口蓋裂患者の顎顔面頭蓋形態の異常が口蓋裂にともなう顎顔面頭蓋骨の発育不全にもとつくものか,あるいは手術侵襲による影響かを検討するためにdexamethasoneで発生させた口蓋裂マウス胎仔と正常口蓋マウス胎.仔の顎顔面頭蓋形態の比較を行った.
妊娠11日目のddNマウスにdexamethasone 3 mS/栂を1回皮下注射して,胎生16.5, 17.5,18.5日目に帝王切開により標本を得た.それらを同腹のマウス胎仔で口蓋裂胎仔群を1群,その同胞の正常口蓋胎仔群を2群,同腹のマウス胎仔がすべて口蓋裂胎仔であったものを3群,同腹のマウス胎仔がすべて正常口蓋胎仔であったものを4群,そして無処置のマウス胎仔を5群として比較検討した,その結果は次のとおりであった.
1,体重は口蓋裂胎仔群(1,3群)が正常口蓋胎仔群(2,4,5群)よりも日令がすすむにつれて有意に小さくなった.
2.16.5口から口蓋裂胎仔群(1,3群)は,前口蓋孔間の幅径と左右の歯槽突起間の幅径が正常口蓋胎仔群(2,4,5群)よりも有意に広かった.
3.同腹のマウス胎仔の口蓋裂胎仔群(1群)と正常口蓋胎仔群(2群)を比較した結果は以下のごとくであった.
1)鼻骨,前上顎骨の前後径は口蓋裂胎仔群が小さかった,
2)前口蓋孔間の幅径と左右の歯槽突起間の幅径は口蓋裂胎仔群が広かった.
3)左右の歯槽突起の幅径は口蓋裂胎仔群が小さかった.
4)その他の頭骨の前後径,幅径においては差は認められなかった.
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