日本口蓋裂学会雑誌
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21 巻, 4 号
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  • 1996 年21 巻4 号 p. 169-184
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2013/02/19
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  • 主成分分析を用いて
    冨井 恭子, 大矢 卓志, 山田 尋士, 金澤 富美子, 松本 尚之, 川本 達雄, 木下 善之介
    1996 年21 巻4 号 p. 185-195
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    片側性口唇口蓋裂患者における顎顔面の形態を把握するため,初診時のHellman developmental stage III Bで前歯部に逆被蓋を呈する片側性口唇口蓋裂患者40名(以下口蓋裂群と略す)と,同じくHellman developmental stage III Bで前歯部の被蓋関係が正常で口唇口蓋裂を伴わない不正咬合患者40名(以下正常被蓋群と略す)および前歯部の被蓋関係が反対で口唇口蓋裂を伴わない不正咬合患者40名(以下逆被蓋群と略す)の初診時における側面頭部X線,規格写真を用いてCoben分析を行い,各分析項目を変量として主成分分析を行った.t検定による結果の概要は以下に示す通りである.
    口蓋裂群は正常被蓋群に比べて,1)上顎骨の前後径に有意差は認められなかった.2)A点の後退が認められた.3)上顎骨後縁の後方位が認められた.4)下顎骨の前後径に有意差は認められなかった.5)後顔面高が小さかった.6)下顎枝の前方傾斜が大きく,下顎角の開大が認められた.7)脳頭蓋底の大きさに有意差は認められなかった.
    また,口蓋裂群は逆被蓋群に比べて,1)上顎骨後縁の後方位が認められた.2)下顎骨の前後径は小さかった.3)下顎枝と下顎体の前後径の差が大きかった.4)上顔面高と下顔面高の差が小さかった.5)Anterior lowerdental heightが大きかった.6)後顔面の劣成長が認められた.7)下顎枝の前方傾斜が大きく,下顎角の開大が認められた.8)下顎骨の後下方への回転が認められた.
  • 石田 真奈美, 井藤 一江, 太田 佳代子, 天野 有希, 山口 和憲, 丹根 一夫, 田口 明, 谷本 啓二
    1996 年21 巻4 号 p. 196-202
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    若年期の長期にわたる咀囑機能障害が下顎骨の内部構造に及ぼす影響の有無を検討するため,パノラマX線写真上での下顎骨皮質骨厚(MCW)を指標として評価を行った.研究対象は,上顎歯槽弓狭窄を伴う咬合異常に関連して咀囑機能障害を有すると考えられる口唇裂口蓋裂患者とし,臼歯部の咬合状態および顎顔面形態との関連性を検討した.
    唇顎口蓋裂あるいは口蓋裂を伴い歯科矯正治療前に臼歯部交叉咬合を呈していた患者(CP群:女子)25名を被験者群,非破裂者で臼歯部咬合関係に著しい異常を呈していなかった本学附属歯科衛生士学校学生(NC群:女子)30名を対照群とし,成長完了時(CP群:平均19歳0カ月,NC群:平均19歳2カ月)のパノラマX線写真と側面頭部X線規格写真を資料として用いた.パノラマX線写真上でオトガイ孔直下でのMCW,および側面頭部X線規格写真上で11項目を計測し,2群問の有意差の有無を検討した.さらに,側面頭部X線、規格写真計測値とMCWとの関連性を相関分析により検討した.その結果,以下の所見が明らかとなった.
    1.MCWはCP群3.3mm,NC群3.6mmで,CP群はNC群と比較して有意に小さな値を示した.
    2.CP群はNC群と比較して,上顎部の後方位,下顎枝高の短小,下顎角の開大,下顎下縁平面の急傾斜を示した.また,いずれの所見も両群問で有意の差を示した.
    3.MCWと有意な相関が見られたのは,CP群では下顎角,NC群では下顎下縁平面角,前顔面高,後顔面高/前顔面高であった.
    以上の結果から,若年期の咀噛機能障害は顎顔面形態ばかりでなく下顎骨皮質骨厚から見た骨の内部構造にも影響を及ぼすことが強く示唆された.
  • 瀬崎 晃一郎, 鳥飼 勝行, 佐藤 明男, 竹下 圭子, 前田 華郎, 佐々木 恵一, 武田 啓, 中北 信昭
    1996 年21 巻4 号 p. 203-206
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2013/02/19
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    我々は,顎発育を考慮し,頬筋粘膜弁を用いた口蓋形成術を行ってきた.1988年5月から1990年6.月までに神奈川県立こども医療センターに於いて1同法によって口蓋形成術を施行した40例について術後言語成績を検討した.本法の主要目的である,健常に近い顎発育についての検索を行うにはまだ至っていないので中間報告として発表した.
    (1)鼻咽腔閉鎖機能;40例中,良好:30例(75%),軽度不全:7例(17.5%),不全:3例(7.5%)であった.
    (2) 言語成績:良好な言語を自己習得したものは12例(30.0%)であった.構音障害を示したものは,28例(70.0%)でありその内訳は声門破裂音が11例(27.5%)と最も多かった.
    (3)痩孔:裂型別の痩孔発生率は13例(32.5%)であった.いずれの痩孔も直径1cm以下の小さなものであった.
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