5-Year-Olds' Indexは評価方法が比較的簡便で再現性が高いとされているものの,精度や再現性については不明な点が多い。そこで,5-Year-Olds' Indexの評価方法に関して評価の精度や再現性について調査を実施した。
今回の調査では,Japancleft委員会が主催した講習会にて配布された5-Year-Olds' Indexの分類(Group 1~5)において2症例ずつ((1),(2))計10症例の基準模型を用いた。まず,本試験に先立ち行われた予備試験において,これら模型の妥当性が示され,5-Year-Olds' Indexの基準模型として適切であると判断した。本試験においては,10症例の基準模型が歯科医師21名によりそれぞれ2回評価された。この結果より,正解との一致度(精度)および評価者内の一致度(再現性)について重み付きKappa値を求め,臨床経験年数(評価者A群:10年以上,評価者B群:2~9年,評価者C群:2年未満)と正解との一致度について検討した。また,基準模型ごとの正答率および評価を誤答する傾向についても調査した。正解との一致度(Kappa値)は,評価者A群が0.83,B群は0.83で「Very good」,C群が 0.53で「Moderate」であった。評価者内一致度(Kappa値)は,評価者A群が0.79,B群は0.80で「Good」,C群が 0.50で「Moderate」であった。さらに,正解との一致度を臨床経験年数で比較した結果,評価者A群およびB群と比較し,C群はKappa値が低い傾向を示した。基準模型ごとの正答率において,最も高いものは5-(1)で95.2%だった。評価の誤答については3-(2)をGroup 4と判定したものが40.5%と最も多かった。
5-Year-Olds' Indexの評価精度および再現性を向上させるためには,基準模型による評価訓練の徹底に加え,片側性口唇口蓋裂患児の治療に携わる機会を増やす必要性が示唆された。
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