1990年4月から2002年3月末迄の12年間に,川崎医科大学形成外科で初回手術を施行した口唇裂口蓋裂及び口蓋裂単独症例について臨床統計学的観察を行い,以下の結果が得られた.
1)過去12年間に初回手術を施行したのは,口唇裂口蓋裂群308名(片側性246名,両側性62名),口蓋裂単独群85名の計393名であった.
2)外来新患総数,年度別手術件数からみた初回手術件数は,1996年以後増加傾向にあった.
3)患者の居住地域分布は,岡山県188名(47.8%),広島県102名(26%) ,愛媛県38名(9.7%)で,中国四国地方のものが全体の94.7%をしめていた.
4)口唇裂口蓋裂群の披裂程度は,完全186名,不完全122名で,裂型別にみると,口唇裂では不完全,口唇顎裂では両者ほぼ同数,口唇顎口蓋裂では完全が多く認められた.
5)片側性症例の左右差は1.9:1で,いずれの裂型においても左側に多く認められた.
6)性差は,口唇裂口蓋裂群は男児に,口蓋裂単独群は女児に多い傾向にあった.
7)血縁関係は,4.8%に認められ,口蓋裂単独群は口唇裂口蓋裂群と比較して約2倍多く認められた.
8)同一家計内発現頻度は,9.9%であった.
9)合併異常の発現率は19・6%で,中でも口蓋裂単独群に発現する頻度が最も高く,種類も最多かつhighriskであった.
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