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荒川 正幹, 船津 公人
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J01
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
3次元構造活性相関解析において、化合物を適切に重ねることは非常に重要である。本発表では、我々の開発したHopfieldニューラルネットワークを用いた新しい分子構造重ね合わせ手法を、実際の構造活性データへ適用した結果を示す。cyclooxygenase-2 (COX-2) inhibitors 54化合物およびhuman epidermal growth factor receptor-2 (HER2) inhibitors 27化合物に対し、本手法による重ね合わせおよびCoMFA法による3D-QSAR解析を行った。その結果、COX-2のデータについてはR2=0.922、Q2=0.653、HER2のデータについてはR2=0.805、Q2=0.701の良好な回帰モデルを得ることが出来た。また、回帰係数値の等高線図についての考察およびX線結晶構造との比較検討を行い、これらのモデルの妥当性を検証した。
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長谷川 清, 森上 賢治, 白鳥 康彦, 大塚 達男, 青木 裕子, 新間 信夫
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J02
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
ベンゾフラン阻害剤の分子静電ポテンシャル(MEP)とN-ミリストイルトランスフェラーゼ(Nmt)阻害活性との関係を3次元定量的構造―活性相関(3D-QSAR)アプローチで調べた。コホーネンニューラルネットワーク(KNN)を使って、それぞれの阻害剤についてコノリー表面上のMEP値を2次元マップに投影した。KNNマップのそれぞれのノードをサンプリングポイントのMEP値でコード化し、すべてのコード化したノードを集めて構造記述子を定義した。遺伝的アルゴリズム(GA)で変数選択し、最適部分最小2乗(PLS)モデルを探索した。最適モデルは、すべての構造記述子を使ったモデルと比較して予測能力が格段に上昇した。得られたモデルは、ベンゾフラン阻害剤のNmtに対する結合に関してさらなる構造情報を与えることができた。
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林 賢太郎, 金西 計英, 馮 誠, 中馬 寛, 矢野 米雄
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J03
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
創薬において複数の化学物質の比較はよくおこなわれる.そこで,我々は化学物質の三次元構造の特徴に基づく比較の支援環境を提案する.まず,化学物質の三次元構造をベクトル空間モデルを用いて表現し,ベクトルのクラスタリングをおこなう.クラスタリングによって,同じような特徴をもつベクトル同士がグループに分けられる.三次元構造が似ている,似ていないという比較が可能となる.今回,我々はベクトルのクラスタリングにKohonenらによるSOM(Self-Organizing Map)アルゴリズムを用いる.SOMにベクトルに単にクラスタリングするだけではなく,クラスタリングの結果を二次元のマップとして可視化することができる.この可視化されたSOMマップを見ることによって,化学物質の三次元構造の特徴と,その特徴をもった化学物質のグループの様子を直観的に捉えることができる.我々は,SOMマップ生成によって,利用者の比較作業の支援を目指す.
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中山 伸一, 山口 哲生, 吉田 政幸
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J04
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
我々はすでに、類似した機能を持つタンパク質間に共通な三次元的配置を持つアミノ酸残基群はタンパク質の機能発現部位を構成するという仮説に基づき、最大完全部分グラフを用いた方法により幾つかのタンパク質の機能部位を明らかにした。今回、機能発現部位をより精度高く発見する改良法として、3つの類似した機能を持つタンパク質を用いる方法を考案し、その妥当性を検討したので報告する。
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田中 成典, 仙石 康雄, 栗田 典之, 横島 智, 岡田 朗
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J05
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
近年、ナノテクノロジーの分野で、DNAを分子ワイヤーとして利用しようという試みが盛んに行われている。DNAにおける長距離電子移動の研究は、もともとは遺伝子損傷や修復といった生物学的な現象に関わる興味から始まったが、塩基配列や化学的修飾をデザインすることで広範な電気伝導特性の制御や相補性・自己組織能を利用した構造制御が比較的容易にできるというメリットもあって、今や次世代ナノテクの主役に踊り出つつあり、既に電気化学的DNAチップやDNAトランジスタなどに関する応用研究の報告もある。本講演では、こうした「電荷移動媒体」として見たときのDNAの特徴と可能性を、実験データと理論計算を照らし合わせて明らかにする試みについて述べる。理論計算においては、分子軌道法や分子動力学法、さらには化学反応理論に基づくできるだけ定量的に信頼できる解析を行って、第一原理からの見通しのよい議論を進めることを試みる。
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栃木 勝己, 平井 亮, 沖津 祐一, 栗原 清文, 越智 健二
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J07
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
相平衡、輸送物性などの化学工学物性定数は分離プロセスや材料の設計や考察に有用な基礎物性である。化学工学会では、毎年、9種の物性の文献検索を行い、その文献情報をデータブックの形で刊行している。内容は、1.PVT関係と液体の密度、2.蒸気圧と蒸発潜熱、3.熱容量とエンタルピー、4.気液平衡、5.溶解度、6.粘度、7.熱伝導度、8.拡散係数、9.界面張力であり、学術雑誌約60誌に発表された約10万件の情報が記載されている。本研究の特徴は、その内容のCD-ROM化を行い、文献検索を容易にした点である。
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早水 紀久子, 有福 和紀
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J08
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
天然物の構造解析は結晶化すればX線回折、あるいは二次元NMR法を駆使して立体構造を含めた化学構造が決定されている。逆にNMRスペクトルは完全解析され信頼性の高いデータが文献発表されている。天然物のNMRは成熟した研究分野に到達しているので、データベース(DB)を作成すれば完成度の高いデータ収録ができる。天然物の化学構造決定までに多大な労力が投入されているのでDB化の価値は高い。文献から立体化学構造と1Hと13CNMRのシフト値並びに1HNMRの分裂パターンや結合定数を数値データとして収録可能である。また13CNMRのスペクトルは炭素数を強度とし棒グラフ表示できる。ISIS/Baseに化学構造式、化合物情報、文献情報などを入力、シフト値などのスペクトル情報はMacrosoft Excel に入力し、両者を併せて表示するシステム"SDBS-NMR-NP"を作成した。生スペクトルの提供があれば、機能追加したAlice2(日本電子データム製)でスペクトルパターンのフォーマット変換、Java表示する。SDBS-NMR-NPは低分子量の有機化合物を対象にしたSDBS-NMRの延長上に位置する。SDBS-NMRは市販薬品を中心にありふれた有機化合物の精度高いNMRスペクトルの集積であるが、SDBS-NMR-NPは微量かつ稀有な天然物のNMRDBであり、文献から収録するのが最も相応しい。また貴重なスペクトルは論文の著者が大切に保管している場合が多いので、それらを収録、DB化して長期保存、公開することに意義がある。これらのデータをデータベース化するシステムをSDBS-NMRの延長上に作成し、2002年前半の文献データから収集を開始した。13Cスペクトルは文献から作成し、生データとともにJava表示するシステムとした。
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丸山 有紀子, 細矢 治夫
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J09
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
多面体、特に高い対称性をもつ正多面体や準正多面体は、化学を学ぶためにも基礎となる重要な概念を含んでいる。しかし、学校教育においてごくわずかしか扱われておらず、新学習指導要領ではさらに削減されている。学校教育で取り上げられていない理由としては、教科書や模型のみで多面体を理解するのは困難であることが考えられる。一方、多面体の教育において、コンピュータの利用は非常に有効である。本研究では、インターネット上で利用できる多面体学習システムの開発を行った。本システムでは、学習者が、コンピュータ画面上の多面体をマウスを用いて容易に操作することにより、多面体の特徴や多面体相互の関係を学ぶことができる。また、化学教育において分子の形や結晶の構造を理解する上でも有効に活用できる。
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杉山 孝雄, 渡部 智博, 木戸 冬子, 細矢 治夫, 時田 澄男
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J10
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
CAVE(サラウンドスクリーン仮想現実感システム)とは1辺3mの立方体の中に人間がはいり,まわりの4面に映像を投影する装置である.左右の眼球の視差を利用した立体視映像を表示する.CAVEは,平面の表示と比較して立体を表示することに適したシステムである.水素分子の分子軌道表示は,共有結合がなぜ存在するかを理解するために有用である.2つの水素原子を原子間距離を変化させてそれに応じた差電子密度を表示した.原子間距離が共有結合距離の場合に,2つの原子核の間の電子密度がもっとも大きくなることが表現できた.特にCAVE を利用することにより,原子核のすぐそばから電子密度の濃い部分を通してもう一方の原子核を眺めるという実際には不可能な疑似体験ができた.
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田中 伸也, 藤田 眞作
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J11
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
近年の環境問題への関心から,目的物質以外の副生成物を定量的に予測することに関心が集まっている.発表者の一人が提案している虚遷移構造 (ITS:Imaginary Transition Structure) を用い,網羅的に反応ネットワークを生成するプログラムを作成した.生成した反応ネットワークは,主反応・副反応を含んでいる.これらの起こりやすさを評価するために,時間を追って反応をシミュレーションするプログラムも作成した.このように段階的に評価することにより見通しよく反応をシミュレーションすることができた.
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J12
発行日: 2002年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
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堀 憲次, 西田 晶子, 山本 豪紀
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J15
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
我々は、情報化学と計算化学を融合した合成経路設計に関する研究を行っている。これは、船津らの開発したAIPHOS、TOSP等が提案するいくつかの合成経路にたいして、遷移状態データベースの情報と新たに行う分子軌道計算を行うことにより活性化エネルギーなどの反応パラメータを求め、それらにもとづいた合成経路の可能性・有用性のランキング行うことを目的としている。本研究では、TOSPにより示された4,5-二置換-フラン-2,3-ジオンの合成経路の実証実験の結果と、計算結果とを比較検討した。さらに、いくつかの特許や論文情報と計算結果を比較検討することにより、遷移状態データベースの合成経路開発への有用性について検討した結果を発表する。
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墨 智成, 白濱 秀明, 関野 秀男
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J16
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
我々は相互作用点モデルの大分配関数を出発点にして,高分子液体の分子内相関関数と分子間対相関関数の厳密な表式を導出し,それらに対する近似式を提案した.これらを基にして,高分子液体の分子間対相関関数を求めるための密度汎関数法を開発した.我々の提案した分子内相関関数の近似式はシミュレーションの結果を定性的に再現した.従って,この近似式は排除体積相互効果をある程度記述出来ている事が分かった.また,この分子内相関関数を通じて排除体積効果を考慮することにより,我々が開発した密度汎関数理論は,シミュレーションから得られた分子間対相関関数を,高い精度で再現することを明らかにした.この方法を用いて,セグメント間距離や重合度を変える事により,液体構造や熱力学的性質の温度および密度依存性がどの様に変化するかについて詳細に調べる予定である.
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酒井 章吾
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J17
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
芳香族性は環状共役化合物の安定化として古くから知られており、鎖状共役化合物とのエネル異ギー差として最初に定義されHukel MO から(4n+2)則が知られている。また、磁性誘起感電流効果からの芳香族性の指標としてSchleyer らはNICSの値を用いている。しかし、磁性誘起感電流効果によるNICSの値は必ずしも妥当な指標にならない場合がある。例えばベンゼンにおけるD6h対称性の芳香族的構造とD3h対称性のケクレ型構造においてNICSの値はほぼ同様の値を示す。また、ベンゼンのNICSの値がー9.7であるのに対し1,3-dehydro-5,7-adamantanediyl dication はー50.1という値を示す。我々は昨年、本討論会で結合の電子状態をCiLC 解析によりsinglet coupling term とpolarization termに分け6員環構造について各結合が等価であることおよび2つの項が等価である条件により芳香族性を定義した。今年度はこの芳香族性の定義を4員環、8員環、10員環について拡張しその妥当性について検討した。
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三宅 敏子, 相田 美砂子
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J18
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
水クラスター(H2O)nにおいて、水分子は水素結合のネットワークに組み込まれている。水素結合のtopologyにのみ着目すると、水クラスターのある構造には一つの水素結合パターンが対応する。水クラスターの作る位相空間の全ての点について水素結合パターンによる分類をおこなえば、位相空間を水素結合パターンによって分割することができる。全ての水素結合パターンのうち、その水素結合パターンに属するlocal minimaが存在するものは少数である。残りの水素結合パターンに属する状態は構造最適化を行うとlocal minima のうちのどれかに構造変化する。本研究では、位相空間内での各水素結合パターンに属する状態の占める位置とそれらの関係について検討し、水クラスターの水素結合パターン地図を作成することを試みる。
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能登 香, 鷹野 景子, 横山 三紀
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J19
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
合成や分解に関与する酵素は、糖蛋白質・糖脂質の特に糖鎖部分を識別していることが示唆されている。シアル酸を持つスフィンゴ糖脂質であるガングリオシドはCD38のNAD分解酵素活性に対して阻害効果があり、その程度は糖鎖部分にタンデムシアル酸をもつガングリオシドで特に大きいという実験結果がある。この阻害効果の違いの要因を認識サイトにおける糖鎖の高次構造及び電子構造の観点から明らかにし、ひいてはこの酵素反応の機構を解明することが本研究の目的である。 配座解析及び分子軌道法によるこれまでの研究の結果、反応性の指標であるフロンティア軌道の特徴と阻害効果との間に良好な相関が認められ、酵素の認識機構に対して高次構造のみならず電子構造が密接に関与していることが示唆されている。今回さらに、ONIOM法を用いて溶媒を考慮したモデルを構築し、生体内環境における糖鎖高次構造と電子構造について解析し、酵素の基質認識機構について考察した。
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ペテロ コラール, 沈 君偉, 坪井 明男, 中田 浩彰
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JP01
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
医薬品製造プロセス(反応,分離,調合)の全ての段階において,溶媒の存在は不可欠である。しかしその溶媒は毒性の観点からはできるだけ使用を避けるかもしくは毒性の低い溶媒の使用が要求され,実際に経験,類推あるいは実験により慎重に選定されている。本研究のねらいは広範な溶媒に対する医薬品やその中間体の溶解度をシステマティックに求めることにある。医薬品の溶解度のデータベース化のため,医薬品に共通する構造を一つないし二つの置換基をもつコアフラグメントとして分類し,そのコアと置換基の組み合わせにより共通する構造を定義した。今回はこの共通する構造の代表としてベンゼン環を題材にし,これと段階的に極性の異なる17種類の溶媒との相互作用を活量係数で表現し,データベース化した。本研究は系統的な溶質-溶媒間の相互作用の推定や溶解度の推算法の開発に有用である。
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齋藤 剛, 日下部 真理, 前田 恒昭, 衣笠 晋一
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JP02
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
長い歴史を持つ有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)は、2001年産業技術総合研究所(産総研)発足と同時に産総研の計測標準研究部門に運営が引き継がれた。SDBSは1997年のインターネット無料公開以来、2002年6月末で3千万を越す非常に多くのアクセスがあり、その重要性が立証されている、スペクトルパターンを収録したファクトデータベースである。今後もSDBSを向上するために、新規データの追加や更新作業が潤滑に行える事が重要である。このための第一歩としてデータ入力用のツールをAccelrys社のAccord for Accessを利用して作成し、辞書データとNMR測定パラメーターの入力を簡便化した。SDBSの新規データ収集をこの入力ツールを用いて開始したので、現在のSDBSの活動と合わせて報告する。
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岡本 博, 加藤 博明, 阿部 英次
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JP03
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
我々はプロトンNMR スペクトルデータの集積を継続的に行なっている。昨年度、これらのデータをネットワーク経由で管理するための新規のデータベース管理システムが構築され、WWW上で検索サービスを公開している。ただし、本システムでは、データベースの構築に必要な最低限の機能しか実装されておらず、管理者が日常的にデータベース管理を行なうのは困難であった。そこで、今回,ファイルの修正、更新などのメインテナンス作業を効率的に行なうための各種ツールの開発を行なった。これらのツール群は、Javaを用いて開発した。
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松原 宣和, 藤田 眞作
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JP04
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
八面体錯体に多座配位子が配位する場合,どのような点群に属するのかを明らかにし特徴づけることは立体化学を討論する上で重要である.八面体錯体の頂点に単座配位子を置く組合せ論的数え上げは既に報告されている.今回はその方法を拡張して,八面体錯体の辺に配位子を置くことを検討した.USCI(unit-subduced-cycle-index)法によるコンピューター計算の結果,全部で144個の誘導体について,多座配位子の数と点群の観点から類別することができた.
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松浦 育敏
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JP05
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
反応前後の原子の対応付けは反応検索システムを作成実行する上で不可欠である。著者らが開発した反応データベース CORES においては反応物を生成物に書き換える過程で原子の対応を表現した。今回、化学名から構造式を発生するシステム CHEMNAME に反応データベース作成機能を付与し大量の反応レコードを効率的に入力する事に成功した。その際に反応前後の原子の対応を自動的に付ける機能 AUTOCHEMMAPPER を作成し実用化に成功し従来の同種の機能にみられる誤対応を大幅に低減した。AUTOCHEMNAPPER は反応レコードを受渡すための RD_FILE, RXN_FILE に原子の対応を付与するのにも使用できる。反応における結合相手、結合性の変化の優先規準を解明し、等価な原子や反応機構を常に考慮する事で C-C 結合の生成・解裂、転移反応など対応付けに誤りが起こりやすい所を解決した。
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船津 公人, 六本木 一人, 能勢 容幸, 竹内 雅志, 藤井 三穂子
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JP06
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
これまでに相互補完的な三つの有機合成設計システムTOSP、KOSP、AIPHOSの研究開発を進めてきたが、今回この 3つのシステムに共通のインターフェースを提供することにより、3つのシステムを自在に組み合わせながら合成経路設計ができるクライアント/サーバ(C/S)型有機合成設計システムの開発を行った。この統合システムはサーバーをLinux、クライアントをWindowsとしGUIを向上させるとともにマルチタスク、マルチユーザー環境を実現した。
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浦田 新吾, 高田 章, 内丸 忠文, Asit K.Chandra
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JP07
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
分子構造に基づいた記述子を入力パラメータとする階層型ニューラルネットワークを用い、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)中のC-H結合の結合エンタルピー値推算手法を開発した。さらに、構築したニューラルネットワークにより得られるC-H結合エンタルピー値をもとに、Heicklenの反応速度推算式を用いてOHラジカルとの反応速度推算を検討した。その結果、Heicklenの式のパラメータを再検討することにより、十分な精度で反応速度が予測可能であった。これら2つの手法を組み合わせることにより、OHラジカルとの反応速度、及びそれに依存した大気寿命を分子構造のみから迅速に精度良く推算する新しい手法を開発した。
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高橋 崇宏, 船津 公人, 江間 義則
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JP08
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
半導体デバイス製造過程においてChemical Vapor Deposition (CVD) 法は重要な超微細加工プロセスとして用いられており、新デバイス開発のためのCVDプロセスの評価、開発を高速かつ低コストで行うことが求められている。本研究では、CVD装置内部における膜厚分布データと微細構造を持つ基板上に製膜した際の製膜形状を実験データ用いて自動的にデータ解析、反応機構のモデリングを行うシステムを開発し、本システムが十分なデータ解析能力、モデリング能力を持つことを示した。一方、不定形な微細構造上の製膜形状を使用する場合は計算コストが非常に高いモンテカルロシミュレーションを用いる必要があり、本研究のようなシステムの運用は実用上困難だったが、製膜条件と製膜形状の関係を予めモデル化しておくことで計算コストを大幅に削減でき、実用的な計算コストでシステムの運用が可能となることを示した。
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橘 大樹, 荒川 正幹, 竹内 英憲, 西村 竜一, 神村 基和, 船津 公人
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JP09
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
コンピュータが化学の分野で使われるようになってきた1980年代後半より、大量の化学データの獲得とデータの処理が可能になってきた。それにともない、大量のデータを数学的、統計学的に処理するための計量化学(Chemometrics:ケモメトリックス)の分野が発展し、さまざまな手法が開発されてきた。これらの手法は化学のあらゆる分野の研究者にとって非常に有用で興味を引くものである。Chemishはケモメトリックスに興味を持つ研究者が気軽に利用することができるように配慮して開発されたケモメトリックス総合システムである。Chemishを使用することにより、主成分分析、線形重回帰分析、PLS、クラスタリングなどの解析をより的確に短時間で利用することが可能となる。
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竹内 英憲, 荒川 正幹, 船津 公人
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JP10
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
これまでに構造活性相関(QSAR)研究を通し、多くの医薬品や農薬などが開発されてきた。しかし、今後強く要求されることは、全く新規な薬物構造骨格の創出による高活性化合物の構造設計である。全く新規な薬物構造の設計を行うには、構造活性相関モデルと作用機構の知見に基づいた構造創出の手法が必要となる。本研究では、遺伝的アルゴリズムを用いて新規薬物構造を自動的に創出する手法を開発した。評価関数としては、CoMFA等による構造活性相関モデルを用いた。
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佐藤 寛子
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JP11
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
反応予測研究の一環として,化学反応の支配因子の数値表現研究とそれらに基づく反応分類研究を行っている.今回はFRAU(Field-characterization for Reaction Analysis and Understanding)システムによる立体化学環境の数値表現について検討した.FRAUは仮想反応相手との静電的・立体的相互作用に基づき分子を三次元的に特性値化するシステムである.FRAUで算出される特性値のうち,立体的相互作用因子と原子の占有表面積に相当する因子の2つの特性値を用いた.これらの特性値と立体化学環境との間の相関をいくつかのテストデータセットを対象として調べ,よい相関関係が見出されたので報告する.
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水上 善博
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JP12
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
ダイベンゾフランは、ダイオキシン類に属し、ダイオキシンと同様に、極めて強い毒性を有する化合物である。ダイベンゾフランは、直接に、あるいは、水や食物を通して体に吸収され、健康被害を引き起こす発ガン性物質でもあり、催奇形性を有する可能性も指摘されている。ダイベンゾフランは塩素が付く位置の違いにより135種の異性体が考えられるが、構造の違いによって毒性の強さが異なることが実験から明らかになっている。本研究の目的は、理論計算によって、ダイべンゾフランの構造と毒性の関係を探ることにある。計算方法は、以前に、我々が、ダイオキシンのフロンティア電子密度の多変量解析を行ったときと同様の方法を用いる。まず、135種のダイベンゾフランの分子軌道計算を行い、それぞれのフロンティア電子密度を求める。次に、これらの多変量解析を行いダイベンゾフランの構造と毒性の強さの関係についての考察を行う。
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関山 秀雄, 高橋 裕輔, 加藤 真ノ介
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JP13
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
希ガスー分子間の相互作用は,分子間相互作用の異方性を調べる最も基本的かつ重要な例として,古くからいくつかの分光学的実験や非経験的計算による研究が行われてきた。このうち,アンモニア分子がつくるクラスターについては,生体内のタンパク質のアミノ基と周囲の溶媒分子等の相互作用との関連でも興味深い。昨年の本討論会では,希ガス原子(R=He, Ne, Ar)とアンモニア分子の作る2分子クラスターR/NH3および3分子クラスターR2/NH 3についての非経験的計算による研究結果について報告した。3分子クラスターについては,限られた数の構造についてのみ調べた予備的な研究にすぎなかったため,本年度は特に3分子クラスターについての詳細な研究を報告する。いくつかの安定構造,基底関数重ね合わせ誤差,振動計算結果等について詳細な議論をする。
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木内 真樹, 溝呂木 直美, 田中 久美子, 関根 理香, 相原 惇一
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JP14
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
フラーレンは大きな球状分子であり、大きくなるほど6員環の割合が増すので、そのパイ電子構造は、球面に束縛された自由電子モデルの特徴とグラファイトのパイ電子状態の特徴をあわせもつと考えられる。本研究では、C100の450個のフラーレン異性体のヒュッケル分子軌道計算を行い、得られたすべてのパイ軌道の分布をエネルギーの関数として1枚のグラフにプロットした。こうして得られたパイ軌道の分布は、C100フラーレンの平均的状態密度を表すと考えられる。この平均的状態密度には顕著な特徴があり、低エネルギー側では、自由電子モデルの量子状態に対応するいくつかの離散的なピーク(局所的に状態密度の高い部分)が認められ、高エネルギー側ではグラファイトの状態密度によく似た構造になっている。バンドギャップ付近の平均的状態密度は小さく、これはフラーレンのHOMO-LUMOギャップが比較的大きいことと対応する。
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重光 保博, 富永 義則
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JP15
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
フリー
前回の討論会において、求電子試薬4-メチルチオマレイミドと各種四級塩との付加脱離反応によって得られる各種新規メロシアニン色素について、その最低励起一重項励起エネルギーを半経験的分子軌道法(ZINDO)および非経験的手法(CIS,RPA,TD-DFT)を用いて見積もり、実験値との比較と議論を行った。今回、求核試薬としてN,N'-ジアルキルアニリン類を用いて4-メチルチオマレイミドとの反応が生起することを見出し、得られた新規メロシアニン色素の最低励起一重項励起エネルギーを各種分子軌道計算により算出して実験値との比較検討を行った。また、マレイミド部位の2つのカルボニル基の一つをLawesson試薬によってチオカルボニル基に置換した化合物は、マレイミド環の分極率の向上によりπ-π*吸収ピークが大きく長波長シフトする。このシフトがMO計算での再現について議論する。
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尾堂 結華, 下茂 徹朗, 染川 賢一
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JP16
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
会議録・要旨集
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2‐シクロヘキセノン体と環状アルケンカルボキシレートの[2+2]光付加環化三重項反応における配向選択性は、その環状アルケンが4員環、5員環、6員環のいずれであるかによって異なり、小員環ほどhh付加体が生成しやすいという実験結果が得られている。本報では、MOPAC(PM3, PM5)を用いてそれぞれ異なる配向についてフロンティア分子軌道(FMO)を解析し、続いて遷移状態(TS)解析を行った。さらにab initio(UCIS)法による計算を行いその配向選択性の差の原因を明らかにした。その結果、それぞれの配向性は、初期段階の遷移状態エネルギー差によって説明できた。初期構造、計算方法等によるデータを示し、反応機構を明らかにする。
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神谷 成敏, 肥後 順一
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JP17
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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現在幅広く用いられているドッキングプログラムDOCKやAUTODOCKは、計算コストは非常にリーズナブルであるが、最終の複合体構造が初期構造に依存するといった問題点がある。一方、本研究で用いたマルチカノニカル法はフラットな確率分布を持つポテンシャルエネルギー関数を生成するアルゴリズムを採用しているため、初期構造に依存しない広い構造空間をサンプルすることが可能である。本研究では、マルチカノニカル分子動力学法を酵素-阻害剤間の水分子を露わに考慮したフレキシブルドッキングシミュレーションに応用した。テスト計算として、X-線で複合体構造が得られている加水分解酵素リゾチームと阻害剤のN-アセチルグルコサミン3量体のドッキングを行った。400Kから700Kまでのシミュレーションを行った結果、高温では酵素-阻害剤が非結合の構造が、低温では結合した構造が多く存在した。400Kの構造でX-線構造に近い構造(RMSD ~ 3 Å)が得られたことから、本方法は実験を再現しうることが確認された。
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杉山 久美子, 佐々木 茂貴, 堀 憲次
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JP18
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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2-amino-6-vinylpurineヌクレオシドのフェニルスルフォキシド誘導体を含むオリゴヌクレオチドはDNA中で活性化され、シチジンと選択的に架橋することが知られている。この反応は通常の有機溶媒中では進行しないことが実験的により確かめられると共に、我々のB3LYPレベルの計算もこの結果を指示している。これらのことから、DNA中という制御された構造が反応の進行に大きく影響していることは明らかである。しかしながら、たかだか三塩基対しか含まないヌクレオシドでさえ200原子を超える巨大な分子であるため、容易にDNAの制御効果を理論的に確かめることはできない。本研究では、既に行っているモデル分子の反応結果と、ONIOM法を用いたDNA中での反応機構の違いを比較することにより、この立体制御効果を理論的に明らかにすることを目的とした。
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佐久間 俊広, 島田 次郎, 中田 一人, 高田 俊和
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JP19
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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我々はこれまで、生体高分子シミュレーションに向けた非経験的分子軌道計算システムの開発を行ってきた。今回、本システムに分子動力学計算を組み合わせ、分極効果も取り入れた新しいQM/MM(Quantum Mechanics/Molecular Mechanics)計算システムへと発展させた。このプログラム開発においては、異分野のシステムを容易に結合させるために、UDS(Universal Data Sets)を独自に提案し、QM/MMインタフェースの簡素化を図った。
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吉田 智喜, 相田 美砂子, Michael M.Gromiha, 皿井 明倫
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JP20
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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転写因子のようなDNA結合蛋白質はDNA塩基配列を特異的に認識し、遺伝子の発現と制御に対し重要な役割を果たしている。本研究では計算機シミュレーションによりこの認識の特異性を明らかにしようとしている。これまで、一塩基対とアミノ酸側鎖間の相互作用自由エネルギー(ΔΔG)マップを計算し、その相互作用の特徴を調べてきた。今回、主溝側において、スタッキングした三塩基対とアミノ酸側鎖間の相互作用自由エネルギー(ΔΔG)、相互作用エンタルピー(ΔΔH)、相互作用エントロピー(TΔΔS)マップを計算した。三塩基対を考慮に入れることにより、一塩基対だけでは表せない、側鎖が上下の塩基対間に架橋する相互作用形式も安定構造として見出された。これまでに得られている一塩基対と側鎖間のマップ、二塩基対と側鎖間のマップを組み合わせることにより、このスタッキングした三塩基対と側鎖間の相互作用を表現できるかどうかを調べた。
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杉木 真一郎, 井上 英計, 栗田 典之, 関野 秀男
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JP21
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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巨大分子を第一原理計算と同様の精度で計算することのできる近似法であるFragment MO法は、Hartree-Fockレベルにおいて非常に有用であることが確かめられている。しかし実際に生体高分子の物理的特性を計算する場合は、分散力などの効果を正確に評価することのできないHartree-Fockレベルでは水素結合や塩基対のスタッキングなどを定量的に評価するには不十分であり、ハイレベルで適用可能であるかどうか検証を行うことが次の課題になる。今回は密度汎関数法との適用を中心に議論を行う。今回使用した交換相関ポテンシャルは当研究室で開発した新しいパラメータを用いたPerdew-Wang91を使い、たんぱく質などの様々な生体高分子を用いてこの方法が有用であるかどうか検証を行う。
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仙石 康雄, 栗田 典之, 関野 秀男
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JP22
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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タンパク質-DNA間の相互作用メカニズムを解明することはポストゲノム研究における最重要課題である。しかし、現状タンパク質がDNAに結合する際どのような仕組みで特異的に結合するのか解明できていない。大腸菌の転写活性因子OmpRは、DNA結合タンパク質であり、浸透圧センサーEnvZからキナーゼ活性を受けて構造遺伝子ompcの転写を活性させる機能をもつ。このような環境応答系はバクテリアに広くみられ、それに関係するレギュレータタンパク質はOmpRファミリーと呼ばれている。このファミリーに属するタンパク質は15種類存在し、アミノ酸一次配列の類似性が低いにも拘わらず、その立体構造は高い類似性を持つ。本研究では、このOmpRファミリーに属するタンパク質のDNA結合部位である3番目のαヘリックスの電子状態を計算し、このファミリーに共通した特徴を調べた。
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溝口 則幸
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JP23
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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単環共役化合物の熱力学的安定性に対するヒュッケル則はイオンにも拡張されている。それは、イオンの単環共役化合物の熱力学的安定性は環の大きさにかかわらず、π電子の数で決まり、π電子の数が4n+2であれば熱力学的に安定あり、4nであれば熱力学的に不安定であるというものである。環状炭化水素の熱力学的安定性の優れた指標として知られているトポロジカル共鳴エネルギーTREは各被占軌道の寄与(これを軌道共鳴エネルギーOREという)に分けられる。相原と市川は、単環共役化合物のOREに対する興味ある規則を報告している。それはOREの符号は軌道ごとに一つおきに交互に変化するというものである。イオンに対するヒュッケル則が成立するためには、OREの符号の交互性が成り立つ必要がある。Zhou とParr はORE(HOMO)の2倍の量をrelative hardness と呼び、多くの環状共役化合物のTRE とORE(HOMO) の間に良い相関があることを報告している。ここでは、フルベンのような“非環状“結合を持つ単環状共役系に対して、OREの符号の交互性およびTRE とORE(HOMO)の間の関係を議論する。
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蘭 映子, 鷹野 景子
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JP24
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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カーボンナノチューブは、1991年飯島澄男氏によって発見されて以来、盛んに理論的研究が行われてきた。しかしながら、その多くはカイラリティを持たないarmchair型、zigzag型と呼ばれるナノチューブに対してのものであり、カイラリティを持つchiral型と呼ばれるナノチューブに対してはほとんど報告されていない。本研究では、単層カーボンナノチューブにおける、カイラリティや成長端の形状といった分子構造の変化に対して電子構造を解析し、理論的に考察を行った。計算方法には、環状芳香族化合物に対して定性的に良い結果を与えるといわれる、経験的分子軌道法のHuckel法、および半経験的分子軌道法である拡張Huckel法、PM3法を使用した。
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田口 淳子, 鷹野 景子
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JP25
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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生理活性物質をo-ニトロベンジルのような光開裂性の保護基でマスクした化合物をケージド化合物という。本研究では、抗がん剤であるホスホロアミドマスタードのケージド化合物の分子設計的観点から、ケージ部分すなわちニトロベンジル部分の置換基効果に着目し、生体系におけるケージ解除に有利な置換基の検討を2種のモノ置換体と1種のジ置換体について行なった。ケージ解除のために照射する光は、生体への害の少ないエネルギーの小さい長波長の光が望ましく、反応の効率の点からは吸収強度の大きいことが望ましい。電子スペクトルの計算にはCNDO/S CI法、ab initio CIS法、TDDFTを用いた。CNDO/S CI法は半定量的に実験値を再現した。ab initio CIS 法は最大吸収波長を過小評価し、TDDFTは実験値と定量的に一致する結果を示した。CNDO/S CI法及びTDDFTの計算結果から、長波長でのケージ解除に有利なのはジ置換体と考えられる。溶媒効果についても検討している。
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高木 健介, 後藤 仁志
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JP26
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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現在のパーソナルコンピュータ(PC)は数年前のスーパーコンピュータに匹敵する演算性能を持ち、高度な科学技術計算を実行可能である。一方、分子計算の分野においては、タンパク質やDNAなどの生体高分子に対する高精度分子計算が望まれているが、これらはこれまでの分子計算で扱ってきた分子の数百から数万倍の大きさであり、PC単体でそれらの分子計算を行う場合莫大な時間を要することになる。そこでこの問題を解決する手段として、富士ゼロックス株式会社のMDエンジンII PCを導入する。MDエンジンII PC は、分子動力学の手法(MD法)を用いたシミュレーションを高速化するアクセラレータボードで、MD法における非結合相互作用の計算は、計算時間全体の90%以上を占める。MDエンジンIIは、この非結合相互作用の計算を高速かつ並列に実行し、アプリケーションを高速化することができる。そこで、配座創出プログラム「CONFLEX」にMDエンジンII PCを用いて、生体高分子に対する高精度分子計算の高速化を目指す。
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今城 文雄
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JP27
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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1,3-シクロヘキサンジオン(CHD)のエノールは6分子で分子間水素結合によって結ばれた環状体(cyclamer)を構成し、その内部の空間にはベンゼンなどが包接することが知られている。本研究ではモデル化合物としてマロンアルデヒドのエノールを用い、6分子までの cyclamer の構造をDFT 計算によって求めた。cyclamer は水素結合配座の違いにより2種類の構造が存在するが、その平面性は分子数により大きな差があることがわかった。さらに cyclamer における分子間水素移動の障壁も計算した。6CHD cyclamer のベンゼン包接体のX線結晶構造および固体 C-13 NMR化学シフトの実験値と計算値との対応から計算の妥当性を評価する。
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中田 和秀, 藤尾 瑞枝, 西本 吉助, 都野 雄甫
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JP28
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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前回、クミルカチオン系の気相安定性を、環置換クミルカチオンと無置換体とのヒドリド移動平衡のエネルギー差から理論的に決定した。得られた安定性は実験値を正確に再現していた。今回、本系カチオンに水分子を溶媒和させた化学種についても安定性を決定した。まず、カチオン中心に水を1分子配位させたクミルカチオン系のエネルギーを非経験的分子軌道計算により求めた。安定性を気相の場合と同様の方法で決定した。つぎに、水分子の数および配位位置を変更した場合について、本カチオン系の安定性を同様に決定した。得られた種々の溶媒和モデルの結果を実験値と比較した。溶媒中に置かれたカチオンの安定性や反応性におよぼす置換基からの安定化の効果が、どのような溶媒効果モデルを考慮すれば再現されるか検討する。
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藤山 亮治, 清岡 俊一
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JP29
発行日: 2001年
公開日: 2002/10/25
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有機ホウ素化合物を利用した研究は盛んに行われているが、ボロンカチオンの研究は少ない。本発表では、周期表で隣り合う炭素原子のカチオンすなわちカロボカチオンと比較することを目的に、カチオンとアリール基との共鳴効果について、ab initio計算からアリール基の置換基効果による検討を行った。カルボカチオンと隣りあうアリール基との共鳴は良く知られ、湯川-都野式の解析からカルボカチオンの安定性により共鳴要求度rが1以上となることが報告されている。電子欠乏状態のボロンカチオンと隣りあうアリール基との共鳴は電子欠乏状態であるにも関わらず、共鳴要求度rが約半分の0.5を示した。ボロンカチオンに結合した置換基によって、すなわちボロンカチオンの安定性によって共鳴要求度はカルボカチオンと同じ傾向で変化した、すなわちカチオンを安定する置換基は共鳴要求度を小さくした。
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