日本口蓋裂学会雑誌
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 澤島 政行
    1996 年 21 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 一色 信彦
    1996 年 21 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 女子片側性唇顎口蓋裂患者における検討
    石川 博之, 鈴木 暁, 小田 裕昭, 安藤 葉介, 土門 東香, 金 忠在, 楊 慧瑛, 中村 進治
    1996 年 21 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂患者の矯正治療上の大きな問題点として,上顎骨の劣成長による上下顎の前後的関係の不調和が挙げられる.これに対しては,混合歯列期に上顎骨の前方成長の促進を目的として,上顎前方牽引装置が適用されることが多い.しかしその治療効果については,個体差あるいは使用時期による差のあることが報告されている.
    一方最近,乳粛列期に本装置を用いた治療に関する報告がいくつかなされている.この時期における本装置の適用については,潜在的な成長発育能が高い時期であるため牽引力に反応しやすいことも容易に推察される.本学部附属病院矯正科においても,上下歯列の近遠心的関係に著しい不調和が存在する重篤な骨格性反対咬合を有する唇顎口蓋裂患者に対しては,乳歯列期から上顎前方牽引装置を用いた治療を開始している.そこで今回,女子片側性唇顎口蓋裂患者11症例を用いてその治療効果について検討を行ったところ,以下の知見を得た.
    1.治療開始から前歯部被蓋の改善までの期間は平均11.3カ月であり,全11症例中9症例で1年以内の改善が認められた.
    2.治療開始から0年間のANBの平均変化量は3.48°であり,すべての症例で上下顎の前後的関係の大きな改善が得られた.
    3.治療開始から一年間の上顎骨の前方移動量は平均2.4mmであり,約半数の症例で3mm以上の特に大きな値を示していたが,2症例では1mm以下であった.
    4.乳歯列期から本装置を使用した場合は,混合歯列期に比べて上顎骨の前方成長の促進効果がすぐれているものと考えられたが,個体のもつ成長発育能によっては治療効果に限界のあることも示唆された.
  • blowing 時口蓋帆挙筋活動の変化
    舘村 卓, 高 英保, 原 久永, 森本 知花, 平田 創一郎, 和田 健
    1996 年 21 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    スピーチエイド装着による鼻咽腔閉鎖機能改善に関わる生理学的背景を検討するために,口蓋裂術後鼻咽腔閉鎖不全症を呈する症例の中から,Bulb-PLP(Bulb attached palatal lift prosthesis)型のスピーチエイドを装着している3例ならびにPLP型スピーチエイドを装着している3例を対象に,装置装着時ならびに撤去時において種々の強さのblowing活動を行わせた時の口蓋帆挙筋活動を検討した.Bulb-PLP装着症例では,装置撤去時の口蓋帆挙筋活動は,blowingの強さとは関係を有さなかったが,装着することによって,低い強さのblowing時には筋活動は撤去時よりも小さくなり,またblowingの強さと相関する傾向が認められた.PLP装着症例では,撤去時においても装着時においても,blowingの強さと相関する傾向が認められたが,装着時における筋活動は撤去時と比較して著しく小さかった.また,いずれの装置においても,装着時の筋活動の標準偏差は撤去時よりも小さくなった.このことから,スピーチエイド装着による鼻咽腔閉鎖機能の改善には,装着に伴って同一の仕事量が撤去時よりも小さな口蓋帆挙筋活動で達成される結果,撤去時の筋活動との間の差分が鼻咽膣閉鎖機能の予備能となり,また必要とする筋活動の変動も装置装着時に小さくなることによって要求される仕事量に対応した筋活動に制御されることが伺われ,これらのことがスピーチエイドの鼻咽膣閉鎖機能の改善に関与する可能性が示唆された.
  • 高田 訓, 根本 隆一, 滝沢 知由, 沼崎 浩之, 大野 朝也
    1996 年 21 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    これまで高齢者の未手術口蓋裂の鼻咽腔閉鎖機能を検索した報告は少なく,更に無歯顎者の鼻咽腔閉鎖不全症患者に発音補整装置を装着し治療を行った報告は殆どない.
    今回我々は,78歳の女性で無歯顎の口蓋裂未手術例に対し,スピーチエイドに類似した全部床義歯を装着し,装着前後の鼻咽腔閉鎖機能について検索した.
    その結果,1)Blowingでは呼気流量で約50%,呼気流出時間で約25%,最大呼気流量速度(PF)では約63%増加した.2)ファイバースコープ所見では,子音の一部で鼻咽腔閉鎖が認められるようになった.3)語音発語明瞭度は29.0%から58.0%に改善し,患者の十分な満足を得ることができた.
  • 飯野 光喜, 斎藤 哲夫, 幸地 省子, 山口 泰, 越後 成志, 手島 貞一, 池田 勝久
    1996 年 21 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口唇裂,口蓋裂患者の顎裂に対して行う二次的骨移植術の最も重要な日的の0つに,術後の矯正治療により,
    移植骨部へ歯を誘導または移動して欠損補綴に頼る事なく咬合形成を行うことがあげられる.移植骨部付近の良好な歯列形態を得るためには,可及的に大きな移植床を形成し,その移植床に海面骨細片を緊密に充填するという二点が手術に際して重要である.
    しかしながら,時として,手術に際し顎裂部に肥大・膨隆した下鼻甲介が存在し,大きな移植床の形成に苦慮する場合がある.
    われわれは,このような症例に対して,大きな移植床を形成するために下鼻甲介の一部を切除する術式を考案した.下鼻甲介は,鼻腔底を形成する前に,外鼻孔より挿入した勇刀により切除する.ついで緊密に移植床の鼻腔側を形成する.
    この術式を用いれば,深く平坦かつ広い鼻腔底が形成できることから,術後の矯正治療における歯の移動に支障をきたさない骨架橋の形態が得られやすくなることが考えられる.また,これまでのところ,下鼻甲介切除による合併症はほとんど認められていない.
    以上より,下鼻甲介を切除して行う顎裂への二次的骨移植術は,肥大,膨隆した下鼻甲介を持つ症例にとって有用な方法であると考えられた.
  • 飯野 光喜, 佐藤 淳一, 濱田 良樹, 川口 浩司, 松浦 正朗, 瀬戸 皖一, 甲斐 哲也, 戒田 清和
    1996 年 21 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    今同,口唇裂,口蓋裂患者の顎裂に対する二次的骨移植術は広く行われつつある.本論文では顎裂への骨移植術と同部へデンタルインプラントの応用を行った症例の概要を報告する.
    症例は,19歳女性,右側口唇口蓋裂で,当科初診時には右側中,側切歯部に鼻口腔痩および歯槽骨の欠損が認められた.
    この症例に対し,鼻口腔痩の閉鎖と歯槽堤形成の目的で,顎裂部へ腸骨海綿骨細片移植を行った.術後経過は良好で,骨移植術5カ月後に,移植骨部へ,直径3.75mm,長さ13mmのブローネマルクインプラントのセルフタップタイプフィクスチャーの埋入を行い,さらに埋入後4カ月で上部構造の装着を行った.
    本症例においては,顎裂部への骨移植術と同部へデンタルインプラントを使用することにより,鼻口腔痩が閉鎖できただけではなく,従来からの架橋義歯や部分床義歯を用いることなく咬合形成が可能となった.このことは,本法が顎裂を有する成人症例の咬合形成のための有効な手段であることを示すものと考えられた.
  • 徳島大学歯学部附属病院における過去10年間について
    伊東 正志, 岡田 欣也, 大庭 知子, 谷村 一朗, 中西 正一, 松本 史生, 昌山 浩三, 住谷 光治, 天真 覚, 山本 照子
    1996 年 21 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 1996/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    984年4月より1994年3月までの過去10年間に徳島大学歯学部附属病院矯正科を受診した口唇裂口蓋裂患者の実態を把握する目的で調査を行い,以下の結果を得た.
    1.過去10年間における総患者に占める口唇裂口蓋裂患者の割合は6.9%で,男女の比率は若干男子の方が多かった.
    2.初診時年齢には,3歳以下と10歳から13歳までの二つのピークが認められ,Hellmanの咬合発育段階では,IA期とIIIB期が最も多かった.
    3.居住地域では,四国が94.4%を占めており,紹介元の医療機関には徳島大学医学部形成外科が最も多く,次いで徳島大学歯学部口膣外科の順であった.
    4.第一大臼歯咬合関係では,Class II(41.3%)が最も多く,Class I(28.4%)とClass III(30.3%)は,ほぼ同じ割合であった.また,上下顎第二乳臼歯遠心面(terminal plane)の関係においては,distal steptype(45.9%)が最も多く,vertical type(32.4%),mesial step type(21.6%)の順であった.
    5.裂型分類では,口唇裂6.8%,口唇口蓋裂89.4%,口蓋裂3.1%,正中裂0.6%であった.また,口唇裂,口蓋裂は女子に多く,口唇口蓋裂は男子に多くみられた.さらに裂隙の部位は,口唇裂,口唇口蓋裂ともに左側が多かった.
    6.上顎爵槽弓形態において,片側性口唇裂,口唇口蓋裂患者ではbutt-joint型が69.9%で最も多く,両側性口唇裂,口唇口蓋裂患者では,切爾骨突出型が53.6%で過半数を占めていた.
    7.交叉咬合の分類では,total crossbiteであるタイプ2が44.8%と最も多かった.
    8.先天的欠如歯'(永久歯)は,全患者の66%に認められ,破裂側の側切歯に最も多かった.
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