Hotzレジン床による治療を行ったCLP児32名とCL児15名の乳首内陰圧および陽圧,吸畷圧などを記録測定するとともに体重発育速度,週平均の1日哺乳量および規定哺乳時間を求め,これら各種計測値の多変量解析を行って哺乳様相の発達を総合的に比較検討し,次の如き結果を得た。
1.因子分析により12変数からCL群,Hotzレジン床装着CLP群ともに3因子抽出され,CL群では第1因子は哺乳の未熟を示す因子,第2因子は哺乳の完成を示す因子,第3因子は哺乳の発達度に関する因子,CLP群では第1因子は哺乳の発達度,第2因子は哺乳の未熟,第3因子は哺乳の完成と解析され,両群とも吸畷率,乳首内陽圧,吸畷圧および吸畷活動時間率によって要約された。
2.主成分分析では各群とも4成分が抽出され,CL群の第1成分は全般的な未発達度を示す成分,第2成分は吸畷メカニズム,哺乳の完成に関する成分,第3成分は1ヶ月未満における発育に関する成分,第4成分は1ヶ月以上における体力発達に関する成分,CLP群の第1成分は発達,第2成分は疲労と未熟,第3成分は哺乳の完成,第4成分は吸畷メカニズムの発達と解析された。
3.クラスター分析では両群とも3クラスターに分けられ,CL群では生後1ヶ月の体重発育速度と吸畷率および3週の1日哺乳量とが,生後2ヶ月の体重発育速度と吸畷パターン,6週の1日哺乳量,乳首内陽圧および吸畷圧とが近い関係を示した。CLP群では生後1カ月および2カ月の体重発育速度と吸畷率,3週および6週の1日捕乳量とが関係が近く,CLP群がCL群よりも未熟な哺乳様相であることが示された。
4.以上よりCL群では比較的良好な哺乳発達を示すのに対して,Hotzレジン床により治療されたCLP群の哺乳発達はCL群に比べてかなり劣っていることが示された。
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