日本口蓋裂学会雑誌
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14 巻, 1 号
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  • 増田 浩男
    1989 年 14 巻 1 号 p. 1-20
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口唇口蓋裂児の外鼻の変形の原因は,鼻翼軟骨の変形だけでなく,顎の変形が関与していると思われる。そこで外鼻の形態と顎の形態との関連について,両側性完全口唇口蓋裂児26名を対象に追求を試み,次の結果を得た。
    1.Premaxillaの前方突出度は,鼻尖の高さにそれほど大きな影響を与えていないが,鼻柱基部とCupid's bow中点を大きく挙上しており,結果として鼻柱は短小となり,扁平鼻の主要な原因となっている。
    2.Premaxillaの側方偏位は鼻尖,鼻柱基部,Cupid's bow中点の側方偏位に大きな影響を与えていた。
    3.顎裂幅の大きさは鼻尖,鼻柱基部の側方への偏位および鼻翼幅,鼻翼基部幅に影響を与えていた。
    4.Lateral segmentの幅径は,前方部幅径と後方部幅径とも,鼻翼幅,および鼻翼基部幅に影響を与えていた。
    5.口蓋裂の裂幅は鼻翼幅径,鼻翼基部幅径の大きさに多少の影響を与えていた。
  • -口蓋化構音の音響特性の検索-
    和久本 雅彦
    1989 年 14 巻 1 号 p. 21-43
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    異常構音診断システムの開発の一環として,汎用型マイクロコンピュータ(NECPC9801VM21)を用いて,高速度パラトグラフィー(DP)を付属させた音声分析システムを開発し,歪音を対象として研究を行った。
    被験者は機能的構音障害症例を含む口蓋化構音患者29名と正常構音を確認された健常者31名の計60名である。
    検査音は口蓋化構音として認められる頻度の高い/ta/,/da/,/tsw/,/dzw/,/sa/の正常構音と臨床所見あるいはDPで口蓋化構音と診断された歪音,およびこれらの口蓋化構音が臨床的に異聴されやすい正常構音の軟口蓋音/ka/,/ga/,/kw/,/gw/とした。
    これらの音について周波数領域および時間領域における音響特性について検討したところ,以下の特徴的な所見が認められた。
    1.子音部スペクトル包絡上の高域部(5-7.5kHz)と低域部(1.5-4kHz)における平均デシベル値の差を現わす物理評価量SES(Spectrum Envelope Score)を求め,比較を行ったところ,/sa/の正常構音と口蓋化構音では明らかに異なったピークを示し,両者の分離が可能であったが,その他の音では分離が不可能であった。
    2.子音部のスペクトル包絡上で最大のデシベル値を示す周波数値であるCPF(Consonant Peak Energy Frequency)について評価検討を行ったところ,/ta/,/da/,/tsw/,/dzw/の口蓋化構音は正常構音と明瞭に分離され,臨床的に異聴されやすい軟口蓋音とも高い確率で分離された。
    3.子音部より後続母音定常部にかけての第2,第3ホルマントの遷移量の差である∠F2-∠F3について検討を行ったところ,/ta/,/da/,/tsw/,/dzw/の口蓋化構音は正常構音とは明らかに異なった所見を示した。しかし,臨床的に異聴されやすい軟口蓋音とは類似の所見を示した。
    4.破裂音/ta/,/da/にっいて閉鎖解放と声帯振動開始との時間差であるVOT(Voice Onset Time)の検討を行ったところ,口蓋化構音は正常構音よりも,臨床的に異聴されやすい軟口蓋音に類似した所見を示したが,その分離傾向は他の物理評価量ほど明瞭ではなかった。
    5.上記の結果から,口蓋化構音の定量評価に有効と思われた物理評価量CPF,∠F2-∠F3と,聴覚心理実験によって得られた主観評価量とについて重回帰分析を行ったところ,物理評価量と異聴傾向との間に高い相関が確認されたが,雑音との問には相関が認められなかった。
  • 平原 成浩
    1989 年 14 巻 1 号 p. 44-70
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    鼻咽腔閉鎖不全ないし閉鎖抑制が,正常人の鼻咽腔閉鎖運動に及ぼす影響について,延べ56名を対象に分析した。
    外径6.5mmおよび5.5mmの2種の経鼻挿管麻酔用ビニールチューブを鼻咽腔に挿入し,発音時,吹き出し時,嚥下時の口蓋帆挙筋筋電図を測定し,鼻咽腔閉鎖不全の大小による筋活動の変化を検討するとともに,チューブ先端の開閉による呼気の鼻腔漏出変化が筋活動に及ぼす影響を検討した。さらに,圧力トランスデューサーを組み込んだバルーン(直径6mmおよび8mm)を作製し,これを鼻咽腔に挿入して,閉鎖強度と筋活動の変化を分析し,以下の結果を得た。
    1)チューブ挿入下で,発音,吹き出しにおける口蓋帆挙筋筋活動は著明に低下し,太いチューブでより著明な低下をきたした。破裂音・摩擦音発音時の筋活動量はコントロールの鼻音と同程度に低下していた。嚥下動作は,チューブ挿入によってもほとんど変化しなかった。
    2)チューブ先端の開閉によって鼻腔漏出呼気量を変えた場合の筋活動の変化は,発音時にはほとんど認めなかった。一方,吹き出し時には口腔内圧の上昇に応対した筋活動の増強が認められた。
    3)鼻咽腔閉鎖圧は口蓋帆挙筋筋活動と相関し,発音,吹き出し時には閉鎖抑制の拡大によって圧の低下を認めた。4)今回作製した6mm径バルーンによる閉鎖圧平均値は,破裂音・摩擦音発音時110g,吹き出し時100-200g,嚥下時220gであった。
    5)スピーチエイドの咽頭部バルブを作製する際に,大きすぎるものは筋活動を抑制する可能性が高いこと,必要最小限の大きさにとどめて筋活動賦活訓練を行い,運動域の拡大に応じバルブを縮少することが望ましいことが,以上の結果より示唆される。
  • 大塚 純正
    1989 年 14 巻 1 号 p. 71-108
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は唇裂・口蓋裂(CLand/orCP)児の両親における顎顔面頭蓋の形態学的特徴を明らかにし,さらにこれらの形態的変異が裂の状態や生後のさまざまな形成手術等の影響で変化を受けている発端者群のそれと,いかなる類似性を示すものかを知る目的で着手した。資料は,唇裂患者(CL)39名,片側性唇顎口蓋裂患者(CLP)75名,口蓋裂患者(CP)41名とこれら両親よりえた155家族465名および対照群としての成人非裂者(男子46名,女子43名)を加えた合計554名である。これら被験者の側貌頭部X線規格写真を用い,おのおののトレース上に23計測点を設定し,顎顔面頭蓋に関する55項目の計測を行った後,データ解析を行った。
    その結果,次のような所見を得た。
    1.発端者両親とコント口ール群との比較
    a)頭蓋基底各部は非裂者に比較して,大小様々な値をとったが,すべての裂型の両親において頭蓋基底角(∠NSBa)の開大が認められた。
    b)上顎骨前縁部の頭蓋基底に対する。位置関係はすべての裂型の両親で良好であり,CL群が父母両方において最大の値を示した。また,上口唇の厚さはすべての群で非裂者よりも有意に小さな値をとった。
    c)下顎は,すべての群において下顎の後退,下顎下縁の開大とそれに伴なう下顔面高増大の特徴を認め,成人CLand/orCP者の形態との類似性を示した。特にCP群においてこの傾向が顕著であった。
    d)上下顎の関係にっいては,下顎の後退によって上顎突出度が大となり,なかでもCP群においてはその傾向が強かった。
    e)CLand/orCP患者の両親の顎顔面形態は,発端者のそれと近似していることがわかった。II.親子のi類似性クラスター分析ならびにコレスポンデンス・アナリシスによって親子の類似性を検討した。結果は以下の通りである。
    a)距離データ,角度データで,各家族内における,発端者とその両親の少なくとも一方とが同一グループに入ったものは155家族中51家族(32.9%),45家族(29.0%)に見られた。
    b)裂型別では,距離ならびに角度データいずれにおいても類似度に有意差は見られなかったが,発端者が片側性唇顎口蓋裂群の揚合の一致度が最も高かった(40.0%,33.3%)。
    c)裂型,性別よりみた親子の一致度には特徴的な傾向は認められなかったが,口蓋裂単独群の顎顔面頭蓋の形態に特異性があることが認められた。
    以上の結果は唇裂・口蓋裂の両親の顎顔面頭蓋の形態は発端者に極めて類似すると考えられる。
  • 河合 幹, 大岩 伊知郎, 鍋谷 秀信, 栗田 賢一, 池田 憲昭, 小牧 完二, 神谷 祐司, 神野 洋輔, 依田 寿幸
    1989 年 14 巻 1 号 p. 109-116
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口蓋裂術後患者における鼻咽腔閉鎖機能不全の原因を探るため,側方頭部X線規格写真を用いその鼻咽腔形態と,機能について観察した。症例は,口蓋粘膜骨膜弁後方移動術を施行した46例で,手術は平均1歳7か月に行なわれた。鼻咽腔閉鎖機能の判定は,聴覚的印象に基づき,4歳前後に行なった。裂型は,片側性唇顎口蓋裂25例,両側性唇顎口蓋裂8例,硬軟口蓋裂8例,軟口蓋裂5例であった。鼻咽腔閉鎖機能は,良好34例,軽度不全7例,不良5例であった。それぞれについて鼻咽腔形態の計測と,軟口蓋の可動性について検索した結果以下の結果を得た。
    結果
    1:裂型では,硬軟口蓋裂において鼻咽腔機能閉鎖不良例の占める割合(50%)が高かった。
    2:硬軟口蓋裂では,頭蓋基底から口蓋平面までの距離が他の裂型に比べ有意に大きかった。
    3:鼻咽腔機能不良例では,軟口蓋の可動性が他の例に比べ有意に劣っていた。
    以上より,鼻咽腔閉鎖機能が不良となる原因は,軟口蓋の可動性に加え,広い鼻咽腔形態があげられる。また,硬軟口蓋裂においては,特に高い口蓋形態を有することが多く,この形態を代償すべく手術を行なう必要がある。
  • 早津 良和, 蓮井 義則, 篠崎 文彦, 塚原 正人, 梶井 正
    1989 年 14 巻 1 号 p. 117-122
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂を伴った染色体異常(13q-症候群)と胎児性アルコール症候群を合併した1例を報告した。患者は女児で,在胎29週,出生時体重は1240gであった。成長・発育障害,精神遅滞があり,左側完全唇顎口蓋裂,眼瞼下垂,眼裂狭少,内眼角贅皮,耳介の奇形と低位置,短い頸,小さな手足,手指の異常,性器の異常など多数の奇形を認めた。
    母親は全妊娠期問を通じて多量のアルコールを飲用しており,患者の臨床所見から胎児性アルコール症候群が考えられた。染色体検査で,46,XX,de1(13)(q21.2→q32)の異常があり,派生染色体は母親由来であった。この染色体異常は,母の卵の成熟分裂の過程でアルコールもしくはその代謝産物によりひき起こされた可能性が示唆された。唇顎口蓋裂の発現は胎児性アルコール症候群によるものと考えられた。口唇形成術を生後10カ月,口蓋形成術を4歳1カ月時にそれぞれ行った。
  • 鈴木 恵子, 岡本 朗子, 原 由紀, 長谷川 和子, 新美 成二, 鳥飼 勝行, 塩谷 信幸, 上石 弘
    1989 年 14 巻 1 号 p. 123-131
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1974年6月から1984年12月までに, 北里大学形成外科において,粘膜弁法による初回口蓋形成術を1歳代に行った口蓋裂症例89例について,構音訓練や二次手術施行前の,言語症状,鼻咽腔閉鎖機能,痩孔について調査した。対象の裂型は,両側唇顎口蓋裂14例,片側唇顎口蓋裂53例,口蓋裂単独22例であり,術者は複数である。評価は, 経験のある複数の言語治療士および音声言語専門の耳鼻科医が行った。言語症状と鼻咽腔閉鎖機能の評価には, 日本音声言語医学会・口蓋裂言語小委員会の試案を用いた。言語評価時の平均年齢はa5歳2か月であった。
    その結果, 良好な言語を自己習得したものは,89例中42例47.2%であった。言語障害例47例のうち,開鼻声が18例20.2%,異常構音が42例47.2%であった。異常構音の種類は,口蓋化構音が最も多く,次いで,声門破裂音と側音化構音が多かった。異常構音は裂の程度が著しいほど出現率が高く,また,口蓋裂単独例で口蓋化構音の出現率が低かった。
    鼻咽腔閉鎖機能に関しては,良好が75例84.3%,境界が8例9.0%,不全(二次手術施行例)が6例6.7%であった。
    痩孔が22例24.7%に残存し,このうち痩孔閉鎖術を必要としたものは10例11.2%であった。鼻咽腔閉鎖良好例においても41.0%に異常構音が出現し,鼻咽腔閉鎖機能と関わりなく出現する異常構音のあることが確認された。
    痩孔の有無と異常構音の出現率,種類との間に,関連を認めなかった。
    言語症状,鼻咽腔閉鎖機能,痩孔のいずれの結果も,従来の粘膜骨膜弁法と比較して明らかな差がなく, 良好な顎発育の期待される粘膜弁法の妥当性が, 言語面からも支持された。
  • 第1報発現頻度
    富澤 康彦, 幸地 省子, 東福寺 直道, 門馬 祐子, 松尾 ゆき子, 真柳 秀昭
    1989 年 14 巻 1 号 p. 132-148
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂者の永久歯に発現する歯数の異常の実態を明らかにする目的で,唇顎口蓋裂者417名と健常者330名を対象とし,オルソパントモ写真,石膏模型を用いて先天的欠如,過剰,癒合の発現頻度を調査した。結果は以下の通りであった。
    1.歯数異常の発現頻度は,口唇裂,口唇顎裂,口唇口蓋裂,口蓋裂群すべての裂型群とも健常群より高く,有意水準1%で有意差が認められた。
    2.粛数異常の種類別では,欠如が最も多く発現し,過剰,癒合の順に発現頻度は低くなった。
    3.欠如の発現頻度は,各裂型群とも健常群との間に1%の有意水準で有意差が認められた。裂型問では,口唇口蓋裂群での発現頻度が顕著に高く,他の裂群との間に1%の有意水準で有意差が認められた。過剰は,口唇顎裂,口唇口蓋裂に発現し,健常群との問に有意差がみられたが,両裂型群問では差が認められなかった。癒合は口唇顎裂,口唇口蓋裂に発現していたが,健常群と発現頻度の差はなかった。
    4.歯数異常の発現に性差は認められなかった。
    5。唇顎口蓋裂者に高頻度で発現していた欠如,過剰という2つの歯数異常には,異なる要因がそれらの発生に関与している可能性が示唆された。
  • 橋本 浩史, 吉田 忠雄, 大浦 寿哉, 小川 晴也, 金 漢俊, 太田 義之, 山本 次郎, 川本 達雄, Zennosuke KINOS ...
    1989 年 14 巻 1 号 p. 149-158
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,唇顎口蓋裂児の特徴である狭窄した上顎歯列弓と口蓋を客観的に評価するとともに,狭窄した歯列弓の側方拡大が口蓋容積に及ぼす影響を検索することである。検索は通法による距離計測に加えて,特に口蓋容積の変化を正確に計測する手段として,石膏模型上で簡単に行なえる「ねんど圧接による鋳型計測法」を考案した。
    研究資料は大阪歯科大学矯正科に来院し,狭窄歯列弓のため側方拡大による矯正治療を受けた,非破裂者群(non-cleft群)9名と片側性唇顎ロ蓋裂者群(cleft群)9名,合計18名を抽出し,治療前および拡大治療後の石膏模型を用いた。そして次のような結果を得た。
    1)Cleft群の歯列弓幅径は,大臼歯部よりも犬歯部で狭窄していた。またnon-cleft群に比べ,側方拡大による幅径の増加率は大臼歯部で差が少なく,犬歯部でより大きく拡大された。
    2)Cleft群の口蓋容積は3.20ccで,non-cleft群の6.14ccに比べ著しく小さく,拡大による容積の増加はcleft群の方が大きかった。なお,容積の増加は犬歯問幅径の増加と同じ傾向を示したが,大臼歯問幅径とは相関性を示さなかった。
    3)Cleft群の口蓋の深さはnon-cleft群に比べて,平均2.2mmも浅く,口蓋裂児の一般所見に一致した。
    4)Non-cleft群よりもcleft群の方が口蓋が平担であり,側方拡大により両群とも,より一層平坦化が強まった。
  • 河野 紀美子, 鈴木 陽, 渡辺 美恵子, 近藤 由紀子, 向井 陽, 大溝 法孝, 高濱 靖英
    1989 年 14 巻 1 号 p. 159-170
    発行日: 1989/06/01
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    九州大学歯学部附属病院矯正科における口唇裂口蓋裂患者の実態を把握するために,昭和45年8月の当科開設以来昭和63年末までに受診した口唇裂口蓋裂患者996名(男性525名,女性471名)を対象に臨床統計的観察を行い以下の結果を得た。
    1.初診時年齢のピークは3歳時であった。
    2.口唇裂口蓋裂の裂型別頻度は,唇裂6.0%,唇顎裂17.4%,唇顎口蓋裂59.8%,口蓋裂16.8%であった。
    3.裂の発生部位は左側53.4%,右側27.6%,両側18.6%であった。
    4.性差は唇裂で男性が女性の約1.4倍,唇顎裂では男女ほぼ同率,唇顎口蓋裂では男性が女性の約1.5倍,ロ蓋裂では女性が男性の約2.4倍であった。
    5.生下時の平均身・体重・低出生体重児の頻度は日本人一般平均と有意差は認められなかったが,早期出産傾向は有意に認められた。母親の年齢の影響は認められなかった。
    6.初診時における同胞数は2人が最も多く,出生順位は高位の者が多かった。末子である比率は66.9%であった。
    7.片側性唇顎口蓋裂患者の上顎歯列弓セグメントの接触状態は,接触型81.4%,遊離型11.8%,重複型6.8%であった。
    8.1歯以上の反対対咬(いわゆるクロスバイト)がある者は84.6%であった。反対対咬は前歯と破裂部位に隣接する歯牙に高頻度であった。乳歯列より永久歯列の方が反対対咬を呈する歯牙が多かった。
    9.当科受診後,矯正治療を受けなかった者の割合は,唇裂患者の23.3%,ロ蓋裂患者の21.6%,唇顎裂患者の16.7%,唇顎裂患者の11.8%であった。
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