能性や、3次元構造の考慮が難しいという問題が挙げられる。そこで、本研究では記述子を計算することなく原子の3次元座標値と原子番号を入力とする統計手法を開発した。前処理で座標系の統一等を行った各原子の座標値と原子番号を再帰型ニューラルネットワーク(RNN)の入力として用いモデルを構築した。 オクタノール水分配係数に関して、記述子を用いる既存の手法と比較し、提案手法の予測精度が優れていることを確認した。今後、データセットの形式による影響の除去、複数の立体配座の考慮により、より汎用な手法になると期待される。
  • 佐方 冬彩子, 小寺 正明, 田中 健一, 中野 博史, 浮田 昌一, 白沢 楽, 冨谷 茂隆, 船津 公人
    p. 1P03-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    材料開発において未知の材料を効率的に探索するには、組成の情報のみから物性を予測する手法の開発が必要である。本研究では、無機材料の組成式を記述子に変換して説明変数とし、物性との関係を表す回帰モデルを構築した。さまざまな物性の予測に対応できるよう情報を損失なく変換するために、組成式中の各元素の個数や割合を表す記述子、原子量、原子半径、電気陰性度といった元素の物理学的パラメータを使用した記述子など、合計387個の記述子を提案した。ケーススタディとして、これらの記述子を用いてRandom Forestによるモデルを構築し、結晶の生成エネルギー、密度、屈折率という3種類の物性の予測を行って R2 値がそれぞれ 0.970、0.977、0.766という結果を得た。また、統計的に選択されそれぞれの物性予測モデルの構築に寄与した記述子が、化学的知見から考えても妥当なものであったことからこの手法の有用性を確認した。
  • 鈴木 天音, 田中 健一, 小寺 正明, 船津 公人
    p. 1P04-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    所望の活性を持った化学構造を得るinverse-QSARはケモインフォマティクス分野における主要なタスクのひとつである。近年では深層生成モデルを利用した構造生成手法が提案され始めているが、それらはいずれも多量のデータを必要とするものであった。創薬の現場においては、必要としているタンパクに対する活性データが大量に得られている状況は稀である。そこで本研究では多量の教師なしデータと少量の教師付きデータを組み合わせて学習を行う半教師付き学習を構造生成手法に応用した。構造生成手法の中で用いている活性予測の性能評価をalpha2Aアドレナリン受容体に対するリガンドデータについて行い、既往の手法に対して優れた予測精度を持つことを確認した。実際の構造生成、およびその生成結果の検証が今後の課題である。
  • 西村 拓朗, 船津 公人
    p. 1P05-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    有機合成経路設計システムAIPHOSは、情報・経験指向および論理指向戦略の利点を活用し新規合成経路を創出するシステムであり、KOSPは、同様の戦略を用いながらも反応データベース から誘導した知識ベースを用いて戦略部位を認識する機能により、AIPHOS よりも経験指向的な要素の強いシステムである。TOSP は、既存反応から構築したTransform データベースを利用した完全に経験型のシステムである。これらのシステムは、重い処理を高速サーバに委ねるため、クライアントサーバ型システムとして開発されてきた。現在、ハード及びOSの進展により、パーソナルな環境において従来と比較にならない計算環境が手に入る時代となった。そこで、AIHOS活用の利便性のさらなる向上を目指し、独立型のパーソナルAIPHOSを開発した。その結果、開発効率の向上、運用の制約の排除、セキュリティに関する負荷の排除、等の効果を得た。
  • 藤波 美起登, 清野 淳司, 中井 浩巳
    p. 1P06-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    反応予測は、与えられた反応物から、化学反応を経て得られる生成物を予測する手法である。近年、フィンガープリントを記述子として機械学習を用いる方法が、その精度の高さから、盛んに研究が行われている。本研究では、汎用的に用いることができる記述子の発見や、化学反応の物理化学的解釈を目的として、量子化学計算から得られた量子化学的記述子と機械学習を用いた反応予測手法を開発した。本手法は、これまでに極性、ラジカル反応に対してフィンガープリントを用いるのと同様の精度で反応を予測することを示した。本研究では、本手法をペリ環状反応の予測手法へと拡張し、さらに予測に寄与した量子化学的記述子の解析を行った。本手法によるペリ環状反応の予測精度を示し、さらに極性、ラジカル、ペリ環状反応の予測に寄与する記述子の解析結果を報告する。
  • 前川原 大貴, 藤波 美登起, 清野 淳司, 一色 遼大, 山口 潤一郎, 中井 浩巳
    p. 1P07-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    実験化学では、生成物の高収率化を目指して反応条件の検討が行われる。検討すべき反応条件は多岐に亘り、化学者は知識や経験および直感に基づいて条件検討を行う。そのため、反応条件の最適化には、多くの労力や時間的なコストがかかる。機械学習を用いて反応条件を最適化する方法が、特にフロー反応において開発されている。本研究は、機械学習を用いたバッチ反応の条件最適化手法の開発が目的である。初めに、反応条件の中で、収率に大きく影響し、かつ検討される頻度が特に高い溶媒の最適化に注目した。溶媒の物性値を記述子として機械学習に適用し、高い主率を与える溶媒の候補を与える手法の開発を目指した。本発表では、回帰およびクラスタリングを用いた溶媒と実験収率の相関に関する解析結果を報告する。
  • 中村 海里, 清野 淳司, 中井 浩巳
    p. 1P08-
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    会議録・要旨集 フリー
    化学反応や分子の性質を理解するために、分子内の化学結合の強さに関する情報は大きな役割を果たす。当研究室ではこの化学結合の強さを評価する一つの方法として、全エネルギーを構成原子および結合の寄与へと分割することで、分子内のすべての結合エネルギーを1回の量子化学計算で見積る手法、結合エネルギー密度解析を開発してきた。本研究ではこの手法をすべての結合を同時に考慮できるように一般化した。また従来の手法では強い共有結合と弱い水素結合などが共存している分子系において、過適合による数値的不安定性がみられた。そこで本研究では幾つかの解法を用いて数値検証を行った。その結果、正則化項を導入したLASSO回帰を用いることにより数値的不安定性を回避し、かつ多重結合を含む共有結合やそれ以外の弱い分子の結合に対しても結合の強弱を表現できることが確認された。
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